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MATSUDA,Gen

アズホールディングス株式会社 代表取締役
武蔵野学院大学SMB研究所所長・非常勤講師
九州大学非常勤講師
笹川経済支援機構事務局長
「時給800円のフリーターが三年で年収1000万円に変わる仕事術」著者

プロフィール詳細


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第226回:【2016年】セカイの終わりと、新時代到来の兆し

  


2015年も間もなく終わります。
巷は完全に年末モード。
皆様それぞれ思い思いの年末をお過ごしのことと存じます。
弊グループは最終営業日が30日まででして(大納会があるから)、
31日は幹部陣皆我が家に集まり年越しをするため、
全く仕事納めをしている感が御座いません。
年末大掃除くらいはしようかな。
というわけで毎年恒例、
2015年を振り返る最終コラムをご披露し、
年を迎えたいと思います。


さて、2015年。改めて振り返って見れば、
今年は本当に色んなことがありました。
選挙とか。選挙とか。選挙とか。
怪文書や脅迫や嫌がらせとか。選挙とか。
アレ、一年間を振り返っているはずなのに、
その大半が選挙の記憶で埋め尽くされているのは
何かの間違いでしょうか。
1月から7月にかけてのほとんどが
選挙のことで埋め尽くされていて軽く記憶障害です。
おかしいな。
毎年この時期は
年始に立案したやりたいことリスト100というタスクリストを
見直しながらその達成状況を整理するのですが、
例年70%平均で達成出来ている当リストが、
今年に限っては選挙で勝つ前提で盛り込んだ市政タスクばかりで、
なんと達成率50%未満という体たらく・・・。
投資と同じくリスクヘッジ(プランB)を想定した
タスクリストにしておくべきでしたね。まあ仕方ない。


選挙については、
お察しの良い皆様にはお分かりの通り、
書いて良いことと書けないことの線引きが非常にダークでして、
○○はクズだとか□□は人間的に△△だから二度と投票するなとか、
色んな事をぶちまけると党の関係とかいろいろちょっとやばいので、
詳細につきましては敢えて本稿では割愛させて頂きますが、
全体的には非常に良い経験をさせて貰うことが出来、
とにかくまとめると、楽しかったの一言に尽きると思います。
正に青春。すげー金かかったけど。死ぬほど金のかかる青春。
安易にはとてもお勧め出来ない。
でも一方で、経営者たるもの、
いや、一旗あげんとする漢(ヲトコ)たるもの、
一度はゆかりのある場所にて、
選挙に挑戦してみて欲しいという思いもあります。
政治というのはビジネスやスポーツと違い、
合理と真逆
の世界。
ビジネスの世界では
如何に効率よく無駄を省くかが勝負なのに対して、
政治の世界では如何に無駄なことをするかが、
最も効率的に勝利する近道

だったりする。
いわゆる泥臭いってやつね。朝早く起きて、
始発から駅立ったりね。
自転車でのぼりたてて走ったりね。
傍から見れば馬鹿と映るようなことを一生懸命やることが、
有権者から票を頂ける近道だったりする。
経済合理性と、価値観が真逆なんですね。
人は最後は気持ちで動くからね。
だから、リーダーとして学ぶことはたくさんある。
余談ですが、政治がこんなにも無駄を尊ぶ世界とはつゆ知らず、
選挙前に『めんどくさいことの9割は捨てて良い
なんて本書いちまったもんで、選挙中は大変だったんだ・・・。
対立陣営には、
狭山のめんどくさいことも9割捨てられるとかアジられて、
技ありいっぽん座布団10枚だろ勘弁してくれよって・・・。
まあいいや。
とにかく、そういう情動の世界に、
会社のリーダーとして君臨されている経営者
(特に20~40代の若手)がどっぷり浸かってみるのは、
人生の財産となる経験になることは間違いない。
勿論、経営者の方は日々様々な課題や問題と向き合い、
それぞれ矛盾や理不尽さと戦っていることでしょう。
それは素晴らしいこと。
でも、経済界におけるコンフリクトとは比べものにならない、
鬼とも言える理不尽さが政治の世界には沢山あります。
基本、一般の人からは、良くて変質者扱い、
悪くてゴミ扱いされます。
どんなにでかい会社の社長だろうが偉かろうが。
普段ちやほやされがちな経営者が、
色んな人から粗大ゴミ以下の扱いを受けながら、
政治の世界の無駄・無理・矛盾とくみすることで、
人間的に圧倒的成長が実現することは保証出来ます。
中にはアセンションしすぎて
僧侶になってしまう人もいるかもしれない。
そのくらい、政治の世界ってのは、変わっていて、
特殊で、面白い。
体力的にも精神的にも、死ぬほど大変ですけれどもね。


