サムスンエバーランドはかねてレジャー、給食以外の業務への進出を検討していた。ファッション衣料事業は「やり方によっては十分収益が上がる」(韓国紙デスク)との見方もある。
オーナー家が保有する非上場会社で、短期的な収益にばかり気を使う必要もない。2013年夏には5000億ウォン規模の社債も発行して買収資金も豊富に確保していた。そんなことから格好の案件だったようだ。
サムスンSDSとサムスンSNSの合併で海外事業を強化
9月27日には、サムスンSDSがサムスンSNSを合併すると発表した。両社ともグループ内の非上場企業だ。
サムスンSDSはデータセンターの構築やデータ処理事業の運営などを幅広く手がけ、2012年の売上高は6兆1056億ウォン、営業利益は5580億ウォンというグループ内の優良企業だ。
一方のサムスンSNSは、サムスン電子の通信機器などを構築するシステム会社で2012年の売上高は5124億ウォン、営業利益は543億ウォン。規模は小さいが、これまた優良企業だ。
2社の合併の目的は、情報通信関連のシステム会社を合併して特に海外事業を強化しようということだ。サムスンSDSは優良企業だが、最近、経営努力だけではどうにもならない問題を抱えていた。「経済民主化」政策のあおりで、財閥系の情報システム会社が政府の情報アウトソーシング業務の入札への参加を規制され、国内業務が打撃を受けていたのだ。
このところ海外事業強化に乗り出しており、通信分野に強いサムスンSNSを合併してシナジー効果を出そうということが直接の目的だ。
一連の「グループ内M&A(合併・買収)」を機に、一部韓国メディアは李健煕会長の長男、長女、次女間での事業継承問題が一気に動き出すと報じている。
こういう見方が出るのは、サムスンエバーランド、サムスンSDS、サムスンSNSはともにグループ内の優良企業でありながら非上場で、特に3人の持ち株比率が高いからだ。
オーナー家の持ち株比率が高い企業の動きに継承の思惑も
サムスンSNSの場合、李在鎔副会長が45.69%を出資している。合併によって李在鎔副会長のサムスンSDS株保有比率は今の8.81%から11.26%に高まる。
このため、サムスングループの李健煕会長から3人の子供たちへの経営権継承問題に詳しい経済人の間ではかねてこの非上場3社の行方を注目する見方が強かった。この3社が一気に動き出したことで、「グループ内で本格的な継承作業が動き出した」との見方があるのだ。
最もうがった見方は、非上場3社の企業価値を高めて、3人の子供たちの資産を増やし、将来サムスングループの系列企業の株式を買い増す際の「実弾」にするということだ。