(テーマ音楽)
冷え込み増す晩秋。
川霧が山々を包みます
山あいを貫き豊かに流れるのは阿賀野川
河口からおよそ70km福島との県境にある新潟県阿賀町です
江戸の昔から日本海と会津地方を結ぶ交通の要衝として栄えてきました
がん木の下を歩いていくと
神社で朝市が開かれていました
神社の境内で朝市って珍しいですね。
魚屋さんだ。
立派な鮭。
塩鮭に身欠きにしん。
内陸では取れない魚が並んでいました。
300年以上前から続くというこの市。
阿賀野川を船で運ばれてきた海産物を売ったのが始まりと言われています
やっぱここの朝市のお魚はいいですか?ああここの魚はいいねえ。
良心的だからいいよ。
神社に程近い川のほとり
何か看板がありますね。
「津川河港」?船着き場の跡ですねこれ。
残ってるんだな。
昭和30年代まで使われていた港の跡です
かつて多くの川舟が行き来したこの港。
日本海からは海産物や塩会津からは米や木材が集まりにぎわいました
古くから暮らしを支えてきた阿賀野川
今は遊覧船でその流れを楽しむ事ができます
こんにちは。
いらっしゃいませ。
変化に富んだ川沿いの風景を眺めながらおよそ40分の船旅です
おお〜。
水がもうすぐそこまで来てる。
40年前からこの遊覧船の船頭をしています
代々川舟の船頭をなりわいとする家に生まれ16歳の頃から船に乗ってきました
この川は昔から「船頭泣かせの川」と呼ばれています
流れが岩場にぶつかって出来る「渦の巻」。
近づくと転覆の恐れもあります
この川を知り尽くしている長谷川さん
巧みに舵を切り船を進めます
阿賀野川どんな川ですか?怖い時は怖い。
優しい時は優しいね。
まあ40年も乗ってると慣れと経験だけさ。
どこに何あるどこに障害物あるどこに魚がよどむとかみんな分かるもん。
長谷川さんは今長年培ってきた技術を後輩に伝えようとしています
親方これぐらいでいいですか?2,500ぐらいですよ。
これいいですか?2,500ぐらい…。
もうちょっと上げてもいいな。
もうちょい上げます?こんなもんですか?
川舟の船頭としての誇りを胸に長谷川さんは舵を取ります
川一生を懸けたみたいなもんだね。
16〜17から遊びもほとんど川に遊んだし商売も川でやったわけだ。
この川は宝の川ですよ。
12月
町では冬支度が始まっていました
よいしょ。
この時期盛んに行われるのは漬物作り
阿賀に古くから伝わる「切り漬け」です。
ざく切りにした大根やニンジンを糀に漬け込んで作ります
糀で漬ける事で鮮度が保たれ味にもコクが出ます
町には古くからの糀屋さんがありました
こんにちは。
いらっしゃいませ。
糀ってどれですか?糀はこれが糀です。
これ?はい。
あれ?これが糀?もっとドロッとしたものかと思った。
女将の山京子さん。
150年続く老舗の味を守ってきました
甘酒に漬け物みそ。
糀を使った品物が並んでいます
じゃあいただきます。
はい。
身欠きにしんの糀漬けを頂きました
うわ〜すごいうまみが濃厚な。
そうですね。
どうも。
(山)は〜いいつもどうも。
糀4升もらっていくかね。
この時期店にはお客さんが絶えません
塩糀。
そしたら500と1kgあるけど?1kg。
いつもの大きいの。
それ1つ頂戴。
はいありがとう。
糀で魚を漬けたり塩辛作ったりいろんな何か使える。
あと煮物なんかにも入れるしね。
朝6時。
仕込みが始まります
糀は蒸した米に菌をまぶし丸2日間発酵させて作ります
山さんの娘婿小森田智哉さんです。
糀作りを一手に引き受けています
最も重要なのは発酵を促す室での温度管理です
糀の発酵に適した温度はおよそ35℃
温度が一定になるよう手の感覚を頼りにかき混ぜます
赤ちゃんと一緒で何も言葉言わないんで。
だから今暑いのか寒いのか喉が渇いてるのかとか。
喉が渇いてそうだったらちょっと湿度上げたりとか寒そうだったらこれをもうちょっと厚手の布をかぶせたりとか。
こっちが糀の気持ちを考えてあげる。
