原油価格、来年の回復期待低下-イラン復帰による供給過剰悪化を懸念
2015/12/30 03:16 JST
(ブルームバーグ):投資家らは、原油価格が来年回復するとの信頼感を失いつつある。既に原油が世界的に供給過剰となっている状況下で、イランが供給拡大の準備を進めているためだ。ただこれは、6年ぶり安値となっているガソリン価格の恩恵を受けている米国のドライバーにとっては明るいニュースとなる。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、ヘッジファンドによる原油価格上昇を見込んだポジションは22日終了週に3カ月ぶり低水準に減少。一方、価格下落を見込んだポジションは過去最高付近を維持した。
原油相場は21日に約6年ぶりの安値に下落した。中東や米国の生産業者が市場シェアを争う中で、供給過剰が悪化するとの観測が背景にある。イランは今月に入り、供給を増やす方針を強調している。同国は、核開発プログラムに対する経済制裁が来年1月の第1週に解除されると見込んでいる。原油安を受けて米国のガソリン店頭価格も下げており、消費者の懐には余裕が生まれている。
エナジー・アナリティクス・グループのディレクター、トム・フィンロン氏(フロリダ州ジュピター在勤)は「弱気になる根拠は十分にある」とし、「12月も終わりに近づく中、今後見込まれるイランの市場復帰により供給過剰が悪化することへの関心が強まっている」と続けた。
全米自動車協会(AAA)によると、米国のレギュラーガソリンの平均価格は20日にガロン当たり1.998ドルに下落し、2009年以降で初めて2ドルを割り込んだ。
原題:Iran Adding to Global Oil Glut Dims Hopes for Recovery Next Year(抜粋)
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更新日時: 2015/12/30 03:16 JST