(岡崎真実)あーあ気持ちよかった。
ねえ…。
えっ?
(鴨志田新一)うーん…。
また寝てる。
風邪引くわよ鴨志田さん。
おっ…おはよう。
何寝ぼけてるのよ。
寝るならちゃんと部屋で寝てください。
あっ夜…。
誰?これ。
あっ…。
ちゃんと捨ててよね。
はい。
(姉小路行人)あー終わっちゃった…。
えー?そんなに面白かったの?『運命の紅い帯』綾野文?知らないんですか?真実さん。
最近小説読んでないから。
日本文学新人賞をとった今話題の小説家綾野文。
そんな顔して言わなくても。
確かまだ20代なんじゃない?はい27歳です。
へえ!どんな小説なの?塩原温泉と向島を舞台にした芸者と流行作家の道ならぬ恋物語です。
えー古めかしい。
古風と言ってください。
はいはい。
真実さんも読みますか?遠慮しとく。
読むとな男性観が広がるかも。
狭いままで結構。
行人君じゃあ私に貸して。
どうぞ。
鴨志田さんが読んでも感動すると思いますよ。
こういう小説って川端康成の「長いトンネル」以来読んでないのよね。
『雪国』です。
知っててわざと。
本当かよ。
(携帯電話)はい。
鴨志田。
おおどうした?事件か?うんうん。
どこだ?ああわかった。
すぐ行く。
あっはいはい…。
ああはい。
いってらっしゃい。
いってらっしゃい。
(ため息)恋愛なんてさ本読んだからって出来るもんじゃ…。
ですけど恋する気持ちを忘れちゃいけませんよ。
あなたに言われたくありません。
(工藤潔)どうだ?
(大崎通夫)向こうは荒らされた様子はありませんね。
(工藤)そうか…。
お疲れさまです。
ご苦労さまです。
結構古い家だな。
係長侵入経路は?まだ特定出来ていません。
そうですか。
(和田一朗)救急隊員の話が聞けました。
なんだって?
(和田)2階で就寝中だった老婦人が物音に気付いて1階に下りようとしたところ階段を踏み外して転倒して失神。
命に別条はないようです。
おや…?下で物音?よっこらしょ。
こんな夜中に一体…。
誰だろうね?えっ…え?出ましたね。
カモさんダンス。
お前まねすんなよ。
しませんし出来ませんよ。
どなたかな…。
おい行っちゃったぞ。
(物音)あれー!あっ?おい和田。
(和田)はい。
通報者は誰だ?ああ救急隊員が現場の状況を見て強盗と判断して警察に。
そうじゃなくて救急車を呼んだのは誰だと言ってるんだ。
はっ?だってお前さっき老婦人は階段を転げ落ちて…転落したんだろ?はい。
失神したんじゃないの?あっそうか!すぐ調べろ。
はい!さてどこから入ったかだな。
おおあった。
(大崎)あっ!三角破りだ。
(鈴木)えっ?三角破り?木村君。
(木村新)はい!なあ。
ここへマイナスのドライバーを差し込んでひねるとこうやって三角にガラスが割れるんだよ。
(鈴木)へえ!
(大崎)「へえ」ってお前刑事になる前に捜査講習で習ったろ。
(鈴木)すみません。
ありがとう。
(和田)わかりました!うん?救急への通報はこの先の公衆電話からで通報者は男性。
名乗っていないようです。
カモさんまさか盗みに入ったやつが…。
恐らくあいつだ。
(大崎・鈴木)えっ?あいつ。
《通称三角破りの為》課長!おっおお…なんだ?あっあと5秒で寝てましたね。
何を言ってるんだよ。
私は君と違って意志が強いから。
ああそうですか。
そんな事よりもまだ捕まらんのかね?はい。
本当に三角破りのほらあの…。
ああ為。
うん。
磯野為吉。
…に間違いないのか?三角破りを得意とする泥棒なんか他にもいるんだろ?まあいますけども家人が倒れたからといって救急車を呼ぶようなやつは他にはいませんあいつしか。
ああそうか。
はい。
わかった。
とにかくな今日はもう君上がっていいよ。
あっ…。
あとは我々で。
そうですか。
ではお言葉に甘えて。
では。
課長。
早いですねその顔に戻るの。
ななんだよ…。
ああ為なんですけど機転の利くやつなんで我々の裏をかいて案外近くにいるかもしれません。
以上です。
(大崎)行くか。
(和田)うん。
磯野為吉だな?
(磯野為吉)早えな。
署まで来てもらおうか。
立ちなさい。
おたくらさどこの署だい?東王子署だ。
カモさんとこか。
じゃあしょうがねえな。
ヘヘヘヘ…。
(携帯電話)はいもしもし。
おおどうした?おお…そうか。
了解。
へえ。
やっぱり近くにいたんだ。
あー!危ない危ない危ない…!うわっ…。
全く危ねえな!危ないのは君の方だ。
これ。
周りの音が聞こえんだろうが運転中に。
なんなんだよ?おっさんは。
自転車の危険運転は立派な道交法違反だ。
来るかね?いや…すみませんでした。
本当に…。
(白石裕子)どうもありがとうございました。
いやいやよかったですね。
先生ご苦労さま。
どうも助かりました。
はいありがとうって。
バイバイ!はいバイバイ。
はいバイバイ。
(裕子)さあ行こう。
気をつけてね。
(磯野)さすがは旦那だな。
通報したのはお前だろ?だからわかったんだよ。
ばあさんに死なれちゃ寝覚めが悪いじゃない。
だが空き巣専門のお前にしちゃ珍しいヘマやったな。
ヘヘヘ…。
俺もヤキが回ったぜ。
そろそろ足を洗ったらどうなんだ。
へへへへ…。
あっしたちには定年がないもんで。
盗んだのは3万。
それだけだな?ええ。
(坂下)えーそれでは事件の早期解決を祝して署長からひと言いただき…。
あっその前にもう乾杯しちゃいましょうか。
(星田耕介)ああ…。
(坂下)みんな持ってるかな?いいかな?私が東王子署に赴任して数々の事件を扱ってまいりましたが今回の事件に関しましては…。
(星田)坂下課長。
乾杯だけでいいんじゃないか?
(坂下)そうですね。
そうですね。
それでは事件の早期解決を祝して乾杯!
(一同)乾杯!
(坂下)あー!
(拍手)
(坂下)いやしかし工藤君…。
工藤君が係長になってから迅速になったよね。
(工藤)課長署長のあいさつが…。
(坂下)いやそうだよそうだよ。
署長…。
署長からひと言お言葉をちょうだいします。
拍手!
(拍手)いいよ拍手は。
皆さんご苦労さまでした。
(一同)お疲れさまでした!おお。
署長のあいさつ終わった?いえまだです。
顔も長いがあいさつも長い。
あのカモさん…。
うん?帰りにラーメンでもどうですか?うまい店見つけたんですよ。
ああいいけど。
じゃああとで。
じゃあ。
はい。
(店員)はいお待ちどおさまです。
(大崎)きたきた。
ありがとうございます。
はいすみません。
じゃあ回します。
さあどうぞどうぞどうぞ。
はいありがとうございます。
ごゆっくりどうぞ。
(大崎)はいどうも。
まあ今日は僕のおごりって事で。
いやちょっと待って。
はいはい?食べる前になんの相談だ?金ならないぞ。
違いますよそんなんじゃないですよ。
まあまあ食べながら…ね?ああそう?いただきます。
いただきます。
うん。
うん…。
ねっ?いけるでしょ?うん。
あの…。
実は結婚を考えてまして。
ほう!よかったな。
籍はもう?いやまだです。
例のあれが。
ああ向こうの親御さん?いやそれは済んでるんですけど。
えっ?上の承認が。
あっうちの上?はい。
なるほど。
で彼女何やってるんだ?保育士です。
ほう!いいじゃないか。
彼女にはなんの問題もないんですが…。
おっきたな。
1人お兄さんがおりまして。
ネットで古本を販売してる仕事をしているんですけど2年前十条で起きたOL殺し。
イヤ…!
