トリハダ(秘)スクープ映像100科ジテン 4時間スペシャル 2015.12.24


今夜はまずはクリスマスプレゼントに大喜びするこちらの3姉妹から。
(2人の叫び声)オーマイゴッド!プレゼントはずっと欲しかった発売当日はマンハッタンのおもちゃ屋さんに3000人以上の行列が出来たほど。
3姉妹もずっとこれをサンタさんにお願いしていたんです。
ちなみにお値段は…。
続いてのプレゼントもゲーム機。
ノア君は3年間も待ち続けていました。
イエーイ!イエス!イエーイ!イエーイ!イエーイ!ワオ!イエス!
(叫び声)イエーイ!欲しかったイエーイ!イエーイ!3年間待ち焦がれたプレゼントまさに魂の雄叫び。
続いてこちらの3兄弟のもとには夢にまで見たあるチケットが…。
(3人の叫び声)3人がもらったのは…。
アメリカのプロレスWWE。
毎週1400万人がテレビ観戦しているという大人気の団体。
選手たちは試合のみならず子ども番組の中にも登場し全米のちびっ子たちに大人気。
3人にとってはまさに嬉しすぎて…。
ちなみにリングサイドのお値段はおよそ1万5000円。
そしてプレゼントで大興奮の子どももいれば…。
こちら7歳のリース君は…。
(泣き声)ちなみに欲しかったプレゼントは大号泣といえば…。
以前『トリハダ』で紹介したアメリカに住むリリーちゃん。
その訳は?6歳の誕生日にもらったサプライズプレゼント。
リリーちゃんはディズニーランドに行ってミッキーマウスに会う事が夢。
(泣き声)夢にまで見たディズニーランドに行ける!リリーちゃん大号泣!
(母親)アイラブユー。
お家があるユタ州からカリフォルニア州のディズニーランドまで飛行機で2時間1000キロの旅。
憧れのミッキーとご対面。
夢にまで見た瞬間。
さらに2年後8歳になったリリーちゃんにパパとママからまたもやサプライズが。
いつものようにお父さんの車で学校に向かうリリーちゃん。
しかし…。
ノースクール。
すると…。
イエーイ!オーマイゴッド!リリーちゃんまたもや大号泣!パパのお休みが取れたのでという事で…。
リリーちゃん2度目のディズニーランドへ。
今夜はクリスマスイブ。
テレビの前のみんなにはどんなプレゼントが届くかな?
(拍手と歓声)もうでもあの表情見ると…。
あれは親もねプレゼントの渡し甲斐があるんじゃないんですか。
あんなに喜んでくれたら…。
花音ちゃん今年何か頼んでるの?やっぱりゲームなんだね。
ゲームが欲しい?はい。
(佐野)います!
(観客の笑い)カナダの豪雪地帯でとんでもない物体を発見!
(警笛)とてつもない雪煙を上げながら突進してくるのは…。
こちらはアメリカとカナダを結ぶカナディアン・ナショナル鉄道。
そのため冬場は一両目の車両が全て除雪車になっているという。
先端にある排雪板はなんと4メートル。
これで最大2メートルの積雪まで時速64キロで走行可能。
カナダの冬の風物詩でした。
アメリカオクラホマシティのテレビ局。
この駐車場には空から次々降ってくるものの正体は…。
それはとんでもない衝撃。
車のフロントガラスもこのありさま。
一体その原因は東京タワーの高さをはるかに超える…。
480メートルの電波塔。
これを支えるため直径3センチの鉄線が12本張り巡らされておりここに積もった雪が氷の柱となって落ちてくるのだ。
例えば蛍光灯のサイズの氷の柱が地上480メートルから落ちてくると…。
この状態今も改善されておらず「冬は出来るだけ駐車しないように」だそうです。
ロシアのとある坂道を上る1台の車。
どうやら雪で制御不能になっている。
(男性)急げ!急げ!
(男性)おいぶつかるって…危ない!間一髪すり抜けた!カナダで大人気のロケリポーターロブさん。
この日はゲレンデから疾走するソリ。
真横を通り過ぎるはずが…直撃!カナダの珍プレー大賞ロブさんでした!映画の撮影で雪山の斜面をかけ上がるスノーモービル。
このあと大きな雪崩!そして映画の撮影で雪山の斜面を駆け上がるスノーモービル。
このあと大きな雪崩!完全に巻き込まれた。
必死で捜索する撮影スタッフ。
これは雪山で埋もれていた場合生死の境目といわれる時間。
最悪の事態になってしまうのか!?
(男性)いたぞ!大丈夫か?スタントマンは雪山を疾走するスノーモービル。
実は今…。
なんとこれから1000メートル先まで駆け上がる。
(恵)上ってるの?頂上まであと50メートル。
その時!
(男性)うわーっ!なんと頂上目前岩に乗り上げ転倒。
今上ってきたばかりの50度の急斜面を滑り落ちていく。
滑り続ける事500メートル。
ようやく止まった。
自分が乗っていたスノーモービルが…。
またもや滑り始める。
すでに頂上から800メートルも落下。
一向に止まらない。
仲間がようやく救助に駆けつけ事なきを得た。
1分ほど前に出発した仲間のスキーヤーが見当たらない。
すると…。
なんとスキーヤーは雪に頭から足首まで埋もれていた。
一体なぜこんな状況になってしまったのか?原因は…。
樹木の表面は雪より温度が高い。
そのため表面に接する雪が溶け周りに穴が開いたような状態になる。
新雪が降ったあとははっきりと穴が確認出来ないため特に危険!そこにスキーヤーは落ちてしまったのだ。
この時それが空気を遮断し始める。
このままでは窒息死。
雪に埋もれて生死を分けるタイムリミットは20分。
(男性)ほらおい早く。
(男性)ダメだ!沈んでいく。
仲間とともに懸命に掘り起こそうとするがスキーヤーを仲間を1分ほど前に出発した仲間のスキーヤーが見当たらない。
すると…。
なんとスキーヤーは雪に頭から足首まで埋もれていた。
この時それが空気を遮断し始める。
このままでは窒息死。
雪に埋もれて生死を分けるタイムリミットは20分。
(男性)早く!
(男性)ダメだ!沈んでいく!仲間とともに懸命に掘り起こそうとするがスキーヤーを発見してからすでに20分が経過。
(男性)よし引き上げるぞ。
12…。
(男性)しっかり!もう少し!スキーヤーは生きていた!ヘルメットのおかげで呼吸の熱が氷に伝わりにくくなり溶けて空気が遮断されるまでの時間を稼げたのだ。
皆さんもツリーホールにはご注意を。
続いてはUSJ全面協力大人気エリアハリー・ポッター誕生の秘密!大阪市。
12月を迎えクリスマスイベントに沸き立っている。
およそ53万個の電飾で彩られた光のツリーは…。
今年も多くの人々を楽しませている。
だがあなたはご存じだろうか?わずか5年前USJは負のスパイラルの真っただ中。
破たん寸前の運命にさらされていた事を。
開業はユニバーサル・スタジオ・ジャパンオフィシャリーオープン!イエーイ!USJは1250億の開業資金で日本中の注目を集める中華々しくデビュー。
現在世界に4つあるユニバーサル・スタジオのうちハリウッドフロリダに次いで3番目に誕生したUSJはいきなり集客数1000万人を突破した。
ところが2年目の集客数はおよそ350万人も減少。
その後も鳴かず飛ばず。
それが実情だった。
当時の空気を社員たちはこう語る。
せっかく作ってきた上で…。
開業資金で借り入れた1250億円がのしかかり経営破たん寸前。
そこまで追い込まれていたそうハリー・ポッターのエリア。
総額450億円をかけ大ヒット。
今年10月には月間集客数175万人ついに東京ディズニーランドを抜いたと報じられた。
そんな大ヒットエリアよろしくお願いします。
聞こえるって。
ヘッドハンティングされUSJへやって来た森岡毅。
だが森岡さんハリー・ポッター総額450億円の資金繰りと反発する社員たち。
決して諦める事なく見事ハリー・ポッターを完成。
を実現してみせた。
USJに奇跡のV字回復をもたらした森岡マジック。
ハリー・ポッター誕生に秘められたもう1つの魔法をトリハダスクープ!の苦境にいた。
ゲストは戻って来るのかしら…。
開業した2001年こそ年間集客数1100万人を記録したがその後は減る一方。
何をどうしても客は一向に増えなかった。
そんな時一人の男がUSJにやって来た。
森岡君だ。
今ご紹介にあずかった…。
よろしくお願いします。
(一同)お願いします。
森岡が配属されたマーケティング部とは…。
USJのアトラクションやショーイベントまで何をやるか全ての決定権を持つ中枢部署。
その部署の部長とはいわば負のスパイラルから脱却したい前社長が送り込んだ切り札だった。
当時38歳の森岡はそれは企画会議での事だった。
とはっきりしています。
そもそもUSJはアメリカのユニバーサル・スタジオがハリウッド映画をより楽しめるテーマパークを作ろうと始めたもの。
当然社員も映画好きが揃い会議は決まってそんな議論に花が咲いていた。
すると森岡は…。
なぜなんでしょう?そうだそうだ!森岡さん全然わかってないですよ!ここから始めましょう。
社員の反発をくらうのが目に見えている衝撃発言。
そこには…。
があった。
実はあなたのような人はそう多くはいません。
それは…。
その傾向を調査したデータだった。
日本人が1年間で消費する様々なエンターテインメントの中で映画が占める割合は森岡の調査によるとわずか1割。
その衝撃の言葉で森岡が伝えたかった事それは…。
知らず知らず変えられないと思い込んでしまう固定観念を疑う事。
そこにこそ…。
森岡は元々神戸大学を卒業しデータに基づくマーケット分析で爆発的なヒット商品を生み出してきた。
しかしそんな前の職場で…。
苦楽をともに頑張ってきたチームは解散。
部下が移動を余儀なくされた過去を持つ。
そんな挫折から森岡は1つの信念といえる答えを導き出した。
これこそが会社がそして部下たちが歩く道を信じられるようになる方法だと。
だがそれは新しいものがどんどん生まれては消えるエンターテインメント業界で最も難しい事だ。
森岡はそして再び企画会議が…。
そこにはそんな対決図式が当然生まれていた。
今まで培ってきた映画のテーマパークという誇りを見失い社員には反発しかなかった。
森岡への反発が充満する会議室。
そんな中森岡は再び衝撃の発言をする。
どういう事でしょうか?え?はあ?ハハハハ…。
(森岡)いいえ。
一体どういう事なのか?エルモ遊びにきたよ!実はUSJは2005年頃からハリウッド映画だけではなくキャラクターイベントも導入していた。
ゴムゴムのJET銃乱打!その1つに確かにワンピース・ショーもあるにはあった。
しかし映画のテーマパークという固定観念からか映画の主力イベントの陰で細々と行われているだけだった。
そんなワンピースを森岡はなぜ選んだのか?えっ!?2億!?そんなに出てるの?森岡が提示したのは得意のマーケティングデータ。
つまり…。
森岡は勝利を確信していた。
暗いよね。
ホントはもうちょっと明るい方がいい。
全体的にですか?ああそうかも。
これまでUSJでは前面に押し出した事がなかった映画以外のコンテンツ。
森岡はそのテレビCMまで作りガンガン放送させた。
当時実際に放送されていたCMが残されている。
(ルフィ)ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのワンピース・プレミアショーを見逃すな!
