(福島)皆さんおはようございます。
番組の案内役を務めますMBSアナウンサーの福島暢啓です。
さてこの「らくごのお時間」では…。
今回私がお邪魔しているのは大阪市中央区の高津宮です。
高津宮は「高津の富」や「崇徳院」などの上方落語の舞台となっている神社で現在も先日番組の寄席も開催いたしました。
その中から…本日はこの方の落語をご覧いただきます。
(桂雀太)「立ってはだめです」。
芸歴14年…。
雀太さんはさあ演目は?書類などを代筆してくれる…。
さて「らくごのお時間」となりました。
それではどうぞ!
(出囃子「大東京音頭」)
(出囃子「大東京音頭」)
(拍手)ええ〜桂雀太と申しまして一席おつきあいをいただきますが。
まあほんまにこの押し迫ってまいりまして押し迫ってるんですけれどもやたらとぬくい日があったりねそうかと思ったらいきなり寒なったりややこしいお天気が続きまして…。
まあしかし今年は例年に比べたら台風っちゅうのがあんまり来なかったように思いますね。
こらまあ結構なことやなぁ思ってましたらこないだ京セラドームに「嵐」来てましたんですけども。
(観客たち)あははっ!油断も隙もないな思ってるんですけどもね。
ええまあそんなんで世の中どんどんと移り変わっていくもんですけれどもまあ大阪で今どこがいちばん変わったかいうたらやっぱり天王寺の辺りとちゃいますか?変わりましたですね。
あべのハルカスっちゅうのが出来ましたんでね。
まああの辺土地が少ないっちゅうので建物建てるとなったら上に上げなしゃあない。
上げに上げて300メートルのビル造ったっちゅうんですからピンときませんね。
ちょうど「グリコ」のひと粒食べたときとおんなじ距離ですねんあれ。
あれまあ上に上げたっちゅうんですから大層な話で。
まあ近鉄のビルですけども間にホテルが入ってましてねマリオットホテルっちゅうんですかね。
ちょっと外資系の上等のホテルですけども。
なかなかこの大阪のご婦人方も新しい言葉覚えられへんっちゅうんですか。
マリオットホテル。
目で見て耳でも聞いてんのに家に帰ったらこれ「マリオネットホテル行ってきたで」って。
なんでか分かりませんけど勝手に編集してしまいますね。
ようありましてね「スターバックス」出来たときもそうでしたわ。
「あそこいっぺん行ってみようか。
あの〜出来たやろ駅前にちょっと広めの喫茶店。
あの〜緑色の看板出してるオートバックス」言うてましたですからね。
(観客たち)あははっ!そんなとこでお茶飲まれへん。
「あんたらな酒飲むんやったらな赤ワインを飲まないかんで。
あれは体にええらしいで。
なんちゅうてもボラギノール入っとるさかいな」。
そんなもん入れてどないすんねんってなもんでね。
どんどんと世の中移り変わったら新しい言葉も増えてまいりまして職業もいろいろと変わっていきますね。
まあもう昔あったけど今時代の流れとともに廃れてしもうた商売とかまたその逆のパターンもありますが。
今あんまり聞きませんがこの代書屋さんっちゅうのがひと昔前はあっちゃこっちゃにあったんやそうで。
代わりに書くっちゅうことを生業とする。
この代書屋さんというのが活躍していた時分というのは今みたいに教育水準があんまり高くありませんからこの字の書かれへん人が世の中にたくさんいてはったんやそうで…。
ところが別にこれぎょうさんいてはりますんでそんな人。
別に恥ずかしいことでもなんでもない。
逆に字書ける人の方が不思議がられたりなんかしまして…。
「おい」。
「なんや?」。
「お前知ってるか?」。
「何を?」。
「まっちゃんやがな」。
「まっちゃんどないしたんや?」。
「あいつこのごろ字書くらしいで」。
(観客たち)あははっ。
「まっちゃん字書くってかいな。
アホちゃうか?」言うてね。
訳の分からん話がありますが…。
「おい」。
「なんや?」。
「お前何してんねん?」。
「いや何してるっちゅうてやな今兄貴に手紙書いてんねん」。
「兄貴に手紙ってお前字よう書くんかいな?」。
