韓国南部の慶尚南道統営市では、2000年代後半には新亜sb、21世紀造船など中小造船会社3社の造船所で従業員数千人が夜も明かりをともして働いていた。だが新亜sbは昨年4月に最後の船を引き渡してから1年半後の今年11月に破産した。21世紀造船も13年に破産し、造船所を閉鎖した。現在、ここで建造中の船は韓国ヤナセ統営造船所(旧サムホ造船)の石油化学製品運搬船(3500トン級)が唯一だ。
造船業が破綻し、労働者が離れていったため、近隣のワンルームマンションの賃料はかつての保証金500万ウォン(現在のレートで約52万円、以下同じ)、家賃50万ウォン(約5万円)から保証金200万ウォン(約21万円)、家賃20万ウォン(約2万円)ほどに急落した。ある地元住民は「住民も造船業が持ち直すとは期待しておらず、造船所の跡地にウォーターパークのような娯楽施設ができることを望んでいる程度だ」と語った。
韓国経済の成長をけん引してきた造船、鉄鋼、石油化学などの重厚長大製造業が「成長の壁」にぶち当たり、各地で危機のシグナルがとらえられている。韓国最大企業のサムスン電子も今年の売上高が200兆ウォン(約20兆7000億円)を下回り、1990年以来25年ぶりに2年連続の減少を記録すると見込まれている。気位が高かったアウトドアメーカーやデパートが70-80%オフの破格セールや出張セールに乗り出すほど、内需不振も深刻だ。サムスン電子の幹部は「問題は来年以降の見通しがさらに暗いことだ」と語る。
■輸出製造業の不況で揺らぐ地域経済
「急売買、テギョンネクスビルマンション、79平方メートル、2億3900万ウォン(約2470万円)」
南東部・蔚山市東区田下洞一帯の不動産屋には、「急売」を知らせるチラシがびっしりと貼られている。現代重工業の本社があるこの地域は「社宅村」と呼ばれるほど同社の従業員が多いエリアだった。造船業の活況で富裕層エリアとして知られるようになったが、1年ほど前から始まった造船不況の直撃を受けた。地元のある不動産会社の経営者は「2月に売り出された物件がまだたくさん残っている」と言い、買いたい人が殺到していた2-3年前が夢のように感じられると肩を落とした。2月に1200人余りが同社を早期退職し、売買がほぼ途絶えたという。