三つ目の論点は「法律の抜け穴」だ。日本では、最もむごたらしい凶悪犯罪者として、佐川一政(66)の名前が挙げられる。裕福な家庭に育ち、名門大学を卒業した佐川は1981年、留学先のフランス・パリで、オランダ人の女子学生を殺害し、遺体を解体して肉を食べた。フランス警察に逮捕されたが、精神疾患との診断を受け、不起訴となった。その後、日本に送還され精神病院に入院したが、医師たちは「精神病ではなく、いたって健康体だ」と診断した。
佐川に対しては「一事不再理」の原則が適用された。他国での処分であり、その原因(精神疾患)も実際にはなかったことが判明したにもかかわらずだ。精神病院を退院した後は、自らの犯行を題材にした小説を書いてベストセラーになり、テレビ番組にも出演した。現在も東京都内に居住し、外国メディアとのインタビューにも応じている。安倍政権がこの問題に対するコメントを出す義務はない。また同時に、過去の出来事をもって安倍首相に論争を仕掛ける人はいない。
日本でクリスマスの1週間前、2件の死刑執行があった。法の執行に厳格な国だが、人肉を食べた高齢者は自由の身となってクリスマスを迎えた。日本社会のシステムは一種独特だと感じた出来事だ。