この「俺のソース」というツイッターアカウント/ブログでは新聞等で報道された科学記事の元になった原著論文を提示しています。
今回は2015年に報道された記事のなかから個人的に面白かったものをまとめてお送りします。
まずはこれ。 日刊工業新聞の元記事へのリンクが切れてるので日経新聞の記事へのリンクを貼っておきます。
岡山大、植物の葉緑体へビタミンCを運ぶ輸送体特定-日射耐性植物育種に一役 http://t.co/n5dmKYEeVQ ミトコンドリアでつくられたVCはPHT4;4が葉緑体内へ輸送し強光障害耐性に寄与(Nat commun)OA→ http://t.co/nfW8zPrRn3
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 1月 9
植物のビタミンC輸送体を世界で初めて同定 (岡山大学プレスリリース)→ http://t.co/wbIuXE2fxN
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 1月 9
へー、ビタミンCはミトコンドリアに貯められるんだ。知らなかった。
次はこれ。多くの哺乳類は陰茎骨をもつとか、ヒトが例外的に陰茎骨を持たないとか、知らなかった。
環境汚染でホッキョクグマのペニス折れやすく ナショジオhttp://t.co/ScG6ahnctf 食物連鎖の上位にいるホッキョクグマはPCBの影響で特に陰茎骨の骨密度が低下している(Eniron Res)→ http://t.co/tl2TZiM8Wy
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 2月 10
これも面白かった。植物は良くできたシステムを持ってますねえ。青汁を撒いて昆虫防除が有効だったりするんでしょうかねえ。
北大、植物が虫から身を守るための新しいメカニズム 財経 http://t.co/6mxhhKbiCT 液胞や小胞体のクロロフィラーゼが細胞損傷時にクロロフィルに働き昆虫に対する毒素クロロフィリドを生成(Plant Physiol)→ http://t.co/Iy06BZA89l
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 2月 3
次はみんな大好きペンギンです。 時事通信の記事が消えているのでmsnのページのリンクを貼っておきます。
時事ドットコム:ペンギン、塩味と酸味だけ?=他の味覚喪失か、遺伝子解析 http://t.co/26geRxDH7s ゲノム比較によりペンギンでは甘味、旨味、苦味のGPCRが失われていることが明らかに(Curr biol)→ http://t.co/ApbxXIbNwi
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 2月 19
ペンギンのゲノムから味覚受容体を探索した短い論文です。そもそも鳥は甘味受容体が機能してないそうですが、なぜペンギンで旨味、苦味の受容体が機能喪失しているかについては魚を丸呑みするからという理由の他に、そもそも味覚のGPCRが低温では働かないため低温地域で暮らすペンギンでは進化の過程で選択圧がかからず喪失されたということも議論されています。ペンギンで残っている味覚の塩味と酸味はイオンチャネル型の味覚受容体ですしね。
実験医学 2013年2月号 Vol.31 No.3 構造から創薬に向かうGPCR研究〜シグナルを呼び起こす,そのダイナミクス
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似たような研究ですが、こちらはクジラの話。クジラも寒いところにいますもんね。
京大、ヒゲクジラ類の嗅覚で失われている遺伝子を明らかに 財経新聞 http://t.co/3KS11bWXhu クロミンククジラは嗅球背側特異的遺伝子が喪失。鯨類には甘味やうま味、苦味遺伝子もない(Zool Letter)OA→ http://t.co/vH4LnyNfLo
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 3月 10
鯨類の化学感覚能力の一端を解明 (京都大学プレスリリース)→ http://t.co/jYGsrCnv17
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 3月 10
これも面白かった。研究費もとりにくそうな研究だし人類の役に立つかと言われたら難しいかもしれないですが、面白かったです。
ダンゴウオ3種、同種の雌雄だった 北大・阿部助教ら 北海道新聞 http://t.co/apqO7VahbY 卵を発生させ、コンペイトウとされていたのはメス、コブフウセンウオとナメフウセンウオはオスと判明 (J Fish biol)→ http://t.co/MwfHVNBrbW
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 2月 21
私、ハイチオールCを飲みだしてから体調が20代の頃のように調子いいのですが、飲まないほうがいいんでしょうかねえ。
アミノ酸「システイン」で糖尿病招く恐れ 東大が確認 日経 http://t.co/f9xgM5p1BT システインがPKM2活性を下げPEPからピルビン酸、ATPがつくられず膵臓でのインスリン分泌を抑制する(PNAS)OA→ http://t.co/72ZTVg0bP6
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 2月 25
