大河ドラマ「花燃ゆ」総集編(4)「後編・二人の再婚」 2015.12.26


美和は東京で療養を続けている寿のもとを訪れていた。
群馬に学びの場を作ろうとしとるんですね。
はい。
まずは母親たちの学校を作るつもりです。
子どもを育てるんは母親。
まず母親が学ぶ事こそが大事と寅兄様もよう言うとりましたね。
姉上も病気が治ったらぜひ手伝うて下さい。
もちろんです。
私たち姉妹で母親たちの松下村塾を作りましょう。
はい。

(中原)県令殿。
揚返場の建設着々と進んでおります。
そうか。
何よりだ。
(工藤)県令殿!大変です!どうしたんです!?生糸の価格が暴落しています!何?そのころ世界経済は不況に見舞われ諸外国の物価は低落。
そのため日本の輸出の頼みである生糸の相場も下がっていたのである。
生糸は今や日本最大の輸出品。
このままでは群馬だけではない日本の経済そのものが危機的な状況に陥る。
なんとか手だてはないんですか?渡米した新井君はどうしとる?弟は今ニューヨークで日本副領事の紹介状を持って生糸商人を訪ね歩いているようです。
新井は有力な生糸商人リチャードソンと交渉をしていた。
そして新井から至急見本となる生糸を送ってほしいとの電報が届いた。
うちで作った生糸です。
これなら大丈夫です。
君の生糸に懸けよう。
リチャードソンはこの生糸を見てその品質のよさに取り引きしたいと申し出契約がまとまった。
そして群馬ではリチャードソンからの大量注文が入り生産が追いつかない状況となっていた。
県令殿!このまんまでは納期に間に合いません!初めての取り引きだ。
何としても期日までに間に合わせなければ今後の信用に関わる。
揚返場の数を増やし少しでも多く仕上げられるようにするしかない。
急ぎ取りかかってくれ。
(寿)旦那様からの手紙です。
美和がおらんで大丈夫かと書いて送ったんです。
そしたらこねな事が起こっとるとの返事が…。
美和すぐに戻ってあげてつかぁさい。
やけど…。
私は大丈夫。
美和がお世話をしてくれたおかげで胸の痛みも和らぎました。
ありがとう。
姉上…。
どねな事があっても旦那様をしっかりと支えてあげて下さいね。
そして女たちの学びの場を作る事も。
約束です。
はい。
群馬では揚返場が急ぎ作られ戻ってきた美和もそこで手伝いだした。
楫取も別の工場から生糸を集めようとしていた。
群馬の…日本の未来が懸かっとるんです!お願いします!ああ。
やってるね〜!おせいさん。
まだまだ人手が足りないんじゃないんかい?はい…。
そうだと思ってみんな連れてきたよ!私たちもできる事はさしてもらいますよ。
私らも手ぇ貸すよ。
皆さん…。
じゃあ始めるよ!
(一同)はい!よしやるべ!私らはあっち行くべ。
(星野)どうでしたか?何軒かは卸してもらえる事になった。
じゃがまだ足りん。
もう納期を遅らせてもらうしか…。
それはできません。
約束を守れない事になってしまう。
じゃがもうどうする事も…。
これをお使い下さい。
これは?知り合いの製糸工場で作った生糸です。
品質も折り紙付きです。
私は目の前でもうけが見える博打が好みですが県令殿はすぐには見えねえ大博打がお好きなようだいな。
そうと分かりゃ私もお手伝い致します。
よろしいですかな?はいもちろんです。
そして大量の生糸が横浜へと送り出された。
横浜からは船便。
あとはニューヨークに無事届くんを待つだけです。
ああ。
兄上。
ではその間に東京へ。
ん?姉上の病状が心配なんです。
(寿)旦那様…。
何じゃ?旦那様と夫婦になれ…2人の息子にも恵まれ…私は…。
本当に幸せでした…。
寿…?
(篤太郎)母上…。
母上…。
寿姉…。
やっと出来ました。
約束の学びの場です。
早う見に来てくれんと…。
(寿)美和…。
(風の音)寿姉?
(寿)思うたとおりおやりなさい。
(風の音)
(中原)今電報が…。
え…?奥様が…。
ここが出来るんを楽しみにしておったんです。
やのに…。
きっと見守って下さいますよ。
美和さんやここで学ぶ女たちをね。

