岩手県は28日、東日本大震災後初となる2015年国勢調査の速報値を発表した。10月1日現在の沿岸12市町村の人口は計25万1325人で、10年の前回調査に比べ2万2761人(8.3%)減った。減少数、率ともに過去最大。多くの震災犠牲者に加え、復興の遅れで人口流出に歯止めがかからない現状が浮き彫りとなった。
減少率を市町村別に見ると、中心市街地が津波被害に遭い3千人以上が今も仮設住宅で暮らす大槌町が23.2%と最も大きく、陸前高田市が15.2%、山田町が15.0%。3市町とも減少率は過去最大だった。
沿岸の宮古市、釜石市、久慈市では減少率は震災前より改善した。復興工事などのため市外から約500~1500人が住民票を移さずに住んでおり、見かけの人口を底上げした形。沿岸全体で、住民基本台帳を基にした推計人口より、今回の国勢調査人口が5319人上回った。住民票を移していない建設作業員や自治体の応援職員らが計上されたとみられる。
県全体の人口は前回比3.8%減の127万9814人で、このうち沿岸を除く内陸部は2.6%減の102万8489人だった。被災者の避難先となっている遠野市や一関市は、前回に比べ減少率がやや改善した。〔共同〕
被災地