(ナレーション)想像を超えるリアルな世界。
(ルフィ)ゴムゴムの巨人の銃!
(ナレーション)あの大技が目の前で放たれる!あの男たちも…。
さらにパーク中で何かが起こる!
(ルフィ)ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで会おうぜ!これまでは火薬を使った派手な演出と歌やダンスがメインだったが…。
森岡はプロジェクションマッピングを導入。
アクションもグレードアップさせた。
(観客)おーっ!すると…。
USJに『ONEPIECE』ファンが押し寄せた。
この大成功を皮切りに2011年の年間入場者数は100万人以上もアップ。
上向きに転じた。
同時にこれは映画だけのテーマパークという必要以上に狭くなっていた社員たちの考え方に風穴を開けた瞬間でもあった。
そんな森岡について当時ワンピースを担当していた金谷さんは…。
まずねだがこの実績は森岡にとってただの森岡は次なる復活への道しるべを示す。
ええっ!?ちょっと…ちょっと…。
だからやるんです!ランド・オブ・オズは名作『オズの魔法使い』をモチーフにしたアトラクションが集合したエリア。
およそ3万平方メートル。
当時USJの10分の1の面積を占めていた人気のアトラクションだった。
そのランド・オブ・オズを壊せと言う。
USJに今来ている
(森岡)驚きました。
森岡が提示したのはひと家族3から4人だとすると年間およそ70万人もの顧客ターゲットが生まれる事になる。
USJに来ているそのとおり!USJに来てくれる人はどんどん増えているのにうちにはそれを引きつけるエリアがありません。
当時のUSJにはそれはデータだけでなく自らの体験に裏打ちされていた。
実はUSJに入社してすぐの頃4歳から12歳まで1男3女の父だった森岡は市場調査を兼ね家族でUSJで遊んだ事があった。
その時こんな事を体験していたのだ。
あれ?ええー…残念。
えっ…これも?ええー?が設けられている事に気づいた。
全然ダメだな。
ええー…。
バイバイ!一家はやむなく年長組と年少組に分かれて遊ばざるを得なかった。
そして1時間後…。
やだー!その結果USJは家族連れが楽しめる場所とは到底言えない事に気づいた。
忘れ物するなよ。
よーしじゃあ行こう。
2012年森岡がランド・オブ・オズを取り壊しその跡地に造ったのが…。
世界中のユニバーサル・スタジオで日本にしかないしかもそのエリアには…。
など。
映画にこだわらず世界中の子どもたちに愛される人気キャラクターが大集結。
ファミリー層がUSJを楽しめる新設エリア。
その効果は数字の上にも如実に表れた。
入場者数はさらに前年より100万人増加。
ワンダーランドの設計リーダーを務めたマットさんはこう語る。
そういう映画ベースの世界。
って言われた事がある。
結果はものすごい評判が高いユニバーサル・ワンダーランドになりましたですね。
森岡の読みは見事に的中。
なんか森岡さんってすごいですよね。
あなた去年とはまるで言ってる事が違うじゃない。
そうですか?だってあらどうしたの?そうだよ。
バーカ。
そしてこのあといよいよ森岡が入社して2年。
USJを回復軌道に乗せた森岡はついに満を持してある計画を発表した。
それはマーケティングの鬼が入社当初から胸に抱いていたイギリスの作家J・K・ローリングが書いた全7巻の超ベストセラーファンタジー。
次々と映画化され世界中で大ヒットを記録した。
実はこのハリー・ポッターのエリアこそが森岡最大の復活マジックだった。
ここまで森岡がやってきた事はその布石にすぎなかったと言っても過言ではない。
USJが映画だけのテーマパークという固定観念に縛られたままではせっかく魅力あるプロジェクトを提示しても負のスパイラルを断ち切れる可能性は低い。
社員たちに映画だけというこだわりを捨て発想を豊かにしてほしかったのだ。
さらにファミリー層の顧客をあらかじめ掘り起こしておく事でハリー・ポッターへの動員力を強くしておく。
ワンダーランドはそのための欠かせないステップだった。
だが森岡の宣言を聞いてもなぜか社員に歓声は上がらなかった。
『ハリー・ポッター』。
それは本家アメリカでも難物中の難物とされた超巨大プロジェクトなのだ。
ハリー・ポッター計画。
たった数億円では到底造れない。
えーっ!そんなに?そうハリー・ポッターにかかる費用は…。
当時USJは森岡の手腕で盛り返していたとはいえその半分以上を1つのアトラクション建設に投入するなど自殺行為と言われても仕方がなかった。
ハリー・ポッターの総額450億円を捻出するには他の年間予算を抑えるしかない。
それが森岡が会社から突きつけられた条件だった。
たった数億円では話題になる新しいアトラクションなど到底造れない。
その日からUSJの中を歩き回る森岡の姿があちこちで見られるようになった。
おい。
森岡さんまだあそこに立ってるぞ。
マジで?もう2時間になるぞ。
森岡さん。
おお。
思い切って話しかけてみると…。
昔こんな事を言われたんですよ。
それは前の職場の上司が口癖のように言っていた言葉だった。
なあ森岡。
その言葉を胸に森岡は自社製品が並ぶ販売店を歩き客の様子を観察したり…。
2万5288円。
あっそうですか。
店員に話を聞く事で様々なヒントを実際に得てきた。
自らの足で現場を歩き感じる。
それがマーケティングの鬼と呼ばれた冷徹にも思える男の心の奥に秘められていた熱い思いだった。
そして…。
ちょっと俺…。
なんだ?お前もか?ええ。
(男性)わ〜お!社員それぞれが感じ取った森岡イズムがUSJを1つにまとめ始めていた。
世界のどこにも負けないそんな中森岡にえ?森岡はすでにあった前向きのコースターを後ろ向きにリノベーションする事でコストを抑えかつ集客力アップに結びつけられると考えたのだ。
その熱意は技術スタッフも動かした。
安全性の問題も改良でクリア出来た。
すごい…!そして構想1年。
ついにその実際の映像がある。
(叫び声)
(叫び声)それはありそうでなかった未知のアトラクション。
このアイデアが予想以上の収益をもたらしかかった予算も新規開発の10分の1で済んだ。
オープン当初の1枚の写真がある。
後ろ向きコースターに長蛇の列が。
待ち時間はなんと最高9時間40分を記録!そして入場者はついに1000万人を超え1050万人に!それは森岡の魂がもたらした快挙だった。
USJはついにここでいよいよUSJはついについに今日からハリー・ポッターの建設が始まりました!