特に首長選挙なんかは、選挙に勝った場合、
扱える予算権限や人事権が半端ではなく、
対抗馬の連中は、どんな手段を使ってでも
候補者を潰しておきたいわけですね。
ましてや地元で生まれ育ったわけではない人間が
候補者として出ようもんなら、
その地元住民のレジスタンスパワーは
読者の皆様が想像を絶するものでして。
脅迫・怪文書飛び交うは警察にマークされるは
(候補者保護目的でね)で、
強請たかりが当たり前の環境なわけですから、
余程タフで、奇特な人でないと、
首長選の候補者として立つのは難儀だと思う。
こうした抵抗をはねのけてでも、
自分が正しいと思う地方政策を掲げ、
討論会では当日欠席せず逃げずに主張し、
支援者の輪を広げながら勝つために戦略を組み立てるというのは、
本当に至難の業で、
限界を超えた精神的・肉体的パワーがなければ
やりきれないものと思うのです。
イベント発動時は始発から終電まで一日20時間近く駅に立つんですよ?
炎天下の中、
暴言やなじりを受けながら朝から晩まで。
もうね、馬鹿かと。
毎日、日中30箇所以上で遊説して声でないっつーの。
いつの時代なんだよって感満載です。
これはリアルな候補者のスケジュールですが、
朝5時に起きて5時半から駅立ち、9時から遊説、
19時位から終電まで駅立ち
ですよ。寝れねえよ普通に。
もはや奴隷です。最先端の奴隷。
まあ公僕って言葉があるからね。
公に尽くすものは奴隷で良いのかもしれない。
で、流石に飯は食わないと死んじゃうから、
昼間の30分くらいは、唯一休憩ちっくなものがあって、
街宣車を止めて飯喰ったら、
『あいつ候補者のくせにウナギくってやがる』
とか2chで書かれたりしてね。うるせーよ。
こっちはリアルに一日睡眠時間2~3時間とかで疲れてんだよって。
で、ここまでして、当たり前ですが勝てる保証はないわけです。
誠意を尽くすのみ。駄目なら討ち死に。
おいおいなんちゅーリスクリワードレシオの悪い賭けだよと。
普通やりませんよねこんなの。どんだけマゾなんだよと。


でも、一度立つと、
国や地域の文句ばっかり言っている経営者もどきや
政治評論家や経済アナリスト風情に対して
じゃあ自分が選挙に出てあんたが変えなさいよ
という黄金トークが使えるようになり、
また、自分が選挙に出るとしたらどのように政策を展開するかを
民意含めてリアルに考えるようにもなり、自分の主張が地に足つき、
幹になる感覚が生まれるのですよね。机上の空論を言わなくなる。
現実的な策を真剣に考える。
だから今は、街を変えよう、国を変えようとして、
一度でも候補者として選挙に出た人(そして現職議員)は、
本当に尊敬するし、そういう人の主張はリスペクトして聞く。
本気でそう思って、自らが地位と金のリスクを取り、立ったわけです。
テレビの前や街の飲み屋で管(くだ)巻いている連中とは大違い。
勝っても負けても、
対岸の火事的にモノを述べている小物に比べれば、
実際にリスクとって立っている人、
立とうとした人の方が偉いに決まっている。
そういう、尊敬出来る人達とのネットワークが
日本全国各地に出来たことは、出馬経験で生まれた財産です。


