慰安婦合意:「最終的かつ不可逆的」明言、韓国は対日カード失う懸念も

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 韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部(省に相当)長官と日本の岸田文雄外相が28日、ソウルで最終合意した従軍慰安婦問題の解決策は、両国間での公式な合意内容としては最も踏み込んだものと言える。

 「法的責任」という表現は抜け落ちたが、慰安婦問題に対する日本政府の責任が明記され、安倍晋三首相がおわびと反省の気持ちを表明した。また、日本政府の予算による被害者支援計画も明文化された。外交部当局者は「慰安婦問題解決の3大条件で大きな進展があった」と評価した。しかし、慰安婦問題で最大の争点が日本の国家的責任、法的責任を認めるかどうかだったことから見て、今回の合意の成果は半分だという指摘もある。また、韓国政府が「3大条件」の解決を過度に重視した結果、慰安婦少女像の移転など日本側が執拗に取り上げてきた問題で安易に譲歩し過ぎたとの批判も出ている。

■責任認定と首相謝罪

日本政府「道徳的」との修飾語なしで明確に「責任痛感」

 韓国政府は今回、「日本政府は責任を痛感している」との文言を引き出したことに大きな意味があるとしている。「道徳的」といった修飾語なしで責任を明確に認めたのは初めてだからだ。韓国政府はまた、安倍首相の「心からのおわびと反省の気持ちを表明する」との表現についても、2012年の首相就任以来、本人名義でおわびと反省の立場が表明されたのは初めてだと強調している。

 日本政府は過去に加藤談話や河野談話でおわびと反省の気持ちを表明したことはあるが、日本政府の責任を公式に認めたことはなかった。1995年のアジア女性基金事業の一環で、慰安婦被害者に発送した日本首相名義のおわびの書簡にも「道徳的責任」という表現で法的責任ではないことを明確にしていた。

 しかし、「日本政府は責任を痛感している」という表現自体は、李明博(イ・ミョンバク)政権下の12年、韓国大統領府(青瓦台)の李東官(イ・ドングァン)元広報首席秘書官と日本の斎藤勁官房副長官が水面下で合意した文言だ。当時の事情に詳しい元官僚は「やっとのことでこの表現を引き出してから3年を浪費したとすれば失望を覚える」と語った。

李竜洙(イ・ヨンス)記者
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