低迷する韓国経済:「不夜城」統営造船所、現在建造中の船はゼロ

【特集】韓国経済に危機のシグナル、全国産業現場ルポ
ソウル・江南のビル、100棟のうち42棟に「賃貸」の文字
専門家「政界は争いばかり、構造改革の機会逃す」

低迷する韓国経済:「不夜城」統営造船所、現在建造中の船はゼロ

 12月10日午後、韓国南東部・慶尚北道浦項市にある東国製鋼の浦項工場。総面積83万7860平方メートルの敷地に製鋼、形鋼、棒鋼、厚板工場と研究施設が入る同社の主力工場だ。このうち厚板工場ではかつて、600人余りの従業員が造船や建設用の厚い鋼板を年間190万トン生産していた。だがこの日、厚板工場の鉄門は固く閉ざされていた。

 東国製鋼は造船産業の不況と厚板の供給過剰に耐え切れず、今年8月にこの厚板工場を閉鎖した。一部の従業員は別工場に異動したが、社内協力会社の従業員300人余りを含む多くが突如として職を失った。ほかの仕事を見つけられなかった元従業員たちが運転代行業に殺到し、浦項には近ごろ運転代行ドライバーがあふれている。ある運転代行業者の管理担当者(51)によると、市内のドライバーの数は今年初めには500人ほどだったが、今では1000人余りに増えたという。

 浦項に近く企業城下町として知られる蔚山市は、造船業が盛んな南部の慶尚南道巨済市と並び、かつては韓国きっての「金持ち都市」に挙げられていた。しかし、造船、石油化学、自動車という3大産業が深刻な不況に陥り、地域経済が揺らいでいる。蔚山商工会議所のチェ・チャンホ経済総括本部長は「地元の商工人たちは『このままでは5年のうちに米国のデトロイトのように破綻してしまうのでは』と非常に心配している」と伝えた。

 巨済の隣、慶尚南道統営市の一帯にある造船所は、2008年には真夜中まで明かりがともり「不夜城」の様相を呈していたが、今では建造中の船がほとんど見当たらない。蔚山や統営にとどまらず、産業が盛んな巨済や南西部の全羅南道霊岩郡などでも危機のシグナルがとらえられている。

 危機の兆候は企業の本社が集まるソウルのオフィス街でも表れている。10日、ソウルを代表するオフィス街、テヘラン路のCOEX(総合展示場)から江南駅まで3.3キロの区間に立ち並ぶビル約100棟のうち、42棟に「賃貸」のプラカードが掲げられていた。入居する企業がなく、何フロアか空いた状態のビルだ。

 専門家らは、韓国経済の成長をけん引する輸出中心の製造業が限界にぶち当たり、長期の低成長に陥っていると指摘する。昨年には、韓国製造業全体の売上高が初めて減少に転じた。営業利益で利子さえ返済できない、いわゆる「ゾンビ企業」は14年ベースで企業全体の32%に達する。高麗大のチョ・ミョンヒョン教授は「長期不況にもかかわらず政界は争いに日々を費やしている。構造改革のためのゴールデンタイムを逃してしまいかねない」と危機感を示した。

蔚山・浦項=チョ・ジェヒ記者
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