選挙の出馬で学んだことはたくさんありますが、
大きくまとめると以下3つ。


・日本はムラ社会
・だけど、意外に捨てたもんじゃない
・選挙において候補者は脇役、主役は支援者



日本は良くも悪くもムラ社会。
それが、国を良く(強く)している側面もあるし、
国を衰退させている側面もある。
村意識があるから地元の絆が生まれるし、
絆が強くもなる。
でも、外界と遮断されすぎてしまうと、
新しい発想を取り込むのが遅れ、
もっと豊かになる可能性が潰えてしまうこともある。
何事もバランス。守るべきものは守るべきだけど、
守る対象物そのものが消滅する危機があるなら、
それは異であろうと受け入れるべき。
島国という特性を持つ我が国だから難しいのかもしれないけれど、
老舗企業も持続する国も、
純血は短命
というアノマリーは変わらない。
多少は混血をしていかなければ、本当の意味で永続的な発展はない。
しがらみのない立場で街を経営する、
経営者型のリーダー(首長)が今の日本には必須。特に地方。
地方自治法はそのために、
優秀な首長を市内外から広く募集できる仕組みになっている。
首長の仕事は複雑。相当高度な経営能力が問われる。
だから、首長に限っては、
どこで生まれたとかどこで育ったとかいう、
くだらない基準でジャッジしてはだめです。
優秀か、そうでないか。

この一択。
じゃないと将来、自分達の首を絞める。
優秀な混血の要素を取り入れるってこと。
脱亜入欧、和洋折衷、ってやつですか。


それから、地方には、いや地方に限らないかもしれないけど、
日本には、凄く勇気のある人達が沢山いるということ。
自分達が本当に良いと思う候補者と出会えば、
自分の商売や社会的地位を脅かすリスクを取ってまで、
真剣に支援をしてくれる。
選挙って言うとどうしても選挙に出る候補者が目立つけど、
実は表に出てこない勇気のある人達こそが、
本当の主役でありヒーローだと思う。
時には候補者以上に対立陣営から辛辣な言葉を投げられ、
親友だと思っていた人間から裏切られ、商売の契約を切られ、
それでも自分の信じる候補者を最後まで応援するっていうのは、
これは余程の度胸と根性がなければ無理。
四面楚歌の状況下で、
それでも今回小職を応援してくれた地元支援者の方々と
接点をもてたことは、人生における最大の宝。
そして彼らこそが、本当の意味で改革者であり市民の代表。
支援者が増えれば増えるほど、
自分が云々より支援者のために
どうにか勝ちたいと心底思うようになる。
究極の自己犠牲。これは不思議。
もしかしたら、民主主義下の政治において、
この思想こそ(支援者を始めとする)
特定利権の温床になっている可能性があり、
諸手を挙げて賛同してはいけないのかもしれないが、
そもそも選挙は支援者を始め人の想い(民意)から動くわけであって、
最後に支援者の推す候補者が勝てば、それが民意になるわけだ。
だから、候補者はいわば民意の象徴に過ぎず、
本当のヒーローは勇気のある支援者たちだと思う。
そして、候補者が勝利した後、
支援した彼らの望むまちの改革が実現したら、
それは民意の反映であり、これこそ正に民主主義であろう。
選挙では負けてしまったけれども、
自分達の住む町のためにここまで勇敢な人達と出会えたことは、
地域の発展に必ず繋がると確信している。


基本、負ける勝負はしないタチなので、
出るからには100%勝つ前提で、
戦局を徹底的に分析して布石を打ってみたのだが、
地元支援者の皆さんも驚くレベルで、
狭山市は地元生まれ地元育ち優先の、純血思考が強かった。
もちろん、ある程度はアゲインストの風は分かっていたので、
いくつか方策を打っていたんだけれども、
ちょっと洒落にならないレベルで先方の猛攻が収まらず、
特に究極の弱点ともなった二箇所だけ、
ある方策が取れなかった(遅れた)のが致命的なエラーを招きました。
あの分水嶺でクリティカルなエラーが
無ければ確実に勝てていたのですが、
終わったことはしかたない。
正直、『普通、そこまでやりますか?』と思うことも多々あったが、
当時は、天・地・人、そろいが悪かったのでしょう。
プロセスは人智、結果は神様が決めることであり、
勝負の結果は甘んじて受け入れるしかありません。
学び、得た財産を使って、次の戦に備えるべきです。