「いや字はよう書かんねやけどもな兄貴もよう読まんさかいかめへんねや」言うて。
意味の分からん話が残っておりますが…。
あんまりこの代書屋さん陽気な商売ではなかったようでございまして小さい事務所みたいなものを構えましてすずり置いて机置いてまあただひたすら向こうからお客さんがやってくるのを待ち続けるとそういうようなもんでございます。
そういう所にやってくるお客さんというのがまあ我々同様といいましょうか極々朗らかな人間でございまして…。
「こんにちは!」。
「はい」。
「いてはりますかいな?こんにちは!」。
「はいはい。
いてますよ」。
「えれぇすんまへん!誰ぞいてはりまへんかいな?」。
「あのねここにいてますよ」。
「あっいてはった。
えれぇすんまへん。
ちょっと明るいとこから暗いとこに急にやってきたもんでちょっと目が慣れてまへんでしたんや。
ちょっとお尋ねします」。
「はあはあなんです?」。
「あの〜その〜でぇしょ屋はんっちゅうのここでっか?」。
「なんです?」。
「あの…でぇしょ屋はんっちゅうのここで合うてまっか?」。
「まあでぇしょ屋ではないですけども代書屋やったらうちですけど」。
「あっここ合うてまっか?あっよかった〜。
違いまんねや」。
「何がです?」。
「ちょっと書いてもらいたいんです」。
「はあ何をです?」。
「あの〜その…ギレキ書たらなんやビレキ書たらそういうようなもん」。
「はい?」。
「ギレキ書…ビレキ書…なんやそういうような類いのもんちょっと書いてもらいたいんです」。
「履歴書ね。
はいはいなんやったら書かしてもらいますけど」。
「あっ書いてもらえまっか?よかった〜。
違いまんねん」。
「なんでんねん?あんた」。
(観客たち)あははっ!「な…なんで?」。
「あのねちょっといるっちゅうことになりまして持ってこいっちゅうこと言われたんですわ。
ほんでうちに帰って嫁はんにうちそんなもんあったか?と聞いたらうちそんなもんないでと言われてこれは困った。
どないしよう思ってましたらね隣に芳さんちゅうて芳公…ご存じですか?」。
(笑い)「あなたのお友達かなんかでしょ?」。
「そうですそうです!私の友達です。
あなたよくご存じですね」。
(観客たち)あははっ。
「ほいでお前とこそんなんあるか?と聞いたらさあ?うちそんなんあったようななかったような確かあれお婆んが死んだときに棺桶の中に一緒にほり込んだんちゃうか。
いっぺん探してみるわっちゅうてね仏壇の引き出しやら水屋の奥やらいろいろと探してもらいましたんやけどもなどうしてもないっちゅうことになりましてこれは困った。
どないしよう思ってましたらね帰りに徳さんっちゅうて…ご存じですか?」。
(観客たち)あははっ。
「まああなたのお友達かなんかでしょ?」。
「そうですそうです!私の友達です。
あなたなんでもよくご存じですね。
徳さんに実はこれこれこうやねん言うたらおお…お前はアホかとこう言われまして。
そんなもんな履歴書ったらいうようなもんよその家に借りに行くってそんなもんやないねん。
どうせお前ら字よう書かんねやろ。
それやったら代わりに書いてくれるとこあるわ。
で…でぇしょ屋はんっちゅうとこや。
そこ行って代わりに書いてもろてこい言われて今ここへやってきましたんやけど書いてもらえますやろかな。
そのギレキ書たらビレキ書たらいう類いのもん」。
「んん…はい。
書かしてもらいます。
まあどうぞ掛けとくんなはれ。
あなたがうちにお越しになった事情はほぼ分かりました」。
(観客たち)あははっ。
「掛けておくんなはれ。
んん…座ってください。
椅子の上に立ってはだめです」。
(観客たち)あははっ。
「そうです。
面白そうな人や」。
(観客たち)あははっ。
「就職ですか?」。
「えっ?」。
「就職しなさるんでしょ?」。
「いや就職とかねそんな大層な話やないんです。
ちょっと新しいとこ勤めに行きまんねん」。
(笑い)「それを就職というんです。
面白そうな人や」。