(歓声)森岡が掲げた計画はいつしか社員一丸の夢になっていた。
そしてここでも毎日のように見回っていた建設現場での事。
えっ?どういう事ですか?トイレは古くないとダメってどういう事ですか?森岡は決めていた。
もちろんそれは少し古びた感じにデザインする事で『ハリー・ポッター』の世界観により近づけるという狙いだった。
ちなみにこちらは他のエリアのトイレ。
ごく一般的なものだ。
一方…。
森岡の主張で完成したハリー・ポッターエリアのトイレがこちら。
全く違っている。
さらにトイレ空間自体もこのように天井から床までがっつり古く見せる加工を施した。
森岡がここまで徹底させたのにはそれは森岡がまだ入社する前の事。
USJにある問題が起きていた。
ピーターパンのネバーランドという水上ショーに登場した海賊船。
この海賊船USJの加工技術があまりに高く少々懲りすぎた結果ゲストからクレームが集中。
当時は非難ごうごうとなったこの加工技術。
森岡はこれこそUSJが誇る財産だと考え入社当初から職人たちにこう声をかけてきた。
よろしくお願いします。
森岡は確信していた。
この職人たちの技術こそ日本のUSJを世界のUSJに押し上げるのに必要不可欠なものだと。
その舞台には『ハリー・ポッター』こそがふさわしいと考えていたのだ。
森岡さんどうですか?これ。
(森岡)素晴らしいじゃないですか。
さすがはケンサクさんだ!でしょう?ハハハ…。
さらに…。
(森岡)まるで本物みたいだ。
ですよね。
こうしてUSJのハリー・ポッターには日本オリジナルの要素が次々と加えられた。
中でも今やUSJきっての写真撮影スポットになったこの場所。
そう湖面には逆さ富士ならぬ逆さホグワーツ城が。
なんとも言えず和を感じる風景だがここはあくまで『ハリー・ポッター』の世界。
日本の職人がその世界をリアルに追求した結果こんな不思議な風景が生まれたのだ。
そして…。
「さあそれではもう間もなく…」「重要なニュースがこのステージへと届けられるようです」
(鐘の音)「ThePrimeMinisterofJapanShinzoAbe」
(音楽)ついにお披露目されたハリー・ポッター。
そして…。
7月に行われた前夜祭では初めは反発していた社員たちが森岡を中心に最高の笑顔を浮かべていた。
を占める巨大な魔法の国。
その爆発的人気はすさまじいものだった。
この年USJの入場者数は開業時を上回る1270万人。
森岡が入社してわずか4年でゲストは実に500万人も増えた。
それは経営破綻寸前だったUSJが奇跡のV字回復の雄叫びを上げた瞬間だった。
そしてUSJに奇跡をもたらした男を『トリハダ』が直撃。
私のやり方っていうのは結局なんかこうみんな…部下をね夜の時間はそういう事に僕は使わないので。
なのでそれは…。
実際に結果が出るまた勝ったまた勝ったまた勝ったまた勝った…。
僕一個だけ信じてて彼らはなんかこう頑張り続ける事自体に疲れ切ったわけじゃないですけど結構結果が出ない状況の中で彼らに本当にこの方向に…。
ナンバーワンベネフィットといいますけど…。
「いやあ…私ベスト尽くしました」っていうベストではないんですよ。
それが自分でもその自分のベストはどこにあるのかっていう森岡毅と日本を代表するテーマパークユニバーサル・スタジオ・ジャパンの挑戦はこれからも続く。
(拍手)花音ちゃんは行った事ありますか?はいあります。
すっごい楽しかったです。
やっぱりハリー・ポッターのところがすごいですか?ハリー・ポッターすごかったです。
杖が欲しい。
前はなんか大阪に行くついでにUSJ寄って帰ろうかなっていう感じだったのがUSJだけに日帰りでもう東京から出かけるぐらいリピーターがすごい増えてて…。
やっぱりこういう熱い魂があるんだなあ森岡さんのって思いました。
すごい人ですね森岡さんって。
本当に1人の情熱で変わってしまう…?50億円の金銀財宝を奪った怪盗たち。
南米アルゼンチンで銀行を襲った武装グループは行員一般客合わせて23名を人質に立てこもっていた。
対する警察は警官200名のみならず特殊部隊まで出動。
その一部始終をメディアは克明に伝えた。
そして事件発生から7時間経ったその時…。
いまだ多くの人質が捕らわれたまま特殊部隊が強行突入。
人質の家族は誰もがだが…。
犯人グループは誰一人傷つける事なく現金19億円と金や宝石類総額およそ50億円とともに忽然と姿を消したという。
まるで映画のような鮮やかな犯行に国民は犯罪者であるにもかかわらず彼らを英雄視した。
犯罪史上最も大胆かつ緻密に計画された銀行強盗。
200名もの武装警官を尻目に巨額の金品を奪い去ったその全貌が…。
とともに明らかになる。
ヒーローと呼ばれた銀行強盗犯。
50億を盗み出した衝撃の手口をトリハダスクープ!南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレス。
その警察本部に1本の電話が鳴り響いた。
(電話)一報を受けたのは郊外にあるアルゼンチン屈指の大手銀行の支店に強盗が入ったという。
現場はブエノスアイレス郊外のアカスーソ。
およそ1万3000人の富裕層が住む高級住宅地。
当時アルゼンチンの労働者の平均年収がおよそ35万円といわれる中年収数千万円を超える企業経営者や高級官僚が住む一帯。
東京で例えるなら田園調布のような場所。
犯罪とは無縁な高級住宅街で起きた銀行強盗事件は…。
ミゲル刑事が現場に到着。
ミゲル刑事は多くの警官隊を動員し銀行の周囲を包囲。
狙撃隊も配備させた。
南米では生活水準が高く治安がよい国とされてきたアルゼンチン。
ところが…。
2001年の経済危機以降強盗や誘拐殺人事件などが急増。
警察も武力で徹底抗戦していた。
ミゲル刑事は余裕すら漂わせていた。
それには根拠が…。
犯人がこの強盗事件で成功するには3つの大きなハードルがあった。
リオ銀行のあるアカスーソは高級住宅地。
そのため治安が重視され周囲半径1.5キロの範囲に3つも警察署があり短時間で数百人規模の警察官が配備出来た。
実際通報から1時間以内に200名もの警官が銀行を360度取り囲んでいた。
さらにアカスーソ付近には南米最強ともいわれる特殊部隊アルコンが常駐。
狙撃強行突入など凶悪犯罪の制圧率で他を寄せ付けない組織だという。
リオ銀行の金庫室には巨額のペソ紙幣が蓄えられていた。
だが問題はその重量。
仮に10億円分を奪うとすると円やドル紙幣ならおよそ10万枚。
重さにして100キロ前後だがペソは価値が3分の1。
実に300キロもの紙幣を運ばなくてはならない。
それだけの紙幣を完全包囲のもと運び出すなど不可能に近い。
最後のハードルは…。
人質を盾に銀行から逃げ出そうとしても東は川西は大通りのみ。
抜け道などほとんどなく検問を突破するのは至難の業だ。
こんなところで銀行強盗を試みるなど素人集団に過ぎない。
ミゲル刑事はそう踏んでいた。
ただ問題は人質の命。
目撃者によれば犯人グループの武装はかなり充実している。
無傷で救う事が警察の使命だ。
犯人は一体何者なのか?警察は銀行に防犯カメラを設置した会社で映像を解析。
そこには犯人たちの正体がはっきりと映っていた。
南米目撃者によれば犯人グループの武装はかなり充実している。
午後0時20分。
銀行に入ってきた2人の男。
まず向かって右側のサングラスの男に注目してほしい。
一瞬カメラから外れ再び姿を現し振り返った瞬間…。
手には拳銃が。
さらにその直後スーツ姿の男が拳銃を手に銀行内へ。
また別のカメラが犯人たちが侵入後黒い目出し帽をかぶったのを捉えていた。
銀行内ではここから恐怖の時間が繰り広げられていた。
この時行員9人一般客14人合わせて23人が人質となった。
強盗犯の中で一人落ち着いた様子で現場を仕切っていた男。
この男こそ先ほどの防犯カメラの映像に映っていたこの男。
そうアラウホはこの銀行をあえて狙ったのだ。
よし。
事件発生から1時間が経った午後1時20分。
(電話)とりあえず犯人の要求をのむ事にした。
一般的に立てこもり事件の場合警察が最優先するのは人質の命。
犯人が説得に応じない場合時間をかけ相手の体力集中力が落ちる隙を狙い突入するのがセオリーだ。
そして午後2時。
(電話)その言葉はウソではなかった。
まず解放されたのは…。
さらに女性銀行員1人と客の老夫婦合わせて4人が解放された。
ミゲル刑事は早速4人から犯人の様子を聞き込んだ。
この時点で死者負傷者はいない事をミゲルは確認した。
