目撃!日本列島・選「山へ 息子の面影を探して」 2015.12.26


雪が解けた御嶽山を訪ねる父親がいました。
去年9月。
息子はこの道から山に向かったまま帰りませんでした。
あの日。
噴火した!噴火噴火!危ない!そっちそっち!やばいやばいやばい!小屋に小屋に!死者行方不明者63人。
戦後最悪の火山災害となった御嶽山の噴火。
噴石の直撃を受け亡くなった息子の祐樹さん。
それはあまりに突然の死でした。
息子ともっと話をしたかった。
喪失感を抱え所さんは息子が歩んだ人生をたどりました。
息子が愛した女性と2人で登った数々の山。
ここら辺にいたんです。
生還者に聞くあの日の悪夢。
自然災害によって突然命を奪われた息子。
その面影を探す父の心の旅路です。
長野県と岐阜県にまたがる御嶽山。
火山活動が続き今も山頂付近に立ち入る事はできません。
(サイレン)1年前。
噴火の一報を受け麓に駆けつけた…息子の安否が分からずメディアに呼びかけていました。
噴火の4日後息子の祐樹さんは遺体となって所さんのもとに帰ってきました。
26歳でした。
祐樹さんの部屋には遺品や生前の写真が飾られています。
所さんが着ているのは祐樹さんの服。
時折袖を通しています。
祐樹さんは家族が寝ている間に御嶽山に向かいました。
言葉を交わす事もできませんでした。
噴火のあと所さんのもとに戻ったカメラです。
祐樹さんの最後の一日が収められていました。
そこには妻から話だけは聞いていた息子の恋人が写っていました。
会社の同僚で噴火の8か月前から交際していました。
驚いたのは由紀さんに寄り添う息子の表情でした。
親にはあまり見せる事がなかった優しい表情でした。
所さんは24歳で結婚。
夫婦共働きで2人の息子を育ててきました。
次男の祐樹さんは父親に似て活発な性格で幼い頃はよく一緒に釣りに出かけました。
しかし祐樹さんが思春期を迎えると次第に親子の会話は減っていきました。
祐樹さんはそのまま帰らぬ人となったのです。
短い人生の最後息子は大切な人とどんな時間を過ごしたのか。
一番いいのは戻ってくるのが一番越した事はないのですけどもうないものねだりですよね。
だったら祐樹たちが何を見て何を感じたのかどういった会話をしとったのか何かすごく親としては知りたい。
滋賀県と岐阜県の境にある伊吹山。
御嶽山で亡くなる4か月前祐樹さんと由紀さんはこの山に登っていました。
趣味の登山に恋人を誘った息子の思いを知りたい。
所さんは妻の喜代美さんと山頂を目指しました。
えっここなの?手に持っているのは息子たちが撮った写真です。
こうして?同じ場所同じポーズで写真を撮ります。
(シャッター音)所さん夫婦にとって初めての山登り。
やはり登山の経験がなかった由紀さんを支える祐樹さんの様子が思い浮かびました。
あっああ…あいたた…。
よく登ったね。
標高1,377メートル。
息子が立った頂です。
(シャッター音)6月。
所さんは御嶽山の麓の町で開かれた火山防災についてのシンポジウムに参加しました。
この噴火警戒レベルが導入された時点で5は避難。
それから4が避難準備3が入山規制それからレベル2が火口周辺規制で…。
息子の命を奪った火山の事を知りたいと所さんはこうした場に熱心に足を運んできました。
その中で親交を深めた1人の遺族がいます。
祐樹さんの恋人由紀さんの父親です。
その出会いは所さんの心にある感情を生んでいました。
祐樹が誘ったから…噴火の被害に遭った。
親として申し訳ないというのはやっぱりありますね。
もうそれはずっと消えないですよね。
御嶽山の噴火では山頂にいながら生きて帰った人もいました。
なぜ息子は生き延びて恋人を守る事ができなかったのか。
8月。
所さんは丹羽さん夫婦と共に名古屋を訪れました。
(ノック)失礼します。
会ったのはあの日御嶽山に登っていた男性。
山頂で噴石が飛び交う中とっさに岩陰に身を隠し九死に一生を得ました。
祐樹さんが倒れていたのはそこから100メートルほどの山小屋の脇でした。
噴火した時にもう本当に真っ暗何も見えない。
…と同時に呼吸できないんですよ。
1分ぐらい後なのかな。
その噴煙を見てから。
だから結局はそこまでの間に小屋に逃げれるか逃げれないかって話ですよね。
所さんは胸に秘めていた思いを口にしました。
何でうちの息子由紀ちゃんを守れんかったのっていうのがすごいあったんですよ。
でもね多分ねこれ想像ですけど恋人同士でしょう?だからお互いにお互いをかばってたと思うんですよ。
その噴火の噴煙を見たあとすぐ。
その時でした。
祐樹君絶対後ろからかばっとってくれてあの状態だと思うんで…。
うまい事祐樹君がかばいながらやったんだなっていうの…だから気が付いてすぐかばってくれたんだなってすごい今話聞いてて徐々に浮かんできたんですからね。
祐樹さんの初盆です。
たくさんの花が届きました。
息子の面影を探し続けて間もなく1年。
どうしても分からない事がありました。
息子は親の事をどう思っていたのか。
複雑ですよね。
もう今いないから。
聞けないし聞こうとしても聞けないし…。
息子を思い続ける所さんに忘れられない出会いがありました。
初めまして。
今回どうもいろいろありがとうございます。
所祐樹の父親で所清和といいます。
祐樹さんと同世代の若者。
祐樹さんの近くで噴火に遭い山小屋に逃げ込みました。
小屋の中ってやっぱりすごい…音とかしてたっていう暗くなって「キャ〜」とか…。
女性が話してくれたのは死を覚悟した時に沸き上がった両親への思いでした。
そこは真相は分からないですけど…ありがとうございました。
9月27日。
多分…もっと天気もよくて。
まだ暗かったか?その時間。
暗くはないかな。
2時間前だと。
あの日と同じ穏やかな朝です。
祐樹さんが通った登山口に作られた献花台。
あっヒマワリ。
祐樹さんが亡くなった山頂には今も行く事ができません。
祐樹さんの面影を探し続ける所さん。
胸の中の息子と共に生きていきます。
2015/12/26(土) 11:30〜11:54
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島・選「山へ 息子の面影を探して」[字]

戦後最悪の火山災害となった御嶽山の噴火。息子を亡くした所清和さんは、この1年間、息子が生前に行った場所をたどってきました。悲しみと向き合う遺族を見つめました。

詳細情報
番組内容
死者行方不明者63人。戦後最悪の火山災害となった御嶽山の噴火。所清和さんは恋人と一緒に亡くなった息子の面影を探し、息子が生前に行った場所をたどってきました。きっかけは遺品のカメラから出てきた写真。恋人と一緒に写った息子の表情は、親にはほとんど見せることがなかった優しい表情でした。息子の成長を実感する前に亡くなった息子。喪失感を胸に面影を探す父の旅を追いました。
出演者
【語り】徳田章

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般

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サンプリングレート : 48kHz

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