今回の合意は、日本政府が婉曲的な手法で責任を認めつつも、法的責任は避けた内容になっている。両国の内部事情を考慮すると、こうした合意が避けられない側面はあるとも考えられる。しかし今後、日本国内から、今回の合意の精神を損なったり覆したりする言動が出て来る可能性は大いにある。当の岸田外相も、記者会見が終わるなり「法的責任がないという立場に変化はない」と発言した。今後、これ以上の発言も出てくるだろう。そういう状況になった場合どうするのか、両国政府の説明が必要だ。
韓国政府は、日本側の約束が忠実に履行されるということを前提に、三つの約束をした。今回の合意が「最終的かつ不可逆的なもの」であって、今後国連など国際的な舞台でこれ以上「非難・批判」をしないと言った。駐韓日本大使館前の少女像についても「適切に解決されるよう努力」するとした。日本側が今回の交渉の過程で強く要求していた事項を、全て受け入れたわけだ。
韓国と日本は先月、3年6カ月ぶりに首脳会談を行ったが、依然として正常な関係ではない。韓日関係の悪化が韓米日三カ国協調にマイナスの影響を及ぼすことは避けられず、これは急変する北東アジア情勢の中で、韓国の選択の範囲を狭める方向へと作用しかねない。韓国政府が日本側に劣らず合意のため積極的に努力したのも、このような国際情勢を考慮したからだろう。