低迷する韓国経済:来年さらに悪化の見通しも景気浮揚に打つ手なし

吹き荒れるリストラの嵐、消費・雇用に急ブレーキの可能性

 企業の業績悪化、家計(個人)債務の急増などにより、韓国経済はすでに至る所で赤信号がともっているが、問題は来年の見通しがさらに暗いという点だ。韓国銀行(中央銀行)と韓国開発研究院(KDI)などの国策機関は来年の経済成長率について、3%をやや上回ると見通している。しかし近年、実際の成長率が予測値を大幅に下回っていることを考えると、成長率3%は期待できないだろう。KDIと韓国銀行は当初、今年の成長率見通しをそれぞれ3.8%、3.9%としていたが、ふたを開けてみると2.7%前後の成長にとどまっている。

 LG経済研究院など民間の機関は、来年の成長率を2%台半ばから後半と予測している。大信証券のパク・ヒョンジュン研究員は「来年が今年より良くなると予測できるだけの根拠が見つからない」として、来年の成長率を2.5%と見通した。

 このような暗い見通しが出ているのは、今年は景気回復に向けて総力戦を展開したため、これ以上は切り札がなく、各分野で成長が急にストップするという状況が予想されるからだ。今年5月の中東呼吸器症候群(MERS)流行の影響で国内景気が落ち込むと、政府は大規模な追加補正予算をはじめ個別消費税の引き下げ、臨時公休日の指定、大規模セールイベント「韓国版ブラックフライデー」など、使える手は全て使った。しかし年末で個別消費税の引き下げが終了すれば、来年の年初からいきなり「消費の崖(消費が急にストップすること)」という状況に陥る懸念が大きい。

 来年からの定年延長に伴い、人件費削減のために各企業が新規採用を控える「青年雇用の崖」という状況も現実的になる可能性が高い。今年、国内景気をけん引してきた住宅市場は、分譲物件の供給過剰と家計債務の急増という後遺症を生み出している。

 高齢化や住居費の上昇、ゾンビ企業(政府の補助金や金融機関の緊急資金支援で延命している企業)の増加といった構造的な問題も山積している。LG経済研究院のチョ・ヨンム研究委員は「韓国経済が直面している問題は、どれ一つ取っても容易に解決できるものではないため、一時的な浮揚策で景気が回復するのは難しい」と指摘した。

チェ・ギュミン記者
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