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高浜原発“再稼働認めず“仮処分 きょう改めて判断
12月24日 5時58分

高浜原発“再稼働認めず“仮処分 きょう改めて判断
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福井県にある高浜原子力発電所の3号機と4号機の再稼働を認めないとしたことし4月の仮処分の決定に対し、関西電力が異議を申し立てたことについて、福井地方裁判所は24日、改めて判断を示します。高浜原発3号機と4号機は仮処分の決定で再稼働できない状態が続いていて、裁判所の判断が注目されます。
福井県高浜町にある関西電力の高浜原発3号機と4号機について、福井地方裁判所はことし4月、福井県などの住民9人の申し立てを受けて、「原発の安全性は確保されていない」として、再稼働を認めない仮処分の決定を出しました。
決定に対して関西電力は異議を申し立て、福井地裁の別の裁判長によって審理が行われました。関西電力は「想定した地震の大きさは妥当で、設備の安全性も問題ない」と主張したのに対し、住民側は「想定された地震の大きさは不十分で、深刻な事故が起きるおそれがある」などと主張して全面的に争いました。双方の意見を聞く手続きは先月終わり、福井地裁は24日午後、改めて判断を示します。
高浜原発3号機と4号機はことし2月、鹿児島県の川内原発の次に原子力規制委員会の審査に合格し、関西電力は来年1月下旬以降の再稼働を目指しています。しかし、仮処分の決定で再稼働できない状態が続いていて、裁判所がどのように判断するのか注目されます。
また福井地裁は、福井県おおい町にある関西電力の大飯原子力発電所の3号機と4号機の再稼働を認めないよう求めた住民の仮処分の申し立てについても24日、判断を示すことになっています。

審理の主な争点

今回の仮処分の審理で主な争点になったのは、原発で想定される最大の地震の揺れ「基準地震動」の妥当性と、地震に対する原発の設備や機器の安全性、それに、原子力規制委員会が新しく策定した規制基準の合理性についてでした。
このうち、1つ目の基準地震動について、関西電力は「最新の研究と科学的根拠に基づいて高浜原発の基準地震動を策定しており、信頼性は高い」と主張しました。そのうえで、高浜原発の周辺の地下で詳細な調査をした結果、地震が増幅するなどの地域的な特性は確認されず、基準地震動を上回る地震は起きないと主張しています。
これに対し、住民側は「科学的な根拠が十分でなく、算出される揺れの大きさは実際の地震と比べて小さくなる可能性がある」と主張しました。そのうえで、国内で観測された最も大きな揺れを基準地震動として設定するべきで、今の基準地震動を超える揺れによって深刻な事故が起きるおそれがあると主張しています。
2つ目の争点、地震に対する設備や機器の安全性について、関西電力は基準地震動と同じ大きさの揺れが原発に到達したという想定で設備に加わる力を計算した結果、機能が失われることはないと確認していると主張しました。
これに対し、住民側は基準地震動を上回る大きな地震によって設備が変形して機能が失われる可能性があると主張しました。
3つ目の争点の規制基準について、関西電力は「福島での事故の調査結果や国内外の最新の研究成果を踏まえて策定されたもので合理的だ」と主張しました。
これに対して、住民側は「規制基準は緩やかすぎて原発の安全性は確保されていない」と指摘した前回の仮処分の決定は妥当な内容だとしたうえで、事故に備えた住民の避難計画が規制基準に基づく審査に含まれていないなど基準は不十分だと主張しました。

高浜原発と大飯原発 審理の経緯

高浜原発の3号機と4号機について、福井県などの住民9人は去年12月、再稼働しないよう求める仮処分を申し立てました。
高浜原発3号機と4号機はことし2月、鹿児島県の川内原発の次に原子力規制委員会の審査に合格し、福井地方裁判所の当時の裁判長は再稼働の時期が迫っているとして、住民と関西電力の双方から意見を聞く手続きを2回で終えました。そして、ことし4月、「国の新しい規制基準は緩やかすぎて安全性は確保されていない」と指摘して、再稼働を認めない決定を出しました。
これに対して、関西電力は「科学的、専門的な知見を踏まえずに独自の観点で判断された」として異議を申し立て、福井地裁の別の裁判長がこれまでに4回、意見を聞く手続きを行いました。地震に対する原発の安全性などを巡り、住民と関西電力がそれぞれ主張して争ってきました。
一方、大飯原発の3号機と4号機については、京都などの住民5人が去年12月に仮処分を申し立てました。担当する裁判長は高浜原発と同じで、主な争点が重複するとして、高浜原発と同じ日に審理されました。
大飯原発については、これまでに6回、意見を聞く手続きが行われ、ことし11月、高浜原発と同じ日にすべての審理を終えていました。

高浜原発 手続きの現状

高浜原発3号機と4号機について、関西電力が原子力規制委員会に示している計画では、3号機は今月下旬、4号機は来年1月下旬に原子炉に核燃料を入れ、3号機は来年1月下旬、4号機は来年2月下旬に原子炉を起動して再稼働させるとしています。
このうち3号機では、これまでに新たに設置した重大事故対策の設備などの性能の検査を終え、原子炉に核燃料を入れることができる段階になっています。
こうしたなかで再稼働に必要な地元の同意も進み、今月3日には高浜町の野瀬町長が同意しました。さらに、福井県の西川知事も22日、再稼働に同意する考えを表明しました。西川知事は、高浜町や県議会の意見、それに国や電力会社から示された方針を総合的に考慮して同意を決めたと説明しています。
これで、立地自治体と県の同意が出そろいましたが、関西電力は福井地方裁判所がことし4月に出した仮処分の効力が続いているうちは3号機の原子炉に核燃料を入れないとみられます。
ただ、福井地裁が24日、再稼働を認める判断をした場合、関西電力は3号機の原子炉に燃料を入れ、再稼働に向けた最終的な準備を進める計画です。逆に再稼働を再び認めない判断が出た場合、引き続き再稼働の時期は見通せない状況になり、裁判所がどのように判断するのかが焦点になっています。

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