皆さん、年越しの準備は進んでますか。
この年の瀬に。
大きく動きだしました。
外相会談は、あした。
日本と韓国、また仲よくなれるかな。
こんばんは。
これでわかった!世界のいまです。
今週のゲストは春香クリスティーンさんです。
よろしくお願いします。
まずきょうの1時間目です。
日韓の外相会談、あす開かれます。
これについてまず見ていきたいと思います。
岸田外務大臣が韓国を訪れると分かったのは先週の木曜日でした。
一気に動きだしたような感じがします。
仲悪そうだったのになぜここにきて急になんだろうと思います。
年の瀬にいきなり会談をして成果はあるのですか、大丈夫ですか。
きょうの先生はこの人です。
政治部、岩田明子記者。
首相官邸や外務省など政治の第一線を15年間取材。
先月の日韓首脳会談はもちろん現地に。
安倍政権のことは、私に任せて。
番組初登場です。
政治部の岩田記者です。
よろしくお願いします。
きょうも決まっていますね。
ありがとうございます。
まずこのびっくりしたニュース入ってきましたが安倍総理大臣と韓国のパク大統領、急接近したんですか。
安倍総理大臣と韓国のパク大統領は日韓関係が冷え込んでいても、これまでに国際会議の場で何度も立ち話をしているんです。
いわば、なじみのある関係ではあるんです。
私も実際に2人が会話しているところを何度も見ています。
去年の北京で開かれたAPECなんですが、晩さん会で会って2時間近く、2人で話をしていました。
国際会議では日本と韓国はJAPANとKOREA。
書いてみますね。
J、Kこれアルファベットですと順番ですよね。
隣どうしになるわけです。
ですからなじみの関係であれば話す機会が多いのかもしれません。
ただ、パク大統領はいわゆる従軍慰安婦問題で日本側の歩み寄りを首脳会談開催の条件にしたため会談が行われない異常な状態が続いていたんです。
日本政府は慰安婦問題についてすでに完全かつ最終的に解決しているという立場です。
それでも韓国側の主張に今回耳を傾けたということなんですが安倍総理大臣はことしが日韓国交正常化50年という節目の年であることも踏まえ韓国側と問題の解決に向けた交渉をするよう外交当局に指示を出し水面下でのやり取りが続いていたんです。
そして先月にはソウルで初めての首脳会談が3年半ぶりに実現して協議を加速させることをそのとき確認したんです。
さらに今月に入って、韓国から問題の早期妥結に向けた大統領の決意の表れと受け取られるような動きがあったことも岸田大臣の電撃訪問が決まった大きな要因だと思います。
ヨーソロー。
すてきな岩田さん、それは、私に説明させてください。
そもそも日韓関係がこじれたのは。
2011年、韓国の憲法裁判所が下した決定が発端だった。
コラ、韓国政府、もっと慰安婦問題などで日本に対してしっかり対応しなくちゃってな。
でも最近。
その憲法裁判所が注目の動きを見せたんだ。
50年前。
日韓国交正常化のときに日本がお金を支援する韓国は植民地時代のことで、もうあれこれ日本に請求しないって約束をした。
この約束について憲法に反するかどうかという判断をあえてしなかったんだ。
さらに産経新聞の前のソウル支局長がパク・クネ大統領の名誉を毀損したってんで韓国の検察に在宅起訴された裁判。
結局、ソウルの裁判所は無罪。
日韓関係を考えてという判決だったらしい。
韓国、あれこれと考えてるのかな。
何か変わってきたのは確かですよね。
歩み寄ってきているということなんですか韓国側が。
日本政府は韓国側が今シップが説明してくれた動きを見せたことで慰安婦問題の解決に向けたパク大統領の決意を感じ取り問題解決の可能性があると判断したものと思います。
安倍総理大臣も岸田外務大臣に私が責任を取るとして韓国訪問を指示しました。
外務省幹部なんですがNHKの取材に対して前向きな議論をしているのは間違いないとも明かしています。
動きだした日韓関係ですが韓国ではどう受け止められているのでしょうか。
ソウルには産経新聞前支局長の裁判を傍聴した矢野記者がいます。
この裁判、実際に傍聴してどんなことを感じましたか。
まず何よりも驚いたのは冒頭の韓国外務省の文書の読み上げでした。
2日前に裁判所に提出されたというその文書は言ってみれば日本との関係を考えてどうか穏便な判断をと裁判所にお願いする内容で異例中の異例のことです。
日韓関係の改善に向けて韓国政府がこれまでにない具体的な措置を取ったといえます。
そして無罪の言い渡しには傍聴席からどよめきが起きました。
私が印象に残ったのは無罪と告げる直前の裁判長のことばです。