(大崎の声)その重要参考人の1人として事情聴取を受けてるんです。
でホンボシは?事件の5日後に逮捕されました。
しかしなんで疑われたんだ?ええまあ運が悪いっていいますか…。
事件の前日被害者宅の近くで…。
おいおいおいおい…!ちょっと待て!ちょっと待ちなさい。
はい。
その洗濯物どこから持ってきたんだ?
(白石信郎)いや…今なんか風が吹いてきてこれが飛んできてそれで今拾ったんです。
本当か?
(白石)いや本当ですよ…!
(鴨志田の声)説諭処分か。
ええ。
で翌日が事件ですからね。
疑われても仕方ないんですけどね。
まあ疑いは晴れたんだ問題ないだろう。
本当ですか?しかしうちの署長がな堅物だから何かネチネチ言われるかもしれんぞ。
そうなんですよ。
ですからカモさんの太鼓判を。
しかし会った事もないしな。
どんな兄さんなんだ?ひと言で言えばオタクです。
オタク…。
よしわかった。
ありがとうございます!餃子食べません?すごいな大盤振る舞いだね。
任せてください。
すみません。
餃子1枚お願いします。
お願いします。
ありがとうございます。
ひでえ事しやがる。
まずは身元だ。
手がかり捜せ!
(熊木英雄)わかりました!
(姉小路)嘘だ…。
綾野文さんが殺されるなんて…。
おはよう。
あっ鴨志田さん…。
ああニュースで見た。
ああ…。
行人君食べないの?さあいただこうかな。
このオムレツ我ながらいい出来。
ああそう。
へえ。
鴨志田さん…。
犯人を捕まえてください。
絶対捕まえてください!それは無理よ管轄が違うもの。
どうして…どうして綾野文さんなんですか?まだまだたくさん小説が書けたのに。
行人君君の気持ちもわかるけど世の中殺されていい人間なんていないんだよ。
はい…。
ねえ遺体が発見された場所ってあの小説の舞台になった塩原温泉の近くじゃない?行人君オムレツ食べないの?私がせっかく作ったのに。
全然食欲が…。
えー?じゃあラップして冷蔵庫に入れて。
ちゃんと夜食べてよ。
私がせっかく作ったんだから私が。
ねっ?ごちそうさまでした。
お先に。
たまに作ったからってうるさいね。
ヘヘ…。
はあ…。
ほらラップ忘れてる。
はあ…。
おい!君こそ生きてるのか?あーあ…。
この事件なら知ってます。
(田中孝典)この小説家には期待してたんだけどね。
局長読んでるんですか?もちろん。
『運命の紅い帯』。
新人とは思えない力量だよ。
天は二物を与えないというのはあれは嘘だね。
美貌と才能ですか?そう。
韓国によく似た女優が…。
確かチェ…じゃない。
パク…ユ…?ご用件は?君今から栃木県警に行ってくれないか?えっ?被害者は東京在住の著名人だ。
栃木県警から警視庁との合同捜査の要請がきている。
合同捜査…。
被害者の住まいは北区王子。
君のおひざ元だろ?了解しました。
(原島)こちらに遺棄されてました。
掘った形跡は?
(原島)ありません。
土と枯れ葉で覆われていました。
死亡推定日時は?遺体の腐乱状況から推測して死後1週間だと。
1週間…。
発見されたのが昨日だから殺害されたのは先週の日曜日。
(熊木)18日です。
(武井)なんだ?こりゃ。
えー?全く…!ちょっと!管理人さんこれ見てこれこれ。
はい。
(武井)これこれ…これ。
あっ!消しといてねキレイに。
「ヘンタイ」…。
フフッ…。
笑ってる場合じゃないよ!消しといて!キレイにね。
はい…。
頼んだよ。
はい…。
(ドアの開く音)
(森聡子)お帰りなさい先生。
(武井)はいただいま。
おう!綾野文さんの自宅王子だったんだね。
(姉小路)そうでしたっけ?鴨志田さんの出番ありそうだね。
はい!
(坂下)これより栃木県警と警視庁の合同捜査を開始します!力が入りすぎ。
あっ…。
それでは事件の概要並びにこれまでの捜査状況を栃木県警の原島警部補。
はい。
被害者綾野文27歳。
現住所は東京都北区西ヶ原3丁目。
職業小説家。
平成27年5月『運命の紅い帯』で日本文学新人賞を受賞。
50万部のベストセラーです。
ガイシャは10月17日那須塩原市の文化会館にて講演を行いその日は塩原温泉に1泊。
10月25日午後4時遺体で発見されました。
場所は塩原渓谷からおよそ3キロ。
国道400号線から100メートルほど入ったところの山中。
死因は扼殺。
腐敗の進行から死後1週間程度。
足取りが不明になった時期と一致しております。
つまり10月18日の日曜日に塩原温泉の旅館をチェックアウトしたあとに殺害されその後山中に遺棄されたという事かね?
(原島)はい。
他に手がかりは?
(原島)ガイシャのキャッシュカードの履歴から判明したんですが前日の17日午前11時10分浅草のATMで30万円引き出しております。
その現金は?
(原島)発見されておりません。
物取りの線もあるな。
ガイシャは出版界も非常に期待していた新進気鋭の小説家であります。
この事件に対する世間の注目度も高い。
諸君心して捜査に当たってほしい。
(一同)はい!
(原島)よろしくお願いします。
こちらこそお願いします。
あっねえねえそれ読み終わった?ああ読んだ…。
いや岡崎警視もお読みになりますか?ええぜひ。
どうぞ。
どうも。
アハハハ…行きましょうか。
あっはい。
(原島)有名ですよねこの出版社。
ああそうですね。
めったに本を読まない私でも知ってるんだから。
あっ質問の主導はそちらでどうぞ。
えっ?あはい。
(ドアの開く音)
(片桐茜)お待たせしました。
東王子署の鴨志田です。
栃木県警の原島です。
綾野文さんを担当してました片桐と申します。
早速ですが綾野さんの担当になられてどれぐらいですか?えー…彼女がうちの新人賞をとってからですからまだ半年ぐらいです。
じゃあこの半年間は割と頻繁に?そうですね。
受賞第一作の件で月に1〜2度は。
小説は賞を受けたあと書いていませんよね?はい。
エッセーと雑誌のインタビューが何本か。
最後に会われたのは?今月の13日です。
フラッと現れて…。
こちらに?ええ。
講演会の件で。
(綾野文)今からじゃ断れないよね。
どうしたのよ?あんなに張り切ってたのに。
なんかさ急にテンション下がっちゃって。
どうしよう?あの小説の話をみんな聞きたいわけだから。
茜さん一緒に来てよ担当編集者としてさ。
(原島)一緒に行かれたんですか?いえ私はこちらで仕事があったので。
編集の?
(茜)ゲラのチェックです。
徹夜ですか?はい。
社内で仮眠して翌日の夕方までかかりました。
そうですか。
綾野さんはどなたかとお付き合いされてましたか?私の知る限りではいなかったと思います。
恋愛小説を書いているのに…ですか?あれは自分の話というよりは友人知人から聞いた話を膨らませたと言っていました。
ああなるほど。
誰かに恨まれていたとかは?わかりません。
いいですか?ありがとうございました。
失礼しました。
あの…私よりも橋本さんの方がよくご存じかもしれません。
橋本さん?
(茜)文さんを見いだした人です。
ほう…。
(シャッター音)作家の先生ね…。
彼女バンドのボーカルもやってたのね。
(木村)みたいですね。
ねえこのバンド知ってる?
(木村)いえインディーズじゃないですか?じゃあCD作ってるかもね。
そこ?パスワードか…。
(木村)あっありました。
ああサンキュー。
大崎刑事このバンド知ってる?いえ…。
なんだか随分ぶっ飛んだ感じですね。
聴いてみます?あっそうね。
かけましょう。
(大音量の音楽)もういいもういいもういい…。
至急このバンドのメンバーに当たってください。
それとあのパソコンの分析も。
わかりました。
今日はご入金でございますか?よろしくお願いします。
綾野文だな。
すみませんここからで。
(鈴木)やっぱりお金を下ろしてますね。
うん…。
(鈴木)連れがいます。
女性ですね。
何?連れがいた?うん…20代から30代の女性。
うんうん。
わかった。
ATMか?はい。
ガイシャは下ろした30万円をその女性に渡しています。
誰なんだ?
