おはようございます。
週刊ニュース深読みです。
けさは中條アナウンサーとお伝えします。
さあ、まずはこちら、新国立競技場です。
今週ついに決まりましたね。
今週火曜日、政府の関係閣僚会議で、2組の企業グループが出していた案のうち、こちらのデザインの採用が決まりました。
そこできょうはこの方にお越しいただいております。
採用が決まったデザインを手がけた建築家の隈研吾さんです。
よろしくお願いします。
おはようございます。
よろしくお願いします。
火曜日に決まったということなんですが、今、この時間がたったとき、改めてお気持ちはいかがですか?
そうですね。
大変なことになったなと。
大変なことになったな?
最初は、ほっとしたとおっしゃっていましたけど。
やっぱり、すごいプロジェクトなので、世界中が注目しているプロジェクトなので、それを短期間で成し遂げるとなると、もう大変だっていう、プレッシャーを受けています。
もうすでに動きというのは出始めているんですか?
そうですね、いろんな方から、こういうふうにしてほしい、アスリートの方たちからも、あるいはユニバーサルデザインの方たちからも、方たちからも、こんなふうに、こんなふうにってもう、たくさん寄せられて。
まだ火曜日に決まったばかりなのに?
すごい量のものが来ております。
それだけたくさんの要望を応えられますか?
ええ。
もう全力で、建築家の仕事っていうのは、そういう仕事で、耳をよくして聞くことが仕事ですから。
隈さんには後ほどじっくりと伺ってまいります。
まず、採用が決まった新国立競技場、どんな特徴があるかから見ていきます。
隈研吾さんがデザインした新国立競技場。
コンセプトは、木と緑のスタジアムです。
木材を多く使った伝統的な日本建築。
それに壁面を彩る緑が特徴です。
スタンド部分は3層式。
周囲の景観との調和を図るため、高さは50メートル以下に抑えられています。
屋根の部分にも多くの木材が。
収容人数は、通常6万8000人、オリンピック後には8万人となります。
新国立競技場の整備計画。
当初は、別のものでした。
3年前に採用されたデザイン。
イラク出身の女性建築家、ザハ・ハディドさんの作品です。
しかし、建設費が当初の2倍近い2520億円に上り、巨額の費用に批判が相次ぎました。
7月、安倍総理大臣が計画を白紙に戻すことを表明。
新たな整備計画では、総工費の上限を1550億円とすることを決定。
2つのグループが技術提案書を提出しました。
隈研吾さんがデザインした、大成建設などで作るグループが、木と緑のスタジアムを提案。
一方、21世紀の新しい伝統を提案したのが、建築家の伊東豊雄さんと竹中工務店、清水建設、それに大林組のグループです。
伊東豊雄さんは、建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞を受賞。
日本を代表する2人の建築家が争う形になりました。
事業主体のJSC・日本スポーツ振興センターが審査した結果です。
9項目のうち、伊東さんのデザインが、ユニバーサルデザインや日本らしさなど、5つの項目で上回りました。
隈さんのデザインが上回ったのは、事業費の縮減や工期短縮など、4項目にとどまりましたが、全体では、8点差で隈さんのデザインが上回りました。
馳文部化学大臣は。
選手からは。
隈研吾さんは61歳。
母校の東京大学の教授も務めています。
おととし、63年ぶりに建て替えられた歌舞伎座に。
東京・港区の根津美術館。
そして浅草文化観光センター。
最近は、津波で大きな被害を受けた、宮城県南三陸町の復興に向け、町のグランドデザインの検討などにも携わっています。
今回決まったデザイン。
総工費は1489億円余り。
2019年11月30日の完成としています。
改めてスタジオにはデザインを用意しております。
隈さん、こちらのデザインに、一番込めたメッセージというのは何なんでしょうか。
森との調和を、一番に考えまして。
調和。
普通、こういう大きな建築って、俺が俺がって、建築家が目立っちゃうんですけども、この場合は、外苑の森に調和するような建築はどうしたらいいかってことを考えまして、その決め手は、まずひさしのデザイン。
ひさしですか?
これ、ひさしがですね、こういうふうに重なったようなデザインになってまして、ひさしっていうのは、その下に優しい陰を作るんですね。
こういうふうに重なっている。
こういうふうに影が出来る。
陰が。
陰によって周りと調和させるっていうのがこれは、日本の伝統的建築のすごい技でして、それを現代に生かしました。
陰が出来ることで、調和が生まれるんですか?
陰というのは、建物の存在感をこう柔らかくするんですね。
それによって、周りと調和させる。
さらにその陰の部分が木で出来てますので、あったかくて、今までのコンクリートの建築とは違う質感があります。
なぜそこまで調和っていうのを、おっしゃるんですか?