(観客たち)あははっ。
「じきにっちゅうわけにまいりませんのでなまあこっちからいろいろとお尋ねしますんでそれにいちいち答えてもろたら結構です。
本籍は?」。
「えっ?」。
「本籍は?」。
「ホンセキ…ええ〜そうですそうです。
あの〜ホンセキです」。
「意味分かってますかいな」。
(観客たち)あははっ。
「あなたがお生まれになった所どちらです?」。
「ああ〜あなた私が生まれた所お尋ねですか?」。
「そうです。
どちらです?」。
「私どちらです?ってそんなもん日本橋でんがな」。
「知らんがなそんなこと。
日本橋ね。
はいはい。
ええ〜浪速区日本橋…」。
「3丁目!」。
「3丁目」。
「26番地!」。
「26番地」。
「向かいが風呂屋!」。
「んん…。
向かいのことはよろしい。
現住所」。
「えっ?」。
「現住所」。
「現住所!そうですそうですあの〜確かそうです」。
「意味分かってますかいな?今現在あなたがお住まいになって…。
えっ?はあはあ生まれてからいっぺんも変わらず。
はいはい。
そういう方ちょいちょいいてはりますな。
ああ〜右に同じと。
お名前は?」。
「えっ?」。
「お名前は?」。
「あっあなた私の名前お尋ねですか?」。
「そうです。
いちいちおさまらいでもよろしい。
名前なんです?」。
「私留です」。
「えっ?」。
「留っちゅうんです。
留!。
おう!。
風呂行こか留。
おう!。
留です。
ひとつよろしゅう頼んどきます」。
「ああ留さんね。
まあ女の方で留さんという方いらっしゃいますけども男の方で例えばその…そうですなその…留吉さんとか留五郎さんとか…」。
「留五郎です!」。
「ほんまですか?」。
「ほんまです!やっぱりあなたなんでもよう知ってなはる。
あのねちょっと私ね実はあの…お恥ずかしい話になりますんやけどもね実は私自分が留五郎やっちゅうこと長いこと知らなんだんです。
これうちのおやじが死ぬ間際に私を枕元呼んで苦しい息のもとで…んんんんんん…と〜め〜〜言うてお前のほんまの名前は留五郎や。
何かのときにはそれを言え〜〜」。
コンカッ!
(舌を鳴らす音)「逝ってしもうたんですよ」。
(観客たち)あはははっ!「せやさかいね私あの〜留五郎これ間違いないんですわ」。
「んん…つまりそれは下の方ですわな。
ああ〜上はなんです?」。
「上でっか?え〜っと確か120…」。
「んん…血圧の話やなしにですな」。
(観客たち)あははっ。
「ええ〜姓・名とあったらこれ名の方ですわな留五郎さんというのは。
あなたの姓は?」。
「私の背?5尺と…」。
(観客たち)あははっ。
「えっと…どない言うたら分かんのかいな。
あるでしょ長谷川さんとか松本さんとか」。
「松本です!」。
(観客たち)あははっ。
「ほんまでっか?」。
「ほんまです。
あなたなんでもよう知ってますわ。
いやあのね…あの…私またちょっとお恥ずかしい話になりますんやけどもね実は私自分が松本やっちゅうことこれ知らん…。
これもおやじです。
おやじが死ぬ間際に私を呼んでんんんんんんん…と〜め〜〜言うてお前のほんまの名前は松本留五郎や。
何かのときにはそれを言え〜〜」。
コンカッ!「逝ってしもうた」。
(観客たち)あははっ。
「せやさかい私松本留五郎これ間違いないんですわ」。
「んん…。
ええ〜松本さん自分の名前ぐらいすらすら言えるようにしときなはれや。
んん…生年月日は?」。
「えっ?」。
「生年月日言うてもらえますか?」。
「私がですか?」。
「あなたしかいてないでしょ」。
(観客たち)あははっ。
「生年月日!」。
(笑い)「えっと…違いますね。
その…生年月日と言うてもらうんやないんですわ」。
(笑い)「生年月日を言うてもらえますか?」。
「私がですか?」。
(観客たち)あははっ。
「あなたしかいてないでしょ」。
「なんにも知らんもん。
生年月日を!!」。
(笑い)「んん…えっと…松本さんアホでしょあんた」。
(観客たち)あはははっ。
「違いまんがな。
