英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は28日、中国が南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で人工島を造成しているのと同様、日本も自国の最南端の領土と主張する人工島にサンゴを植えて海洋領土の拡張に乗り出したと報じた。
同紙は「日本が東京から1700キロ離れた沖ノ鳥島でサンゴ礁の回復に向けた大々的な作業を行っている。自然の島と認めてもらって排他的経済水域(EEZ)の基点にする狙いだ」と伝えた。
日本は1987年、高さ70センチの小さな岩礁だった沖ノ鳥島に防波堤を作り、コンクリートを流し込んで直径50メートル、高さ3メートルの人工島を造成した。灯台などを設置して沖ノ鳥島を実質的な領土とみなし、ここを基準にEEZを主張しているが、中国は「沖ノ鳥島は島ではなく、ただの岩」だとしてこれを認めていない。国際法上、島はEEZ設定の根拠となるが、岩(岩石)は根拠となり得ない。
FTによると、日本の国土交通省は今年、沖ノ鳥島に70億円を投じて船を着けられる施設を建設した。また、島に3ヘクタール分のサンゴを植える計画も立てている。同紙は「このサンゴが育って海水面の上に突き出せば、自然の島と主張する根拠になり得る。これを基にEEZの基準にしようというのが日本の意図だ」と伝えた。日本にとっては、EEZが広い方がより多くの海洋資源を得られる。
FTはまた、日本が経済的な利得だけでなく軍事的効果を狙っているとの分析も示した。「沖ノ鳥島は中国の核潜水艦が太平洋に出る航路上にあり、中国の太平洋進出を食い止める要衝地となる」としている。