(橋本俊)本当に彼女なんですか?
(原島)歯型が一致しています。
でもなんで…。
陶玄社の担当編集者片桐茜さんから聞いたんですが綾野文さんを見いだしたのは…。
はい私です。
その辺のところ詳しく話してくれませんか?はい。
最初に見たのはケータイ小説でした。
発想がユニークでこういう感性の子は書けるんじゃないかと思ってすぐに会いにいきました。
54321…。
ハッピーニューイヤー!
(歓声)「突け突け突け突け突け」「てめえの心の鐘鳴らせ」「てめえの鐘は何度鳴る」
(橋本の声)年越しライブの真っ最中でとても話は出来ないと思ったんですが私が出版社の人間だとわかると休憩時間に会ってくれました。
『谷中文芸』って…。
あああの?よく知ってるね。
こんなマイナーな月刊誌。
私さ出身が根津だから。
へえそうなんだ!不思議な縁を感じました。
私は早速短編を依頼しました。
その小説は読めますか?はい。
ちょっと待ってください。
さっきの出版社とは大違いですね。
この一編が彼女の本当のデビュー作です。
(原島)『月の調べ』。
(橋本)はい。
文体はまだ粗いですが才能を感じさせる一編です。
彼女はなぜあの『運命の紅い帯』をこちらの出版社から出さなかったんですかね?あれはあれでいいんです。
名のある新人賞をとればそれだけで注目されますし本も売れます。
そういうものですか…。
しかしあなたとしてはどこか腑に落ちないんじゃ…?もちろん受賞第一作は依頼してました。
彼女も書くって約束してくれたんですが…。
すみません。
犯人の心当たりは?そういえば最近アシスタントを1人雇ったって言ってました。
私は1回だけ会った事があるんですが。
アシスタントですか?
(聡子)どうぞ。
(溝口カナエ)どうも。
私が弁護士の武井ですが。
昨日か一昨日電話をしてきた…?ん?それ私じゃないです。
ですね。
私飛び込み。
ですね。
ダメ?いえ。
ハハッ!ダメじゃないですよ。
ではお話を聞く前に所定の用紙に。
君!ああいいです。
あの相談じゃないんで。
私殺された綾野文さんのアシスタントやってた溝口カナエです。
(姉小路)えー!?君うるさい。
知ってますよね?事件。
(武井)もちろん知ってますよ。
私間違いなく容疑者として…被疑者?どっち?似たようなものですが容疑者という言葉は法律用語ではありません。
ああじゃあ被疑者ね。
あなた来るところを間違えてませんか?いいえ。
どうせ逮捕されるんですから早めに手は打っておきたいんです。
逮捕って…あなたがやったの?いいえ。
でも冤罪ってはやってるでしょ?フフッはやってるって…。
うーん…。
どうして私のところに?うーん…たまたまこの前通りかかってああ安そうだなと思って。
あんまりお金持ってないんで。
(武井)姉小路…。
(姉小路)はい。
君に任せた。
(姉小路)えっ?うちのホープです。
私は裁判があるので失礼します。
えっ…ちょっと!弁護士の…。
本当に弁護士?失礼だな君は。
詳しく話してもらえますか?どこから?なぜ警察に疑われると思ったかまずはそこから。
それは…アシスタントをクビになったから。
なぜクビに?それは言いたくない!鴨志田さん。
ああ間違いありませんね。
(工藤)浅草のATMにいた連れの女性ですがまだ特定は出来ていません。
近くの防犯カメラも調べましたが土曜日で人出が多く見つける事は出来ませんでした。
またガイシャの自宅にありましたパソコンは主に仕事に使っていたらしく事件に関係する不審なメールはなくプライベートのメールは携帯電話を使っていたものと思われます。
ガイシャの友人関係はどうなってるんだ?それが半端ない数でして…。
半端ないっていうのは半端じゃないっていう事か?はいそうです。
(坂下)ああそうか。
えーガイシャは母一人に育てられその母親が根津でピアノ教師をやっていた関係で自分もピアノを習い高校在学中にバンドを組み音楽活動を始めてます。
ああそれがあれか。
あの…。
(和田)はい。
クライマックスブルーというロックバンドです。
(坂下)バンドの仲間はどうなんだ?特定は出来たんですがメンバーの1人ドラムの和樹は3カ月前にイギリスに留学。
リーダーの隼人ベースの翔は現在所在が不明です。
まったく今の若いやつらは…。
鴨志田君!あっ珍しく起きてるのか。
なんかわかったかね?はい。
ガイシャは最近アシスタントを雇っております。
あっこの女性。
溝口カナエなんですが年齢不詳住所不定全く所在がつかめておりません。
浅草のATMでガイシャの隣にいた女性がもしかして…。
アシスタント。
それは考えられるわね。
溝口カナエの捜索に全力挙げてください。
よろしくお願いします。
(一同)はい。
なんで浅草なんですかね?浅草がどうかしたのかね?いや確かに那須塩原へは浅草からも行けない事はありません。
でも普通王子からだと京浜東北線に乗って大宮で新幹線に乗り換えるか上野に戻って新幹線。
浅草になんか用事があったんだろう。
えっ?それって重要な事?うん…まあいい。
えっ?なんだかとっても仲がよさそう。
うん?この2人。
ああ…。
なんの写真ですか?ダメ!捜査に関係してる写真だから。
私そろそろ寝ようかな。
行人君は?ああ僕はまだ…。
鴨志田さん捜査は進んでますか?ノーコメント。
ですよね。
ねえどうしたの?さっきからソワソワして。
心配事でもあるの?ああいえ何も。
えっと僕お風呂に入ってそれから寝ます。
ああそう。
おやすみなさい。
おやすみなさい。
また武井さんに怒られたのかな?まあそんなとこだろう。
ねえこのアシスタントの溝口カナエ普通に考えたら警察に協力したいと思うわよね。
うん。
だがいまだに姿を見せない。
どこに住んでるのかもわからん。
相当な変わり者と見たな。
綾野文さんってかなり気まぐれだったらしいから気分でそんな子を雇っちゃったのかな?気まぐれね。
ガイシャのマンションで寝泊まりしていたという形跡もないし…。
もしかしたら…。
なんだ?漫画喫茶とかネットカフェ。
今ほらそんな若者が多いっていうじゃない?大体さっき向こうの界隈はもう見たから。
ああ。
こっちは?
(大崎)ああ。
行ってみよう。
(和田)行ってみるか。
すみません。
はい?この女性見かけた事ないですか?いいえ。
(大崎)お店どちらですか?すぐそこです。
熊木さんここですね。
はい。
行きましょう。
(熊木)こちらの女性に見覚えはありませんか?いいえ。
知ってる?なんでしょう?この女性見かけた事ないですか?
(店員)ちょっとわからないですね。
(和田)そうですか。
(店員)はい。
弱ったな。
これ相当かかるぞ。
じゃあ次ここ行くか。
じゃあ行きましょう。
よし。
あの看板が目印って言ってたんでこの道真っすぐですね。
課長。
おお…あとは頼む。
うん?ガイシャは古本をネットで買ってるんですが…。
これがなんかこのヤマと関係あるのか?いやこの間は気にならなかったんですけどガイシャはこのコアラ書房というネット書店から結構頻繁に購入してるんですよ。
そりゃすぐ届くからだろう。
私も一度試したがあっという間だったぞ。
塩原へ行く前日の16日にも1冊届いてます。
そんな事よりもアシスタントの溝口カナエだよ。
一体どこへ消えたんだ?ここだ。
よし。
東王子署の者ですがこの女性見た事ないですか?いや…。
そうですか。
(大崎)和田!
(和田)うん?いたぞ。
溝口カナエさんですね?署までご同行願います。
(和田)さあ。
(カナエ)冤罪だよ!溝口カナエを確保しました。
やりましたね岡崎警視。
いやまだ犯人と決まったわけじゃありませんから。
いやいや私の勘ではあの女がホンボシです。
事件を早く片づけたがってません?
