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2015-12-28

ランキング

年末なので今年読んだ本のランキングを公開する。

小説

1 螺旋時空のラビリンス

螺旋時空のラビリンス (集英社オレンジ文庫)

2 エスケヱプ・スピヰド

エスケヱプ・スピヰド/異譚集 (電撃文庫)

3 ボーパルバニー

ボーパルバニー (ガガガ文庫)

4 我もまたアルカディアにあり

我もまたアルカディアにあり (ハヤカワ文庫JA)

5 バビロン

バビロン 1 ―女― (講談社タイガ)

6 明日の狩りの詞の

明日の狩りの詞の (星海社FICTIONS)

7 号泣

号泣 (集英社オレンジ文庫)

8 さよなら、シリアルキラー

さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)

9 鋼鉄の黙示録

鋼鉄の黙示録 (創元SF文庫)

10 スクールポーカーウォーズ

スクールポーカーウォーズ 1 (JUMP j BOOKS)

『螺旋時空のラビリンス』はとんでもないダークホースだった。『僕は君を殺せない』『号泣』『雲は湧き、光あふれて』など女性系キャラノベではかなり攻めまくったラインナップの集英社オレンジ文庫は、キャラノベ界のガガガ文庫だ。

『エスケヱプ・スピヰド』は本編+番外編まで含めて堂々の完結。最初から最後まで、きっちりと楽しませてもらいました。1月の次回作にも期待したい。

『我もまたアルカディアにあり』『ボーパルバニー』と江波光則の突然の連続刊行作品も楽しかった。『我もまたアルカディアにあり』は江波光則初のSFもの。家族の年代記という体裁をとりながら、せつない話ありカオスな話ありと盛り込まれ、最後の大どんでん返しに至る。『ボーパルバニー』はバニーガールが出て不良を殺すという何かよく分からない代物で、葬式シリーズとアルカディアで溜まったバイオレンス部分を一気に放出したような怪作。これ2作でナイーヴな江波とマッドな江波という違った作風を堪能できた。

新シリーズでは『バビロン』に期待したい。普通の警察ものかと思いきや、どんどん変な方向に向かっていくのが野崎まどらしかった。

『号泣』はイヤミスとかラノベミステリとかを通り越してきたないリリカルミステリもしくはきれいならいちシリーズだった。

海外ラノベからは、『さよなら、シリアルキラー』と『鋼鉄の黙示録』を。わりとヒューマンドラマっぽいシリアルキラーに対し、鋼鉄の黙示録は黒人でロボットドワーフな滅茶苦茶な内容だった。荒唐無稽さのベクトルが『ゲームウォーズ』に近似している。

漫画

1 火ノ丸相撲

2 BE BLUES

ハイキュー!!

僕のヒーローアカデミア

5 背すじをピン!と

6 ハリガネサービス

7 BUNGO

8 オニクジョ

9 弟の夫

10 ブラッククローバー

今年はスポーツ漫画の年だった。見返したらスポーツ漫画がいっぱいあって困った。ジャンプ系とかチャンピオン系のスポーツ漫画はハズレが少なく(一つレジェンドクラスのとんでもないのが出てきたが)、今年はこの二誌でスポーツ漫画対決をしているような年だった。

ハイキュー!!』のようなオタク向けの作風のものがオタクでない人々に多く読まれているのはうれしいことなので、同じような作風の『火ノ丸相撲』『BE BLUES』も読んでもらいたい。

今年の『火ノ丸相撲』は本当にすごかったですね。団体戦でもうエンディングみたいな盛り上がりを見せたのに、個人戦でそれを上回るとは思ってもいなかった。キャラの掘り下げもがっつりしていて、ジャンプ誌上底から数えたほうがいいほどヒロイン力のないレイナ様がちゃんとヒロインの一角になっていた

ヒーローアカデミアは天下一武闘会で大失速したものの、その後でこれまで留保してきた「そもそもヒーローとは何なのか?生まれきっての超能力は同じなのにどこでヒーローとヴィランは区別されるのか?」というテーマを話題にしてきてSF漫画としても面白くなってきた。

ブラッククローバー」はただでさえ狭いジャンプの枠を圧迫していたり正直漫画としての出来がよろしくなかったりで褒めてはいけない漫画だが、ここに来て「B級ファンタジー」という作風を作者が自覚しだしてきてから(ネタとして)面白くなってきたと思う。

「弟の夫」は最近流行のゲイ漫画家の一般進出作。なのだが、田亀源五郎BLでいうところのよしながふみラノベでいうところの小野不由美のようなビッグネームであり、初連載時にはそれなりに騒がれた。一般作ということで、田亀先生の卓越した漫画力を堪能できる一作になっている。

映画

1 マッドマックス 怒りのデス・ロード

2 キングスマン

3 スターウォーズ フォースの覚醒

4 セッション

5 チャッピー

マッドマックスマッドマックスマッドマックス!V8!V8!V8!

