日本で今月18日、津田寿美年(すみとし)死刑囚(63)と若林一行死刑囚(39)の2人に対する絞首刑が行われた。2人とも凶悪犯だった。神奈川県川崎市にあった家賃3万円の古びたアパートに住んでいた津田死刑囚は、」隣の部屋に住んでいた71歳の男性とその妻、男性の兄であるアパートの大家(当時73歳)を包丁で刺して殺害した。警察の調べに対し津田死刑囚は「隣の男性に何度も、ドアの開け閉めの音がうるさいと抗議したが、また繰り返されたため腹が立った」と供述した。
若林死刑囚はカネ目当ての犯行だった。塗装業を営んでいたが、ギャンブルにはまって多額の借金を抱えた。そして、岩手県洋野町で母娘2人が暮らしていた住宅に侵入し、鈍器などで2人を殺害し、現金を奪って逃走した。死刑執行は静かに行われ、これに対し日本社会は特に大きな反応を見せなかった。
日本では1980年以降、20回も政権が変わった。この35年間に118人が死刑を執行されたが、そのうちの24人が、安倍晋三首相の下での執行だった。2位は福田康夫首相(16人)、3位は橋本龍太郎首相(13人)、4位は麻生太郎首相(9人)、5位は村山富市、小渕恵三、中曽根康弘、小泉純一郎の各首相(8人)の下での執行だった。
安倍首相は死刑制度の存廃について一切発言していない。死刑廃止派はまず「無罪だった場合に取り返しが付かない」と主張する。実際、再審によって無罪となった死刑囚が戦後だけで4人もいる。
二つ目の論点は公平性だ。どのような順序で死刑を執行するのか、法曹界関係者も分からないという。オウム真理教教祖の麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚(60)は、地下鉄に毒ガス「サリン」をまいた事件の首謀者だが、20年にわたって死刑を執行されず、国から飯を食わせてもらっている状態だ。オウム真理教の残党によって凶悪事件が引き起こされるのではないかと恐れ、どの法務大臣も死刑執行を命じる文書に署名できないといううわさもある。津田寿美年死刑囚のように、無学で貧しく、何ら「バック」のない死刑囚ばかりに続々と死刑が執行されているが、それさえも順序が定まってはいない。この問題についても、安倍政権からは何ら説明がない。