(寿)「私が死んだあとは美和を妻に迎えて下さい」。

姉上。
私たちが願うた母親たちの学びの場が出来ました
毎日いろんな人たちが勉強に来てくれます。
みんな生きる力を身につけようとしとるんです
そして楫取もまた新たな目標に向かって動き出していた。
公立の女児学校をこの群馬に作りたい。
読み書きの勉強だけでなく生活のための実技も学べる初めての学校を。
賛成です。
代々この地の女たちは群馬の生糸を伝え発展さしてきた最大の功労者である。
その女たちを養育する学校が出来るんは大いに喜ばしい事じゃないか。
そのころ政府は赤字続きの官営工場を民間に払い下げ財政の再建を図っていた。
品川のガラス工場などいくつかの物件ですでに引き受けを希望する者が名乗りを上げてきています。
富岡製糸場はどうだ?規模が大きすぎまだどこからも。
どうします?このままでは赤字だけが膨らむ事に。
富岡製糸場を閉鎖…。
民間に引き受け先がなく富岡製糸場を閉鎖するとの通達が明治政府から届いたのである。
どうなるんです!?富岡がなくなっちまうんですか!県令殿どうなんですか!?県令殿!県令殿!閉鎖させる訳にはいかん。
継続を政府に求めていく。
私らも富岡に繭を卸してんだよ。
その富岡がなくなったら困るずらぁねえよぉ。
おせいさんこりゃあ私らにとっても一大事だがね。
ああそのとおりだ。
ここまでこの土地の女たちが頑張ってきた製糸業だ。
このまま黙ってる訳にはいかないね。
私たちもできる事をやりましょう。
そうだいね!私らの富岡だい。
潰さしちゃいけねえよ。
富岡製糸場を残してえと嘆願書を書いて出してくんない。
(ナツ)書き方が分からねんだら私らが代わりに書くかんね。
ありがとがんした。
皆さんあねぇに一生懸命になってくれて…。
はぁそれぞれしっかりと考えを持つようんなったんだいね。
これも学びの場のおかげさぁ。
はい。
兄上。
これを。
みんなの思いです。
よろしくお願いしますよ。
群馬から生糸作りの火は絶対に消しません。
今日は一県令としてここへ参りました。
この意見書をどうかお読み下さい。
そしてこちらも。
女性たちの声です。
ほう…女たちが嘆願書を。
群馬では皆生糸作りに誇りを持ってます。
私はその群馬で県民たちと共に暮らしこの足で町や村を見て回り政府の誰よりも群馬の実情を知っております。
その現場の声をどうか聞いて下さい。

(鐘の音)政府からの回答がようやく来るというその日群馬では女児学校が完成した。
まだ返事は来ねんか。
やっぱし今度ばかりゃあ…。
国のお役人は頭が固えからなあ。
はあ…気をもむんねえ…。

(足音)
(鈴木)東京の農商務省から電報だ!美和さん!やりおった!富岡は存続だ〜!やりました!思いが通じたんだね。
はい!どう思ってんだい?県令様お兄様の事。
おせいさん何を…。
お二人一緒になられちゃどうかいね?自分の気持ちここはしっかり見つめてもいんじゃないんかね?
(寿)「私が死んだあとは美和を妻に迎えて下さい」。
(久米次郎)母上が言うておりました。
父上と美和さん2人には何か通じるものがあると。
それが何か私もずっと考えていたんですが今は分かります。
立ち向かう勇気だと。
美和さんもどんな大変でつらく悲しい時もいつも諦めずに前へと。
回想いつか殿様の御前に出られる時が来たらじかにお尋ねします。
私の大切な人たちがなぜ無残に死なねばならなかったんかを。
(久米次郎)父上の姿と似ております。
回想私にとって兄上は空のような方でした。
いっつも見守って下さって。
たくさん大事なものを下さいました。
兄上をお支えします。
兄上が私を支えると言うて下さったように。
私はこれからもお前と一緒に歩んでいきたいんじゃ。
そばで互いに支え合いながら。
考えてみてほしい。
それであんたの気持ちは?私は…。
久坂の事を忘れる事はできません。
そねな私が…。
それに自分だけそねな事許されんような…。
美和。
ええんですよ。
幸せになりんさい。
あんたも楫取さんも苦しみを一つ背負う度に強うなってきた。
やけどそれは1人ではのうて2人で支え合うてきたからやってこれたんと違うかね?母上…。
幸せになってもらいたい。
みんなそう願うとるんよ。
そして美和が群馬に帰ってきた。
美和。
あっ…。
どねぇしたんじゃ?あっいえ…。
何を燃やそうと…。
何度も読み返したんじゃろう。
美和。
私が寿を忘れんようにお前も久坂の事を忘れられる訳はない。
これはずっと持ってればええ。
一緒にやっていこう。
私の妻となってほしい。
はい…。
よろしくお願いします。

