今年の米国債入札の需要、09年以来の低水準-海外中銀が保有縮小
2015/12/28 09:54 JST
(ブルームバーグ):米財務省による今年の国債入札では需要が2009年以来の低水準となった。ウォール街のプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)や海外の中央銀行の需要が後退したことが背景にある。
ブルームバーグの集計データによると、米国の今年の中長期債入札約2兆ドル(約240兆円)の応札倍率は2.8倍で、昨年の2.99倍を下回った。信用収縮で安全資産需要が高まった09年以降では最低水準。危機前の最高は2.65倍だった。
国債需要の落ち込みはリセッション(景気後退)の影響が薄れつつある可能性を示しているものの、米財務省には警鐘となり得る。今月利上げを開始した米連邦公開市場委員会(FOMC)が来年4回の追加利上げを示唆する中、13兆1000億ドルの米国債市場を支える2本柱のプライマリーディーラーと中銀が応札を減らしているため、米政府は民間の買い手に一段と頼ることになる。ただ、利上げで民間投資家の投資意欲は揺らぐ恐れもある。
クレディ・アグリコルの債券戦略責任者、デービッド・キーブル氏は、より広範囲にわたって「米国債需要の減少が見られ始める初期の兆候だ」と指摘。「2016年は民間の買い手にバトンを渡す年になる。海外の中銀は確固たる購入者だが、民間の買い手は気まぐれだ」と指摘した。
資本規制の厳格化を背景に、米国債入札におけるプライマリーディーラー22社のシェアは少なくとも06年以来の低水準となっている。外国勢で米国債保有最大の中国は、自国通貨を支える取り組みに伴い米国債保有が年間ベースで初の減少となるペースにあり、今年は10月時点で約2000億ドル減の1兆4000億ドル弱。
原題:Treasuries Draw Weakest Demand Since ’09 as Central Banks Unload(抜粋)
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更新日時: 2015/12/28 09:54 JST