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忘年会対談:IAMAS 小林茂&スイッチサイエンス 金本茂

2015年のメイカームーブメントを総括——新しいフェーズが見えてきたこの1年

小林茂と金本茂。一方は岐阜県大垣にあるIAMAS(情報科学芸術大学院大学)で教鞭を執り、次々と優秀な人材を世に送り出すプロフェッサー。もう一方はArduinoをはじめとする電子工作部品の製造販売会社であるスイッチサイエンスを経営し、斯界を牽引する屈指のサプライヤー。2人がこの1年のものづくりの世界を振り返り、2016年への展望を語った。トップランナーの目には2015年の出来事はどう映ったのか? そこから見えてくる2016年とは?(写真:彩虹舍)

オープンソースとビジネスのはざま

冒頭から余談で恐縮だが、かつて、筆者(金子茂)と両氏を合わせて「シゲルーズ」と呼ばれたことがあった。数年前、3人でArduinoコンパチ機の商品開発をしたときのことだ。本家Arduinoの開発メンバーからそう呼ばれて揶揄された。2015年もあとわずかになった某日、ワイングラスを傾けつつ、対談を開始した。

——まずは2015年のものづくりの世界を振り返ってもらおうと思います。小林さん、何か気になった動きはありましたか?

小林5月末にexiiiという会社がオープンソースのハードウェアで「HACKberry」という電動義手をリリースしました。私も弁護士と一緒にライセンスの選択や利用規約の作成をお手伝いしたのですが、オープンソースハードウェアについて新たな潮流を感じました。彼らは自分たちだけでできないことをやるために、戦略としてオープンソース方式を採用し、ライセンスや利用規約などかなり明確に細かく規定しています。あえてハードルを上げて、ブランドが傷つくような使われ方を避けようという意図です。オープンと言いながら厳しい制限があるのでどこまで利用されるのか、注目していました。

ところが、半年ぐらいの間で利用する人たちがたくさん現れました。地球の反対側で実際に作った人が現れたり、右手用のデータを左手用に反転させ、さらに縮小して子ども用に作り直す人がでてきたり。オープンソースハードウェアでどうビジネスを立てるのか、という問いに対する答えを出すのはまだこれからですが、2015年を象徴する出来事でした。

金本私も彼らとは面識があります。どうビジネスにして事業を継続していくか、苦労しているようです。「オープンソースという手段を使って問題解決をしていきたい」と言っていましたね。 

小林家庭用の3Dプリンタでもプリントできるように設計はされているんですけど、パーツ数も多くて、実際に作るのはたいへんなんですよ。

——難しいと言われながらも挑戦するMakerがたくさん現れた理由はなんでしょうか?

小林ひとつは、コストが昔に比べて安くなっているからではないでしょうか。データを受け取るコストはほぼ0円に近いし、3Dプリンタを使えば製作費も安くすみます。いかに多くの人に知ってもらうかとか、それをどうやって届けるのかといったコストも。もうひとつには、単に自分のつくりたいものをつくって楽しむだけでなく、自分の持つスキルを活かして自分の身近な人たちに届けたい、と考える人々が増えてきたことです。

2015年を振り返るIAMAS小林さん。HACKberryが注目のプロダクトと語る。 2015年を振り返るIAMAS小林さん。HACKberryが注目のプロダクトと語る。

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