小森田さんは以前東京の家電量販店で働いていましたが6年前妻の実家であるこの店を手伝う事になりました
それまで糀は見た事もなかった小森田さん
しかしここで働くうち糀が地域の食を支えてきた事を強く感じるようになりました
今では糀についてより深く学びながら伝統の味を守っていきたいと考えています
やっとものを作れるようになってこれからもどんどんいいものを目指そうっていう時なので将来次の世代にバトンタッチできるように何代も何代も続いていくようになっていればいいなと思いますね。
かつて阿賀野川を通って多くの物資が集まった阿賀町
ここから東へと延びるのが…
街道沿いに歴史を感じさせる旧家が残っていました
大きなおうちだ。
ごめんください。
は〜い。
は〜い。
今行きます。
いらしたいらした。
どうもどうも。
こんにちは。
この家に暮らす…
165年前に建てられたという渡部さんの家
参勤交代で越後の大名が江戸との間を往来する際休憩する本陣として使われました
殿様が休んだ部屋が今も残されていると聞き案内してもらいました
この次が殿様の間になって…称しておるんですが。
いっぱいお部屋があるんですね。
こちらが殿様の間?そう言うんです。
家の一番奥には武士が好んだという…
以前は妻と2人暮らしだった渡部さん。
3年前に妻が施設に入ってからは一人で家を守っています
戸を開けて風を通したり隅々まで掃除をしたり。
古い家を大切に手入れするのが日課です
かやぶき屋根を維持するために続けている事もあります
いろりでまきを燃やし天井を煙でいぶすのです
虫などによって屋根が傷まないよう長年続けている事です
この家屋だってやっぱり人間に例えれば呼吸をしているようなもんですからお天気がいい時は新しい空気も入れたいし。
この歴史をしっかり生きてるかぎりは守ると。
この日新潟市に住む長男と孫の家族がやって来ました
家の周囲を板で覆う「雪囲い」。
1mを超す雪に覆われる阿賀では欠かせない冬の備えを手伝います
(渡部)今日はどうもありがとうね。
元気でまた来てちょうだいよ。
お手伝いに。
乾杯で悪いけど。
いただきます。
やっぱり心配ですよね。
高齢になってきたし。
特に冬なんか。
この大きな家を一人で切り盛りしてやってるんでね心配は心配で。
みんな離れてますけどやっぱりここは大本なんで。
この家を大事に維持したいなと思いますね。
うん…。
ちょっと言葉が出ねえわ。
うれしくて。
ありがたいと思います。
やっぱりこれも生きた喜びですね。
こういう…考えは。
年が取ったほど一層身にしみます。
忘れ物は?ないか?バイバーイ。
は〜い。
ああよかった〜。
うれしかった〜大勢来て。
また来るって…。
いいなあこのうちで。
守り続けた家で今年もまた冬を越します
(テーマ音楽)
雪の世界はもうすぐそこです
(テーマ音楽)2015/12/26(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「川の道 息づく町〜新潟県 阿賀町〜」[字]
阿賀野川が流れる新潟県阿賀町。江戸の昔、新潟と福島の会津地方を結ぶ物流の中継地点である“川港”を中心に栄えてきた。川とともにある昔ながらの暮らしに出会う旅。
詳細情報
番組内容
新潟県東部、福島県との県境にある阿賀町。江戸時代は会津藩に属した山間の町です。町を東西に流れるのは、会津から日本海に流れ出る阿賀野川。交通や物流の要所として古くから栄えてきました。町には今も、“川港”としての文化が息づいています。遊覧船の船頭として川とともに生きる人、150年続くこうじ屋の後を継ぐ職人、会津街道沿いに残る歴史ある建物を守る人。川とともにある昔ながらの暮らしに出会う旅です。
出演者
【語り】山田敦子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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