その後も人命確保を最優先に30分おきにくる犯人からの要求に応え続けた。
その中には万が一を想定してか弁護士との連絡さらに逃走用と思われる車の要求もあった。
その間人質は順調に解放されていた。
圧倒的な数の武装警官に囲まれ事件発生2時間後にはほぼ全てのメディアが犯人たちの投降は時間の問題だと考えて始めていた。
そして事件発生から3時間30分が経った午後4時。
ミゲル刑事にチャンスが舞い込んだ。
それはミゲルが待ち構えていた瞬間だった。
だが事件発生から4時間経ったすでにピザは届いているのに犯人側からの連絡が途絶えてしまった。
一体どうしたのか?連絡が途絶えて2時間以上。
これまでこれほど長く要求が来なかった事はない。
中にはまだ人質がいる。
そして…。
その時生放送された実際の映像がある。
南米重装備の精鋭20名を皮切りに突入。
事件解決に大手がかかった。
だがこのあと彼らは…。
しかし…。
そこにはあっけに取られる人質たちの姿だけがあった。
犯人はどこにもいない。
ミゲルもやって来た。
残った人質はそのままに犯人グループが消え失せた。
そしてさらなる…。
犯人はなぜか札束がうなる大金庫には手をつけず貸金庫の中身だけを奪っていった。
これが実際の現場写真。
貸金庫145個の中身が全て盗まれていた。
なぜ大金庫を狙わず数が多く時間がかかる貸金庫を狙ったのか?空っぽになった貸金庫室に犯人はメッセージを残していた。
一体何を意味するのか?ミゲルはそれを同じ貸金庫室に無造作に置かれていたあるものを見てすぐに理解した。
そう犯人グループが使っていたのは弾の出ないおもちゃの銃。
犯人はこの銃で銀行を襲い貸金庫から現金19億円と重さ80キロ分時価30億円相当の貴金属など総額およそ50億円もの金品を奪い消えた。
誰も傷つけず誰も殺さず巨額の金品を盗んだまるで映画のような強盗事件。
警察は面目丸潰れ。
国民は鮮やかな手口に喝采を送った。
彼らは一体なぜ成功したのか?そしてなぜあえて条件が難しいリオ銀行を狙ったのか?ブエノスアイレス郊外のさびれたガレージに男たちが集まっていた。
集団のリーダーとして現れたこの白いシャツの男が…。
のちにアルゼンチン国民が喝采する強盗犯の中心人物…。
ここは様々なルートで札付きのワルばかりを集めた。
リオ銀行はアルゼンチン屈指の銀行。
当然セキュリティーは厳しい。
誰も…。
それは頭脳明晰な男が考え抜いた完璧な銀行強盗の計画書だった。
総額50億円世紀の銀行強盗。
実際の計画書が残っている。
金庫破りに必要な道具を自ら設計しターゲットの建物の正確な内部構造周辺の立地さらに何度も練られたタイムスケジュールなど非の打ちどころのない計画書だ。
しかしリオ銀行アカスーソ支店は難攻不落。
よりによってなぜそんな銀行を狙うのか疑問をかき立てられた彼らにアラウホはこう言い放った。
そうアラウホの目的はあくまでも貧富の差を生み続ける資本主義に一石を投じる事。
そのために資産家が多く住む街に立つ銀行を狙う事に意味があったのだ。
すると…。
こうして犯罪史上に残る世紀の強盗団は7人で結成された。
そのメンバーは…。
表の顔は車の修理工で機械に強い。
強盗の前科を持つトーレは人質の見張り役。
トーレの悪友デバウサも同じく。
口が達者な通称ネゴシエーターマリオは警察との交渉役。
車の運転がうまいフリアンは運転手と呼ばれ…。
窃盗の前科を持つルイスはアラウホとともに金庫室で働く。
それは決行まで実に1年半もの時間をかけた…。
まず正面玄関から堂々と行内に入ったのはリーダーのアラウホとトーレの2人だった。
ほら向こう行け!そこにルイスデバウサマリオも乱入。
その時カウンターにいた行員が警察直通の警報ボタンを押そうとしていたが…。
なんと見て見ぬふり。
想定済みだった。
それは3つの警察に囲まれているという1つ目のハードルを乗り越えるための行動だったのだ。
アラウホが口にしたそれは…。
ラマージョの悲劇とアルゼンチンで知られる事件。
人質6人とともに立てこもった犯人は10時間以上の籠城の末2人の人質を盾に逃走車両に乗り込んだ。
ところが…。
(銃撃音)この時人質が乗っているのを確認出来なかった警察が車めがけて一斉に発砲。
その一部始終をテレビカメラが中継していたのだ。
170発もの弾丸が車に命中し警察の信頼は失墜した。
なぜ3つの警察署に囲まれた銀行をあえて選んだのか?その狙いは騒ぎを大きくし野次馬やマスコミを引きつける事で対面第一のそして…。
ここから完璧な計画が動き出す。
アラウホは仲間に指示を出すと15分後地下のしかしあの…。
アラウホは貸金庫担当をロビーに戻した。
それにしてもなぜアラウホは大金庫ではなく貸金庫を狙ったのか?そこには2つ目のハードル紙幣の量が大きく関わっていた。
当時のアルゼンチンは5年前に起きた金融危機で通貨ペソの価値が下落。
元々1ドル1ペソだった交換比率が1ドル3ペソになった。
貸金庫には自国通貨など信じない金持ちたちがため込んだドル紙幣や貴金属がうなるほど詰まっていた。
同じ金額を盗むにしてもドル紙幣なら3分の1の量で済む。
運搬するにもこっちの方が圧倒的に効率が高い。
そう判断していたのだ。
さらに…。
アラウホには反資本主義の思想以前に義賊のような潔癖な一面があった。
悪人の中にあってもドラッグなどは絶対に許さず…。
出せ!仲間が手を染めればとことん排除した。
しかし鍵のない鋼鉄の貸金庫をどうやって破るのか?貸金庫に呼んだのはルイスと工場勤務の経験を持つセバスチャン。
彼らが運びその場で組み立てたのは…。
大型のアラウホとセバスチャンが設計しこの時のために一から作り上げた秘密兵器だ。
そうこれが5時間の根拠だった。
その頃1階フロアでは…。
実は少しずつ要求を出し少しずつ人質を解放するのは時間稼ぎに他ならなかった。
しかも約束を守りそう人質は145個もの貸金庫から中身を根こそぎ奪うための協力者として使われていたのだ。
そして自ら決めたタイムリミットが近づくとリーダーアラウホは…。
ピザを注文すれば逃亡には十分な時間が稼げる。
そんな事とは想像すらしていなかったミゲル刑事は犯人からの要求がこれを最後にパタリと途絶えた事に不安を感じ始めた。
そして午後7時15分。
(リポーター)中継です!だが犯人たちはすでに逃亡。
外は200人もの警官が完璧に包囲。
絶対に潜んでいるはず。
銀行内の全ての部屋を徹底的に調べさせた。
地下の普段は使われない物置。
隠れられる場所などなかったが…。
壁に大きな穴が!確認しようと近づくと…。
そこには手榴弾のようなものが。
これはその時撮影されたもの。
もちろんアラウホの作戦だった。
ゲッ!おい!そして30分が経った午後8時15分。
ようやく穴の中を確認。
まさかここから…?この穴の実際の映像がある。
雑然とした物置。
その壁の1つに確かに大きな穴が開いていた。
そうこの穴はアラウホの指示で犯人グループ全員で掘ったもの。
アラウホは強盗決行に先立ち毎晩銀行の近くを流れる下水道に侵入。
穴を開通させていた。
当時アラウホが実際に描いたトンネルの設計図。
まず下水道から横穴を開け出入り口を作る。
そしてそこから斜め69度ほぼ一直線でリオ銀行の地下物置の壁目前まで穴を掘った。
これはたて穴を真上から写したもの。
金品を入れた袋をつるすロープや足場も設けられている。
貸金庫の中身はこうしてこの穴から外へと持ち出された。
さらに…。
アラウホたちは2隻のゴムボートを下水道に浮かべそのボートに金品を載せ運んだのだ。
なんと下水道の出口をあらかじめ木材でせき止め水かさを増してボートが進みやすい工夫をしていたのだ。
地上に出るのはリオ銀行からおよそ1.5キロ離れた場所。
脱出地点に決めたマンホールの上にフリアンがワゴン車をピタリと止め待っていた。
そして事前に車体の床に開けた穴からこうしてまんまと銀行内から逃げ出していた。
まるで映画顔負けの鮮やかすぎる手口。
資産家の貸金庫だけから現金や貴金属を盗んだ事が知れ渡ると…。
不況にあえぎ格差社会への不満がたまっていたアルゼンチンの国民は強盗団を英雄視ヒーロー扱いすらし始めた。
を続行したが進展しなかった。
犯人グループの足取りはようとしてつかめず…。
なんとあの鮮やかな強盗事件からわずか1カ月アラウホたちはいともあっさり警察に逮捕された。
すぐに裁判が行われ犯人グループはそれぞれ実刑を言い渡され監獄へ。
そこにはあの頭脳明晰な…。
があった。
実は今回現在アルゼンチンへ飛んだ。
