2015-12-30
■貧すれば鈍すると言いますが・・・ 
2015年、個人的にはなかなかいい年だったけれども、年の瀬だし読んでる人少ないのでどさくさに紛れて今年あった残念な案件をいくつか振り返りたいと思う。年忘れということで。
僕が今年残念に思ったのは、大きく2つ。
とある知人が脱サラして飲食店を始めた一年前。
「うまくいくのかなあ」と思いつつも、その地域では唯一のジャンルの店だったし、ベッドタウンなので普通にやればまずしくじらないと思っていた。
プレオープンのお祝いの日にお店で試食したその料理は・・・なんていうか不味くはないが美味くもない。
たぶん知人の店でなければ絶対に二度と来ないだろうな、という不思議な味で、しかし店主がドヤ顔で「どう?美味い?」と聞いてくるので精一杯、「食えなくはない」と答えるしかなかった。
その人の味覚がとても悪いかというえばそんなことはなく、僕も美味しい店を何件か教えてもらったことがあるし、まともな人なんだと思う。ところがこと商売となると、なんというか考えすぎた挙句、よくわからない食べ物になってしまった、という感じなのだと思う。
案の定、経営に行き詰まったらしく、金策に走る。僕も借金を申し込まれた。
ちなみに言うが、僕は断じて知人・友人に金を貸さない。ビジネスならともかく、友人間の関係にヒビが入るからだ。出資なら・・・少しは考えたかもしれない。けれどもその店には未来がないことが明らかだった。彼は明らかにいますぐ店を畳んで借金を精算し、まっとうな仕事につくべきなのに。もちろんそれを伝えたけれども、彼の心には響かない。彼の周りには優秀な経営者の友達が大勢いるのに、そのどのアドバイスも彼の心を変えることはない。そうしたら、もう諦めるしかない。
僕は「とにかく、おたくの料理はおいしくないんだからお金をいくら調達しても無駄だよ。いますぐ潰したほうが良い」と老婆心ながらアドバイスするんだけど、持ち前の明るさと人懐っこさでなんとか資金を調達してしまった。
「美味くなったからさ。最近はリピーターもついてきてくれてるんだよ。食べに来いよ」と頑なに主張するし、一度は引導を渡そうとした手前もあるので、仕方なく食いに行ってみると相変わらず不味い。
不味いというか味がしない。というかゴーヤが入ってるわけでもないのに苦味しかしないんだけど、まあ食えなくはないので食えてしまう。これがたぶん全ての不幸の始まりだろう。さすがに食えないほど不味くて大多数の客が全部平らげずに帰ったら何が悪いのか明確だが、食えてしまっているということはこの誤りに気づかない。
リピーターがいるというのも嘘ではないだろうが、この界隈でこのジャンルの店はここだけなので、超消極的選択と、「こんなに不味いものがあるわけがない。あのときは体調が悪かったのかも」と思って舞い戻ってくる客が10人くらい居ても全く不思議はない。いやひょっとするとホンモノの味音痴が「美味い」と勘違いして食いに来てるのかもしれない。それが一定数以上いれば店は成立するが、果たしてそれでいいのか。そもそも自分でも美味いと思ってないように思える。頭で考えすぎて、旨いものというものが本当はどうあるべきか、という当たり前のことが判断できなくなっている。もはや何がしたいのかわからない。
僕が訪れた昼時に居た客は3人。15席はあるから大赤字だ。
たぶん半年もしないでまた資金に行き詰まると思う。
長いこと会社をやっていると、こういう場面に幾度か出くわす。
明らかにおかしなことをやっていて、既に明らかに詰んでいるのに、本人はそれを認めたがらない。
そういう友人を何度も見てきたし、何度も助言したけれども、本人の心には響かない。
そういや、これまた有名なエンジニアで、会社を作って数十億調達したにも関らず、製品がほとんど出荷されないまま資金調達に詰まって相談を受けたんだけど、なにしろその会社は自社の持つ重要特許を担保に金を借りていたので、それが返せない時点で詰んでる。
だから僕は資金協力を依頼されたけど「詰んでますよ。もっと抜本的な経営改革を行わないとまともな会社は相手にしませんよ」というメールを書いたら、なんと番頭役を務める社長の奥さんから「死人に鞭打つようなメールはやめてください」というメールが帰ってきて仰天した。死人て!!死んでる自覚があるのかよ!
僕はその会社にもなんの義理もないので、本当に親切のつもりで冷静に詰んでることを指摘しただけなのにヒステリックなメールが戻ってきて、さすがに僕を紹介した人も「これはもうだめですね」と諦めた。
そういうときの末路はいつも決まっている。
もうその会社のWebサイトは早速スクワッターに奪われていた。
いくら世界一の技術力があっても、経営センスがなけりゃ、ダメだよ。
善良だし無垢なんだろうけど、無垢で善良なだけではこの魑魅魍魎が跳梁跋扈する実業界ではやっていけない。
経営のダークサイドだな、と思う。
経営のダークサイドといえば、もうひとつ、今年の残念な案件として、やはり別の知人が、公的機関を使って取り込み詐欺まがいのことをやっていたそうだ。
彼の経営する会社がそんなに上手く行ってるように見えなかったので、彼が公的機関のお金を私物化していたことにはそんなに驚かなかったが、しかし手口のあまりの卑劣さに舌を巻いた。詳しくは書けない。
これだけだったら僕もそっとしておくんだけど、最近、僕の名前を使って(友人を名乗ったり事業パートナーを名乗ったりするらしい/そりゃFacebookはつながってますけど)こそこそ営業しているという噂が今日の朝イチで伝わってきて、年末だというのに暗澹たる気分になった。
僕自身は証拠を持っていないので、その人が本当にそういうことをした人なのかわからないが、複数の知人からそういう話が入ってきており、見過ごせない。
証拠もないし、その人が誰なのかは敢えて明かさないが、僕が同席していない場面で僕の名前を出して商売なり事業なりを持ちかけられたら気をつけて欲しい。
僕自身はどれだけ忙しくても、ビジネスパートナーと仕事をするときには必ず会議に同席する。
僕が同席していないのにうちの社員でもない人間がそんなことを言い出したら間違いなく嘘なので気をつけて欲しい。
貧すれば鈍する。
まさしくこの言葉の通り、金に詰まると心が荒む。
僕も経営を長いことしていて金に詰まって本当に困ったことが何度かあった。
ピンチというのは突然やってくる。特に創業期はピンチの連続だった。
それでもこれまで13年に渡りなんとかやってこれたのは、その度に同僚にしろ友人にしろ、みんなが凄く親身になって助けてくれたからだ。そういう支えがあったからこそ、僕は本当の意味では荒まずに済んだ。僕が滅茶苦茶落ち込んでいる時も常に誰かが傍にいてくれた。それがあったから、僕はなんとか生きている。
そう考えてみると、僕はそういう意味で、金がない時期はあったけど本当の意味で貧してはいなかったのかもしれない。
つまりたとえ金がなくても心が豊かなら、アドバイスにも真摯に耳を傾けられるし、ましてや詐欺まがいのことに手を染めたりはしないだろう。
しかしそれにしても残念だ。
一人は公的機関を追放されたらしく、もう一人は借金苦への道まっしぐらだが、もはや僕ごときにどうこうできる段階ではない。
やれやれ。二人には除夜の鐘でもついて煩悩を払って欲しい。
来年は彼らにとってもいい年になるといいなあ
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