あのねせやなしにつまりあなたが生まれた日のことですがな」。
「私が生まれた日のこと?なんにも覚えてまへんわ!」。
「そらそうでしょ。
はっきり覚えてたら気色悪い。
何月何日生まれたってなこと誰ぞに聞いてまへんかいな」。
「1月の1日ってなことですか?」。
「まあ随分古い言いようですけどもそういうことです」。
「うう〜それなら間違いないです。
私1月の1日。
ははっあのねまたちょっとお恥ずかしい話になりますんやけどもね実は私自分が1月の1日…これ知らん。
おやじやないんです。
うちのおかん…母親がねんんんんんん…とぉ〜めぇ〜〜言うて。
さっきとちょっと違うでしょ。
おかんとぉ〜めぇ〜〜言うてお前が生まれたんは1月の1日や。
太閤はんとおんなじ日や。
いずれ出世する。
間違いないぞ〜〜。
まだ元気で生きてるんです」。
(観客たち)あははっ。
「せやさかいね私1月の1日間違いないんですよ」。
「つまりそれは何年の…だいたい今年いくつです?えっ?46…46!?」。
(観客たち)あははっ。
「あなた?間違いおまへんか?さようか。
はあ〜。
アホは若う見えるっちゅうけどなんでやっちゅうこと分かりますんでな。
はいはい。
ええ〜1月の1日と。
次に学歴ですなぁ。
学歴いうたかてまたあんたおかしなこと言われても困りますんではっきり言うときます。
学校のことです。
学校どないなってまっか?」。
「学校でっか?長いこと行ってまへんなぁ」。
「そらそうでしょ。
46で行ってたらおかしいでしょ。
違いまんがな。
小さい時分に行ってた学校あるでしょ」。
「小学校です」。
「大抵小学校ですけどもなんという学校でした?」。
「私が行ってた学校でっか?これははっきりと覚えてますわ。
うちの極々近所にありましてな校門の所に桜の木ぴゃっぴゃ〜ぴゃっぴゃ〜ちょうど5本植わってましたんや。
そこに花見時分になったらあんたきれいな花パッパッパッパッパッパッ…咲きまんねん。
ところがね三日見ぬ間の桜かなってなこと言うでしょ?じきにヒラヒラヒラヒラ散っていきまんねん。
それをね女子の子やなんか針と糸と持ってきましてな散った花びら1枚ずつ糸に通していきまんねん。
しまいに丸っこいもんこしらえましてやなこれを頭の上にのしたり腕にはめたりして遊んでまんねん。
留ちゃ〜んきれいやろ?あんたらになんかやれへんわ〜い。
アホ〜!」。
(観客たち)あははっ。
「そういうような学校でした」。
(笑い)「んん…書けないでしょそんなこと」。
(観客たち)あははっ。
「本籍地内小学校。
ああ〜これ卒業しはったんでしょうな?」。
「もうきっちり2年で」。
「中途退学と。
ええ〜職歴ですなぁ。
あなたが若い時分からやってきなはった仕事商売ちょっと順番に言うてもらいたいんですけどいちばん初めにやりなはったのいつごろでっか?」。
「いちばん初めでっか。
いろいろ聞かれまんねんな。
わたいもね若い時分ふらふらふらふらしてましたんでな思い出しますわいちばん初めはね確かあれ16…うんう〜ん…17?18?」。
(観客たち)あははっ。
「19にしときまひょか。
少々のことはよろしいわ。
これ何月ごろでした?」。
「これは確か暑かった」。
「8月にしときますわ」。
(観客たち)あははっ。
「これ場所どちらです?」。
「これは覚えてます。
あそこぴゃ〜っと行ってしゅ〜っと行って…」。
「玉造にしときますわ」。
(観客たち)あはははっ!「もう少々のことよろしい。
ええ〜何をやりました?」。
「私あの〜これ巴焼きやってたんです。
巴焼き…最前言うてた芳公っておったでしょ。
あいつがね巴焼きの道具余ってるさかいやれへんかっちゅうんで借りたんですわ。
こんななんちゅうてんかな鉄板ちゅうてんかな銅板っちゅうんてかなこれぐらいのやつあってね穴がボコボコボコボコと開いてまして水で溶いたメリケン粉パッパッパッパッ…流し込んであんこポンポンとほり込んで上から蓋ガチャッと閉めて下から火ボッボックルクルクルと回していくやつありまっしゃろ。