一体なぜ捕まったのか?その理由を明かしてくれるという。
取材をオーケーしてくれたのは…。
そう。
強盗団の中の早速真相を直撃した。
大のこれが落とし穴だった。
ブエノスアイレス警察に一人の女性が…。
すぐに事情聴取が始まった。
なんとトーレの妻アリシアが告発。
事件後山分けした大金で気が大きくなってしまったトーレは若い愛人を作り海外へ高飛びしようとしていたところを妻アリシアに見つかってしまった。
その怒りが収まらず妻が警察へ。
トーレはアリシアに三行半を突き付けられ…。
警察を手玉に取り完璧な犯行を成し得たかに思われた世紀の強盗犯は…。
痴話げんかの末に逮捕されるというなんとも憎めない結末が今もアルゼンチンで語り継がれている。
いつもと変わらぬ日本の年末。
だがそこからはるか2000キロ離れた海の上に嵐の太平洋に翻弄される1隻の貨物船が。
ここは海の男たちが恐れるそう言われるゆえんがある。
まずい!10メートルを超えるこれまでまさに魔の海域。
三角波に襲われたのはとてつもない衝撃。
そして目の前に何!?三角波に叩きつけられて船首が上を向きそして…。
船首がバッサリ波の威力で切断された。
すさまじい高波。
行くも行かぬも地獄。
(モールス信号音)どうだ?大丈夫よ。
だが救世主が現れた。
自らも遭難しかけていた近づけば二重遭難の恐れもある。
しかし…。
だんぴあ丸は危険を顧みず尾道丸の誰もがそう思っていた。
しかし…。
2隻が並んだその時…。
(船員たち)うわーっ!うわっ!大波が救出を不可能にする。
果たしてトリハダスクープ!1980年の日本はバブル景気直前でGDPは右肩上がり。
この年を境に上昇していく。
世の中がお祭りムードの様相だった。
銀座では現金1億円が落ちていた。
半年経っても落とし主が現れず拾った人のものになったという事も。
この年ルービックキューブが発売され爆発的なブームに。
8カ月で400万個を売り上げた。
そして10月プロ野球では…。
ホームランの世界記録を持つ王貞治さんが現役を引退。
ちょうどその頃…。
一人の男が家族に見守られ長い航海に旅立とうとしていた。
昭和23年商船学校を卒業して以来外洋航海の経験が多いベテラン船長。
だがこのあと岡本に過酷な運命が待っているとは知るよしもなかった。
岡本が船長を務める貨物船尾道丸。
それは六本木ヒルズ森タワーに匹敵する大きさ。
積荷は粉砕された石炭。
鉄を作る原料となる。
昭和40年代から50年代にかけ日本の高度成長を支えた鉄鋼業。
当時の鉄の生産量は現在と変わらずおよそ1億トン。
世界のトップレベルを誇っていた。
生産された鉄は主に建材として高層ビルや高速道路などに大量に消費。
さらに造船業自動車産業の発展にも繋がった。
鉄鋼業は日本経済の基礎を支えていた。
だが資源の少ない日本では原料となる鉄鉱石や石炭は海外からの輸入に頼っており大型貨物船は欠かせない存在だった。
尾道丸が積んだおよそ5万4000トンの石炭で作られる鉄骨は東京スカイツリーをまるまる建設出来るほどの量だという。
尾道丸は11月27日アメリカアラバマ州モービルから日本へ向け出発。
帰国の予定は12月末だった。
アメリカを出てひと月弱12月20日。
順調だな。
(2人)はい。
尾道丸の岡本の右腕舵を取るのは陸上や他の船と連絡を取る通信室。
絶えず無線連絡をチェックしていた。
船の心臓部機関部。
責任者はベテランのはい。
誰もが長い航海を無事に終える事を願っていた。
気が早いな。
自分を待つ家族の姿が目に浮かぶ。
尾道丸は順調に日本へ向かっていた。
しかし日本海に低気圧が発生。
クリスマス。
日本は大寒波に襲われていた。
シベリアからの寒気団が日本海側に大雪をもたらし…。
鉄道の運休も各地で相次いだ。
沿岸でも多くのその頃尾道丸は千葉県野島崎沖およそ2500キロ付近を航行。
次第に海が荒れ始めた。
風向きが今までとは変わり逆風の中香川県坂出港を目指していた。
(2人)はい。
千葉県野島崎沖は世界三大魔の海域の一つと言われている。
まずはカリブ海バミューダトライアングル。
世界のミステリーでよく耳にするが…。
ハリケーンや霧の多発地帯として知られこれまでそしてアラスカとロシアの間ベーリング海。
冬場強風が吹き荒れる。
サケやカニの漁場として知られるが…。
海が荒れ多くの漁船が遭難している。
そして千葉県野島崎沖300キロから5000キロの海域。
夏場は穏やかな表情を見せるが冬場にしけると…。
魔の海域に豹変する。
低気圧の発生地帯で常時台風並みの風が吹き荒れる。
船員たちの間では魔の海域と呼ばれ船が忽然と消えると恐れられている。
すでにこの海域で18隻の大型貨物船が沈み150名もの命が失われていた。
だがここを避けて迂回するにはおよそ10日ほどかかると言われている。
大型貨物船は1日の航海におよそ250万円かかるといわれ10日到着が遅れれば2500万円もの損失が出る事になる。
経済効率を重視すればどうしてもこの最短航路を避ける事は出来ない。
魔の海域に入った尾道丸。
大きな波が容赦なく襲い掛かってくる。
サー!スターボード30!全長226メートルの尾道丸は今まで経験した事もなかった魔の海域の洗礼を受ける。
ううっ!総員29名の命を預かる船長の岡本ある決断を下した。
しかし船長!かつて多くの船とともに貴重な人命が失われた海であるという事は誰もが知っていた。
巨大な波が絶え間なくぶつかってくる。
その度に不気味な音が響く。
12月30日魔の海域の風はさらに強まり波も高さを増して荒れた。
200メートルを超える大型貨物船はまるで水泳のバタフライのように巨大な波に突っ込んでは頭を出すという激しい動作を繰り返す。
それは…。
大きな波に突っ込む事で普段現れるはずのない船首の底が空中に浮き海面に叩きつけられる現象。
その時だった。
正面から巨大な波が…!ああっ!あっ…!三角波が襲ってきた!大きな衝撃に翻弄される船員たち。
そして目の前には何が起きたのか?実際の写真がある。
なんと尾道丸の船首が上に折れ曲がっていた。
どういう事なのか?10メートルを超える三角波に船首が持ち上げられ海面に叩きつけられた。
その影響で船首が折れて上を向いた。
船底の鉄板が割れ浸水が始まる。
大型船を破壊するほどの三角波とは…。
野島崎沖はその地形からうねりがぶつかり大きな三角波が出来ると言われている。
それが魔の海域と呼ばれるゆえんである。
三角波にやられた船の行く末は尾道丸に戦慄が走る。
クソッ…。
退船準備とは…。
国土交通省が定める船員法において救命胴衣を着用携帯用無線機食料を確保。
パスポート船員手帳を身につけデッキで待機。
私物を持ち出す事はほとんど出来ない。
浸水が始まり沈没の可能性のあった尾道丸の場合パスポートと船員手帳のみを持ち出す事が許された。
だが激しい嵐の中甲板に出る事さえ出来ない。
一方通信士は海上保安庁に救援を要請。
海上保安庁からの返答は…。
どうだ!?さらに付近の船舶に緊急SOSを発信。
実はこの嵐の中魔の海域ですでに…。
2日前…。
そして前日…。
いずれも船首を破損していたと思われる。
尾道丸の直面している状況はまさにこの2隻の船と同じだった…。
尾道丸は絶体絶命の危機的状況だった。
船長の判断でエンジンを止めた。
ただ漂う事で波の衝撃を最小限に食い止めていた。
乗組員たちの脳裏には「沈没」という2文字が…。
航海に出た時点で死とは隣り合わせという事をある程度覚悟はしていても現実となると…胸が苦しくなる。
船長岡本に重圧がのしかかる。
絶望の中にある尾道丸に一筋の光が。
SOSの通信をキャッチした船があった。
付近を航行していた日本船籍のだんぴあ丸もまた魔の海域に翻弄されていた。
この船もまた三角波に襲われていた。
中学を卒業後幼い兄弟の学費を稼ぐため船乗りに。
甲板磨きから勉強を重ね上り詰めた…。
だんぴあ丸船長尾崎は考えていた。
荒れた海で救助に向かえば大型船同士衝突し二重遭難の可能性もある。
この時尾崎の脳裏には…。
ちょうど10年前この海域で沈没したかりふおるにあ丸の遭難事故が浮かんだ。
だんぴあ丸と同じ船会社のこの船を危険を顧みず救助してくれた者がいた。
5人の犠牲者を出したがその勇気ある行動に尾崎は思うところがあった。
海に生きる者としてわずかな可能性でも信じるべきだ。
午後1時20分だんぴあ丸は取り舵を切って尾道丸へ向かった。
2隻の船の距離はおよそ50キロ。
船首が破損してから30分SOSの要請に反応が…。
どうだ?