被告の行動は不適切で韓国国民としては受け入れ難いと述べて前支局長を批判したんです。
苦渋の判断なんだと説明しているかのようにも聞こえました。
裁判長は外交関係を考慮したとは言いませんでしたが、無罪判決の確定は関係改善に向けた韓国政府の強い意思が働いた結果とみていいと思います。
日本との関係改善、韓国はどのように見ているのですか。
関係改善を望む声は市民の間でも高まりつつあります。
あすの日韓外相会談への期待も膨らんでいます。
韓国は日曜日は休刊日ですのでこちらはきのうの新聞ですがほとんどの新聞が一面トップで外相会談の開催を伝えています。
こちらの有力紙の場合は、パク・クネ大統領と安倍総理大臣の決断だけが残っているとそのように伝えています。
歴史認識など個別の問題では人それぞれ意見が違いますが、ずいぶん長く関係が冷え込んだためそろそろ関係を改善させるべきだという意見が広がってきています。
先日、話をした韓国の中小企業の経営者がこんなことを話していました。
日本に誠意を見せてほしいとは思っているが同時に政治の対立に振り回される関係にもうんざりしている。
きちんと区切りをつけられるならよいことだと話していました。
日韓関係が改善へ向かうのかどうか国民も高い関心を持って見つめています。
ソウル支局の矢野記者でした。
ありがとうございました。
世論が動いたから韓国政府が態度を変えることになったということですか。
そこはもう1人の先生に聞きましょう。
国際部韓国担当の塚本デスクです。
よろしくお願いします。
塚本さん、先週に続いてですが今回、韓国どうしてここまで変わってきているのでしょうか。
韓国世論の変化があって韓国政府が動きやすくなったという側面があるんです。
もちろん慰安婦問題の対応を間違えたら国民の反発を受けます。
慎重であるのは間違いないです。
それでも韓国には差し迫った事情があったんです。
まず1つがアメリカの意向です。
この歴史を巡る問題でアメリカは、最初は韓国の立場に理解を示していましたが、ことし4月に安倍総理大臣がアメリカを訪問しました。
日米関係がこれまでになく強化されて日韓関係がよくならないのは韓国が頑固だからではないかという雰囲気に変わってきました。
韓国に対して日本との関係を改善しなさいと強く促すようになっていました。
しかも、日本は尖閣諸島の問題で厳しく対立していた中国との関係を改善しつつあります。
韓国の世論も初めのうちは韓国はアメリカとも中国とも良好の関係を築き、順調な外交を展開していると思っていたんですが気付いてみたら孤立しているのは自分たちではないかということで政府への批判が強まっていました。
韓国からしてみたら思っているのと方向が違う、大変だということなんですか。
そういうことですね。
2つ目、それは経済です。
今、韓国、経済がだんだん悪くなっている状況です。
日韓関係の悪化もあって日本からの投資も減っています。
韓国の経済界の中から日韓関係を改善したほうがいいのではという切実な声が上がっています。
観光業も影響を受けていますものね。
そのとおりです。
ことし10月、東京で開かれた両国の経済団体の会合で韓国の代表が万一、経済危機になったときに通貨を融通し合う枠組みというものがあるのですがそれを再開してほしいと求めていました。
そして最後が総選挙です。
来年4月に韓国では総選挙を迎えますが、日韓の交渉がずれ込んだ場合、選挙が差し迫ってくるとその交渉の内容を巡って、野党から攻撃を受けかねないという懸念がありました。
パク大統領はできれば年内に解決したいと言っています。
では、問題が解決するんですか。
そこがなかなか簡単にはいきません。
パク大統領は問題の解決には元慰安婦や国民が納得するものでなければならないと言及しています。
韓国もみずからの立場を主張して日本のペースで妥協を図ることは、許されない、そういうふうな決意を示しています。
そして再び岩田さん、日本政府はどういう立場なんですか。
安倍総理大臣は先月、この問題についてサッカーに例えて説明しています。
具体的にはこちらで説明しましょう。
これは何かを表しているんですね。
これはボールがゴールすれば慰安婦問題が解決したということになると思ってください。
日本政府としては冒頭でも話したように問題は完全かつ最終的に解決済み、つまりもうゴールしているという立場なんです。
ところがこれは1965年の日韓請求権協定に基づいています。
そもそも1965年、韓国側は日本側の法的責任に言及せず人道上の措置を講ずることで決着していました。
その後90年代になって慰安婦問題が韓国国内で取り上げられ、注目されるようになると韓国政府は日本政府に対し謝罪を求めてきたんです。
