こんにちは、引用書店 店長です。
年末年始って、買い物行っても神社行っても旅行行っても混んでるわ、単純に寒いわで出かけると損しますよね。せっかくまとまった時間があるんだから、何かにどっぷり没頭するのが有意義な過ごし方じゃないんでしょうか。
何にどっぷり浸かるか・・・まず思いつくのが「マンガ」まとめ読み。年末年始に向いてます。
あと「歴史」を追いまくってみるのも案外良いですよ。日常から離れて、妄想世界にトリップしっぱなしでいられるシーズンは年末年始ぐらいです。私は去年の年末年始、日本戦後史の本を読みあさって年代と政治家、出来事、考察をエクセルにまとめるというマニアックな過ごし方をしました。
そんなわけでマンガ + 歴史のコンビネーションなら間違いなし!「歴史マンガ」のベスト21タイトルを選びました!
備考
- 名作、名漫画家の作品は辛めに採点させていただきました。できるだけマイナーな作品にスポットを当てたいので。
- 『歴史手帳』2016年度版を参考に、年代と前後の出来事を併記しました。ご自身がどの時代が好みか探るのに役立ててください。
- 全て画像クリックでAmazonに飛びます。Kindle版があればKindleに飛びます。
- 上位10位は単発記事にもしようかと思ってます。
第21位 お〜い!竜馬
1840年〜1870年頃(世界:ダーウィン『種の起原』、南北戦争/日本:日米和親条約、薩長同盟)
子供の頃の竜馬が岡田以蔵、武市半平太と幼なじみという設定が印象的。ここまで子供の竜馬を描いた作品はマンガ以外でもないのでは。
「武士の誇りも面子もクソ食らえ!」
第20位 ジパング
1942年頃(世界:中国で不平等条約改正/日本:太平洋戦争)
現代の海上自衛隊のイージス艦みらいがミッドウェー海戦直前の1942年にタイムスリップする話。壮大ながら臨場感あり。
「たとえ合法であっても人を殺すのはいやだ」
第19位 花の慶次
1560年〜1610年頃(世界:エリザベス女王1世の統治/日本:本能寺の変、秀吉の天下統一、徳川家康 将軍となり江戸幕府を開く)
パチンコの方が知名度が高いのが悲しい、秀吉に仕えた前田利家の甥の破天荒な話。マンガはパチより劇画のタッチが段違いに濃い。引用は、これだけじゃ何を言いたいか分からないパチでの決め台詞。
「虎はなぜ強いと思う?もともと強いからよ!」
第18位 シュトヘル
1200〜1250年頃(世界:チンギス汗モンゴルを統一、第4〜6回十字軍/日本:源氏滅ぶ)
モンゴル系の話。不思議な言葉を操る狼との死闘を経て「シュトヘル(悪霊)」の名を持つ凶賊となったシュトヘル。殺された仲間の仇を取るため、モンゴル軍を執拗に狙う。
「命をかけぶべきものがあるという言葉は病だ。この病が跋扈する度に大勢が死ぬ。」
第17位 ヒストリエ
紀元前340年頃(世界:アレクサンドロス大王の世界帝国、ペルシア滅ぶ/日本:縄文文化)
幼い頃から書物を読みあさり神童と呼ばれたエウメネス。アレクサンドロス大王ではなく、その参謀である書記官を描く。地味な主人公選択で、力ではなく知に焦点あててるところが面白い。
「いや・・・村人は誰も死なせるつもりはない。こちらは1人も失わず敵の数を半分に減らす!」
第16位 チェーザレ
1500年頃(世界:ヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を発見、ルターの宗教改革/日本:加賀一向一揆)
マキャヴェッリの君主論のモデルになったことで有名なチェーザレ・ボルジアを描いたマンガ。チェーザレの黒服がおしゃれ。厳しさとは一貫して論理的な態度で接することで、決して非道ではない。本作のチェーザレは歴史マンガ界でも随一のカッコよさ。
「(馬は)一度信頼関係を築けば忠実で頼もしい仲間になる。どこか民衆の心に似てるな・・・」
