ヘッジファンドの予想通り16年ぶり安値付けた米ガス、翌週には上昇
2015/12/29 11:07 JST
(ブルームバーグ):米天然ガス価格は弱気派の予想通り、わずか10日前には16年ぶりの安値を付けていた。ところが今では、年末としては過去最大の上昇を示している。
ヘッジファンドによるガスの売越残高は過去3カ月で最大の増加を示した。しかし、米東部の天候予報が予想外に変更され、来年1月初めに気温が低下するとの見通しが示されたことから、ヘッジファンドはポジションのカバーを目指しつつある。ガス価格は今月18日に1999年以来の安値を付けて以降、32%上昇している。
コンサルティング会社ショーク・グループ(ペンシルベニア州)のスティーブン・ショーク社長は28日の電話インタビューで、「ガス市場で売りポジションがかなり増えたため今週のような状況になった」と指摘。ガス市場について「眠気を誘うような状況で、その後、突然天候予報が変更され大騒ぎになっている」と述べた。
1週間前には、ガスの弱気派には依然としてファンダメンタルズ(需給関係)と母なる自然が味方に付いていた。コモディティ・ウェザー・グループによると、12月の暖房燃料需要は1950年以降で最低となりそうだった。強いエルニーニョ現象と寒帯ジェット気流の影響で北極気団は米東部に到達しておらず、ガス需要は抑制されていた。米シェールガスの供給拡大により、ガス在庫はこの時期としては過去最高水準に達した。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、ヘッジファンドによるガスの売越残高は22日終了週に31%増え12万3136枚。ガス価格は18日に100万BTU(英国熱量単位)当たり1.684ドルと、取引時間中としては16年ぶりの安値を付けた。
ガス先物はそれ以降32%上昇し、28日終値はほぼ1カ月ぶりの高値。コモディティ・ウェザー・グループによると、今月は春のような暖かさとなったが、来年1月第1週には今冬最低まで気温が低下する見通しだ。
原題:Hedge Funds Drag Gas to 16-Year Low One Week and Rally the Next(抜粋)
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更新日時: 2015/12/29 11:07 JST