あれやったんですわ。
ところがね長いこと使うてなかったんでっしゃろな。
えらいさびついてまんねん。
緑青っちゅうんでんかいな。
こんなもんではできるかい!ペーパー買うてこい言うてもらいたての嫁はんに偉そうに言うてペーパー買いにやらして二人が並んでゴ〜リゴリゴ…ジョ〜リジョリジョ…ゴ〜リゴリゴ…」。
「はい結構です。
そのへんにしときましょ。
書けないでしょ。
そのゴリゴリだの…。
なんとおっしゃった?えっ?あっ巴焼きな。
あの丸っこい…はあはあまあこれでも分からんことないでしょうけども読む人がはっきりと分からんとあきませんのでな巴焼き…今川焼き太鼓焼き回転焼き太鼓饅頭…うう〜御座候と言う所もありますしな。
こないしときまひょ。
饅頭商を営むと…これでよろしい。
これいつまでやりました?」。
「それ結局いっぺんもやってないんです」。
(観客たち)あははっ。
「なんです?」。
「それね道具借りて準備するとこまでやりましたんやけどな最前言うたように夏のことでしょ。
暑いでんがな。
もう汗ばっかりかいて品物一つも売れなんだらけったくそ悪いないうて嫁はんにもやめとこか?言うたら嫁はんとわたい気ぃ合うんでっしゃろな。
やめときやめときやめとこ。
わあ〜!っちゅうことなりましてそれ結局いっぺんもやってないんです」。
「前もって言うときまっせ」。
(笑い)「前もって…ご丁寧に…」。
(観客たち)あははっ。
「1行抹消と。
判持ってまっか?えっ?徳さんに言われて持ってきたって徳さん偉い人や。
そういう友達大事にしときなはれや。
んん…んん…ああっ」。
「ん…松本さんたまには判掃除しときなはれや。
ただの赤丸でんがなこれ」。
(観客たち)あははっ。
「もうよろしいわ。
あのねその思っただけとかそんなん書くようなもんやないんです履歴書というものは。
そういうようなことはね難しい言葉で思い出っちいいまんねん」。
(観客たち)はははっ。
「夏の思い出履歴書に書いてどないしまんねんな」。
(観客たち)あははっ。
「せやなしにねつまりほんまに…だいたい今何してはりまんねん?」。
「えっ?」。
「何でご飯食べてはりまんねんや?あなたの今の本職なんです?」。
「私の本職?それやったら私ポンしてますけど」。
「何?」。
「ポンしてるんです」。
「ポンって一体なんでんねん?」。
「あなたポン知りまへんか?よう子供の子やなんかねお米とお砂糖持ってきておっちゃ〜んポンしてちょうだい言うて来るでしょ。
よっしゃおっちゃんに任しとき言うてこんな大きな釜がありましてなそこに米と砂糖とピュッと入れて蓋ガチャッと閉めて向こうに黒い大きな網がありまんねん。
下から火ボッボッとたいてグ〜ルグ〜ルグ〜ルグ〜ルあっグ〜ルグ〜ル回してぼちぼちやっちゅうときにお〜いぼちぼち出来るぞ大きな音するさかいな離れとけ離れとけ。
耳塞いどけよ。
大きな音するぞ。
危ないぞ。
もっと散れ散れ散れ散れ。
いくぞ出来るぞ〜!」。
「ポ〜ン!!」。
「私の本職ポンですけど」。
「ううっ…」。
(観客たち)あはははっ。
「ポン!!」。
(観客たち)あはははっ!「代書」でございます。
(拍手)
(受け囃子)桂雀太さんの落語をご覧いただきました。
雀太さんが落語家さんを目指したきっかけっていうのはなんだったんでしょう?え〜っとね大学時代も落研でもないですし落語を生で初めて見たのが23か…それぐらいやったんですよ。
うちの師匠の桂雀三郎50歳記念25日連続落語会っていうのがあったんですよ。
へえ〜。
そこで初めて見た落語ですごい衝撃を受けましてこらもうやっとこかっちゅうような感じで…。
へえ〜。
簡単に言いますとね。
すぐにもう雀三郎師匠に…。
すぐにでもなかったですけどもやっぱりあの…衝撃が忘れられずに。
ええ。
ちょっとね事前にお話を伺ったんですが落語会色んな所でされているという…。
まあそうですね。
え〜っと例えば北浜にあるカレー屋なんですけど結構有名なんですけどね。
ものすごい狭いんです。
