2015-12-29
俺が予想する2016年のスタートアップ・トレンド
これおもしろかったです。
日本のVCが予想する2016年のスタートアップ・トレンド(前編) | TechCrunch Japan
じゃあ俺も予想するするー。ってことで、VCとの違いとしてはキャピタルゲインが欲しいVCとは違った目で100%自己資本の手堅い起業も含めて分析・言及していることです。
トレンドその1:クラウドベースのIoT系システムの受託開発ビジネスの伸長
2015年、MicrosoftAzureのIoT向けスイートや、AWSのIoT向けソリューションが出ました。
これらはかなりイケてます。これらを使ってサクッとIoTシステムを作れるベンダーは引っ張りだこになる2016でしょう。まだまだIoTという観点でしっかりクラウド機能を組み合わせてシステムを組み上げる力を持ったベンダーは少なく、スタートアップのチャンスです。
トレンドその2:B2CのIoTはヘルスケア、B2BのIoTは「インダストリアル4.0」から全産業横断へ
IoTってB2C的にみるとやっぱり最初はヘルスケア領域だと思うんですよね。健康を維持する、病気を防ぐ、運動の動機付け、そういう部分は一定のニーズがあるし、たんまり金持ってる高齢者にも訴求しやすい領域だと思います。これはデバイス+クラウドという王道のスタートアップがどんどん出てきて伸びると思います。
B2BのIoTは、そもそもの予算が大きい重工業や機械工業での普及が進み、この領域のスタートアップたちは2015年もメディア記事のなかで名前を飾りましたが、それらは割と包括的にインダストリアル4.0全方面ねらうイメージがあります。2016年に登場するスタートアップはもう少しテーマは絞った上で全業界を横断するような技術で製品を出したりインテグレーションサービスをしたりすると思います。例えば、カメラのついたデバイスで「画像処理+ロジスティクス」に特化するとか、BLEタグで「位置情報+ビッグデータ」だけしかやらないベンダとか。そうすれば、予算が大きく無くてもいろんな応用が見込めて(受託開発として)スケールしそうなのでスタートアップとして成立しやすいと思います。
トレンドその3: 人工知能やロボティクスはメディアのテンションは下がるが学術界から産業界への知の移転が水面下で着実に進む
ここは上でも書いた2015年に大きく報道されたようなAI系ベンチャーについてですが、投資も一巡して2016年はそのお金を使って知の移転を着実に進める年になると思います。この領域はすぐに社会的なインパクトのある製品リリースが相次ぐというよりは、着実に静かに少しずつ世の中を変える力として持続することでしょう。そういう意味では「トレンド」ではないかもしれません。
トレンドその4: FinTechは投資が活発になるが業界全体としては「探索モードとしての規模拡大」という形に
FinTechはそもそも業界全体として新しいテクノロジをどのように産業に応用したらうまくいくか答えを探るフェーズだと思います。こういう領域こそVCの出番。各VCの思想や投資スタンスの多様性に従い、様々な試みに資金が投下されるでしょう。全体として便利な金融インフラが後々出来上がる素地を作る最初の年になると思います。なのでこの領域はスタートアップは企画力と柔軟性のあるところ(例えばブロックチェーンでなんでもやれるエンジニアがいっぱいるとか)がメディアを席巻するでしょう。
トレンドその5: 機械学習とビッグデータ解析のコモディティ化(分析そのものからドメインマッピングへ付加価値の中心が移行)
この数年で機械学習はとくに広義のマーケティングの世界でとても浸透しました。2015年は「ビッグデータがバズワードでなく実体を伴っていることをみんなが意識した年」でもあったかと思います。しかし、まだこの技術は現場のマーケッターやメディア編集者たちが自力で使いこなせるレベルまでコモディティ化していません。例えばTableauというソフトはエンジニアにとっては割とやさしめのアプリケーションですが、それを必要とする現場のドメイン専門家にとってはまだまだ使いこなすのが難しいアプリケーションだというのが私のコンサルティングの仕事を通しての経験としてあります。よってデータサイエンティストとドメイン専門家の知識ギャップを埋めることの出来るソリューションは伸びるでしょう。
マーケティングやアナリティクス系のテックベンチャーはいずれもマーケティングオートメーションを標榜しつつありますが、2016年はそうした既存プレイヤの展開と並行して最初から「データサイエンスをドメイン専門家につなぐ」ことを売りにするデータ分析ベンダやテクノロジプラットフォーマが登場してハイスピードでスケールするでしょう。
トレンド番外編:インバウンド観光客向け集客ビジネスの全国同時多発
外国人観光客が増えてます。2015年はインバウンド観光客向けにネット接続インフラの整備があちこちで進んだ一年でした。まだまだ「爆買い」と呼ばれるような都心一帯で買い物するくらいのインバウンド観光客ですが、来年2016年からもう少し日本旅行の本当の楽しさを味わってもらえることが増えるでしょう。ネット接続環境の普及に伴い、オンライン・オフライン組み合わせての観光客の集客ビジネスが新たなビジネスチャンスになりそうです。スタートアップも何社か出てきてパッと売り上げを立てたりする領域になるんじゃないでしょうか。