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 観客がゼロになったら、その日で終わり――。島根県雲南市の劇団が元日から挑んできた「365日公演」が31日、無事フィナーレを迎えそうだ。舞台は会館のロビーの一角だったが、最終日は465席のホールのステージに立つ。

 20~30代を中心に9人でつくる「劇団ハタチ族」。市内で別の劇団の公演がある日を除き、主に市木次(きすき)経済文化会館のロビーで1日1時間、オリジナル作品などを上演してきた。代表の西藤将人(さいとうまさひと)さん(32)が「地方に演劇文化を根付かせたい」と発案した。

 いまや連日10~15人が見に来る名物に。舞台に触発されて地元で自らイベントを開く観客も出てきた。今月の公演では、関西で活躍する役者が特別出演した。

 会館側は劇団の奮闘に応えて大みそかに特別に開館し、ホールを貸し出す。公演は午後1時から2時間。「大みそかは満席に」が団員の合言葉だ。西藤さんは「雲南で365日も続くのか、と思った人もいると思うが、普段は演劇を見ないような人も来てくれた。芝居がきっかけで小さな変化でも起きたことがうれしい」と話す。(木脇みのり)