ゴールが動きました。
これはどういうことですか。
日本から見ると合意をほごにされたと思いますよね。
このとき日本側は河野談話を出しておわびをしアジア女性基金を設立して償い金を支給したりしました。
もう一度ゴールしたわけですね。
しかし、またこの問題が蒸し返されました。
その後も韓国政府は協定は不法行為の事実を日本が認めていない状態で締結されたものだとして態度を変え日本側への追及を進めたんです。
安倍総理大臣は多くの日本の方々は韓国側の対応をゴールポストが動いていると思っていると述べています。
こうなると、日本政府としてはでは何をすれば決着するのかと思っているわけです。
韓国は今何を求めているんですか。
今まさに日韓が進めている交渉の中に韓国が求めているものがこちらです。
まず元慰安婦たちに謝罪をしなさいということです。
それから日本政府予算を使って何らかの支給をしてください。
それから国家として責任を認定してください。
いろいろ求めています。
日本政府はソウルの日本大使館前に設置されている慰安婦問題を象徴する少女の像を撤去することや、アメリカなど第三国で象徴的な碑を建設する動きをやめるよう求めています。
また慰安婦問題を巡る資料のユネスコの記憶遺産への申請などについても取り下げるよう求めています。
こういった問題、まさに日韓が協議をしながら一つ一つ妥協点を見いだす努力をしている最中です。
こうするとようやく努力が報われて合意に向けたシュートができると。
また下がらないですか。
大丈夫ですか。
そう思いますよね。
だから日本としてはこのゴールを固定してくれと思っているわけです。
つまり、仮に問題解決で合意した場合にはこの問題を二度と蒸し返さず最終的な決着とすることを確認したいと考えています。
今までずれていたのに可能なんですかね。
それに関して韓国のユン・ビョンセ外相は日本側が求めている最終決着については問題が解決されれば再び提起することはないと発言しています。
それから日本大使館前の少女の像については本質的な問題に進展があれば撤去に関する問題でも進展があるだろうと述べています。
日本側の対応によっては応じる構えを見せています。
つまり今がチャンスということですか。
ということになりつつあると思います。
今回は両首脳が強い決意を示していることから両国間の協議が大きく前進するのは間違いないと思います。
というのも安倍総理大臣は戦後70年、そして日韓国交正常化50年の節目の年であることしすべての国との本当の意味での関係改善を目指してきました。
記者会見や総理大臣談話にもこうした考えがにじんでいます。
また、最近多発しているテロ、それから核開発などを進める北朝鮮情勢など国際社会の安全保障環境は流動化しています。
ですので日韓の安全保障面での連携強化も非常に重要です。
関係改善はとても大切だと考えていると思います。
韓国は実際どう思いますか。
韓国もこれまで動くに動けなかったという側面があると思います。
ようやく動き始めたのだろうと思います。
ただ韓国国内で日本が大幅に折れてくるのではないかというような期待が高まりすぎているのはやや心配です。
日韓関係を揺さぶってきたこの慰安婦問題。
今回ついに歴史的な決着に至るのか今そこが最大のところです。
そしてさらに日韓は国交正常化50年を迎えましたが次の50年に向けてどのような歩みを始めるのか。
まさに今、重大な岐路にさしかかっていると思います。
きょうは日韓関係について政治部の岩田記者、そして国際部の塚本デスクでした。
ありがとうございました。
年の瀬になってなぜ今かというのが分かりました。
このぎりぎりまで国際政治というのは動いているものなのですね。
2時間目にいきましょう。
100年前の事件に焦点を当てた映画が公開されました。
舞台は1915年、第1次世界大戦中のオスマン帝国。
150万人以上のアルメニア系の住民が虐殺されたといわれています。
死を免れた僅かな人たちの証言を丹念に集めて制作された映画です。
もとになった事実ですがアルメニア側とトルコ側で事実確認が食い違いがあります。
歴史の闇の中に埋もれた事件なんです。
アルメニアの場所ですがここです。
トルコの隣にあります。
両者の主張なんですがアルメニア側は150万人以上が虐殺されたと主張しています。
トルコ側は虐殺ではなく戦闘の中での死者だとしています。
戦乱の中で起きた不幸と表現しているんです。
春香さん知っていましたか。
全く知らなかったです。
今回、映画の中身だけではなく一般公開に先立って行われた上映会、これを主催したのが学生たちだったんです。
