【フレー フレー ヨシノブ】毒蝮三太夫、来季は2位でいいから長期政権を
「げたを履いて浅草から都電に乗って、後楽園球場に通ったもんだよ」。おじいちゃん、おばあちゃんのアイドル・毒蝮三太夫(79)は1リーグ時代からの巨人ファン。G党歴は実に68年にもなる。そんなマムちゃん、由伸監督にはぞっこんのようです。
巨人は優勝しないと、ファンもマスコミもうるせえんだよな。来季は2位でいいよ。Aクラスに入れば。そのぐらいの方が気も楽だろ。40歳。若いんだから、長期政権を築いてほしいな。最初は苦労するかもしれないけど、3年後には強い巨人にしてくれると思うよ。
潔さがいいよな。来季も現役でやりたかったと思うけど、きっぱり引退した。普通は「プレーイングマネジャーで、もう1年やろう」ってなるよ。でも兼任で成功できるほどプロの監督は甘くない。「しっかりメリハリをつける人なんだな」って思った。メリハリが利くということは、情に流されないことでもある。監督業の孤独に打ち勝とうとする覚悟が見えたね。
由伸監督は温厚で、声高に怒るタイプじゃない。でも、心の中に熱いものを秘めている。だから、監督に向いてるよ。立川談志が言ってた。「汗をかいて熱演すれば、見ている人は『一生懸命だなあ』って思ってくれるかもしれない。けど、それはプロじゃない」ってさ。内面はカッカと燃えていても、表面は穏やか。それが本物のプロだよ。
期待するのは亀井だね。3番を打ってほしい。もうすぐベテラン。引っ張っていってほしいんだ。けががなくてずっと試合に出続ければ、しっかり結果を残す男だと思うよ。
俺は来年80歳になるけど、今でもラジオの生中継は絶対に休めない。年寄りをからかわなきゃいけないからさ(笑い)。元気でいなきゃいけないんだ。だからジムでは水中ウォークをしたり、家では腹筋したり腕立て伏せをして、ケアしている。亀井を見たくて東京ドームの切符を買う人も大勢いるはず。けががなく1年間、臨んでほしいな。
川上監督が俺に話してくれたよ。「あごの張った選手を取るんだ」ってね。あごの張っていないヤツは、大事な場面でグッと踏ん張りが利かないんだって。川上さんも張っていたし、俺も張っているからさ。由伸監督も張っている方じゃない?
プレッシャーはあると思うけど、好きなことをやってお金を取れるなんて幸せじゃねえか。そうそう。ジジイもババアも、巨人が弱いと体を悪くしちゃう人がいるんだ(笑い)。「ちくしょう、面白くねえ」ってさ。だから由伸監督、頼んだよ!(構成・加藤 弘士)
◆毒蝮 三太夫(どくまむし・さんだゆう)1936年3月31日、東京都生まれ。79歳。日大芸術学部卒。本名の「石井伊吉」で出演した「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の隊員役で人気に。68年、立川談志から現在の芸名をつけられる。69年にスタートしたTBSラジオ「ミュージックプレゼント」では「ジジイ、ババア」の愛情あふれる毒舌でお年寄りのアイドルに君臨する。