(せい)へえ〜!鹿鳴館に!まあご夫婦で招待を。
はい。
毛利元徳様がお計らい下さったそうです。
鉄道建設のために力になってもらえるよう夜会に来られる有力者の皆さんに話をしてみたらどうかと。
そうですか。
それじゃあお二人でご夫婦んなった初仕事んなるんだいね。
ああ…はい。
兄と頑張ってきます。
もう兄じゃねえんじゃ?あっ…。
(笑い声)あっ。
おお!来たか!安子様。
紹介する。
美和じゃ。
山口の奥御殿では守り役を務めてもらったのじゃ。
今は群馬県令の楫取夫人じゃ。
楫取美和でございます。
よろしゅうお願い致します。
(3人)群馬?今は製糸業で大層にぎわっております。
(嵯峨野侯爵夫人)聞いた事があります。
群馬の生糸は。
美和はそこで女たちの学びの場を開いておるのじゃ。
へえ〜学びの場を。
(池谷伯爵夫人)どんな者たちがお勉強を?製糸工場で働いとる女たちや養蚕農家の女たち母親たちが通っております。
えっ?では百姓町人たちか?
(酒田伯爵夫人)どうして母親たちにそこまでの勉強が必要あるんです?私たちは私たち華族にふさわしい妻や娘になるための教養を身につけなければなりません。
ですが下々のおなごには…。
学ぶんに身分は関係あるんでしょうか。
これまで群馬の女たちは生活のために働いてきました。
やけど自分たちが作っているものが世界に認められていると知り意識が変わったんです。
今では群馬の生糸を世界一にするために勉強し世界の事もまた知りたいと思うようになったんです。
誰もが自由に学べる時代になったんですから。
その学びこそ生きる力となるんです。
群馬の女たちによろしくと伝えて下さい。
ええ。
世界一のために私たちも何かしたいわ。
美和。
あの…皆様。
どうか前橋までの鉄道建設のための援助をお願いします。
これからの生糸の輸出には鉄道輸送は不可欠です。
毛利様や伊藤伯爵閣下からのご紹介とあれば私どももぜひともご協力致したいのですが…。
我らもそのような多額の援助はなかなか難しいかと…。
(足音)あなた。
群馬の女たちに頑張ってもらいましょう。
あなたも協力してさしあげるのです。
あなたもです。
世界一のためです。
お願い致しますあなた。
世界一ですよ世界一。
またやったな。
いえ。
東京から帰ってきた美和は熱を出し寝込んでいた。
またおっきりこみこさえときましたから。
ああ…。
あっ。
すいません。
礼なんて他人行儀な。
私ははぁ美和さんの事は身内だと思ってんですから。
おせいさん…。
そいじゃ。
・今戻った。
えっ?あっ…どうかしたんですか?群馬県が全国で就学率1位になったんじゃ。
えっ…群馬が。
この事を早うお前に知らせとうてな。
旦那様…。
そしてまた新たなうれしい知らせも飛び込んできた。
ようやく資金のめどもつきました。
前橋までの鉄道敷設決定です!
(拍手と歓声)明治政府の後ろ盾もあって県令殿の働きかけが効きましたな。
これでますます群馬の製糸業は盛んになります!おお!世界一もはぁ夢じゃねえ!
(歓声)しかし楫取はある思いを抱いていた。
県令を辞めようと思う。
えっ…どうしてです?もう群馬での私の仕事は終わったんじゃないかと思うんじゃ。
やけど皆さんこれからも県令として腕を振るうてほしいと。
いや。
あとはこの土地の人間たちでやってくんがええんじゃ。
じゃが私一人で決める事はできん。
お前の考えが聞きたい。
今すぐでのうてもええ。
はい。
この学びの場はおせいさんやみんなと作った場所です。
姉との約束でもあります。
やのに今ここを去ってしもうたらせっかく今まで作り上げてきたもんがのうなってしまうんじゃないかって…。
そねな事になったらここに通うてきてくれとる皆さんに申し訳ないと…。
私らだけじゃ無理だとでも言いたいんかい?えっ?みんな自分でちゃんと考えて行動できるようになったんだよ。
あんたに生きる力をもらったからね。
おせいさん…。
県令様は美和さんに託された。
ここは責任重大だ。
自分の道を貫いて下さいな。
あんたはどこに行ったってあんただよ。
学びの場の花の種です。
どうか一粒の籾として次の春の種となれますよう。
次はどねな場所に植えるんか楽しみです。
美和…。
よう考えました。
そして決めました。
旦那様と一緒にこの種を新しい場所に植えたいと。
美和…。
せわぁない。
そして楫取と美和の送別会が開かれた。
では初めに阿久沢よりご挨拶申し上げます。
楫取素彦殿は群馬県令として産業発展と教育普及に大いに貢献されました。
この土地の気風は荒々しく治め難しといわれてきましたが楫取殿は至誠をもって県民に接し皆が心を動かされ感激し…。
一人また一人と楫取殿に引かれていったのです。
(拍手)美和さん。
これを。
私らからの贈り物だい。
えっ?わあ…。
美和さんのおかげで世界が広がったがね。
ありがとう美和さん。
これっからもあの学びの場で自分らで勉強を続けっからさ。
心配しねえでいいよ。
皆さん…。
私たちはこの群馬で教わりました。
皆さんの未来を思う力がこの国を新しくつくっていくのだと。
「涙袖帖」…。
開いてみてくれ。
お前が持っていた久坂からの手紙じゃ。
大事にすればええ。
ありがとうございます。
回想誰でも自由に志を立てられる。
そねな世の中が…そねな国がつくれたら…。
新しい日本をつくる新しい日本人を。
お前ならできる。
お前はどう生きる?自分の人生を自分の命を何のために使う?
(一同)えいえいお〜!えいえいお〜!えいえいお〜!えいえいお〜!新しい場所で実がなり次の種となる。
またここからつながっていくんですね。
ああ。