男女の出生比が105:100である理由を大規模調査で明らかにした、との論文。発生の過程で男児が死にやすい時期、女児が流産しやすい時期がありトータルでは女児の方が子宮内で死にやすいということのようです。
男児と女児、受胎率は同じ AFP http://t.co/dZ7QlWrkbu 過去最大規模のデータセットから男児と女児の出生数の差は受胎率の差ではなく受精後第1週と28~35週での死亡率の差によることが明らかに(PNAS)OA→ http://t.co/MMbdBqdubH
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 3月 31
ミジンコの遺伝的多様性は低いんですねえ。
日本のミジンコ、実はアメリカ外来種だった たった4個体から全国に どこから? 東北大 http://t.co/ZGAuhvrht3 日本のミジンコは北米産と同じで単為生殖で増えたもの。(Limnol Oceanography)→ http://t.co/NDuFdxBvxT
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 4月 8
生き物びっくり実験! ミジンコが教えてくれること 生物と生態系のふしぎを実験から学ぼう!! (サイエンス・アイ新書)
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mtDNAの変異ではなく 加齢により核コードのGCAT遺伝子の発現量が低下することが老化の原因かも、という話。
「細胞の初期化」で若返りの可能性 筑波大学、ヒトの老化の仕組みの新仮説を発表 - ねとらぼ http://t.co/DrwUnhdgsj mtDNAの変異ではなくGCAT遺伝子によるmtグリシン代謝の低下が原因(Sci Rep)OA→ http://t.co/lwvcTDcxUz
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 5月 25
細胞の初期化により老化もリセットできるかもしれない ~ヒトの加齢に伴うミトコンドリア呼吸欠損の原因に関する新仮説の発表~ (筑波大学プレスリリース)→ http://t.co/eWDK4CmKV1
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 5月 25
へー、核もオートファジーのターゲットなんだ!と驚いた論文。研究材料は酵母ですが、動物の多核細胞だったら生存のために複数ある核のひとつを分解してなんてことがあるのかもしれないなんて妄想しますね。
生命維持にわが身削る?-飢餓時に細胞自ら核分解し生存に役立てている可能性-東工大:日刊工業新聞 http://t.co/XdsNML7dhl オートファジーにおける核と小胞体の分解目印Atg39, 40を発見(Nature)→ http://t.co/iacLBBLopB
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 6月 5
細胞の核と小胞体を分解する新しい仕組みを発見 -オートファジーの目印を特定、感覚神経障害との関連も示唆- (東京工業大学プレスリリース)→ http://t.co/5T2w9n8Cai
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 6月 5
オートファジー―生命をささえる細胞の自己分解システム (DOJIN BIOSCIENCE SERIES)
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卵胞から分泌されるFSHの量調節を行うインヒビンを抗体で抑えると100個も排卵されるのか!へー!
熊本大、メスのマウス1匹から卵子100個採取に成功-過剰排卵法の5倍:日刊工業新聞 http://t.co/iUIhpu3eyD 卵胞から放出されるインヒビンを抗体で中和しFSHを過剰に産生させ超過剰排卵を誘発 (PLoS One)→ http://t.co/yG5YmZPIHX
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 6月 8
1 匹の雌マウスから 100 個の卵子を排卵させることに成功! (熊本大学プレスリリース)→ http://t.co/qSzWI5VwRM
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 6月 8
芸術活動に従事する人は 統合失調症や双極性障害の原因遺伝子変異を持つ人が多かったという話。
芸術的創造性、精神疾患と共通の遺伝子で発現か アイスランド研究 AFP News http://t.co/fsYnuLnFxI 躁鬱病を30%増加させる遺伝的要因を発見。芸術活動に従事する人に多く見られた(Nat Neurosci)→ http://t.co/PlHjr80zeH
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 6月 10
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以上、2015年の上半期のこの科学記事が面白かった of the yearでした。
この科学記事が面白かった of the year 2015下半期に続きます。
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