しかし、この先韓日の間で何が起こるか分からない状況で「最終的かつ不可逆」と合意した部分が適切であったかどうか疑問だ。国際的な舞台で「非難を自制する」とした部分も、逆に韓国がこれまで国際社会で不適切な行動を取ってきたと受け止められる余地がある。少女像についても、日本の外相が早々と移転を既定事実化した発言をしているのは、韓国政府が何をどうすると言ったからなのか、国民の前で率直に説明すべきだ。
今回の合意に対する評価は、各自の歴史観や北東アジア情勢の見方、日本への視点によって異なり得る。重要なのは被害者だ。ほとんどが80・90代の生存者は、今年だけでも9人が亡くなり、現在は46人になっている。被害者は今回の合意に対して、食い違いのある反応を示しているという。合意内容について、できる限り詳細な説明と配慮があるべきだ。
朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は、交渉妥結が発表された後、安倍首相との電話の中で「今回の合意を基に、新たな関係を開いていくことを希望する」と発言した。安倍首相も全く同じ話をしたという。両国政府は、最善を尽くした結果だと言いたいのだろうが、リスクは依然として残っている。朴大統領はおそらく、米国の方を意識して日本との関係改善に乗り出した面が少なからずある。安倍首相も、自らの歴史観を変えてまで慰安婦への謝罪に心を込めたかどうかは疑問だ。中国の台頭を絶えず警戒している日本が、北朝鮮のこともあって中国への接近が避けられない韓国の立場を、快く受け入れるはずもない。ゆえに、今回の合意で両国間の対立の源泉が消えたとは言えない。はっきりしているのは、慰安婦問題にばかりこだわって韓国と日本が反目する局面が、これ以上続いてはならないということだ。