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【社会】

保険証情報10万人超流出 厚労省調査 詐欺など悪用の恐れ

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 健康保険証の番号など個人情報を含む、全国約十万三千人分のリストが流出、名簿業者が一部を転売していたことが分かった。情報セキュリティーに詳しい専門家は「複数の医療機関から漏れた可能性が高い。これほど大量の医療関連の情報漏れは過去に例がない」と指摘。成り済ましや詐欺などに悪用される恐れがあり、厚生労働省が調査を始めた。

 リストの記載は沖縄を除く四十六都道府県に及び、近畿や四国に集中。取材に応じた全二十七世帯で実在の氏名や住所などと一致した。一部は現在の保険証番号がそのまま記載されていた。厚労省の担当者は「医療機関や薬局が業務で作った患者のリストが流出した可能性がある」として、調査を開始した。

 国内に住む人全員に十二桁の番号を割り当て、将来的には年金などの個人情報を結びつけ管理するマイナンバー制度の運用が一月から始まるのを前に、情報管理の在り方をめぐり議論を呼びそうだ。

 名簿業者は「二〇〇八年十二月にブローカーから買った。危ないデータだと驚いたが、一部は顧客に売った」と話した。

 共同通信が入手したリストによると、氏名、性別、生年月日、住所、電話番号のほか、保険種別や保険者番号、被保険者の記号番号が並ぶ。医療費の自己負担額の算定に必要な老人保健(当時)の区分や、生活保護などの公費負担を示すとみられる欄も三つ付いていた。記載されていたのは〇五年三月以前に生まれた人だった。

 都道府県別で最も多かったのは大阪府で約三万七千人、続いて奈良県が約二万五千人、滋賀県が約二万四千人だった。

 取材の結果、氏名、性別、生年月日、住所、電話番号は二十七世帯四十四人全員が一致。このうち保険証番号も一致したのは六世帯十一人だった。転職などで番号が変わったことなどが影響したとみられる。

 保険証番号とともに氏名や住所などが分かると保険証が再発行できる場合があり、本人に成り済まして借金するなどの悪用が可能になるという。

◆電子化すればリスク高まる

 <情報セキュリティ大学院大の湯浅墾道(はるみち)教授(情報法)の話> 医療情報は電子化される流れにあり、複数の医療機関から漏れた可能性がある。電子化すれば利便性が高まる一方で情報流出のリスクも高まる。これほど大量の医療関連の情報漏れは過去に例がないと思われる。医療情報はプライバシーの度合いが極めて高い。小規模な医療機関を含め徹底した管理が求められる。

 <健康保険証> 公的医療保険の被保険者を示す証明書で、大手企業のサラリーマンが入る「健康保険被保険者証」や自営業者などが入る「国民健康保険被保険者証」など、保険者によって名称が異なる。保険証には氏名や生年月日、性別のほか、保険者名や番号、被保険者の記号番号などが記載され、身分証明書としても使用できる。ただ顔写真が添付されておらず、成り済ましなどに悪用されるケースがある。

 

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