2015年ライトノベル 10選
第零回→第一回!キョウト式ライトノベル20選!2012
第一回(去年)→2014年ライトノベル 10選
気付けばもう年の瀬です。ということで毎年恒例(?)のライトノベル10選です。なんとこの企画も二回目です!(20選も合わせれば三回目) いや~素晴らしい! 飽き性で面倒くさがり屋な僕にしてはよく続いてるなと思うよ!
前回も説明しましたが。今企画はあくまで今年“読んだ”ライトノベルであり、今年“刊行された”作品ではありませんので。そこのところご留意ください。
ここで載せる紹介はかなり軽いものとなっております。なのでもし興味を惹かれたなら本ブログの感想に跳んでみるのもいいかもしれませんね。
※便宜上ナンバリングは振りますが、数字と順位は関係ありません。あくまで今年特に良かったなぁと思った10作品を羅列しているだけです。
No.1:「半分の月がのぼる空」
言わずと知れた名作半月。僕的にはイリヤとかブギポとか終わクロとかバラッドとかキノと同じカテゴリ。つまり僕が好きな時代のラノベ。実際読んだのは六年前くらいだけど、その時は三巻で挫折しちゃったんだよね~。
いやね。マジで読んだ方がいいよ。闘病モノとして去年はナルキッソス勧めてたけど。やっぱり僕は半月の方が好き。先ず文章が好き。情感が篭ったこの文章は今の作家さんじゃ中々書けないと思う。
それと、半月の一巻感想記事でも書いたけど。僕は橋本さんのキャラ造形も素晴らしいと思うんよ。登場人物は皆変わってるけど、どこか居そうな感じがする。リアル感のある。だからこそ登場人物たちの一挙手一投足が身近に思えて興味を惹くんだよね。
どこにでもいる普通の少年と、どこにでもいる普通の少女。突き詰めていくと主人公もヒロインもそれで表現出来てしまう。
僕はこういう綺麗で切なくて幻想的な話って好きなワケ。現実の世界でもこれだけ綺麗でドキドキ出来る話が書けるんだから。皆もっと現実見よ?
→「半分の月がのぼる空」、感想。
No.2:「世界で2番目におもしろいライトノベル。」
僕が今年読んだ中で一番ライトノベルらしいライトノベルかもしれない。先ずタイトルのインパクトが凄いと思うが、僕は正直このタイトル自体には特に惹かれない。というか、寧ろこういった奇をてらったり注目を集める為だけのタイトルというのは嫌いだ。それでなぜこの本を手に取ったかといえば、作者が「ライトノベルへの愛と憎しみが詰まった作品」と宣伝していたからである。おうそれじゃあ読んでやるよとなるじゃないですか。
で、結果としては……100%愛で書かれた小説です。
今のラノベの現状とか、編集についてdisる内容かと思ったらとんでもない。これは夢と願いと愛と日常の物語だ。ふざけたタイトルにふざけたノリ。でもその芯には確りとした想いがある。
ただの一発ネタ小説と見せかけて、笑えて泣ける熱いライトノベルです。
→「世界で2番目におもしろいライトノベル。」、感想。
No.3:「ニーナとうさぎと魔法の戦車」
結構昔から名前は知ってたのに何故か今年まで読んでなかった小説。今更になってやっと読むか~ってなったきっかけとしては。今年(去年)ゆゆゆにはまって、そっからBUNBUN氏の絵を好きになって。ついでに兎月くんすみやきくんと同じサークルだしな……ということで手を出してみた訳ですよ。結果的にはね……多分今年一番印象深い作品になったんじゃないかなって思う。
ニーナは全体通してのテーマもハッキリしてるし、各巻での流れも綺麗なんだけど。やっぱり一巻のまとまりとか構成は白眉だなぁと。どん底まで沈んだ主人公が仲間と出会い、人の死を経験し、戦争との向き合い方を教えられ。再起と共に歩み出す物語。小説家志望の人間なら是非参考にしたいくらいよくできてる。キャラも一巻から結構出てたのに誰一人埋もれることなく、かつ続巻でどう掘り下げるかを期待させる見せ方だったしね。
そしてね。僕はテオドーレちゃんを本気に好きなってしまったわけよ。今年というかここ数年のラノベキャラで一番好きなキャラになったよ。いや、もうね……最高のキャラなんですよ。ツインテ銀髪眼帯ロリ巨乳で哀しい境遇と宿命を胸に宿す美人市長さんなんっすよ! カリスマ性が突き抜けてるんっすよ! サーベルの扱いにも長けてるんっすよ! でも……でもっ……!
畜生……なんで死んじゃうんだ……死んだら終わりじゃないか……馬鹿野郎……。僕悲しすぎて作者(兎月くん)に直接会いに行って、「テオドーレちゃんのスピンオフか学園ニーナ書いてください!」って直談判するくらい好きだったんっすよ……。
集英社頼む……!