第15位 竹光侍
1800年頃(世界:皇帝ナポレオン1世の統治/日本:伊能忠敬 蝦夷地を測量)
信濃から江戸にやってきた、甘党で「獣」じみた狂気を帯びた若侍の話。松本大洋が書いた歴史モノ。面白くないワケがない。1ページ目からアート感満載。
「あいつは人ではねえよ、お父。もののけにとりつかれとるのさ」
第14位 ブッダ
紀元前500年頃(世界:ローマ共和政治始まる、ペルシア戦争/日本:縄文文化)
名作の一つ。仏教の開祖について描く恐れ多い話で、手塚治虫だからこそ成せる業。『お〜い!竜馬』と同じでなぜか少年時代が印象的。成長していく様が、人には心に残るのだろう。
「目を読むがいい。心の中が全部うつしだされている」
第13位 雷火
紀元前250年頃(世界:ポエニ戦争、始皇帝中国を統一/日本:弥生文化)
邪馬台国の卑弥呼と壱与、魏国の張政が出てくるので歴史マンガとさせてください。ずいぶん前に読んで、魏国からの使いイキナメがキモい技ばかり使うのが記憶に残ってる。久々に読みたい。
「キテハー」
第12位 バガボンド
1600年〜1640年頃(世界:タージ=マハルの築造/日本:徳川家康将軍となり江戸幕府を開く、島原の乱)
最新刊は、もはや毛筆アート本になりつつある井上雄彦作品。宝蔵院 胤舜と対峙する、セリフがほぼゼロの1冊は圧巻。戦闘後にたいてい名言を放ち、たいてい心に刺さる。
「有難う」
第11位 アサギロ
1860〜1870年頃(世界:マルクス『資本論』/日本:薩長同盟、戊辰戦争)
好奇心の塊で天才剣士として描かれる沖田総司、幼名 惣次郎の物語。最近人気上昇中のマンガでは?1巻で切腹の介錯を依頼され、腹を切るより早く首を切り落としてしまう一連の展開は見もの。サクサク読めて、続きが気になるタイプ。
「私が手に入れた私の刀・・・アンタに何がわかる!!?」
第10位 センゴク
1560年〜1610年頃(世界:エリザベス女王1世の統治/日本:本能寺の変、秀吉の天下統一、徳川家康 将軍となり江戸幕府を開く)
江戸以前の貨幣経済と「高転び」のくだりが最高に面白い。知の本流から取り残されつつ奮闘する主人公 仙石権兵衛は当時の愛されバカキャラ。おかげで損したり得したり。
「下が天となり 天が下なる政に候」
第9位 ヴィンランド・サガ
1000年〜1030年頃(世界:イギリス デーン人のクヌート支配、トルコ興る/日本:藤原道長およびその一族の全盛時代)
幸村作品は『プラネテス』もいいけど、もっと長編を読みたければ中世ヨーロッパの各地を蹂躙したヴァイキングを描く『ヴィンランド・サガ』。復讐、贖罪、奴隷といったディープなテーマ。荒々しいヴァイキングや奴隷、地主たちの表情を描く画力には感嘆。
「本当の剣士には剣など要らぬ」
第8位 へうげもの
1560年〜1610年頃(世界:エリザベス女王1世の統治/日本:本能寺の変、秀吉の天下統一、徳川家康 将軍となり江戸幕府を開く)
織部焼を生んだ戦国武将 古田織部が主人公。愛知県民と岐阜県民は必読。茶の湯を政治に沿えての信長、秀吉、利休、明智光秀、徳川家康をめぐる歴史解釈が斬新で面白すぎる。物欲が政治を動かす。そんな感じ。
「俺も・・・俺も欲しい・・・」
第7位 ゴールデンカムイ
1905〜1910年頃(世界:三国協商(イギリス・フランス・ロシア)成立/日本:ポーツマス条約締結、満州鉄道株式会社設立)
日露戦争後の設定で、土方歳三もジェントル老人として出てくるので歴史マンガにして。面白いし。不死身の杉元とアイヌ少女アシリパの漫才的かけ合いが軽快。アイヌの残した金塊を求めて人体に墨を描き入られた死刑囚を追う。味噌好きアシリパのキモ顔の隠れファンであることを、ここで公言する。
「杉元・・・この鍋にまた・・・オソマいれなきゃいいけど・・・」
第6位 皇国の守護者