まあ、選挙の話ばかりしても仕方有りませんが、
来年は我が国も参院選という一大イベントを控えておるわけです。
国政に関しては我々もいち有権者として、
正しい投票を行わないといけませんし、
地方創生はアベノミクスの掲げる一大スペクタルなわけですから、
地方選挙の四方山話も多少は参考になればなと。
というか、一年のうちリアルに半分以上
マジで選挙に時間を使っていたので、
年の瀬に振り返るとこうなってしまったという話でした。
さておき、


・都心経済主体の生活→地域愛の欠落→無党派層(B層)の増加→低投票率


という負のスパイラルにはまっている
我々日本国民としては(小職も含めて)、
地方はもとより、国政の選挙もしっかりと望まなければ、
何のために都心経済主体の生活をしているのか
分からなくなってしまいます。
有権者不在の選挙とならないように、
皆さん選挙には行きましょう。
そして、ご自身の目で、
しっかり候補者の人物像・能力を見抜き、大切な票を入れましょう。
来年7月の選挙は、自公連立政権が、
アベノミクスを最後まで遂行できるかが問われる、
言い換えれば日本の破綻を
防げるのか先送りするのか早めるのかが決まる、
極めて重大な分岐点となることでしょう
(ほぼ破綻コース確定だけど)。


また、日本の選挙に限らず、
来年11月にはいよいよ大御所米大統領選を控え、
年明け早々の台湾総統選挙に始まり、
5月のフィリピン大統領選、
その後イギリスがEU脱退を示唆する国民投票をする噂もあり、
世界のリーダーが同時に変わる大きな転機となる一年になりそうです。
政治の動乱はすなわち経済の動乱。
世界のリーダーが変わるとき、経済もその胎動が感じられます。


未だ世界は、ISIS、原油、中国経済、サイバーテロ、
様々な不安要素に揺さぶられる日々が続きますが、
外的要因を踏まえて来年のマーケットを推測すれば、
以下のトレンドとなる可能性が高いと判断します。


・ドル高(対資源国)
・円高
・株高
・人民元安
・資源安(金・原油含)



ご存じの通り、過日2015年12月17日、
FRBはその声明でドルの利上げを決行しました。
世界経済のクレジットイベントを慎重に見極めると
前置きが付記されているものの、
利上げペースは25BP(ベーシスポイント)×4回。
年間1%程度の利上げを宣言したに等しい。
アメリカの経済指標を見ていると、
2015年9月の失業率が5.1%、
S&Pケースシラー指数も5%前後で米不動産バブルの兆候なしと、
実に堅調な回復を伺わせます。
コアCPIこそ2015年9月を除きほぼ0%が続いていますが、
イエレン女史は以前から
インフレ目標達成前の利上げが急務と指摘しており、
米経済当初からのシナリオという観点では、
かなり綺麗に、
7年間の異様な緩和をいち抜けした印象を受けます。
日・欧、両国の継続する量的緩和で、
上手に雲隠れ出来た印象でしょうか。流石の知略です。


これで晴れて米経済は危機を脱却出来たわけですが、
問題は新興国です。
ドルが実質ゼロ金利政策を解除したことにより、
ドルキャリートレード(米ドルを安い金利で調達し、
新興国の高い金利で運用するトレード)が
使えなくなることになります。結果として、
今まで利上げ“見込み”だけで
新興国から資金が大量流出してきたトレンドは加速、
今後ますますドルの利上げに合わせて
新興国からのキャピタルフライトは加速することが
容易に想像出来ます。
加えて、小職が著作物から調べた
BIS(国際決済銀行)のデータに従うと、
世界のドル建て債務(アメリカ国内除く)は現在、
既に総額9兆6,000億ドル(!)にも到達しており、
1%の利上げだけで11兆円もの追加利払いが発生することになります。
この、