(大崎)綾野文さんのアシスタントはいつ頃から?すみません私弁護士呼びたいんですけど。
知り合いの弁護士さんですか?
(カナエ)もちろん。
随分気が早いですね。
我々はただ事情を聴きたいだけなんですけど。
(和田)何か勘違いしてるね。
いい?我々は…。
早く呼んで!もう頼んであるの。
武井法律事務所の。
武井?あれ?その事務所って…。
姉小路先生です。
早く呼んで。
えっ?姉小路?お疲れさまです。
(坂下)おお…。
吐いたか?いやそれが弁護士を呼んでくれと。
どういう事なんだよ。
(大崎)かなり変わってますね。
当番弁護士を呼んでくれって?あっいえ…武井法律事務所の姉小路という先生を。
ちょっと電話してみます。
姉小路…行人君?ずっと漫画喫茶に寝泊まりしてたの?小説家のアシスタントって何するんですか?よろしくお願いします。
ええ…そのように姉小路先生にお伝えください。
はい。
はいどうも。
(大崎)コアラ?
(鈴木)どうかしましたか?なんだ?これ。
(鈴木)ああ…。
ガイシャが頻繁に利用していたネット書店の名前です。
そうか。
そうやって黙ってるとますます不利になりますよ。
文先生の身の回りの世話とか資料集めとか夜のお供とか。
夜のお供というのは?
(和田)あれですか?飲み屋への送り迎えとか?何?それ。
違います。
文先生と一緒に飲みにいくって事です。
じゃあ綾野文さんの事はなんでも知ってますね?最後に綾野さんと会われたのはいつですか?浅草のATM?私の弁護士まだ?もう何もしゃべりません。
ああ…。
どちら様でしょうか?弁護士の姉小路です。
依頼人の溝口カナエさんは?
(カナエ)しゃべらないっていったらしゃべりません!ひどいじゃないですか取調室で。
彼女は参考人として呼ばれているんですよね?ですからドアを開けたままでお話を伺ってます。
溝口さんもう大丈夫ですよ。
(カナエ)先生!参考人を拘束は出来ませんから帰りましょう。
あなた浅草のATMで綾野さんから30万円受け取っていますね。
答えたくなければ答えなくていいんですよ。
先生頼りになる。
溝口さんあなたは被害者の最も身近にいた方です。
今後とも捜査には協力してもらいますよ。
今日のところはどうぞ。
(姉小路)わかりました。
今後ともよろしく。
ああはいはいよろしく。
行きましょう。
(カナエ)はーい。
なんだ?あの弁護士は。
なんか少年みたいで頼りないな。
よかったですねあんなので。
やっぱり少年に見えるのね。
行人君か?もう自分だけは一人前のつもりなんだから。
まあいいじゃないか。
よくないわよ!一つ屋根の下に事件の捜査員と被疑者の弁護士が一緒にいるんだから。
彼女はまだ被疑者じゃない。
いいえ。
被疑者の1人です。
事件に深く関係してるからこそ先手を打ったわけでしょう?浅草中の防犯カメラを調べさせるわ。
あのなお前はあくまでも…。
わかってます。
私は警察庁の人間です。
でも少しは口出ししてもいいでしょう?捜査本部を立ち上げたのはこの私ですから。
じゃあね。
はい。
徹底的に洗います。
それからガイシャのバンド仲間は?工藤係長。
はい。
ドラムの昭島和樹は現在もイギリスにいる事はわかったんですがあとの2人はまだ…。
SNSも調べてる?はいやってます。
そうだぞ今の若いやつらはそれを駆使してるからな。
(原島)わかった。
引き続き目撃者を探してくれ。
坂下課長目撃者が。
おお…現れたか。
はい。
ガイシャが塩原温泉近くの小太郎ヶ淵で足立ナンバーのグレーのセダンに乗ったのを旅館の常連客が。
足立ナンバーのグレーのセダンだな?
(原島)はい。
時間は?11時頃です。
東北自動車道から国道400号線に入るインターは?西那須野塩原インターです。
防犯カメラを調べて。
了解です。
(坂下)おお鴨志田君…。
聞こえてましたよ。
足立ナンバーといえばですねまず足立区荒川区江戸川区葛飾区江東区。
まだあるのか?台東区墨田区。
広範囲だな。
坂下課長。
まずはガイシャの関係者から。
(坂下)はい!車なら持ってますけど。
車種を教えてもらえますか?那須の方で目撃情報がありまして関係者全員に聞いてるんです。
そうなんですか。
赤の乗用車です。
どうも。
その後何か気づかれた事はありませんか?講演会のあった日…。
17日ですね。
私も一緒についていけばよかったって後悔してます。
アシスタントの溝口カナエさんとはお会いに?はい何度か。
綾野さんとの関係は良好だったんですかね?時々もめてましたけど仲が悪いという感じでは…。
そうですか。
お忙しいところどうもありがとうございました。
いえ。
失礼します。
(大崎)どうも。
お前の好み?えっ?何言ってんだお前。
俺にはちゃんとした相手…。
えっ?あっ…。
いきます。
(ノック)はい。
橋本は昨日から大阪の方に出張しております。
橋本さん車はお持ちですかね?はい持ってますけど。
車種と色を教えてもらえますか?確かグレーのセダンだったと…。
そうか!すぐ裏を取ってくれ。
(星田)どうした?編集者の橋本がホンボシです署長!それは君の希望だろう。
順を追って話してくれないと。
すみません。
橋本はですね…。
それくらい教えてくれたっていいじゃない。
(姉小路)考えればわかるでしょ。
車なんて持ってませんよ。
彼女は住所も定まってないんですよ。
はいはい。
じゃあ免許は?免許は?ペーパー。
ペーパードライバーだそうです。
行人君。
依頼人とは適度な距離を…。
それじゃあね。
あっ。
裏が取れました。
橋本はグレーのセダンを所持しております。
足立ナンバー?はい。
(姉小路)恐らく目撃情報があったんでしょう。
(カナエ)車?
(姉小路)はい。
カナエさん18日のアリバイなんですが…。
だからその日は…。
例の漫画喫茶に1日中?そう。
大丈夫ですね。
もう警察に呼ばれる事はないでしょう。
でも動機が…。
まあクビにされた腹いせに危害を加えるというケースはありますが…。
でしょ?だったらクビにされた原因を言ってくださいよ。
だからそれはダメ。
(ドアの開く音)
(姉小路・カナエ)おかえりなさい。
君まさかここに寝泊まりする気じゃないだろうね?私そんなにずうずうしくないわよ。
君はもう大丈夫だよ。
アリバイもあるし動機だって大した事ない。
でも本当の事言うと1日中じゃなくて中抜けしてるのよね。
本当に?いくら漫画が好きでもさ…。
中抜けって何時から何時?どこへ?えっとお昼頃から夕方までパチンコしてた。
それはまずいよ…。
(武井)まずくない!君は潔白。
はいさようなら。
何怒ってんのよ。
ここはね神聖な私の城なんだよ。
出ていきなさい!先生彼女は僕の依頼人ですよ。
お前も出ていくかい?そんな…。
私事務員で雇ってよ。
ハハー!!ノーサンキュー。
彼女がうちの事務員。
はい!