2坪ないぐらいの。
(一同)ははははっ。
ほんまに。
じゃあお客さん…。
カウンター6席…6人入ったらぎゅうぎゅうですわ。
どうやってやったんですか?それだから縦長でカウンターがあってお客さん6人座る。
ほんで厨房こうあるんですけどもそこにちょっと舞台みたいなん作って…。
厨房の中に?いうたらまな板の上ぐらいです。
(一同)ははははっ。
でカウンター越しにしゃべるんですけどもお客さんこの辺ですからね。
(一同)ははははっ。
それはやりづらかったでしょうね。
やりづらいってなそんななまやさしいもんとちゃいますよ。
(一同)ははははっ。
ほんまに。
そうですよね。
真横にこんな寸胴あるしね。
はははっ。
帰って来てから風呂敷開けたらカレー臭いのほんまに。
(一同)はははっ。
またあの…ラジオをご自身でやってらっしゃるというのを伺ったんですけど。
インターネットラジオっていうんですかねポッドキャストっていいますか。
これはなぜ始められたんですか?あの〜一緒にやってる人がねまあ放送作家の人なんですけどちょっともう暇やしこんなんができるんですわいうてすごいっすよ。
こんなICレコーダーですわ。
ああ〜。
ちっちゃいやつ…。
ちっちゃいやつで。
ほんで僕の家とか「うぃ〜っす」って来て「いくで。
押すで押すで」ってポチッと押してただただしゃべってるっていう。
やってるからそういうアンテナの張り方もしてここでしゃべれるなっていうのがありますから。
まあ自然とそういう動きにもなりますしね日常が。
まあでもそういう新しい試みたくさんされているということでやっぱり若い落語ファンの開拓というようなそういうお気持ちっていうのはあるんでしょうかね?落語を生でちゃんと聞いたことない人の方がまあ断然に多いと思います。
ですからまあそういう人らにもね。
結構興味はあるけどどこに行ったらええか分かれへんしきっかけ待ちみたいな人が結構…僕のリサーチによりますと…。
ええ。
結構いてはるんですよ。
全然敷居高くないですしね。
そうですよね。
なんとなくちょっと高いようなイメージをお持ちの方も結構いてはりますんでその敷居をどんどんとこう…かんなで削る役目をちょっとでもできたらと。
ええ〜ということでそろそろお時間でございます。
今日は雀太さんにお話を伺いました。
どうもありがとうございました。
どうもありがとうございました。
(拍手)1月5日に京都で桂文我さんの独演会が行われます。
詳しくは番組ホームページまで。
そして1月2日には「新春!らくごのお時間」を放送。
初笑いにぜひどうぞ。
皆様どうぞ良いお年をお迎えください!2015/12/27(日) 05:00〜05:30
MBS毎日放送
らくごのお時間[字]【桂雀太◆「代書」】
<第31回>桂雀太◆「代書」▽演奏月1回、第4日曜の朝に本格的な落語を一席。
詳細情報
◎この番組は…
月に1回、寄席小屋を訪れて、脂の乗った落語家の落語を1席お届けします。
番組内容
今回は、たくさんの落語に登場する高津宮(大阪市中央区)で収録。
噺家の桂雀太さんは、桂雀三郎さんの弟子で、今年6月の「上方落語若手噺家グランプリ」決勝にも進出しました。
出演者
【落語】
桂雀太
【案内人】
福島暢啓(MBSアナウンサー)
公式HP
【番組HP】
http://www.mbs.jp/rakugotime/
おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。
ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – お笑い・コメディ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32722(0x7FD2)
TransportStreamID:32722(0x7FD2)
ServiceID:2064(0x0810)
EventID:11990(0x2ED6)