・キャリートレードの巻き戻し
・利上げ後のドル建て債務償還


二つのファクターが新興国に与える影響は甚大であり、
如何なる解釈をしても対新興国通貨に比して、
ドル高は否定しようがないように感じます。


トルコリラ・南アランド・ブラジルレアルを代表とする
資源国通貨の苦境はしばらく続き、
回復の見込みが立つまで相応の時間が要されると判断します。
もちろん、苦境脱却を目指し各国の中央銀行が
政策金利の大幅引き上げなどをぶち上げる可能性はありますが、
不況下での金利上昇政策を展開した上で
万が一外貨を呼び込めなかった場合の悲劇を
どの中央銀行総裁も理解しているでしょうから、
緩やかな引き上げしか取れないものと思います。
実は新興国通貨の暴落に隠れて、
人民元が暴落をしています。
一時は、チャイナショックを越えるほどの下落を見せました。
中国は当局が発表する経済成長率にあまり信頼がおけないため、
鉄道貨物輸送量の推移など、
実体経済を表す指標からその成長性を分析する必要があるのですが、
景気ピーク時の2010年は対前年比6.9%程度の成長があったものの
2011年に大幅下落。2013年に高値戻りを付けた後、
2015年Q2には-10.9%も成長性が下落してしまいました。
この中国国内における貨物郵送量の下落は内需の縮小を占うと同時に、
新興各国からの輸出にも影を通し、
中国近郊の資源国通貨に対する
ネガティブなインパクトを想起させるものとなります。
詳しくは割愛しますが、現在中国は、
習近平政権の強力なリーダーシップのもと、
一路一帯(ワンルート、ワンベルト)構想を掲げ、
ユーラシア(ユーロ+アジア)統一策を実現させようとしています。
そのインフラ整備にAIIBを設立、
イギリスがすかさず参戦を表明したのは記憶が新しいかと思いますが、
世界の構図は端的に言うと
中国・欧州・ロシア+新興国の連携
強まっていることは紛れもない事実。
そこに、日米艦隊がどこまでくいこめるのか、
これが問われるシナリオに近づいてきております。
中長期的にはパックスチャイナの到来は疑いよう無く、
人民元がIMFのSDRに採用されたことも考慮すれば、
いよいよ中国通貨が世界通貨の仲間入りをする準備が
整いつつあると解釈するのが妥当ですが、
数値から追いかければ中国内需の縮小もまた疑いようのない事実。
しばらくは人民元の下落、
それに釣られる形で新興国通貨の苦難は続くと
判断するのが妥当です。
実際は、為替が人民元安に振れた方が海外も中国製品を安く買え、
かの国の輸出促進をするわけで、
新興国通貨の下落があく抜きされれば、
世界はまた緩やかなリスクオンモードになると思いますけれどもね。
上海総合指数が3,000ポイントを明確に底抜けない限り、
緩やかに底入れをすると判断します。


一方、米国は米国で、
自国通貨の過剰な高値は本音で言えば望んでおらず
(輸出産業の停滞を嫌うため)、
日本政府側に過剰なドル高を牽制するそぶりを見せているそうです。
そのため、来年はクロス円ではやや円高に触れる可能性が高い。
ドル円の目先天井130円と見込み、125円まで頭を付けた後、
120円割れまで下落し、
その後定着していく可能性が高いと分析しています。
ここで、やや円高という表現を敢えてしておりますが、
もしこれが100円近辺にまで近づく本格的な円高が発生するとなると、
3年にも渡るアベノミクスは何だったんだという話になり、
以前から警告しているIMF・S&P・ムーディーズ連合艦隊による
レーティングダウン砲が炸裂し、
日本が本格的なダウントレンド(ショック)になる可能性が
出てきます(超円高経由・永久円安行き)。
そうなるとまずい。まあ、来年中となると、
その可能性はまだ低いと考えておりますが、
2015年12月に実施された日銀決定会合における反対票が
3/9になっていることがやや気になります。
黒田さんがこんなところで
足を引っ張られることはないと思いますけれども。