(鈴木)お疲れさまです。
おう。
カモさんちょっといいですか?ああラーメン屋か?いやラーメン屋じゃなくて…。
橋本で決まりですかね?うーん明日事情聴取をしてみん事にはな…。
そうですよね…。
なんだ?気になる事でもあるのか。
いえ何も。
(チャイム)
(白石)はーい!ああどうも。
ちょっといいですか?はい。
どうぞ散らかってますけど。
(大崎)すみません。
よいしょ…はいどうぞ。
(大崎)どうもすみません。
えーっと…あっ飲むものね。
あっ結構です。
すぐに帰りますから。
そうですか。
(大崎)はい。
すみません。
(大崎)いえ…。
あっ式の日取りが決まったんですか?いや結婚式はいいかなって。
お金もかかりますので。
すみません。
いえ…。
今日はその話じゃなくて。
はい。
小説家の綾野文さんが殺害された事は…?もちろん知ってます。
綾野さんのパソコンにコアラ書房からの購入記録が。
はい。
何度か本を買っていただきました。
それが何か?本当にこんな事を聞くのは本意じゃないんですが…。
なんでも聞いてください。
殺害されたのは遺体が発見された1週間前の18日とみています。
お兄さん18日は?ああちょっ…ちょっと待ってください。
ああ…その日は1日中古本の仕入れをしていました。
伝票もあると思います。
いやいや…結構です。
そうですかよかった…。
もし他の捜査員が来たら同じように話をしてください。
はい。
すみませんありがとうございました。
あっ…。
あのちなみに綾野さんどのような本を購入されましたか?えー…川端康成永井荷風あと滝田ゆうの『寺島町奇譚』。
ああそうですか。
わかりました。
ありがとうございます。
うん今帰るとこ。
(裕子)「遅くまでご苦労さま」仕事だからさ。
えっ?なんかいい事あった?
(大崎)「まあね」えー何?教えてよ。
いいよ大した事じゃないから。
それよりさ今度会ってもらいたい人がいるんだ。
お兄さんも一緒に。
ヘヘ…。
ヘックション!誰か噂してるな。
風邪引いたんじゃない?居眠りばっかりしてるから。
ああ言われた。
それで?なんだ話っていうのは。
溝口カナエ。
橋本の事情聴取の前にもう一度参考人として任意同行してくれる?おいおい。
家でも上司風吹かすのかい?綾野文さんと橋本の関係がどうだったのかカナエは知ってると思うのよ。
行人君がついてくるぞ。
じゃあ重要参考人として。
明日橋本が自供するかもしれんだろ?だからそのためにもこちらにも材料があった方が…。
(ドアの開く音)あっきた。
有力な被疑者が出たそうですね。
事情聴取は鴨志田さんが担当されるんですか?ノーコメント。
真実さん他にめぼしい被疑者は?ノーコメント。
ところでこの雑誌読みました?全くある事ない事…。
一番腹立たしいのはあの小説にゴーストライターがいたんじゃないかって。
全く亡くなった綾野文さんを冒涜するにも程がある。
もしかしたらアシスタントの彼女が何もかも知ってるかもね。
どんな話してるの?ノーコメントです。
奥さんに聞いたんですが17日の昼頃車で出かけてますね。
はい。
(原島)どちらへ?那須塩原です。
彼女の講演会に行きました。
その日は塩原温泉に泊まって翌日に帰ってきました。
本当です。
私は何もしてません!綾野文さんはあなたが講演会に来る事を知ってたんですか?いいえ。
その数日前に次の本の事でちょっと口論になってしまって。
彼女には何も告げずに行きました。
(原島)それで?その日は綾野さんと話は?してません。
それで塩原温泉に?はい。
つけたんですか?彼女を。
そんな事はしてません!行き先は以前に彼女から聞いていましたから。
「本当に一度もお会いになっていないんですか?」「はい」よしそこだ。
17日綾野さんが宿泊した旅館の常連客があなたによく似た人を見てるんですがね。
すみません。
会おうとして逃げられたんです。
どういう事ですか?大人を手玉に取って喜ぶ…そんな子なんです。
あなたは自分が見いだした小説家が別の出版社から出た小説で新人賞をとり売れていった。
当然面白くないですよね。
それはこの間も話したように大手の出版社の新人賞に応募するように推薦したのは私です。
彼女のためを思ってした事です。
しかし受賞第一作を依頼してもなかなか書きだそうとしない。
それでわざわざ塩原まで行き彼女を説得しようと試みた。
「はいそのとおりです」「18日は会ってますか?」「会ってません」「嘘は困ります!」いいぞ。
一気に落とせ。
(原島)「グレーのセダン…」あなたの車ですが綾野さんを無理やり乗せようとしたんじゃないですか?橋本さん目撃者がいるんです。
正直に話してもらえませんか?すみません。
どうしても諦めきれなくて…。
(橋本)文さん。
ほんの30分でいいんだ。
しつこいな。
近くに見晴らしのいいレストランがあるからそこで。
本当に30分だけよ。
約束する。
それで?行ったんですか?そのレストラン。
いいえ。
車の中で突然降りると言いだして…。
(文)もう降ろして。
いいから止めて!悪かったよ。
もう言わないから。
恩着せがましい人大嫌い!僕は君にもっといい小説を書いてもらいたいから。
私は私の感覚を大事にしたいの。
ますます小説なんか書きたくなくなっちゃった。
もうここで降ろして。
あの時は…。
思わず殺してやりたいと思った?自分の才能に気づこうともしないんだから…。
それで?どうしましたか?
(橋本の声)降ろしましたよ。
(原島の声)本当ですか?ええ。
監視カメラありますよね?調べてください。
西那須野インターに入ったのは12時頃です。
(坂下)警察をなめやがって…。
(工藤)しぶといですね。
(坂下)うん…。
でも嘘を言ってるようには…。
お言葉ですが岡崎警視私の心証はクロですね。
鴨志田刑事の心証は?いや私はまだなんとも…。
(坂下)いやいや…。
しかし動機はあるしあの日やつは那須にいたんだよ?仮にホンボシだとしたらこちらの質問にもっと否定するはずなんですよね。
そうね。
ガイシャが橋本と別れたのが18日の正午。
坂下課長こちらからも那須に捜査員を送り込んで目撃者を探しましょう。
(坂下)はいわかりました。
鈴木防犯カメラチェックしてくれ。
(鈴木)はい。
いってきます。
(電話)おお…。
はい捜査本部。
何?見つかった?ベースの翔か。
ああ…。
入院?うん。
わかった。
じゃあリーダーの隼人の居場所を聞き出せ。
うんうん…。
(坂下)ベースの翔なんですけども1週間前にバイクで事故って入院してますね。
(携帯電話)ちょっと失礼します。
はい岡崎です。
はい。
はい…。
すぐ戻ります。
(ノック)はい。
失礼します。
君朝のワイドショー見た?いいえ。
捜査がモタモタしてるからマスコミが勢いづくんだよ。
「あなたが事件の鍵を握っているんじゃないかという見方もありますがそれについては?」「私は何も握ってません」「警察はまだ何も発表してませんが一度事情聴取を受けましたよね?」「この場を借りて私は犯人に言いたいです」「早く自首してください!」「アシスタントをクビになったというのは本当ですか?」
(姉小路)「こういう取材はやめてください」「正式な手続きを踏んで取材を申し入れてください」単に目立ちたい女に乗って売名行為に走る弁護士。
ろくでもないコンビだ。
違うって顔してるね。
何も思ってません。
それもまた困るね。
マスコミをあなどっちゃいけない。
そのうち矛先が警察に向いてくるよ。
捜査本部は1日も早い犯人逮捕に全力を挙げています。
そうは思えないね。
私の入手した情報によるとまるで絞り込まれていない。
君のお父さんはどうしたんだよ?父は所轄のいち捜査員です。
過度の期待は困ります。
ハハハハ…そんなに目くじら立てなくても。
まあいい。
とにかく君が目を光らせてデカ連中の尻に火をつけてくれ。
はい。
失礼します。
(林田翔)何すんねん!いきなり。
東王子署です。
あのなもう示談になっとるわ!そっちの話とちゃいまっせ。