ちなみに僕としては完成度は一巻。
遣る瀬無くて好きなのは二巻。
百合度高くて読後感がいいのは四巻です。
→「ニーナとうさぎと魔法の戦車」、感想。
No.4:「騎士は恋情の血を流す The Cavalier Bleeds For The Blood」
しずるさんシリーズの前日譚。今巻に関しては「しずるさんシリーズ」として評価するというよりも、この作品単品での選出になります。
この作品に関しては、しずるさんシリーズ関係なく面白い。というか、普段のしずるさんシリーズより面白いわ。作風的にはブギポに近い。異能力者同士の対決ではあるんだけど、一般的に想像されるような異能バトルでなく。先ず異能力者が誰かってところを探るところがメインなあたり、やっぱり推理モノなんだなぁと。それと能力もキャラクターに付加されたものというよりも、キャラクター形成の基幹になってる感じでいい。
「誰にも負けないようにされてた少女が、何の能力もない女の子に負けることによって幕を閉じる」という締めも鮮やか。
→「騎士は恋情の血を流す The Cavalier Bleeds For The Blood」、感想。
No.5:「佐藤さん」

ライトノベルかと問われると、「違うだろ……」といった感じの作品ですが。僕的にどうしても入れておきたい作品だったんですよね。それに児童文学とライトノベルの類似性……中々面白いテーマだと思いません? 僕はこの作品を読んでそんなことを考えた訳ですよ。
さて、この作品。ストーリーラインとしては幽霊が視える「僕」と幽霊に憑かれやすい佐藤さんの青春小説なわけですが。ストーリーラインを読む限りラノベでもありそうだなーなんてちょっと考えてしまう訳ですよ。でも読んでみると明確にライトノベルとの違いを感じる。ではそれは何故か? ずばり、この作品には“媚”がないんです。現役高校生(当時中学生)のみずみずしさとか、真っ直ぐさがこの作品には出ているんです。そこに商業的な恣意は介入しないんです。扱う問題や出てくるシーン、文章も。中学生にしか書けない、中学生ならではのものなんですよね。ちゃんと現実に向き合える「大人」な部分のある中学生だからこそ書けた作品だと思うんですよ。
→「佐藤さん」、感想。
No.6:「いらん子クエスト」
兎月くん二作目のエントリー。今年の入間、一二三さん枠は兎月くんみたいですね。実質今年のMVPだよ!
相変わらず兎月くんの書く女の子主人公は境遇が不幸というか可哀想だよね。今作も結構過酷。そして主人公がリアルに嫌な性格してる。どこにでもいそうで、かつクズとは断定出来ない程度に嫌な性格。実際クズではない。環境のせいで多少ひん曲がってしまってはいても、人間なんてこんなもんだよなと思えるし。
でもね、きららちゃん(ガチクズ)に虐げられてるのを姫ちゃんに助けられてからね。友惠(主人公)ちゃんも前向きになって、面白くなっていくんだけどね……。でも、その先に待っているのは……。
→「いらん子クエスト」、感想。
No.7:「ちょっと今から仕事やめてくる」
ライトノベルとしてはかなり異端な作品ですが、それでも最近の新人ではかなり売れてる方なんですよねぇ。ストーリーラインの展開の仕方がうまいので、読んでて気持ちいいです。一気に読めます。ちなみに僕は母親に電話かけるシーンで泣きそうになりました。やっぱ親って偉大ですわ……。僕の親がそうであるとは限りませんが。
仕事に嫌気が差して何もかも投げ出して死にたくなってる人におすすめの本です。
→「ちょっと今から仕事やめてくる」、感想。
No.8:「六百六十円の事情」
入間に群像劇書かせるとうまいなぁと思わせられる本。なんてことない人間の人生についての本書かせたら入間の右に出るものはあまりいないかもしれない。人生観とか、日常とか、青春とか。入間はそういう題材で書かせると強いよねっていう。
主人公になれないまま大人になってしまった奴。思春期真っ盛りの男子高校生とか。人物の心情描写が上手い。
→「六百六十円の事情」、感想。
No.9:「ひとつ海のパラスアテナ」
取り敢えず。僕は電撃がこの作品を大賞に持ってきたことを評価したい。それくらい大賞にふさわしい実力と風格を兼ね備えた作品だった。最近の新人の中でも文章力と知識はずば抜けてると思う。相当努力してきたんだなってのがわかるし、この人は小説家じゃなかったとしても。何の仕事でも食っていけるだろうなって気がする。それだけ堅実で誠実な人柄が伝わってくる作品だった。
さて、肝心の内容がどんなんだったかといえば。海洋サバイバルロマンスである。そして百合である。そりゃそうだ。僕が飛びつくとしたら先ず百合かどうかだ。「お、今年の電撃大賞はこれか。取り敢えず買お」みたいなノリで買った訳じゃない。というか、最新のラノベ情報とかチェックしてないし。
僕がこの作品で一番良いなと思ったのはね。主人公の直向きさなんだよ。どんなに辛くても最後まで生きるのを諦めない。極限状態でも強く生きようという意志。親友から受け継いだ遺志と命をもって、希望を見据え続けている。主人公は凄い強いとか、何か特殊な能力があるとかじゃないんですよ。それでも好きな人の為に怖くても勇気を振り絞って頑張ったりとか。僕そういうのに弱いんですよね。
→「ひとつ海のパラスアテナ」、感想。
No.10:「僕と彼女とギャルゲーな戦い」
ざっくばらんに言えばゲーム制作版白箱です。いつまで経っても受賞に掠りもしないワナビが高校の頃の文芸部の先輩に誘われて、シナリオライターになるというご都合主義全開な導入で始まる物語。しかしそこからの展開は結構シビアです。現実は主人公の都合を考慮しません。ただ主人公に出来ることは、己の矜持を捨ててでも。ただゲームを完成させる。その一点です。ゲーム制作の現場の厳しさが身に堪える話でした。
→「僕と彼女とギャルゲーな戦い」、感想。
はい、という訳で今年の10選でした。皆の好きな作品は入っていたかな? 今年は去年と比べてあまりラノベを読んでいなかったから、作品の選出は楽だったけど。もっと読まなきゃダメだね。
めんどくせぇ~と思いつつ今年もやったけれど。来年もこの企画をやるかは不明。前回は思った以上に反響があったので、要望が多かったらやるかもしれない。こんなやる気のない記事でよければ。
では皆さん、良いお年を。
スポンサーサイト