為替や株式に影響を及ぼす原油の行方ですが、
恐らく原油もまだダウントレンドから抜けることは考えにくく、
底打ちは近いものの更なる下値を模索する展開を予想します。
底練りってやつでしょうか。
原油については、
オイルダラー軍vs環境整備軍の戦いが熾烈を極めており、
多分安値で相当原油を仕込まねばならない複雑な事情が
どこかの国にあることと、それに加え、
シェールガスのジャンク債が破裂すると
セカイがリアルに即死するので、
何としても売り浴びせを
しなければならない大人の事情がありそうです。
テクニカル的には売られすぎの兆しが見えておりますが、
常に行き過ぎるのがマーケットの特徴
です。


金に関しては、
その先行指標とも言われるプラチナの炸裂的暴落が
まだ及んでおらず、セオリー通りに行けば、
目先東京金で4,000円割れは充分ありえます。
テクニカル的に言えば雲下限を抜けると
最悪3,300円まで落ちる可能性があります。
世界情勢がきな臭さを増す際、
有事の金という表現が使われますが、
有事に金は換金
されます。つまり売り圧力が強い。
ファンドの取り組みがやや買いに傾いているように見受けられますが、
ファンダメンタル的にも、テクニカル的にも、
金は売り目線で冷静に見ておく方が良いと判断しています。
まだ買い時ではないと判断します。


肝心の株式市場ですが、最高値圏で推移するダウと同じく、
日経平均についてはしばらくレンジ相場が続きそうです。
11/4の郵政バブルが敢えなく
年内21,000円の壁を突破することが出来ず、
20,000円の値の意識(レジスタンス)が
かなり強くなる相場となってしまいました。
12/18に期待されていた日銀の追加緩和措置も
中身はただのスカに終わり、
如何にも下に行きそうな展開が続いておりますが、
突っ込んでも110円台後半の円安傾向が続く限り、
外人勢の断続的な買いが入ってくることは間違いありません。
ドル建て日経で見れば、株価は総じてまだ安い水準です。
東芝のおかげでEPSは大分下げてしまいましたが、
PER水準で見ればまだ上昇余力があります。
益利回り4%=PER25倍で見て、
28,648円。29,000円の水準は割ってしまいましたが、
それでもまだ高めです。
ドル円が10%調整しても2,5000円近辺。
現時点の株価を考慮すれば、充分な上昇余力有りと判断します。
加えて、来年7月近辺に、
日銀が伝家の宝刀を抜く可能性は極めて高い。
何といっても参院選です
(というか、ほぼ確実に衆参同時選挙実施です)。
消費税増税の可否も問われる来年の選挙は
自民党にとって相当厳しくなる。
来年の6月までは
18,500円~20,000円のレンジを行ったり来たりしながら、
7月からの参院選までの経済政策で
22,000円の高値を試すのではないでしょうか。
流石に、年足で急所となっている22,700円処を
抜いてくるかは不明ですが、
郵貯のアセットアロケーションを
国内株式に全力で振り返る政策を強行すれば、
日経平均が暴騰する可能性は高いです
(現在は日本国債メイン。
2014年時点で運用総額の半分100兆円が国債)。
それと、今噂になっている
消費税絡みの争点を安倍首相が本気で掲げ、
衆参同時選挙を突破すれば、
未曾有の暴騰相場も期待出来ます。
但し、本当に出来るかは分からないので、

参院選期待で22,000円が
現実的なレジスタンスかと思っています。
下値はあっても17,000円近辺なので、
ここから下は辛抱強く買い下がれば
勝てる相場と判断しています。
急激な円高ショックが来なければ、の前提です。
取りあえず来年前半~中盤は
オプショントレーダーの主戦場になるのではないかなと。
日経に関しては。
注意点として、11月の大統領選直前(8月~10月)に、
世界経済に多大な影響を与える、
とある事象が起こる可能性があります。
秋口は有事が起こりやすいため、
前半~中盤で仕込んだ資金は、
秋口にはリスクオフモードに転換することをお勧め致します。


色々と書かせて頂きましたが、
来年は申年であり相場格言は
申酉騒ぐ

前述した相場観はそうずれていないと思いつつ、
いわゆるセオリー通りに行かない気がするのもまた事実。
基本的なスタンスとして、金融資産のポジションを軽くしておき、
現金ポジションや、実業投資へのポジションを
厚くするのが吉と出る一年であろうと思います。
恐らく来年は、難易度最高級の相場になることが想定されますので、
自信のない人は素直に現金化させ、
リスクオフモードでディフェンシブに望み、
余剰資金で日経連動商品・為替・米株・材料が
出やすい中小型銘柄を攻める一年にすることをお勧めします。