今の時代がそういう時代だと思うんですね。
建築が目立つ、いけいけの時代ではなくて、調和、景観とかですね、あるいはいろんなエネルギーの点でも調和が一番大事な時代になっていますので、そういう時代に合ったようなものを作りたいと思いました。
オリンピック・パラリンピックの会場ですから、やはりここがっていうね、なんか存在感を求めてしまいがちですけれども、そうではない?
そうですね。
高さも前の70メーター以上だったのを、50メートル以下にしてますので、20メーター以上、5階分ぐらい低くなってるので。
ザハ・ハディドさんの案からですね。
ーまわりにたいしてのそんざいかんも全然、逆にない。
そういうような建築を目指しました。
前のオリンピックのときとも違う?
そうですね。
1964年のオリンピック、僕10歳だったんですけど、その時代はコンクリートで、高度成長の真っただ中ですよね。
で、そのとき一番中心は代々木の競技場ってこれ、丹下健三先生の建物で、私、10歳で行ってですね、もう圧倒されたんです。
コンクリートでがーっていくっていう感じがありましてね、それはそういう時代のこう、いけいけの感じを象徴してるんですけど、われわれは今、全く逆の時代に来てる。
それは、調和の時代、環境の時代なんで、そういう時代の精神を象徴するようなものにしたいっていうふうに考えたんです。
外国からもたくさんの方がいらっしゃると思うんですけれども、その方たちにとってのメッセージっていうのは?
そうですね、日本っていうのは、そういう環境っていう時代をリードする国だってことをこのスタジアムで感じ取っていただければいいなと思うんですね。
そしてもう一つ、やはりこれ、スポーツの競技場じゃないですか。
競技をする人、観客にとってはどういう?
これが観客席なんですけど、観客席もこの木の屋根に包まれているような優しい感じがする観客席なんですね。
だから競技っていうのもこれからの時代っていうのは、もうただ戦う、戦うっていうんではなくて、もっとなんかやさしい気持ちでするもんじゃないかなと思って。
でも競い合うほうに取っては負けてはならぬっていう感じだとは思うんですけれども。
それを温かい空間で?
そうですね。
もうこの空間に入ったとたんに、ああ、木の建築の中にいるって感じさせるように、そこを一番工夫しました。
私、会見などを見ていて分かんなかったのは、隈さんが、ここのデザインを、どの段階から考えていたのかっていうことが。
こんな壮大なものを、前回の白紙撤回の前には、エントリーされませんでした。
今回、エントリーされました。
そんな短い時間でできるものなんでしょうか。
実はですね、僕の事務所、この近くなんです。
この森、外苑の森はすごく自分にとっても大事な場所なので、そのプロセスを見てましてね、ああ、あの森だったら、こんなのがいいんじゃないかなって、自分の頭の中でいろんなことを考えてたんです。
ひさしがあって、木で出来てて、陰があって、さらにそのひさしの上にちょっと緑があったりしたらいいなって、頭の中で考えてたので、この数年間そんなことをぼやーっと考えていたので、それでコンペが始まったら、すぐ、こういうふうにしようって思いつきました。
その前回のエントリーはしなかったけれども。
そのころから、もう実は構想はあったってことなんですね?
そこでいろんな人がいろんな案について言いましたよね。
それで自分もここについて、なんかやんなきゃいけないんじゃないかなっていう気になってきました。
前回のを見て、案をいろいろ、思い出されたわけですね。
その前のデザインを担当したザハ・ハディド氏の事務所はですね、座席の配置などが、自分たちのデザインと驚くほど似ているなどとしています。
こういう声については、どう思われますか?
そうですね。
見て、一目、全然形も違うし、高さも違うし、観客席も、ザハさんのはサドル型って、両脇が高くなってるのを、僕は全部フラットに低く低くってしてるので、全く違うっていうのは、すぐ分かっていただけると思います。
8万人を、この敷地の形は同じなので、8万人が同じなので、3段式っていうこの3段式。
これは同じなんですけど、それは前のコンペのときには11人のうち7人が3段式だったので、この敷地の形からくると、大体そういう答えになってくるという、合理的な解決だと思います。
この建物の目指すところ、2020オリンピック・パラリンピックですけれども、そのあともずっとこの建物残ります。
一体、何年ごろまでをイメージをして建築…。
そうですね。
木の建築って、意外に長もちするんですね。
法隆寺って7世紀のものがいまだに使われてる、それは木っていうのは、傷んだ所をうまく取り替えて、そういう取り替え、取り替えができる。
で、夢としては、そうやって法隆寺並みに長もちしてくれればいいなと思うんですけど。
やはりあと絶対に聞かなきゃいけないと思うのは、今回のこれが、本当に予算以内に収まるのか、そして工期が間に合うのかっていうところですが、そこについてはどうでしょう?