どうか一粒の籾として次の春の種となれますよう
2015/12/26(土) 16:55〜17:40
NHK総合1・神戸
大河ドラマ「花燃ゆ」総集編(4)「後編・二人の再婚」[解][字]

群馬にやってきた美和は、楫取(大沢たかお)と寿(優香)夫婦を支えながら、地元の女性たちの学びの場を作ろうと奮闘する。しかし、行く手には大きな壁が立ちはだかり…。

詳細情報
番組内容
群馬にやってきた美和(井上真央)はさっそく個性的な上州の人々の洗礼を受ける。そして農業や製糸業に携わる女性たちが勉強をする機会の乏しいことを知り、学びの場を作ろうと奮闘する。一方、楫取(大沢たかお)も群馬県令(知事)として富岡製糸場を中心に製糸業を発展させ、教育振興にも力を入れようとするが、二人の行く手には大きな壁が立ちはだかる。様々な難題を乗り越える中、美和と楫取の間に深い絆が生まれていくが…。
出演者
【出演】井上真央,大沢たかお,優香,原田泰造,劇団ひとり,田中麗奈,三浦貴大,大東駿介,石原良純,相島一之,檀ふみ,江守徹,三田佳子,【語り】池田秀一
原作・脚本
【脚本】小松江里子
音楽
【音楽】川井憲次

ジャンル :
ドラマ – 時代劇
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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