中小型株に関して言うと、時節柄、
米株・日本株共にIT銘柄を中心に飛躍的なイノベーション期待が強く、


・Fintech
・ブロックチェーン
・仮想通貨
・IoT
・ドローン
・自動操縦
・ビッグデータ



あたりがキーワードとして注目されます。
上記キーワードが想起される銘柄が現れたら、
即イン・即アウトを繰り返すことで、
かなり資金効率の高い運用が望まれます。
生活者としては短期的な収益よりも、
本質的なイノベーションを期待したいところではありますが、
投資家目線で、リスクを最小化した状態で
ボラティリティのアップサイドを狙っていきたいところです。


前記キーワードの中でも、特にFintechは面白くなると思います。
流通革命、IT革命につぐ、
金融革命が本当の意味で起こる可能性があります。
どんなにポジティブに解釈しようと、どんなに綺麗事を言おうと、
現代は金融資本主義社会。
セカイは常に『利益』で動かされ続けており、
その『利益』の源泉は原油であったわけです(ドル≒原油)。
その原油が今まさにバブルを終えようとしており、
物質主義が中心であった時代から、
ブロックチェーンを始めとする仮想通貨に焦点が
移ろうとしつつあります。
ロボットやIoT、
そして自動操縦やドローンといった、
ITの世界では斬新なキーワードが沢山頻出しておりますが、
いずれも物理空間における人間の無駄を究極にまで排除し、
情報空間(仮想空間)における人間の生活インフラ
整えようとしている気がしてなりません。
ロボットと人間の共生については
他稿で大量に著述致しましたので本稿では割愛するとして、
今人類は、限りある資源に縛られた物理空間で生きていくのか、
あるいはエネルギーを最小化させた情報空間で生きていくのか、
その瀬戸際にいるのでしょう。
エリートサラリーマンの平均年収が1,000万円以下となる一方、
付加価値を生まない虚業と評される情報起業家の年収が
1億円を優に超える現実は正にそれを示唆しており、
既に現代は、従来の消費社会以上に、情報を買い、
情報を食べる時代に突入しているのかもしれません。


このように書くととても無機質に感じる方も多いかもしれませんが、
実はこのトレンドは、人類の未来にとって、
非常に良い傾向ではないかと個人的には考えています。
1つには、情報の貸借取引が前提となる世界において、
最も価値のある情報とは『文化であり歴史』です。
いわゆる非再現性というやつです。
コピーできない情報は高いのです。
恐らく近い将来、文化価値が今より更に見直され、
本当の意味で歴史を持つ国家のプレゼンスが上がるはずです。
日本の文化がインバウンドや
クールジャパンという概念によって見直されつつあるのは、
これらの意味が内包されているのかもしれません。
2つには、これが最も大切かもしれませんが、
衝突と戦争の回避です。
限りある資源を前提として物理空間で生きようとしたとき、
歴史の証明を待つことなく、
人類のユートピアの先にあるのはイデオロギーの対立であり殺戮です。
一方、物理空間における生活の制限を、
ITを中心に最先端技術が除去出来るとするならば、
人類の未来は飛躍的に広がりを見せます。
食糧問題、エネルギー問題、環境の問題、貧困差の問題。
現代資本主義が生み出した様々な病理を、
仮想通貨、Iot、遺伝子工学、バイオテクノロジー、
自動操縦といった新たな技術で解決出来るとするならば、
絶望に包まれた人間の根源的な欲望の先に、
共存という希望が開けます。
もちろん、ムーアの法則ではありませんが、
技術発展の先に待つ未来は、ロボットと人間の共存論議であり、
慈愛の精神を有するAIが誕生した瞬間、
全ての人類は、人間は何故生まれ、
何を目的に生きるのかという根源的な命題を
突きつけられることでしょう。
でもそれは、旧約聖書から新約聖書
(タルムード、コーラン含め)から連綿と続いた神に
ついての解釈が書き換えられる、
正に人類にとっての歴史的瞬間であり、
『人は生まれながらにして罪を背負い、
罪を償うために労働をせねばならない』
とする自己否定の文明の終着点、
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神に代わる、
新しい時代の幕開けであり、
絵空事であった世界人類の共存が現実になる瞬間でもあるわけです。