あっ…痛っ!ケンカ別れ?で居場所は?半年前は渋谷にいたそうですが今どこにいるかは…。
なんだクソ…。
ただリーダーの隼人が解散前に綾野文と付き合っていたので何か知っているんじゃないかと。
しかし居場所がわからんのじゃ話にならんじゃないかよ。
ああそれとアシスタントの溝口カナエですが彼女の写真見せたら知ってました。
彼らのバンドの熱狂的なファンだったそうです。
よし。
今度は重要参考人として取り調べだ。
(和田)はい。
すみませんこんな時に。
ああいいよ。
1時間もかからんだろ。
(店員)いらっしゃいませ。
(大崎)きたきた。
こっちこっち。
(裕子)ごめん待たせて。
(大崎)ううん。
こちらが前に話してた鴨志田さん。
白石裕子と申します。
鴨志田です。
あっ!あの…先日はどうもありがとうございました。
いや先日はって…。
あー!危ない危ない危ない…!うわっ…!全く危ねえな!来るかね?どうもありがとうございました。
ああ!あの時の。
えっ…?まあまあ座って。
2人は知り合いなんですか?うんちょっとね。
ええちょっと…。
それにしてもお兄さん遅いですね。
すみません私もう1回電話してみます。
あっ…。
(店員)いらっしゃいませ。
何やってたの?ごめんごめん。
クレームを言ってきた客との話が長引いちゃって。
(裕子)もう!こっちこっち。
すみませんお待たせして。
紹介します。
僕の上司の鴨志田さん。
どうも。
まあどうぞ。
失礼します。
忙しいのにわざわざ時間作ってくださったのよ。
本当にどうもすみません。
いやいやいや…。
(店員)いらっしゃいませ。
(白石)どうもすみません。
まあ聞くところによりますとなんでも古本を買ってそれをネットで販売するのが仕事だとか。
はい。
僕のやり方は簡単に言うと昔の古本屋なんです。
今は大手の古本屋が新しくて売れそうな本だけを評価して値段をつけるんですけども僕は自分の大好きな本…。
ちょっと偏った本が多いんですけど。
その本の正しい価値を付与してその価値を認めてくださるお客様にその本を直接手渡す。
その橋渡しを手伝いたいとそういうふうに思ってるんです。
すみませんあの本の事になると…。
いやいやいやよほど本が大好きなんですね。
すみません。
どうなの?まるで取り調べですね。
私は捜査に協力してって言ってるの。
言えませんよ。
弁護士には守秘義務がありますから。
やっぱり知ってるのね。
もう勘弁してくださいよ。
だっておかしいわよ。
アシスタントに30万渡すなんて。
給料にしては多すぎるし。
あの連れの女性がカナエさんだって証拠はあるんですか?他に誰がいるのよ?臆測で物を言うのは…。
ただいま。
鴨志田さん助けてくださいよ。
どうしたの?うわ…。
怖い顔。
まるで鬼検事ですよ。
浅草のATMで下ろした30万の件。
鴨志田さんも給料にしては多いって言ってたわよね?あ…ああ…。
全部臆測じゃないですか。
行人君は絶対知ってるのよあのお金の事も。
(ため息)僕はそろそろ…。
もしかしたら…。
うんどうした?浅草。
鴨志田さん引っかかってたわよね?ああ…。
わざわざ浅草に寄ったんじゃなくて最初からそこにいたとしたら?例えば知り合いのところにいて那須に出かける前に30万下ろした。
ああそれで?どうぞお引き取りください。
はいそうします。
お金を渡した相手はバンドのリーダーの近藤隼人。
なるほど。
バンド時代は泊まるところもなかったような女の子が一躍売れっ子の小説家になって裕福になった。
隼人はヨリを戻して彼女からお金をもらってた。
お前冴えてるね。
明日一番で浅草で聞き込みしましょう。
おやすみなさい。
うん。
それから重要参考人溝口カナエの取り調べよろしくお願いしますね。
はい。
どうだ?あのアパートから当たってみるか。
(鈴木)すみませんどうもありがとうございました。
(熊木)ありがとうございました。
行きましょう。
(ため息)言いたくない事は言わなくても結構ですが疑うのが我々の仕事です。
よーく考えてから返答してください。
まず浅草のATM。
綾野文さんと一緒にいたのはあなたでしょ?
(工藤)あなたは文さんがバンドのボーカルをやっている頃からファンだったらしいですね?ここに写っている人あなただよね?ネットの中にありました。
あなたですね?あなたの履歴もわかりました。
美容学校を卒業後吉祥寺で1年ほど美容師として働きそのあとアルバイトを転々として好きなバンドの追っかけをしていた。
文さんのバンドが解散したあとあなたは文さんに近づきアシスタントとして雇われた。
(工藤)これもあなたですよね?浅草伝法院通りの防犯カメラに映ってました。
日時は10月の17日午前11時。
ええその日は一緒でした。
渡されていたあのお金はどういうお金ですか?生活費みたいな…。
2人は恋人同士ですから。
2人?文さんと隼人。
決まってるでしょ。
あの日も文さんは隼人のところに泊まって…。
で塩原へ直行するんで私が呼び出されたんです。
私もう時間ないから頼むね。
隼人に渡しといて。
はい。
「近藤隼人は浅草のどこにいますか?」
(坂下)やっぱり浅草でしたね。
さすが岡崎警視。
「ここは警察に協力した方がいいと思いますよ」毎月渡していたんですか?もういいですか?早い話ヒモだね近藤隼人という男は。
ヒモじゃありません!アーティストです!まあ落ち着いて。
あなたはたびたびクビだと言われていたそうですが理由はなんですか?ソファに置いてあった先生の携帯の上に座っちゃった時とか。
先生の…。
(カナエ)「パソコンに飲みかけのコーヒーをこぼしちゃったりした時とか」
(ドアの開く音)いくら重要参考人でも長すぎませんか?
(坂下)こらこらこら。
入ってきちゃ困るんだ…。
いやあまりに長いので。
(坂下)出ていきなさいって…。
公務執行妨害で逮捕します!
(大崎)ここだ。
やつは必ず戻ってくる。
4人じゃ目立つから鈴木お前ここで張ってろ。
はい。
あなた近藤隼人をかばってませんか?居場所を教えないという事はそういう事でしょ?隼人は犯人じゃありません。
じゃあ教えてください。
やつが来ました。
近藤!
(大崎)鈴木!回り込め!
(鈴木)はい!
(大崎)待て!
(大崎)近藤!
(和田)近藤!
(鈴木)止まれ!
(熊木)おい待て!
(熊木)おとなしくしろ!
(和田)近藤!おとなしくしろおら!
(近藤隼人)俺は何もしてねえよ!
(熊木)ならなんで逃げたんだ?
(大崎)おいかばん見せろ。
(近藤)やめろよ…!
(大崎)おい見るぞ。
ハハハハ…。
おいなんだ?これ。
(近藤)知らねえよ。
(大崎)お前貢いでもらった金でこんなもん買ってたのかええ?なんの話だよ!
(和田)立てこら!お前な殺害された綾野文さんから今月17日30万円もらったろ?18日は何してた?日曜日だよ。
パチンコだよ!多分。
何?俺を疑ってるの?ハハ…なんで俺が金づるやっちまうんだよ!彼女にはまだ聞きたい事があるんです。
居場所を教えてください。
知りませんよ私は。
この案件は姉小路に一任してるんですから。
彼女は何度かテレビのインタビューを受けてますね。
ここはいつからマネジャー業もやるようになったんですか?実は私も手を焼いているんです。
あの女はおかしい。
こんな事で世間から注目されて喜んでる。
だったら手を引いてください。
あなたが直接姉小路に言ってくださいよ!旧知の仲なんでしょ?私の言う事を聞かないから上司であるあなたに頼んでるんでしょ?いっその事クビにしますか?えっ?それは…困ります。
(坂下)えーっとあっ…。
あれ?おかしいな…。
あれ…?あっ。
少し休むか。
それじゃあそうさせていただきます。
私は今自分に言ったんだよ。
ああ…。
(星田)もう4日も家に帰っとらん。
それじゃあもうお帰りになってください。
しかし今回のヤマはてこずるね。
あ…いただきます。
私のだ。
坂下君行き詰まった時は原点に戻る。
はい。
あれ…?
