【コラム】「日本のせい」ではなく、日本を畏怖させる外交を

元慰安婦の女性たちが涙する本当の理由
元慰安婦たちに「希望拷問」ばかりの韓国政府は日本と同じ
日本のせいにばかりせず、韓国が思い切った転換実践すれば日本の方が窮地に

 慰安婦問題が明らかになると、韓国政府は日本に対し超強硬姿勢を取った。盧泰愚(ノ・テウ)大統領=当時=は日本の首相を前にして「歴史と国民の前でうそをついている」と責め立てた。だが、韓国政府の焦点は慰安婦問題ではなく、韓国の貿易赤字の大半を占める対日貿易不均衡の改善案を日本側から引き出すことだった。当時水面下で行われた韓日実務交渉の場で会った韓国の外交官は「慰安婦問題を対日貿易不均衡と結び付ける交渉は、外交官の良心上、到底できない」とまで言った。こうした紆余(うよ)曲折の末、韓日経済協力案が整備されたが、実質的な貿易不均衡改善効果はほとんどなかった。

 日本の専門家たちによると、慰安婦や歴史認識問題を別の何かと結び付ける韓国側の交渉戦略は、日本に逆利用されるのが常だったという。かえって、1993年に金泳三(キム・ヨンサム)大統領が就任直後に「慰安婦問題に関して金銭的補償は要求しないから、歴史の真実を明らかにしよう」と言ってきた時、日本は一番困惑したとのことだ。事実、日本側が慰安婦問題で最も前向きな姿勢を取ったと評価される河野談話はその直後に発表され、慰安婦問題が初めて日本の教科書に掲載された。

 しかし、その後25年近く、慰安婦問題は堂々巡りをするばかりだった。韓国政府は日本に国としての賠償を要求する元慰安婦たちに対し、正直にそれが「容易でない要求」であることを説得する勇気もなかった。だからといって、日本に対して思い切った提案をする自信もなかった。ただ、慰安婦問題に関する国内外の怒りが沸点に達しそうになったら臨機応変に対日強硬姿勢を取ることで精いっぱいだった。韓国政府は元慰安婦たちにこうした形で「希望拷問」(実現できないことを知りながら、実現できるかのように希望を持たせ、結果的に苦しめること)をしてきたのだ。

朴斗植(パク・ドゥシク)副局長兼社会部長
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