(通信士)はい!だんぴあ丸から無線が。
尾崎はそう誓った。
だが尾道丸は予断を許さない状況が続いていた。
出来るだけ風と波の衝撃を避けようと時間をかけて方向転換。
その時またしてもおお…ああっ!機関長!そしてうおっ!うわ〜!先ほどまで上を向いていた船首はまるでおので切られたようになくなっていた。
横から見ると…。
船倉が大きな口を開けていた。
その様子を目の当たりにした船員たちは…。
うわ〜!大変だ!うわっ!なんだって!?田中は死を覚悟していた。
いつ沈むかわからない。
気をつけろ!気をつけろ!嵐の中命がけでボートを下ろそうとしていた。
尾道丸へ向かうだんぴあ丸にその知らせが届いたのは16時20分。
尾崎はこう切り出した。
なぜこの緊迫した状況で尾崎船長は冷静でいられるのか?実は彼の海技大学の船の損傷の度合いによって沈没するまでの時間やそのメカニズムを研究していた。
尾道丸の遭難を知った時尾崎船長は…。
はい。
それを知った尾崎は尾道丸沈没までのタイムリミットを予測出来た。
船首が折れるなど船が破損した場合積荷が少なければその隙間から次々と浸水してしまう。
だが…。
尾崎はそう確信していた。
尾道丸のように船倉が区切られそこに粉砕された石炭が満載されていれば浸水しにくい。
尾崎船長はそれを信じるしかなかった。
午後6時船首破損事故から5時間。
だんぴあ丸が近づいてきた。
距離にして8キロ。
だんぴあ丸の明かりは尾道丸の船員にも見えていた。
なっ?嵐の中そんな中特別な思いを抱く船員がいた。
厨房の責任者大井豊。
10年前沈没したかりふおるにあ丸に乗船した兄がオーテ・アロア号に助けられた。
今度は自分が救助する番だと心に誓っていた。
だんぴあ丸から8キロの尾道丸では…。
退船に向けた準備が進んでいた。
パスポートと船員手帳以外の荷物は一切持ち出せない。
家族や子どもたちへのお土産も全て置いていくしかない。
ベテランの大場機関長は長年連れ添った船に別れを告げていた。
船員たちは一睡も出来ずいつ沈むかわからない恐怖と戦っていた。
明くる大みそかの朝。
だんぴあ丸の船員たちが声を上げた。
初めて見る尾道丸の姿。
船首がまるでおので叩き切られたように切断されていた。
SOSを受けてからすでに20時間。
強風と三角波に翻弄された無残な姿。
29名の海の仲間があの中に閉じ込められている。
だんぴあ丸船長尾崎。
無情とも思える決断。
救助を思いとどまった尾崎船長。
尾道丸に残された時間はもうない。
果たして…。
一刻も早く救助せねばだが…。
救助を思いとどまった尾崎船長。
尾道丸に残された時間はもうない。
果たして岡本船長の決断は?ああ…。
う〜ん…。
先ほどのちょっとね…VTRにもありましたけどこちらが船首ですね。
ここの辺りが折れてしまったんですけどこのようにね船倉はですねいくつかに区切られてるんですね。
タイタニックなんてのはバリバリバリって全部いっちゃったからもたなくなって沈んだけども今回の場合はこの第1船倉っていうんですかここだけだったのでまだ…。
特に積荷もこの…なんて言うんですか石炭は軽くて鉄鉱石だと重いから半分ぐらいしか積んでないと…。
やっぱり強度が問題ですね。
この状況だったらもう少しもつんじゃないかと。
現場に到着しました。
さらにまだ…。
でもひと晩。
もうひと晩。
波が荒いから。
ここに生還出来るか出来ないかがかかってくるわけですね。
夜が明けようやく退船出来ると準備を急ぐ尾道丸の船員たち。
ところが…。
波の状況から岡本も待った方がよい事はわかっていた。
しかし船員たちは退船のため先を争うようにボートを下ろそうとしている。
これ以上引き延ばせばパニックに陥るが…。
船長としての責任と決断のはざまで揺れる岡本。
尾崎にもその思いが伝わってくる。
全員救助こそが双方の使命だが置かれている状況は全く違う。
最新の気象図から尾崎は翌日の元旦には波がおさまると読んでいた。
この波の中船を下ろせば命の保証はない。
尾崎は賭けに出た。
近づくだんぴあ丸を見て喜ぶ尾道丸の船員たち。
(船員たち)お〜い!急接近するだんぴあ丸。
このままでは衝突してしまう。
尾崎の狙いとは?ああっ!うわあっ!その時巨大な大波がだんぴあ丸を襲った。
ああっ!今海にボートを出せば命はない。
その事を伝えるため波にもまれるだんぴあ丸を見せたのだ。
岡本は尾崎の思いを悟った。
尾崎の賭けが功を奏した。
果たして持ちこたえられるのか?だが激しい嵐の中尾道丸の岡本船長は船と運命をともにしようと覚悟していた。
数億円にも及ぶ積荷と船を合わせると沈没すればしかも戦後すぐに船長になった岡本は船は船長の命より大事だと叩き込まれていた。
「船長の最後退船義務」という古い船員法の名残が生きていた。
だが法律が変わったこの時代にも船長は船と命運をともにという考えのもと多くの船長が殉職していた。
田中一等航海士はそんな岡本の思いを感じ取っていた。
尾崎船長は同じ海域で沈没したかりふおるにあ丸の事を思い浮かべていた。
多くの船員が救助されたが脱出拒否して殉職した船長は尾崎の先輩だった。
実はこの事故がきっかけで船長の最後退船義務が改正されていた。
そんな時大井厨士長が…。
はい!失礼します。
だんぴあ丸では尾道丸の船員29名を迎え入れる準備が進んでいた。
自分たちの衣類を提供する者。
正月を祝うための飾り付けをする者。
なんとか54人分の食材をやりくりし正月料理に腕を振るう大井厨士長。
沈没までのタイムリミットは刻々と迫っていた。

(ラジオ)「いつか大人に…」大みそかの夜ラジオからは『紅白歌合戦』の歌声が流れていた。
日本で帰りを待つ家族への思いを募らせながら土産に買った高級ウイスキーをあおるように飲む。
予定どおり航海が終われば輝かしい新年を家族とともに迎えるはずだった。
新しい年が明け午前6時。
ようやく嵐がおさまり尾道丸から退船する時が来た。
いよいよ救助が始まった。
ライフラフトという屋根がついたゴム製のボートで退船する。
いいか?ゴム製のボートを傷つけるものは全て外す。
大丈夫だ。
年長者から退船を始める。
縄ばしごを下ろし船員たちがボートに乗り込んでいく。
だがしかし岡本船長は…。
死を覚悟し1人操舵室に残っていた。
その時…。
船長!船長!船長!船長を信頼し尊敬する船員たち。
自分が下りなければ船員たちも脱出しないだろう。
自分を慕ってくれる船員たちの熱い思いが岡本には痛いほど伝わってきた。
船を放棄した船長には陸へ戻ると厳しい非難が待ち受ける。
岡本はその裁きを受け入れると決心。
尾道丸を下り仲間の待つボートに乗り込んだ。
船首破損からついに全員が退船。
29名が3つのライフラフトに乗り込んだ。
パニックに陥ったままボートで退船していれば犠牲者が出ていたかもしれない。
尾崎船長の判断は正しかった。
いよいよだんぴあ丸へ引き上げる。
その時の実際の写真が残っている。
この航海が最後だっただんぴあ丸の機関長記録を取ろうと偶然カメラを持っていたのだ。
その実際の写真がこれだ。
そこには海の男たちの熱い友情が写し出されていた。
3日間にも及ぶ壮絶な救出劇。
いよいよその時の実際の写真が残っている。
この航海が最後だっただんぴあ丸の機関長。
記録を取ろうと偶然カメラを持っていたのだ。
その実際の写真がこれだ。
駆けつけるだんぴあ丸の船員たち。
海面から甲板までは5メートル。
体力を消耗した船員たちを引き上げなければならない。
下ろしたロープを体に巻いて力を合わせて引き上げる。
(船員)頑張れ!頑張れ!
(船員)ゆっくり上げてくれ!