学生たち、なぜこの映画に注目したのか取材してきました。
上映会を主催した大学生たちです。
ことし2月テロや難民問題などについて議論する目的でNGOを立ち上げました。
賛成、受け入れることに賛成。
日本国内がまだ難民を受け入れるという体制が整っていない。
とはいっても、特に国際問題への関心が高かったわけじゃないんだそうです。
今、世界で起きている紛争やテロそして難民問題などを知って感じた、何とはなしの不安がきっかけでした。
NGOが開く初めての映画イベント。
アルメニア大使館などに協力を求め、人を集めるためのトークショーも手作りで企画しました。
若者たちが声を上げ始めているのは日本だけではありません。
こちらはロンドンです。
首相官邸前で今月、学生たちが大規模なデモを行ってシリアへの空爆反対を訴えました。
インターネットを通じてつながる若者たちもいます。
エッフェル塔を模したこのマークパリの同時テロ事件を受けて広がりました。
平和と反テロを訴える人文字を描きました。
動きはアジアでも。
香港で去年起きた雨傘革命。
2人とも覚えています?学生たちが民主的な選挙を求めました。
あれから1年。
彼らは今も声を上げていました。
抗議活動に参加した若者たちのうち、およそ50人が先月の区議会議員選挙に立候補しました。
8人が当選しました。
学生側の敗北に終わったかのように見えた雨傘革命でしたが香港の学生の熱は静かに、しかし確かに燃え続けています。
なぜ、今、若者たちが立ち上がるのでしょうか。
理不尽に奪われる命。
弱者に対して繰り返される暴力。
2時間を超える映画には国益の名のもとに起きる悲劇が詰め込まれています。
作品を見た100人を超える学生たちは何を感じたのでしょうか。
こういう若者がいることはとても誇りに思います。
同じ世代の方が語っているとぐっとくる部分もあります。
いろんなタイプがあると思いますが、声を上げて主張するタイプもあると思いますが一方で彼らのように静かに勉強で知識を増やしたりイベントを開いたりといろんな、何かを変えたいという意思の表れなのかなと感じました。
この映画ですがただ悲惨な事実を追っただけではありません。
主題は事件によって娘と離れ離れになったお父さんが合わせて8年近くずっと世界中を放浪して捜し求めるという物語でなかなか見応えがあります。
ぜひ機会があればご覧ください。
今週はもう1つ、VTRがあるんですがちょっと見られますか。
これは先月行われたUNHCRの講演会です。
これ私です。
今の若者たちにつながることかもしれませんが知らないでいるということはすごく怖いなと思いました。
やっぱり自分自身もまずは知るところから。
そして話す場は少ないかもしれませんが話し合っていくというところから、自分の知識を深め、そして何かを解決することにつながるのではないかなと思っています。
ことし、いろいろなニュースを見てきましたが、お二人はどんなニュースが印象に残っていますか。
私はISで日本人の方が殺害されてしまった事件がすごく衝撃的でした。
テロというものを身近に感じる出来事でした。
暗い話ばかりになりますがパリのテロでスイス時代の同級生がサッカー場にたまたまいました。
やっぱり他人事ではないなと感じました。
怖いですけど意識していかなければいけないと思いました。
2015/12/27(日) 18:10〜18:42
NHK総合1・神戸
これでわかった!世界のいま▽慰安婦問題妥結へ日韓外相が協議 年の瀬会談の思惑は[字]
慰安婦問題の最終的な妥結を目指すため、12月28日に日韓外相会談を行うと正式発表した。日韓それぞれの思惑や協議の焦点について、徹底解説する。
詳細情報
番組内容
【ゲスト】春香クリスティーン,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
出演者
【ゲスト】春香クリスティーン,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
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ニュース/報道 – 定時・総合
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ニュース/報道 – 解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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