「Chromecast」を買うべき6つの理由
2015.12.29 19:48Google Playで映画の無料レンタルを実施しているので、観たい映画を外出中にスマホでチェックしてレンタル。帰宅したら「Google Play ムービー& TV」アプリで借りた映画を表示して、キャストボタンをタップし、接続するChromecast(クロームキャスト)を選択する。同時にテレビの電源が入る。スマホで再生ボタンを押せば、あとはテレビでの映画鑑賞がスタートする──レンタルから視聴までスマホだけで済んでしまう、こんなスタイルが普通になってから1年半が経った。
ここ2年間に発売された製品で最も日常生活を変えてくれたもの。筆者にとってのそれは、紛れも無くこの「Chromecast」だった。
Chromecastは、テレビでインターネット経由のコンテンツをWi-Fi経由で簡単に楽しめるようになるGoogle製デバイス。サイズも価格も非常にコンパクトな製品で、テレビのHDMI端子と電源に接続するだけで使えるようになる。
この小さなHDMIドングルは、「Chromecast?何それ?」と言う友人に無理矢理にでも購入させたくなるデバイスであり続けた。HDMI端子付きテレビとWi-Fi環境さえあれば、これほどコストパフォーマンスに優れた製品はないのではないだろうか。
すでにネット経由のコンテンツを簡単にテレビで視聴できる時代が既にやってきている。アーリーアダプター層にとっては「そんなこと、言われなくても分かってるよ」という事実かもしれないが、筆者の家族や友人、知人を見渡してみると、彼らはまだまだ時代の到来を実感できていない。つまり、テレビでYouTubeや動画配信サービスなどを視聴したことがないという人が世の中に溢れているのだ。
そこで、スマホユーザーならChromecastを買うべき理由を大まかに6つほど書き出してみた。
Chromecastを買うべき6つの理由
理由1:テレビの大画面で楽しめる
まず大前提として、テレビの大画面で好きな映像コンテンツを手軽に視聴できることが大きなメリットとなる。YouTubeなどの動画はPCやスマホ、タブレットなどでも十分に楽しめるが、画面が大きくなることがもたらすユーザー体験の質的変化は無視できない。
また、大きな画面に映し出すことでそのコンテンツを家族・友人と共有しやすくなるのも大きな利点だ。Googleフォトに撮りためてある写真・動画をテレビに映して家族の思い出をみんなで振り返る、なんてこともお手の物だ。
ちなみに、何も再生していないときはスクリーンセーバーが起動し、美しい風景写真などが重複なしにエンドレスで切り替わりつづけていく。
理由2:便利すぎる「キャスト」機能
Chromecastを使っていく上で最も重要な概念が「Cast(キャスト)」であることに異論は出ないだろう。
Castには「投げる」「(釣り糸などを)投げ込む」といった意味があり、機能を使ってみればコンテンツを実際に投げる感覚を得られるはずだ。
特徴的な「キャスト」する感覚
Chromecastは、スマホなどとセットで利用することを前提としているデバイス。単体では使えず、スマホなどをChromecastにキャストすることになる。
原則として、コンテンツ自体はネットからChromecastを経由してストリーミングされ、テレビに映し出される。よく勘違いされているが、コンテンツは「ネット→スマホ→Chromecast→テレビ」ではなく「ネット→Chromecast→テレビ」という経路を辿って届けられる。あくまでもスマホはキャストするコンテンツを選ぶだけの存在に過ぎないというのが基本だ。
※2014年夏、Androidデバイス画面のミラーリングにも対応済み。
Apple TVやNexus Player、Fire TVなどとは異なる体験
Apple TVやNexus Playerのようなセットトップボックス(STB)と大きく異なるのは、いつも使い慣れているスマートフォンというデバイスがそのままコンテンツを探す場となり、リモコンとなることだ。
ネット経由でコンテンツを視聴するのはSTBと同じだが、使い勝手は全く別物となる。STBは従来のリモコン操作と同様に「テレビを操作する」感覚だが、Chromecastでは「テレビは単なるスクリーン」に過ぎない。もっとも身近なデバイスであるスマートフォンでほとんど全てが完了するというシームレスな感覚を経験すれば、STBのリモコンをカチャカチャと操作する行為が古くさいものに思えて仕方なくなるだろう。
この点、AmazonのFire TV Stickは、Chromecastと同じくスティック型のデバイスだが、機能的にはApple TVのようなSTBと同系統の製品だ。Amazonは2015年10月、Fire TV・Fire TV Stickなどの競合製品であるChromecastとNexus Player、Apple TVを締め出し、販売を禁止している。
さまざまなOSに対応、ブラウザもキャスト可能
Chromecastは、Android・iOS・Windows・Mac・Chrome OSに対応する。
PCのChromeブラウザにChromecast用の拡張機能「Google Cast」をインストールすれば、ブラウザで表示している画面をテレビにキャストできるようになる。Chromecast未対応のニコニコ動画もPCブラウザ表示でキャストすれば、テレビで動画を視聴できないこともないわけだ。