(船員)もう少しだ!同じ海域で兄が救助された大井厨士長も救助に加わった。
頑張れ!岡本船長がだんぴあ丸に引き上げられた。
そして午前8時45分尾道丸29人全員無事救出。
ついに私はSOSから44時間。
魔の海域からの救出劇は無事に幕を下ろした。
そして…食堂には大井厨士長が腕によりをかけた正月料理が。
(船員)はいどうぞどうぞ!尾道丸だんぴあ丸合わせて54名が1人も欠ける事なく正月の祝杯をあげた。
よかったなあ…。
危機的状況の中だんぴあ丸の尾崎と尾道丸の岡本2人の船長の決断が奇跡の救出劇に繋がった。
年が明けた1981年1月6日。
だんぴあ丸は茨城県鹿島港に戻ってきた。
救助された尾道丸乗組員29名は無事に日本の地を踏みしめる。
だんぴあ丸に頭を下げ別れを惜しんだ。
このあと彼を待っていたのは…。
海難審判とは海で起きた事故の原因が船長などの過失によって発生したか否かを審判する場。
もし過失があったとされれば果たして尾道丸の事故はどう審判されるのか。
審判は2年にも及んだ。
下された結論。
尾道丸の事故は…不可抗力。
岡本にはなんの処分も行われなかった。
船長は船と殉職するのではなく生きて事故の原因を明らかにする事の重要性が見直されていた。
尾道丸の船首破損事故を受け運輸省は魔の海域に観測用のブイを浮かべ…。
大型船が波に叩きつけられるスラミングの研究も進んだ。
そして三角波の衝撃に耐えられるように…。
だんぴあ丸の救助活動の功績は高く評価された。
乗組員たちには内閣総理大臣賞が授与された。
奇跡の救出劇から35年。
今も当時の事を鮮明に覚えているだんぴあ丸元船長尾崎哲夫さん。
原因を調べるのが趣味というかね趣味というよりも性格ですね。
同じ嵐に偶然居合わせただんぴあ丸。
その船長が沈没のメカニズムを研究していた。
そしてパニックを防いだ岡本の人望。
どれ一つ欠けても奇跡の救助は起きなかった。
日体大集団行動の全てをトリハダスクープ!今年11月11日。
横浜アリーナが熱狂に包まれた。
(観客の拍手と歓声)これこそが…。
まずは歩く芸術とまで言われるその演技をご覧頂こう。
(観客のどよめき)
(指揮者)回れ右前へ進め!これが集団行動の真骨頂…。
隊列をみじんも乱す事なく計算しつくされた歩幅スピードで間合いをすり抜ける。
(指揮者)向こう正面に向かって進め!中央に向かって進め!そして…。
(観客の拍手)描き出されたのは日体大の頭文字「N」。
(指揮者)礼!
(観客の拍手)さらに…。
(観客の拍手)隊列が急に乱れたかと思いきや…。
瞬時に正方形に変身。
(指揮者)前へ進め!まさに日本が世界に誇るこの集団行動を40年以上にわたり率いてきた一人の男がいる。
日体大水球部の監督として21年間無敗376連勝というとてつもない記録を樹立。
アスリートとスポーツ指導者の育成に全てを捧げてきた名将だ。
記念すべき節目の年に披露する今回の集団行動に清原監督はこれまでにないある構想を持っていた。
それは…。
目にも止まらぬスピードで72名が交差を連発。
その数なんと40回!だがこの驚異の行進を見せる学生たちは半年前清原監督にこう言われていた。
なんとこれまでで最もレベルが低い。
練習についていく事すら出来ない学生が続出。
揃いも揃ってとにかく甘い。
そんな史上最低のメンバーを清原監督はいかにして歴代最高の演技に導いたのか?練習は茨城県での合宿から始まった。
集まったのは男女合わせて83名。
その誰もが「集団行動をやりたい!」と自ら志願した日体大の学生だ。
(スタッフ)なんで?
(笛)
(清原監督)集合!誰でもいいよ。
メンバーのほとんどが戸惑いを隠せない。
(清原監督)はい直れ。
早速始まったのは…。
集団行動の基礎中の基礎歩く練習。
(清原監督)合わせて合わせて合わせて。
するとそれを見るなり清原監督からこんな言葉が。
(清原監督)全体止まれ!左向け左。
整列。
(清原監督)まだ何していいかわからないから半信半疑で歩いてるだろうけども…。
ただなんとなく歩いてちゃダメ。
止まれ!かかるまでは集中して歩け。
わかった?
(一同)はい!
(清原監督)はい気をつけ!指摘したのは技術的な事以前。
気持ちが入っていない事を見透かしていた。
注意してってください。
過去に経験のある10人が集められた。
(清原監督)いいよ。
集団行動のキーマンとなるのが指揮者。
前へ進め!回れ右前へ進め!指揮者がミスをすれば当然列が乱れる。
重責を担うポジションだ。
やめろ!過去の指揮者たちも過酷な試練を強いられていた。
すいません。
もう一回お願いします。
その苦労は集団行動を経験した者なら誰もが知っている。
希望者。
はい。
よし!その指揮者に立候補したのは4年生の藤井宏人。
その気持ちで来たんで。
だが過去に藤井がやってきた歩く側と指揮者は全くの別物。
(藤井さん)計測!指揮者として初めての号令。
人を歩かせてクロス。
はい。
お前これをずらしてさ…。
指示を理解するのも難しい。
(藤井さん)右に一歩ずれて。
(男性)右に一歩ずれて。
間に入ってください。
号令はタイミングが命。
ほんのわずか遅れるだけで…。
はいすいません。
こうして2015年の集団行動初日の練習は終わった。
その夜…。
メンバーの足は早くもやばい痛そう。
(女性)やばくねえ?やばくねえ?やばくねえ?12345678910111213141516貼ります。
これほど過酷なやりたいなって思ってた。
多くの学生がテレビで清原監督の指導を見て参加を決めたという。
ちゃんとやれ。
(一同)はい!出来ない奴はやめろ!疲れがたまっているのかうまく歩けない女子が目立つ。
(藤井さん)先頭右へ。
(清原監督)ちゃんと…ちゃんと歩け!
(一同)はい!しかし男子と同じペースで歩き続けるのは次の日の練習では…。
2年生の岸真奈美が倒れ込んだ。
お世辞にもスポーツが得意なようには見えない。
38キロ…。
はい…。
(清原監督)どないするの?お前。
(清原監督)はいやってみな。
(岸さん)はい。
参加者に意外にも文化系女子がいた。
だが体育会系メンバーも音を上げる集団行動。
果たして岸はついていく事が出来るのか?そんな岸をさらに苦しめていたのが身長差。
一般的に人間の歩幅は身長から100を引いた長さだといわれる。
少し足を伸ばす程度で済むが…。
身長150センチの小柄な女性だとプラス45センチ。
普段の2倍大股で歩かなければならない。
歩くならしっかり歩け!
(一同)はい!だが克服出来ないわけではない。
監督が経験者を前に呼んだ。
(清原監督)この7人は微動だもしない。
ピッと歩いてる。
ひと際小さな女子がいるが全く引けをとらない。
この人この身長でなぜこうなったか?のが一番最初に考えた事で…。
ぐらい事をやってきたって事があるんじゃないかと。
(一同)はい!男子との体格差。
体力も劣る。
岸をはじめ女子がこの壁をどう克服していくのかが大きな課題だった。
大丈夫。
頑張ろう。
痛いですね。
こっちの方が痛いですね。
合宿の1週間で女子たちの体は限界に達していた。
しかし試練はこれだけではなかった。
(清原監督)ここが162で歩けないとうまくいかないぞ。
(一同)はい!遅い!清原監督が言うそれは一般男性が普通に歩くと1分間に110歩程度。
時速でいえば4.8キロだが…。
清原監督が目指すスピードは1分間に162歩。
時速9.2キロで歩き続けなければならない。
このスピードが今回監督が目指す演技の最大の特徴。
スピードが増せば当然過酷さも増す。
岸。
(岸さん)はい!
(一同)はい!
(一同)はい!とにかく歩いて歩いて歩きまくる。
(清原監督)ほら何やってんだ…。
(女性)12…12…12…12…。
次々と倒れ込む女子メンバー。
(男性)おなかが痛いの?
(男性)え?胃が痛いの?そんな彼女たちに清原監督は…。
(清原監督)なんでもそう。
(一同)はい!そんな中必死に食らいついていた。
(一同)はい!スポーツ経験のない岸とスポーツエリートのメンバー。
その差は歴然。
だが…。
決してそんな岸に清原監督は…。
(荒い呼吸)しんどい?しっかりしっかり食え。
なんでヒーヒー言うの?
(清原監督)なんだよ?え?すみません。
はいありがとうございます。
はい。
人生の分岐点。
まさにここが正念場!一方そんな岸とは対照的にメンバーの要となって引っ張っていたのが…。
経験者である大島は身長差を全く感じさせない歩幅。
その卓越した技術でメンバーのエース的存在になっていた。
だがその大島に知らないですよね。
フフフ…。
あ〜あ…。
突然両足に痛みが。
しかもその症状は日に日に悪化するばかりだという。
一体どうしたのか?後ろに大きく振ろう!後ろ後ろ!彼女の両足は腫れ上がっていた。
ごめんなさい。
練習で脱落した事など一度もなかった。
悔しさと不安…。
原因不明の痛み。
実はこの時大島は恐ろしい病に侵され始めていた。
メンバーを引っ張ってきた経験者大島の足に異変が…。
一体どうしたのか?後ろに大きく振ろう!後ろ後ろ!異常なほど腫れ上がった両足。
痛みも激しくなる一方だ。
何かがおかしい。
病院で検査した。
そして…。
告げられたのは衝撃の診断だった。
幼稚園児に集団行動を指導していた清原監督のもとに大島が報告にやって来た。
おう。
お時間よろしいですか?はい。
何?このまま練習を続ければ足を切断する事態になりかねないという。
打撲や過度の運動などで筋肉を痛める事によって血行が妨げられ機能障害が起きる事。
最悪の場合筋肉が壊死するという。
清原監督は即断した。
いやこれはもうこっち優先で。
集団行動をやるのは…これが悪影響だからやめましょう。
そんなのはいいのか?先生に聞いてみな。
はい。
はい。
大島を気遣いコーチとしてみんなを指導する事を提示した。
しかし諦めるなど出来ない。
涙が止まらなかった。
幸い初期症状のため1カ月休養し改善すれば復帰出来る可能性もあった。
焦る心を抑え仲間の歩きを見守る。
2度目の合宿が始まった。
(藤井さん)前へ進め!清原監督はお揃いのユニフォームを用意。
学生たちに配った。
(男性)TシャツがSジャージがS。
そこには長年の同じ衣装を身にまとう事でそれぞれの一体
(清原監督)これをねほら先頭見ているようにちゃんと見えて着よるな。
それを見た監督はある事を学生たちに叩き込む。
(一同)はい!ダメ。
これじゃダメ。
日本体育大学の学生だというプライドを持て。
そのプライドを胸にとにかく歩き続ける。
(藤井さん)回れ右前へ進め!そして迎えた夏。
練習には…。
実は…。
それでもう…。
1カ月の休養で症状は改善。
以前より調子がいいくらいだという。
(一同)日体!
