【北京=永井央紀、台北=山下和成】日韓が従軍慰安婦問題の解決に向け合意したことで、元慰安婦が住むアジアの国や地域などからは28日、日韓の関係改善への期待のほか、様々な反応が出た。中国国営通信の新華社(英語版)は28日、合意内容を否定的に報道。台湾外交部(外務省)は、台湾の慰安婦問題での日本の謝罪や賠償を改めて要求する姿勢を示した。
新華社は「被害者の慰安婦が求めていた法的責任を明記しなかった」と否定的に報道した。
中国外務省の陸慷報道局長も同日の記者会見で「慰安婦(問題)は日本軍国主義が犯した反人道的犯罪だ。日本が侵略の歴史を認めて反省し、責任をもって適切に問題を処理すべきだ」と強調した。一方「韓国と日本の関係改善が地域の安定と発展につながるよう望む」との期待も表明した。
台湾の総統府は28日の声明で「日本政府の行動を肯定する」と主張。同時に「他国の『慰安婦』に対する積極的な行動は、台湾にも及ぶべきだ」という外交部の声明も紹介した。台湾の慰安婦問題でも日本の謝罪や賠償を改めて求めた格好だ。
旧日本軍が第2次世界大戦中に慰安所を設けたインドネシアの外務省のナシル報道官は、合意の詳細は確認していないというが「ポジティブな出来事だ」と歓迎した。
28日の欧米メディアも日韓の合意を報じた。英国放送協会(BBC)は「歴史的な合意だ」と指摘。米CNN(電子版)は日本政府が「被害者への直接の補償に抵抗してきた」ことが元慰安婦らの反発を招いたと伝えた。ロイター通信は日韓関係の試金石が「(ソウルの日本大使館前に設置された、慰安婦を象徴する)少女像を移転できるかどうかだ」と解説した。
安倍晋三、中国、韓国