超音波を利用したゲストモード
自宅に遊びにきた友人のスマホからでもゲストモードでChromecastにキャストできる。このゲストモードでは自宅Wi-Fiに接続する必要すらない。つまり、アカウントやパスワードの入力は不要ということだ。
同じ空間内にあるChromecastとゲストのAndroid端末のペアリングには、耳では聞こえない周波数の超音波を利用する。残念ながらiPhoneはゲスト端末として使えない。
ローカルに保存したメディアファイルをキャストできるアプリ「AllCast」
サードパーティ製アプリ「AllCast」(Android/iOS)を使えば、端末内のメディアファイルをキャストできるようになる。Chromecastは本来、クラウドにアップロードしてあるファイルをストリーミングするための製品だが、ローカルに保存してあるファイルでもテレビにキャストできてしまうので非常に便利だ。
理由3:Chromecastは環境構築が簡単
環境構築が非常に簡単であることもChromecastの魅力のひとつ。
まず、本体をテレビのHDMI端子に取り付け、MicroUSBポートから給電することになる。特に迷うことはないだろう。
テレビ・電源と接続したら、あとはスマホなどを利用してセットアップする。詳しくは、Googleのサポートページで確認してほしい。
理由4:豊富なキャスト対応サービス
キャスト機能に対応しているサービスは増え続けている。YouTubeやGoogle Playムービーなどは当然として、NetflixやHulu、GYAO!、dTV、dアニメストア、au ビデオパス、U-NEXTのような大手動画ストリーミングサービスは既に軒並み対応している。
自分がよく利用するサービスが対応していれば、Chromecastひとつでコンテンツの楽しみ方が広がる。
理由5:35ドルの低価格
日本におけるChromecastの販売価格は4200円(税抜)だ。これを安いと見るか高いと見るかは人それぞれだろう。
筆者としては後述のクーポンの存在もあり、ほとんど無料で購した気分になってしまっている。
理由6:クーポンがよく配布される
Chromecastを発売されてから1年半の間、Chromecastユーザー向けに少なくとも3回は映画無料レンタルクーポンが配布されている。その他にも、Google Playで使える600円分のクレジットが複数回プレゼントされた。発売時からChromecastユーザーであれば、5本以上の映画を無料レンタルできている計算になる。
関連:Chromecastで映画無料レンタルクーポンが配布中 期限は12月31日
おそらく、今後もクーポン配布は継続的に実施されていくだろう。
新しいChromecast発売まで待つべきか?
すでに新しいChromecast(Chromecast 2.0)が米国などで販売されており、日本でもそろそろ発売される兆候が出てきている。日本での価格は4980円(税抜)となる見通し。
日本で現在販売されている第一世代から進化した点は以下のとおり。ここに魅力を感じなければ前モデルでも十分に事足りるはずだ。
- デザイン刷新
- カラー追加(ブラック、レモネード、コーラル)
- Wi-Fiパフォーマンスの強化(デュアルバンド2.4GHzおよび5GHzに対応し、802.11acをサポートする等)
- 高性能指向性アンテナ搭載
- パフォーマンスの向上(Fast Play機能により、スマホでアプリを開くとChromecastにアプリが事前に読み込まれる等)
Chromecast、それはストリーミングの時代を安価に体験できるデバイス
DVD・VHSビデオといった物理メディアのレンタル市場は縮小しつづけている。日本映像ソフト協会(JVA)によれば、2007年時点で3604億円だった市場規模は、2010年には2672億円、2014年には2103億円にまで落ち込んでおり、従来型のビデオレンタル市場の先行きは暗いと言わざるをえない。2010年に米国ビデオレンタル最大手のブロックバスターが倒産したことも記憶に新しい。ツタヤ・ゲオの大手2社も業態ポートフォリオの変革を進めているところだ。
ほんの数年前まで、「自宅で映画を観る」ためにツタヤやゲオのようなレンタルショップを利用するのが普通の選択肢だった。今でもそうなのだろう。しかし、この状況が近い将来に瓦解するのは、ほぼ間違いない。なぜなら、物理的な記録メディアを借りるためにわざわざ店舗まで出かけていく行動スタイルがネット経由のレンタルより優れている点はほとんど見当たらないからだ。
また、HuluやNetflix、U-NEXTなどの定額制動画ストリーミングサービスが徐々に浸透してきていることも、物理メディアのレンタル市場崩壊に拍車をかけていくだろう。ひとたび見放題サービスを経験してしまうと、2話収録のアニメDVDを数百円で借りていた時代にはもはや後戻りできそうにない。
いずれにせよ、自宅のテレビを使ってインターネット経由で映画鑑賞するのが一般的になっていく流れは避けられそうにない。その流れを安価に実感するために最適な製品はChromecastをおいて他にない。