1905年頃(世界:ロシア 奉天を占領、英仏協商成立/日本:日露戦争)
歴史マンガとしてはアウト?ファンタジー設定だけど日露戦争の退き口を描いている作品ということにして許してください。何しろ面白いから。命と命の奪い合いに臨む1人の人間の心理、戦術判断の描写が細かい傑作。マイナー漫画だけど超おすすめ。
「殺さないのだ。貴官と僕に関するかぎり、ここでの戦争は終わったからだ。」
第5位 虹色のトロツキー
1930年〜1940年頃(世界:ヒトラー首相就任、ルーズヴェルト大統領ニュー=ディール政策開始/日本:満州事変、二・二六事件、日中戦争、ノモンハン事件)
言わずと知れたガンダムのキャラクターデザインおよび作画監督 安彦良和の本格歴史マンガ。石原完爾が構想した満州事変をモンゴル人の立場で描き、ロシアのトロツキーも絡めた超大作。東条英機、甘粕正彦、松岡洋右、岸信介らも登場する。ガンダムを作ってトロツキーも描いて・・・安彦さんバイタリティすげえ。
「何民族の人間であれ自分は人を欺く者を許したくありません!」
第4位 アドルフに告ぐ
1930年〜1945年頃(世界:ヒトラー首相就任、第二次世界大戦/日本:満州事変、日中戦争、太平洋戦争)
ドイツ人と日本人ハーフのアドルフ・カウフマン、ユダヤ人アドルフ・カミル、そして独裁者アドルフ・ヒトラー。アドルフという名の男3人が交錯する大傑作。人種とは何か。自分とは別世界の人間だという「認知」だけで、ある時点をきっかけに旧友が激烈な怒りを携えて襲いかかってくる恐ろしさ。独裁者の苦悩と秘密。日本人なら必読。
「総裁がユダヤ人。そんなのウソだ。そんなはずはない!!だって総裁はユダヤ人の敵だ。おれたちを追放するって叫んでるじゃないか!?どういうことなんだよォ」
第3位 キングダム
紀元前250〜紀元前220年頃(世界:始皇帝中国を統一、ポエニ戦争/日本:弥生文化)
もはや説明不要。1話読んだらもう1話、もう1話読んだら後もう1話。やめられない止まらない中毒性抜群の大ヒット漫画。政と信が中華統一するシーンが早くみたいけど、終わりが史実で決まってるだけにストーリー進んでほしくない気持ちもある。
「これが"戦国"だろ」
第2位 アンゴルモア
1270年〜1280年頃(世界:マルコポーロの東方旅行/日本:文永の役、弘安の役)
鎌倉時代にモンゴル帝国とその属国高麗が日本に侵攻してきた元寇がテーマ。島の住人や兵士はどこかジブリっぽい感じで、主人公は『皇国の守護者』的。『ヴィンランド・サガ』幸村先生、『虹色のトロツキー』安良先生が帯で絶賛するほどの名作。しかも連載中で、正直『キングダム』より最新刊が待ち遠しい。
「大局が見えぬ者は滅び去るのみ」
第1位 火の鳥
?年頃(時代を超え過ぎて特定できません・・・)
名作だからって減点いくらしても、1位の座は不動。それほど王道で圧倒的ナンバー1。手塚先生がライフワークとして綴った最高傑作『火の鳥』を読まなきゃ歴史マンガは語れない。締めは歴史マンガランキングの総括にふさわしい、このセリフ。
「歴史とは、あらゆる角度から、あらゆる人間の側から調べなければ、ほんとのことはわからないものなのである」
※ヤンマガで連載開始した三田紀房作品『アルキメデスの大戦』が早くも面白すぎるので、コミック発売したら順位が変わること必死。
アルキメデスの大戦 « ヤングマガジン公式サイト『WEBヤンマガ』
※なお、この記事を書くにあたっては以下参考にさせていただきました。
ぶくまるさんの「歴史漫画年表」は網羅性、まとめ方の切り口が神!(with 尊敬の眼差し)
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ヒトデさんの長編大作記事、書いた時は大変だったろう。おつかれさまだ!(with 尊敬の眼差し2)