それはコンペの案を作ってるときにどうやって合理化すればいいか。
例えば、全部が同じ断面で出来ているので、同じ部材を全部使えるんですね。
それからパネル化して、工場でパネルにして持ってくるので、工期も短くできるので、そういうのを全部検証して、できることを確認してから出してますので、それには自信があります。
私たちも見守っていきたいと思います。
そして、いいオリンピック・パラリンピックにしたいですよね。
隈研吾さんにお話伺いました。
どうもありがとうございました。
ありがとうございます。
さあ、次にいきます。
水曜日、天皇陛下は82歳の誕生日を迎えられました。
誕生日を前に臨んだ記者会見で、天皇陛下は、戦後70年の節目の年を振り返られました。
ことし、天皇陛下は、皇后さまと共に先の大戦に向き合い、戦没者の慰霊にあたられてきました。
6月には神奈川県横須賀市で、太平洋戦争で犠牲になった民間の船員らの追悼式に臨まれました。
太平洋戦争では、民間の商戦や漁船も軍に徴用されて、軍事物資の輸送などに当たり、敵の攻撃を受けて、ほぼ壊滅しました。
4月には、念願だったパラオへの訪問を果たされました。
太平洋戦争の激戦地、ペリリュー島。
慰霊碑に花を供えて、戦没者の霊を慰められました。
ことしの自然災害も振り返り、9月の関東・東北豪雨で、多くの人たちが救助活動や復旧作業にあたってきたことに触れられました。
10月には、大きな被害が出た茨城県常総市を訪ねて、被災した人たちを見舞われました。
ことしの喜ばしい出来事として挙げられたのが、2人の日本人のノーベル賞受賞。
そして国産の小型ジェット旅客機、MRJの初飛行です。
最後に天皇陛下は、この誕生日で82歳になるとしたうえで、このように述べられました。
さあ、続いてはこちら、富士山などをモチーフにしたこのマーク、見たことありますか?
いやー、このGIってなんですか?
これはですね、英語のこちら、ジオグラフィカル・インディケーションの頭文字を取っています。
地理的表示という意味なんですけれども、産地の名前が含まれた地域ブランドを、国が登録・保護する制度で使われるマークなんです。
国のマークなんですね?
国が登録・保護するということなんですね。
今週、初めて7つの品目が登録されまして、このマークが表示できるようになりました。
はい、もしもし。
確定。
ばんざい!
登録されたのは、茨城県の江戸崎地区で栽培が始まった江戸崎かぼちゃ。
熟す前に収穫する一般的なかぼちゃに対し、完熟させてから収穫するため、甘みがあります。
なんかほくほくして見えますね。
ですね。
これは鹿児島のつぼ造り黒酢。
原料の米を屋外のつぼに入れて、温暖な気候の下、熟成させたものなんです。
へぇー、まろやかそうな感じが伝わってきます。
そしてこちらは青森市とその周辺で収穫される、あおもりカシス。
涼しい気候を生かし、できるかぎり農薬を使わないなど、ほかの産地との差別化を図ってきました。
兵庫県の但馬牛と神戸ビーフ、さらに北海道の夕張メロン。
福岡県の八女伝統本玉露が登録されました。
これ、お茶ですよね。
お茶なんですね。
地域ブランドって、これまでもあったような印象があるんですが。
ありました、ありました。
これまでのものと、これは違うんですね。
そうなんです。
それを探るために訪ねたのがこちらです。
長野県の高森町なんですね。
これはですね、その町内の市田地域で栽培されていた、渋柿の品種が由来の干し柿、市田柿というものなんです。
今、これがGIマークの登録を申請している最中なんです。
取材しました。
まず訪ねたのは、生産者の河合隆俊さん。
GIマークに期待を寄せる1人です。
失礼します。
おお、これですか。
これが市田柿。
今が出荷の最盛期を迎えている市田柿。
およそ100年前から、この地域で作られてきたといいます。
きれいですね。
地域特有の厳しい冷え込みと、霧がもたらす湿気でゆっくり干し上げるのが伝統的な作り方。
果肉は、このようにきれいなあめ色です。
ちょっと小ぶりですかね?
そうなんですね。
うん。
大丈夫?
甘みがすごいですね。
あとしっとりして。
おいしかったんですが、伝統を受け継いできた地元の生産者の皆さん、最近では、その広がりを感じているといいます。
そのブランドを守りたいと登録を目指しているのが、地元のJAです。
市田柿を専門に扱う柿課の田中廣彦課長です。
柿課?