(清原監督)バランス!いいのか?
(藤井さん)先頭止まれ!久しぶりの集団行動にしかし…。
(清原監督)それに合わせてもう少し近くへ…。
何やら様子がおかしい。
清原監督も気づいていた。
ああ?おい。
(大島さん)はい。
休め。
お前がそういうとこずれてて見てたらお前よ…。
(清原監督)休め。
(清原監督)おい。
はい。
ブランクの影響かうまく歩けなくなっていた。
経験者として常にみんなをリードしてきたはずの自分が足を引っ張っている。
信じられなかった。
翌日清原監督がある決断を大島に言い渡した。
補欠にする。
受け入れるしかない現実。
こみ上げる悔しさを抑えきれなかった。
だが大島は決して逃げなかった。
チームの一員としてみんなをサポート。
そんな大島の思いを背にメンバーの演技は磨きがかかっていった。
今回の集団行動にはクロスして。
クロスしてクロスしてクロスクロスクロスクロスクロスクロス…。
というような事を考えています。
集団行動の真骨頂交差。
一糸乱れぬ行進をしながら隊列が互いにすり抜ける。
こっちはこっちクロスやろ?これとこれクロス。
これクロス。
でクロスしたらこういってこうくるやろ?これ回れ右して…。
くっつけて…。
かなり複雑そうだ。
今回は隊列がハイスピードで上下左右斜めと複雑に入り組み10分間の演技でなんと計40回も交差を披露する。
だがこの連続交差最大の課題はメンバーの歩き以上に…。
(藤井さん)開け。
(一同)ヤーッ!指揮者藤井の号令にあった。
(藤井さん)はい。
(一同)はい!わずかに遅れただけで列に微妙な乱れが生じてしまう。
はい。
はい。
はい。
メンバーが一糸乱れぬ歩きをしても…。
(藤井さん)回れ右前へ…。
藤井が号令をミスすれば演技は台無しになってしまう。
(藤井さん)すみませんもう一度お願いします!
(一同)はい!どうしてもうまくいかない。
とその時…。
(藤井さん)全体止まれ。
(藤井さん)すみませんもう一度お願いします!
(一同)はい!1人の男子学生が足を負傷。
それは…明らかに藤井のミスが引き起こした事だった。
指揮者の責任の重大さを改めてつきつけられショックを隠せない。
(清原監督)あと1分?はいあと1分です。
そんな藤井に清原監督は…。
はい。
成功は…全て藤井の指揮にかかっている。
こんな調子で本番など乗り切れるのか?ここまであとは
(清原監督)お前たちの
(一同)はい!
(一同)はい!なぜかこの辺ちょっと遅い。
仕上げだからこそあえて基礎を一から叩き込むのが監督の狙いだったのだが…。
その基礎がまだ危ういメンバーを発見。
唯一の
(藤井さん)気をつけ。
もう一度。
(藤井さん)前へ進め。
歩き出しの1歩目で岸が1人出遅れている。
そしてついに…。
監督の雷が落ちた!やってられないよそんなんじゃ。
2015年の集団行動もいよいよ大詰め。
だが1人唯一の
(藤井さん)前へ進め!この短い足で。
そんなんじゃ。
えっ?
(藤井さん)前へ進め!本番2日前になっても岸の演技は危うい状態だった。
はい!はい…。
ここまで必死に食らいついてきたが体が動かない。
文化系女子の自分にはやっぱり無理なのか?だが何やってんだ?お前は。
(清原監督)なんで貧血になるの?果たして今年の日体大集団行動は成功するのか!?舞台は日体大の各運動部や団体が日頃の練習の成果を関係者や家族に披露する今年は日体幼稚園年長組の園児たちがかわいい集団行動あそびを元気に演じてくれた。
こちらは和太鼓に合わせ総勢168人の男子学生が雄叫びを上げる。
(一同)エッサ!エッサッサ!横浜アリーナには観客1万人が詰めかけた。
これを見た集団行動のメンバーは…。
この日メンバー全員の胸には75と書かれた星が。
これはマネージャーの高山が作った手作りのお守り。
演技者73名に裏方としてチームを支えた自分と大島。
75名がみんな輝けるように。
そんな願いが込められていた。
はい。
はい。
ついにその時がきた。
(アナウンス)「演技指導は清原伸彦です」
(藤井さん)前へ進め!もう歩けない奴は横に抜けろ!やめろ!史上最低と怒られ続けた75人の…。
がいよいよ始まった。
(アナウンス)「演技指導は清原伸彦です」いよいよ今年の集団行動が始まる。
指揮者藤井の隣には補欠としてチームを支え続けた大島が。
清原監督の案で指揮者の隣で舞台に立つ。
まず四隅に分かれいきなりそして日体大の頭文字「N」。
(藤井さん)休め。
(藤井さん)気をつけ。
続いてこのNから見事な2列に。
ここで隊列は5つの円に。
円はさらに変化し続ける。
(観客の拍手)ここからはゆっくりとした行進に。
スピードを重視した今回の集団行動。
その速さを際立たせるためにあえて直前に遅い動きを組み込んだ。
歩く集団芸術の原点。
まさに一糸乱れぬ行進。
そしてここからこれは難易度の高い技。
(観客の拍手)決まった。
(観客の拍手)そして様々な休めのポーズが。
次は
(藤井さん)回れ右前へ進め。
隊列が崩れ…。
見事な四角形が完成。
さらに小さな2つの四角形に変化。
このあと今回清原監督が目指した史上最速の行進が始まる。
練習を始めた頃からは想像出来ないほどメンバーは進化した。
最後にして最大の見せ場がこれだ。
が始まる!いよいよ最後にして最大の見せ場が始まる。
(観客の拍手)
(観客の拍手)
(観客の拍手と歓声)
(清原監督)パーフェクトパーフェクト!
(歓声)半年間の緊張から解き放たれ喜びを爆発させた75人。
全然もうぴったし。
よかったよかった。
見事指揮者をやり遂げた藤井。
涙が止まらなかった。
そして…。
あの今年の集団行動を見事にやり遂げた75人。
唯一の文化系女子あの岸は…。
本番ではミスもなくこみ上げる喜びを抑えられずにいた。
そして足の病で補欠にされながらもずっとチームを支え続けた大島は…。
やめなくてよかった…。
もう先生に感謝ですホントに。
200日にわたった地獄の猛特訓。
自分を変えたい…そんな思いで清原監督にぶつかった学生たちは今年も見違える成長を見せてくれた。
「史上最低」自らそう呼んだチームを名将清原は最高のチームへと育て上げた。
2015/12/24(木) 19:00〜23:05
ABCテレビ1
トリハダ(秘)スクープ映像100科ジテン 4時間スペシャル[字]

トリハダ4時間SP
▼倒産寸前テーマパークUSJを復活させた男
▼50億円銀行強盗の華麗手口
▼船首折れた!日本の貨物船の救出劇
▼日体大「集団行動」本番演技!

詳細情報
◇番組内容
▼1980年年末。「魔の海域」と恐れられる千葉県房総半島の野島崎沖で日本の大型貨物船が三角波と呼ばれる大波に襲われた。
船首は折れ、沈没寸前。それを救うべく近くを航行中の日本船「だんぴあ丸」は現場へと急行!
巨大波が次々押し寄せる「魔の海域」で起きた44時間、決死の救出劇。
◇番組内容2
▼50億円怪盗!マスコミ、警察官が包囲する中、誰も傷つけず…消えた!
アルゼンチンで銀行強盗が発生!だが、すぐ数百人の警察官が銀行を完全包囲!ついに警察が突入!だが、50億円の大金と犯人たちは消えていた…。あまりに鮮やかな犯罪計画、その手口を徹底解明!
▼倒産の危機に瀕したユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させた男に密着!
 さらに日体大「集団行動」の最新本番演技に完全密着!
◇出演者
【MC】石原良純、加藤真輝子(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】恵俊彰、前田典子、福田萌、佐野岳、谷花音
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.tv-asahi.co.jp/torihada/

ジャンル :
バラエティ – その他
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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