(店員)ありがとうございました。
ごちそうさまです。
おい食べないのか?確かに近藤には殺す動機が…。
やっぱりカナエかな?アリバイも適当だし。
動機は?うーん…。
どこで間違えたんだろう?え?明日向島に行ってみるか。
何しに?何しにって…まあぶらぶら散歩だよ。
こんな時に冗談やめてよね。
あの小説の舞台は塩原温泉と…。
向島。
何かつかめるかもしれんぞ。
はい。
うん。
本当に散歩なのね。
風情が残ってるよなまだこの辺はさ。
うん。
おっ見ろよ。
盛り塩だ。
はいはい。
確かに取材なんかしたんだろうなあの小説を書くに当たってさ。
そう言うだろうと思ってこの街の事に詳しい女将さんにアポ取ってます。
おっさすがだね。
おお…。
モデルがいたんですか?らしいですよ。
どなたですか?そこまではわかりませんが昔小説家と大恋愛をした芸者がいたって話を聞いた事があります。
ああ散歩してみるもんね。
私その芸者さんが誰か突き止めてみせるわ。
しかしどうもしっくりしないな。
何が?あのゴーストライターがいるという噂。
あながち嘘でもなさそうな気がするんだ。
だって彼女の性格として取材なんて面倒くさい事するか?人は見かけによらないものよ。
人は見かけによらないか…。
うん。
打ち水だ。
これが日本の風情よね。
すみません。
ちょっ…ちょっとちょっと。
どうしたの?鴨志田さん。
いや地面の温度っていうのは思ったより熱いんだな。
はあ?うん?待てよ。
うん先に署に戻ってる。
えっ?ちょっと…ちょっと。
なんなのよ?一体。
失礼。
やっぱり。
何がやっぱりなんだ?鑑識の木村君を呼んでください。
おい鈴木。
(鈴木)はいわかりました。
原島さん。
はい。
遺体は埋められていたのではなくその上に土と枯れ葉をかぶせてあったんですよね?
(原島)はい。
くぼんだところにうつ伏せに寝かせその上に。
かぶせてあった土と枯れ葉はどのくらいでした?そうですね2〜3センチですかね。
2〜3センチ。
遺体が発見された日は晴れてました?ずっと晴れでした。
晴れていた。
課長これから那須に行ってきます。
同行してください。
はい。
いやいや鴨志田君説明してくれよ。
地面の温度を測るんです。
では。
(坂下)えっえっ…?
(姉小路)僕が頼りないばっかりに…。
(カナエ)ううん。
私的にはいい弁護士よ。
ありがとう。
文さんは私と近藤君の事を疑ってたんです。
どういう事ですか?怪しいって…。
文さん本当に近藤君の事を愛してたのよ。
作家をやめてまた近藤君とバンドやりたかったんだから。
作家をやめる?
(サイレン)ほほう…。
これは思った以上だな。
始めてくれ。
(木村)はい。
(原島)こんな感じです。
(木村)諸星。
(諸星雄一)はい。
何度だ?
(諸星)28度です。
平均気温より10度ぐらい高いです。
犯行はもっとあとという事ですか。
そうなりますね。
日数にしてどのくらいだ?5日。
5日?5日?という事は殺害されたのは23日。
遺体が発見された2日前っていう事か?鴨志田君それは間違いないのか?
(坂下)やっと長いトンネルを抜けられるぞ。
絶対この中にホンボシはいる。
課長気になる男が。
(坂下)おお誰だ?ガイシャがネットで買っていた古本屋です。
ああそんな話をしてたな。
調べてみたんですがその男白石信郎は2年前の南十条OL殺しの重要参考人だったんですよ。
(坂下)なんだと?ああ大崎どうだった?はい。
橋本にはアリバイが…裏が取れました。
そうか。
溝口カナエは?それがまた行方が…。
あの弁護士か。
どこへ隠したんだ?白石信郎任意で引っ張りますか?
(坂下)おうそうしてくれ。
課長。
白石信郎自分に当たらせてください。
なんだ?急にどうしたんだよ。
あの以前自分も白石のネット書店から本を買った事があって住所もわかってます。
そんなに言うんなら頼んだよ。
わかりました。
和田君は溝口カナエだ。
なんとしても確保してくれ。
(和田)はい。
(時江)ああ塩原から来たあの人ね。
三味線がうまかった。
名前は覚えてますか?紅葉さんだったかな…?紅葉さん?お子さんは?お仕事中すみません。
ああどうも。
あっどうぞどうぞ。
あっここで結構です。
実は綾野文さんが殺害されたのは23日という線が出てきまして。
それで関係者に聞いて回ってるんですが。
僕関係者なんですか?すみません。
ああ…ちょっとすみません。
えっと23日23日…。
ああその日は1日中家で仕事をしていました。
一歩も出ずに?はい。
それを証明する事は?例えば宅配便が届いたとか新聞の勧誘があったとか。
誰も。
大崎さんは僕を疑ってるんですか?疑ってません。
仕事なんですこれが。
また2年前と同じように取り調べを受けるんですかね?僕はお兄さんを信じてます。
1つ聞かせてもらえませんか?遺体が発見された2日後綾野さんのマンションに行かれてますよね?僕お兄さんの車見てるんですよ。
あれはどうして?それは…。
うわー…!僕にとってあの人はとっても大事なお客さんの1人だったんです。
だからだからいても立ってもいられなくて…。
ああっ…!すみませんすみませんすみません…!よく突き止めたな。
名前は紅葉。
あの小説と同じで最初は塩原で芸者をやっていたんだけどコンパニオンに推されて向島へ。
1人でか?来た時はね。
そのあと向島で娘さんが生まれてる。
綾野文の生まれは根津だったよな。
私もその娘さんが綾野文って思ったけど違った。
どうする?この芸者さんの事もっと調べた方がいい?調べたいなって顔に書いてあるよ。
何よ!せっかくベテラン刑事にお伺い立てたのに。
ところで殺害場所はまだ?わからん。
彼女は1泊旅行のつもりだったのよね?宿の予約は1泊だ。
じゃあ連泊の用意はしてなかったって事よね。
一度自宅に戻ったって事はない?ずっと留守にしていたかどうか誰か近所の人知らないのかな?どうしたの?ああ先に署に戻る。
あー!ちょっと…はい。
いつも私が払わされてますから。
だってお前3倍は食べてるぞ。
はい。
えっ?ねっ。
「ねっ」じゃないよ。
ずるい…。
そうか…。
やっぱりな。
なんなのよ鴨志田さんってば。
同じ日なんだ。
23日。
えっ?は?意味わかんない!旦那カツ丼でもご馳走してくれるのかい?なあ為よ。
お前なんであの家を狙ったんだ?なんでって?違和感があったんだよ。
あの立派な門構えの家とお前と。
らしくないの。
お前だったらもっと隙のない家を狙う。
しかも入念な下見をしてな。
あの屋敷にいたのは老婦人が1人。
さほどの下見が必要あるとは思えん。
なあお前が狙ってたのはあの手前にあるマンションだったんじゃないのか?そっか!手前のマンションが綾野文の家。
ここだ。
フフフ…。
かなわねえな旦那には。
このマンションだよ。
5日ばかり留守だったからな。
金もありそうだったから楽勝かと思ったんだよ。
うん。
ところがどっこい行ってみたら明かりはついてるわ人はいるわで諦めて帰ろうと思ったんだが何日も準備していたんで手ぶらでは帰れない。
そこで気持ちを切り替えて入りやすい家を探した。
すげえな旦那!見てたみてえだよ。
そのとおりだよ。
がっかりして裏のばあさんちに入ったけどあのとおりだよ。
このマンションの中の人顔見なかったか?いやはっきり見ちゃいねえが人影が2人。
なんか言い争ってたな。
2人?「1人は女の声だったな」「もう1人は?」「いやわからねえ。
すぐずらかったから」1人は綾野文とみて間違いないでしょう。
もう1人はカナエ。
旦那役に立ったんならカツ丼を。
ああもちろんおごるよ。
特上を。
へへへへ…。
ありがたいありがたい。
特上特上。
おいここを照らしてくれ。
よしこれ分析に回すぞ。
はい。
そっちはどうだ?新しい指紋出てません。
そうか。
科捜研にガイシャの首筋背中に付着物がないかもう一度調べるよう手配してください。
わかりました。
あっ岡崎警視。
溝口カナエを確保しました。
今度こそ自供に追い込みます。
はいはい…はい。
仮に犯行現場がガイシャのマンションだとして犯人は車で遺体を那須に運んだ事になる。
溝口カナエはペーパードライバーだって行人君が言ってた。
行ってくるわね。
どこへ?向島に決まってるでしょ。
じゃあ23日はどこにいたんですか。
ああごめんなさい文さん!よーし。
君がやったのか。
違います。
じゃあ今の「ごめんなさい」はなんだったんだ?こうなったらやばいから言うけどあの日は近藤隼人君と一緒に会ってました。
どこで?浅草のハッピーっていうラブホで。
どうせ嘘に決まってる。
(電話)はい。
はい!わかりました。
科捜研からですか?