・『利益』で動く世界の終わり


今の社会が抱える様々な問題、
ISISによるテロやサイバーアタックを始め、
世界の貧困、経済格差、エネルギー、環境といった難題は、
アウフヘーベン直前の
人類にもたらされた未来における究極的ヒントであり、
これらの難題と真剣に向き合う先にこそ、
本当の意味でのアセンションが待ち受けているのかもしれません。


実はここで、現代金融資本主義が終わった後、
次代における中核となりえる国は、世界で唯一日本ではないか、
という仮説が成り立ちます。
文字数がオーバーし始めましたので
詳細は来年2月に展開予定のある特大プロジェクトに
論を譲って参りますが、キーワードは『
日本のゆるさ
』です。
イデオロギー対立が終わった後の新時代の中心概念は、
多様性でありカオスです。
違いを突合するのではなく、全てを受け入れて、
緩くつなげる

神道や禅の精神にも近いものがあるかもしれません。
宗教観・文化・言語、いずれの観点から見ても、
日本の緩さは次世代における強力な武器になります。


この『ゆるさ』が発展すると、『ゆるし』になります。
許しとは、違いを受け入れること。
違いを受け入れることとは、理解すること。
分断の時代であった20世紀を終え、統合の時代である21世紀。
互いの違いをリスペクトし共感することが
必要とされる時代において、
その思想の受け皿となる資格を有するのは
日本だけではないでしょうか。


最近ある方からお聞きしたことですが、
2015年この年末に、ある映画が二つ公開されたそうです。
一つは、『海難』。
日本・トルコの合作映画で、
トルコの親日さを世界にアピールする格好な材料です。
もう一つは『杉原千畝』。
激動の世界大戦下に、
日本政府に背き6,000人にのぼるユダヤ人を
助けた外交官のお話です。
ISISと関係を持つトルコに好印象を持たせる映画と、
ユダヤ人を救ったことを印象に残させる映画を
同時期に上映していること、
それがこのタイミングであること

世界の本当の中心は、アメリカではなくイスラエルです。
この事実を知っている察しの良い方でしたら、
もしかしたらピンとくるかもしれません。


金融先物の創始者であり、
シカゴマーカンタイルを創設された名誉会長レオ・メラメド氏は、
杉浦千畝氏によりビザを発行され、
今でも日本に厚く感謝をしているそうです。


上記参考資料
上記参考資料


汎神論をベースに創られたとされる『スターウォーズ』と、
これらの映画がリリースされた背景を考慮するに、
金融資本主義的に見れば世界の風あたりがきつい一方で、
実は『彼ら』が本当に救いたいのは、
日本なのかもしれないな、そう思わされた一件です。
それはすなわち、先人の築いてくださった、
日本古来の『ゆるさ』や『ゆるし』という思考性が、
どこか胸を打ったのかもしれません。
あるいは、それよりも遙か昔、
起源的に深いつながりがあったのか・・・。


いずれにせよ、
可能性が限りなく高いと噂される日本国内のテロ発生を
予防する意味でも、少しでも日本のプレゼンスが高まること、
日本の文化へのリスペクトが高まること、そしてその発想が広がり、
世界各国が互いを受け入れ許し合えること、共感出来ること、
こうした新時代の兆しが、
技術革新の進む現代にうっすらと感じ始められたのは
素晴らしいことです。
来年も有意の方が増え、皆が責任を持ち、
主体的に情報を発信し、社会が変な方向に行くことを防ぎ、
多少の貧富差はあれど、
平和で安心な生活が健全に営まれることを祈念し、
そしてそのことに責任を持って、本年最後の稿としたく思います。
破壊と創造の交差する中に
新時代の兆しを見出す素晴らしい一年を祈って。


それでは皆様、よいお年をお迎えください。


best regards


MATSUDA, Gen
松田 元 拝




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