マッドマックスFRが10年に1度レベルの名作だった。隙のない構成・しょっちゅうどこかしらで何かが爆発している楽しい映像・ドンガドンガ響く音・泣けるストーリーを詰め込んだカルト映画である。あと数年で平成ガメラのポジションにつく。これは断言できる。

マッドマックス体験が濃すぎて何でもかんでもマッドマックスにしたがる(「クーキー」「ガルパン」「キングスマン」など)オタクが急増した年だったが、もう一つの流れは降ってわいたようなスパイ映画ブームだった。真打の「007 スペクター」が「スカイフォールダークナイトだとするとスペケターはダークナイトライジング」と云われるほど賛否両論だったが、「キングスマン」は「キック・アス」「シビル・ウォー/キャプテンアメリカ」のマーク・ミラー映画最新作で、「スーパーマンが赤化されていたら」とか書き出すマーク・ミラーらしい悪趣味バカSF映画だった。

今年もっともインパクトに残ったのは「セッション」だった。ガチムチ富野監督みたいな禿の教授がひたすら暴れる2時間。情熱で活きているパワー系暴走老人かと思いきや、絡め手も使えることが判明した瞬間のゾクゾクっぷりといったら。日本のどうでもいい映画でよくある「厳しいしごきに耐えて人間的に成長できました!ありがとう!」というしょうもない展開にならなかったのも評価できる。

そして、スターウォーズはまさしくスター・ウォーズだった。新キャラが旧作のメインキャラに喰われるのを危惧していたが、メインを張るレイ、フィン、BB-8、ベンくん、ポーにちゃんと華が持たされていたので良かった。「気弱で心優しくかっこつけたがりな黒人のストームトルーパー」というコメディリリーフでありながら締めるところはきちっと締めるフィンやシリアスなキャラかと思いきや「おじいちゃん子をこじらせた精神不安定なロキ」だったベンくんみたいなキャラがスター・ウォーズの世界にいるというのはすごいことだよ。

チャッピースーパーロボット大戦状態な終盤だけでも見る価値がある。争点になっていたカットシーンがちょうどそこなので、ちゃんと非カット版でロボットバトルを楽しんでほしいです。
























































ワースト漫画

1 スポーティングソルト

2 学糾法廷

3 ブラッククローバー

4 ワンピースドレスローザ編

5 サンデーの美少女系漫画

ほとんどジャンプ漫画しか挙がらなかったが、それを差し引いても今年のジャンプの下位連載陣は濃すぎた。新しいエピソードが載るたびジャンプ読者を戦慄させた10年に1度クラスの逸材であるスポーティングソルト、最終回のひどすぎる展開で一気に伝説化した学糾法廷の2強があまりにも巨大すぎた。こいつらのせいで「カガミガミ」「レディ・ジャスティス」「ベストブルー」など今年の打ち切り漫画は「これを打ち切るなんてもったいない」と思うようになってしまった。

3位のブラッククローバーサンデー美少女漫画は「これをプッシュするならもっと推すべき漫画はあるのでは?」というヘイトから来ている。ブラクロも電波教師もだがしかしもダメなところはダメなんだけど。ブラッククローバーは今年もっとも振り回された漫画だった。薄いストーリーとあんまりな言葉回しから打ち切られるかと思いきや、全く打ち切られない。つまらないけどやっぱり面白くなるかもしれないと思ったらやっぱりつまらなかった。でも最近の開き直った作風は好き。

ドレスローザは結局アラバスタの焼き直し感が否めなかった上、ルフィとローがドフラミンゴを囲んで警棒でひたすら殴るようなワンサイドゲームで、ただローのグッズを大量に作って大量に売るためだけの展開のように思えました。あまりのクソさから、塩と学糾が打ち切られてクソ漫画ロスになったクソ漫画愛好家がワンピースに群がるという珍現象が起きた。でもまた面白くなりつつある。ちなみに今のクソロス患者はニセコイトリコに群がっている。

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