(坂下)ああ。
ガイシャの背中からペルシャ絨毯の繊維が検出されガイシャ宅の絨毯と一致した。
課長。
(坂下)うん?裏取れました。
(坂下)何?2人は間違いなくラブホテルハッピーで会ってますね。
(姉小路)どうです?これでカナエさんの疑いは晴れましたね。
なんですか?何をするんですか。
じゃあ誰なんだ?言い争っていた相手は。
先生…。
もう大丈夫ですよ。
すみません。
1ついいですか?綾野文さんは次回作の事で悩んでませんでした?悩んでました。
彼女またミュージシャンに戻りたいって言ってたぐらいだから。
作家をやめてですか?そうよ。
いや…あの綾野文さんがまさか作家をやめるつもりだったなんて。
全く人ってわからないものですよね。
あれ?鴨志田さんがいない。
なんか急いで行っちゃったよ。
(携帯電話)もしもし。
「紅葉さんの本名がわかった」そうか。
わかった。
すみません。
こちらだと伺ったもんですから。
新刊のキャンペーンだそうですね。
(茜)今は本が売れなくて。
我々出版業界はギリギリの状況です。
そんな中綾野先生を失ったという事は大きな損失なんでしょうね。
全くです。
あなた個人にとっても大きな損失だった。
おっしゃってる意味が…。
あなたの代わりにご両親の事を書いてくれる人がいなくなったという意味です。
署までご同行願えますか?『運命の紅い帯』。
あの小説のモデルになった芸者さんはあなたのお母さんですよね。
塩原出身で紅葉という名の芸者さんだった。
コンパニオンに推されて上京し向島芸者になりそこで出会った作家の尾崎鏡太郎と…。
「恋に落ちた。
あなたはお母さんから…」尾崎との幸せな日々を繰り返し聞かされていた。
あなたはいつか2人の恋愛を小説にしたいと思っていたんじゃないですか?何度も書いては壁にぶつかり自分には小説を書く才能がない事を思い知りました。
大学を出て出版社に入り自分の夢を実現してくれる人を待ちました。
出会ったわけですね?『谷中文芸』。
彼女の短編だけが光り輝いていました。
私はすぐに会いたいと思いました。
茜さんもジャニス好きなんだ?うん!
(茜の声)私たちは波長が合っていたんです。
音楽映画小説。
話は尽きませんでした。
(茜)コントロールとC。
(茜の声)私は彼女の才能をもっと伸ばし新人賞をとらせる。
それが私の生きがいになっていったんです。
彼女はどんどん吸収し文体も磨かれていきました。
谷崎潤一郎とあと斎藤茂吉。
みんなこの温泉来てたんだって。
へえ!時は満ちたと感じた私は父からもらった山荘で温めていた母の話を聞かせたんです。
(茜の声)それが『運命の紅い帯』です。
(茜の声)これが才能なんだと思いました。
(茜の声)私にはなかった才能なんだと。
でも彼女にとって小説は1つの気まぐれでしかなかったんです。
(茜の声)10月18日。
文さん!
(茜の声)文さんに呼び出された私は…。
乗って。
(茜の声)再び書く気になるんじゃないかと彼女を山荘に缶詰めにしました。
ねえこれでも気分転換に読めば?もうこんなのやめて!
(茜)文さん!逃げないで!逃げちゃダメ!あなたは日本文学新人賞をとった作家なのよ?賞をとったからってそんなに簡単に新しい話なんか出てこないわよ!うわー!ああっ…!どうしたのよ?このフクロウがフクロウの顔が…!ああっ…!
(茜の声)結局言い訳ばかりで一行も書けなかった。
ねえ!気分変えたい。
一度帰らせて?服とかさいろいろ持ってきたいの。
そしたらちゃんと書くから。
もう戻りたくないあんな山の中。
何言ってるのよ。
あなたは書けるの。
書ける人なの。
もう書けない!もう。
小説なんて大嫌いだし!もう帰ってよ!あの女のせいで編集者としても使えないと思われるのが耐えられなかったんです。
書いて。
あなた書くって言ったでしょ?私はまたバンドがやりたいの。
あなたの才能はそこじゃないのよ。
またあの男とクズみたいな生活を送りたいの?わかったよ。
じゃあ書くからネタちょうだい。
まだたくさんあるんでしょ?お母さんの…男の話!今度はもっと卑猥な線にする?やめてよそんな言い方!芸者紅葉のふしだらな男遍歴。
ハハハ…!いいねこれ!次どんな相手にする?ああ成り金の社長…?いやあ…フフフ。
政治家?アハハハ…!アハハハ…!何すんだてめえ!やめろ!ああっ!
(文)ちょっと…やめろ!ああっうわー…!そのあと遺体を車に乗せ…。
「はい」「那須の山の中へ運びました」「母の事をあそこまで…」「許せると思います?」あれは暴力です言葉の。
だから…。
やむを得ないとでも?冗談じゃない。
あなたは自分を見失っただけです。
(坂下)それではご苦労さま。
乾杯!
(一同)乾杯!
(坂下)ご苦労さんご苦労さん…。
坂下課長。
(一同)お疲れさまでした。
栃木県警の原島です。
いやあ今回はいろいろと勉強させてもらいました。
いやいや原島さんにはいろいろと手伝っていただきまして。
(原島)「ところで…」はいなんでしょう?鴨志田さんと岡崎警視はもしかして…。
「は?」親子だったりして…。
まさか!そうですよね?ありがとうございました。
いえこちらこそ。
(星田)「高砂や」「この浦舟に」「帆を上げて」「この浦舟に」「帆を上げて」
(拍手)お兄さん。
(白石)あっすみません!すみません!
(裕子)お兄ちゃん。
ごめんごめん。
クレームが長引いちゃって。
よかった間に合って。
(和田)「ただいま新婦のお兄さんが到着しました」「お兄さんどうかひと言お願いします」
(白石)すみません。
どうもすみません。
裕子本当におめでとう!大崎君妹の事よろしくお願いします。
お兄ちゃん…。
お兄さんお任せください。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
皆さん本日はどうもありがとうございました!
(拍手)よかったわね鴨志田さん。
ああ何か乗り越えたな。
ちょっと寝ないでよ。
ハハハ…。
(和田)「ではこの辺で坂下課長1曲お願いします」「拍手!」
(拍手)
(ギター)
(坂下)サンキュー。
サンキューサンキュー。
アイムプレスリー。
誰がなんと言ってもアイムプレスリー。
今日は本当にコングラチュレーション。
(歓声と拍手)「Youain’tnothin’butahounddog」「Cryin’allthetime」「Youain’tnothin’butahounddog」「Cryin’allthetime」課長!課長!「Youain’tnothin’butahounddog」やるわね坂下課長。
ああ?これ何よ?取りなさいよ。
やだ。
子どもか!2015/12/26(土) 21:00〜23:06
ABCテレビ1
土曜ワイド劇場「おかしな刑事〜居眠り刑事とエリート警視の父娘捜査」[デ][解][字]
美しき女流作家の死〜消えた殺害現場と、空き巣の手口“三角破り”の接点・那須塩原〜向島を結ぶ運命の紅い帯
詳細情報
◇番組内容
人気シリーズ第13弾!美しき女流作家の死の謎を解くカギは、付近で発生した小さな事件だった!!鴨志田の名推理が、意外な真相を暴く!!なんと、行人が容疑者の担当弁護士に…!?
◇出演者
伊東四朗、羽田美智子、石井正則、木村祐一、瀬戸カトリーヌ、小倉久寛、正名僕蔵、井上純一、馬渕英俚可、相島一之
◇スタッフ
【脚本】水谷龍二
【音楽】吉川清之
【監督】梶間俊一
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/dwide/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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