はい。
田中さんは、ある脅威を感じていました。
実はこういうものがあるんですよ。
これは首都圏のスーパーで撮影されたという写真。
ラベルには、市田柿中国産と書かれていました。
税関に輸入の差し止めを求めようとしたんですが、諦めざるをえなかったといいます。
えっ、どうして?
そこで目をつけたのが、今回のGIマーク。
この制度では、生産者に代わり、国が不正な利用を取り締まります。
違反には、懲役や罰金を科すことができ、ブランドを強力に保護できるのが特徴です。
なるほど。
ただし、生産者は品質管理が徹底されているかなどの審査を受ける必要があります。
田中さんたちは、例えば表面のしわについてもこんな規格を。
管理体制も徹底しています。
干し柿を選別する作業では。
このように、人の手で仕分けたあと、機械によるたび重なるチェックも。
除外されたものを見てみますと。
これなんて、全体的にすごくきれいなように見えますけど、どうなんでしょう。
今は一部で行っているこの選別方法。
今後はさらに広げていきたいと話していました。
厳しい選別を経て、おいしい市田柿を登録したいと。
そうなんですね。
実はこうした制度というのは、海外ではすでに100か国以上で始まっています。
よく知られているものを見ていきますと、フランスのシャンパンですとか、ボルドー・ワイン、さらにイタリアの生ハム、プロシュート・ディ・パルマなどです。
先ほどの市田柿の登録を進めている田中さんなんですが、GIマークが広く知られるようになれば、世界でこのように市田柿が認められることにつながる可能性もあるとおっしゃっていました。
世界転換ができるか。
そういうことなんですね。
まあね、日本の産地を元気づける起爆剤になってもらいたいですよね。
さあ、今週は、こんなニュースもありました。
1984年のロサンゼルスオリンピック。
このとき出場した、水球男子日本代表。
あれから32年。
20日、リオデジャネイロオリンピックの出場権を懸けたアジア選手権で、日本の男子が中国と対戦。
16対10で勝利し、ロサンゼルス以来のオリンピック出場権をつかみました。
気象情報、南さんです。
今週末の天気、年末年始のお天気をお願いします。
そうですね、今週末、ちょっと大雪に警戒をしてください。
けさ3時の天気図ですけれども、この日本海に1つ低気圧がありますが、この低気圧がきょう午後になると、北日本を通過していく見込みです。
きょうの雨や雪の移り変わりですけれども、ここが低気圧による雲で、この雲がこのあと東へ進んで、夕方ごろになると、北日本を通過する見込みです。
この紫色の所は、雪が強まる所ですが、この東北の北部を中心に雪の強まる所、多くなりますので、一気に雪が降って、雪が積もりそうですね。
太平洋側にかけても雪の降る所が多く、夜になると、冬型の気圧配置に変わって、かなり風が強まる見込みです。
風が強くて雪が降りますので、ふぶく所も多くなりますから、見通しの悪い所も多くなる見込みです。
その天気が、あすにかけて続き、あすは強い寒気も流れ込んできますので、北陸でも雪が降りそうです。
あすにかけての雪の量ですが、北海道や東北、50センチから60センチ。
また風もかなり強くなりますので、あすにかけて吹雪に注意をしてください。
そして年末年始にかけてのお天気です。
来週の初めにかけて、日本海側では雪が降りますので、雪のかなり積もる所も出てきますから、スキー場はとりあえず、安心する所もね、多くなりそうです。
中條さん、スキーに行くって言ってましたね。
太平洋側は、比較的晴れる日が多く、名古屋から那覇にかけても太平洋側は晴れの天気、続く見込みです。
気温が来週の初めはかなり低いんですが、年が明けると気温が少し高くなる見込みです。
寒気も来年の初め、さる年の初めは去るということになって、少し暖かくなりそうです。
初日の出はどうですかね?
見えそうですね、太平洋側ではね。
2015/12/26(土) 08:15〜08:45
NHK総合1・神戸
週刊 ニュース深読み[字]
▽新国立競技場の整備計画決定・デザインのねらいは?建築家の隈研吾氏が生出演▽「夕張メロン」「神戸ビーフ」地理的表示保護制度で初の登録▽年末年始・気になる天気は?
詳細情報
出演者
【出演】建築家…隈研吾,【キャスター】中條誠子,高井正智,【気象キャスター】南利幸,【リポーター】徳永圭一,中山準之助
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ニュース/報道 – 定時・総合
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スポーツ – スポーツニュース
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