毎年ベストアルバムはツイッターにつぶやいていたんだけど、後々追いづらいので今年はブログに載せてみる。
ツイッターでは脊髄反射でばばっと印象を書いて流すばかりだったけど、改めてブログにひとまとまりの文章として書いてみると、いやあもう書けねえ書けねえ。
それがどういう音楽なのか、どう描写すればいいのか、理解するための知識も説明するためのツールもずいぶんと足りていないことに気づいた。
というわけで、結局のところパーソナルに語るしかないという結論に渋々ながらも落ち着いた次第であり、時々いきなりエモくなるがその点ご了承いただけると幸いであります。
10:Yo La Tengo『Stuff Like That There』
初期メンバーのデビット・シュラムを迎えて作られた、カバー曲がメインの落ち着いた一枚。
全体的にカントリー風のアコースティックな曲が多くて、休日の朝の陽ざしの中で聴いていたら、今死ぬのも幸せかもしれないと思った。
でもライブだと、その心地よさがさらに別の次元に突き抜けていた。
こないだ渋谷O-Eastに来日公演を見に行った時の編成は、アイラ:エレアコ弾き語りのみ、ジョージア:バスドラ・タム・ハイハット抜きのドラムセットでスティックもブラシとマレット、ジェームズ:ウッドベースというシンプルさで、上物の装飾的な音は全部デビットのギターが担当しているというもの。
テーブル越しに囁くような歌声、「叩く」よりは「触る」という動きの方が似合うドラミング。このアルバムの雰囲気をしっかり再現しているんだけど、あの数百人入るキャパの会場にしては恐ろしく音量を抑えていて、それでいて単なる音ではない「穏やかな緊張感」とでも言うしかない何かが、隙間だらけの空間を漂っていた。
彼らはマイペースに歩いているようで、いつの間にか知らない場所へたどり着いている。
9:Hiatus Kaiyote『Choose Your Weapon』
ロバート・グラスパーをきっかけに最先端のジャズ、一言で丸めるとJazz The New Chapter的な音を知った門外漢の耳にすっぽりと収まる、オーストラリア発のネオソウルバンドの2nd。
つくづく今年の来日時に見に行き損ねたのが悔やまれる、変幻自在のアンサンブル。
最初はナイ・パームの身軽な歌ばかりに耳が引き寄せられていたけども、よくよく聴くとドラムのビートのずらし方が気持ちいい。
毎回、聴くごとに別の箇所に耳が引っかかるのが快感。
しかしJTNC系の音をだいぶ聴き損ねているので来年はもうちょっとそのあたり強化したい。
8:Jaga Jazzist『Starfire』
ノルウェーの異能プログレッシブ音楽集団、5年ぶりのスタジオ新作。
いやあ、相も変わらずかっこいい……。
これまでのどっしりとした大河のような長尺曲の流れを汲みつつ、電子音の比重が若干増したせいかよりキャッチーになった印象。
タイトル曲聴いたときは『The Stix』の昂揚感がよみがえった。
日本盤ボーナストラックとして収録されている「Oban」のトッド・テリエRemixも秀逸。また日本来てくれないかなあ……。
7:星野源『Yellow Dancer』
イケメンで歌がうまくてカラッとエロいという福山雅治的鬼スペックに「根暗」という金棒が加わり文系紳士淑女皆殺し状態の星野さんの4th。
その存在自体に八つ当たり的な嫉妬を覚えるのはサブカルクソ野郎のたしなみであり、視界に入っても反射的に目をそらし続けてきたわけですが、近頃はぐんぐんビッグになってしまって否が応にも視界の隅っこにチラチラその姿が映りこんでくるのですよ。
で、魔が差してですね、うっかり聴いてみたらですね。
うん、ごめんなさい、めちゃくちゃよかったです……。
聴いた印象は祝祭的になったベニー・シングスというか。ソウルフルな根っこをとても都会的にアウトプットしてるんだけども、J-POPとしてのわかりやすい破壊力も備えているのがとてもいい。
6:The Go! Team『The Scene Between』
Go! Teamの持ち味を大雑把に分ければ「ごった煮感」と「メロディセンス」になると思うが、イアン・パートンがひとりで取り仕切った今作は、ニンジャたちの不在により薄れた前者に元々振り分けられてたパラメータを後者に全振りしたような、実にポップな歌ものアルバム。
両者が恐ろしく高い次元で混ざり合っていた前作『Rolling Blackouts』と比較するのは酷か? そもそもカテゴリーが違う気がする。
ガツンと衝撃を与えるタイプの作品ではないけれども、このアルバムを聴いている間じゅう、脳みそに快楽物質がだばだば分泌されていた。
インディポップだのシューゲイザーだのが骨の髄までしみこんでいるので、こういう音にはもう脊髄反射でよだれが止まらんのです。
5:3776『3776を聴かない理由があるとすれば』
http://namarecord.com/
(上記リンクに試聴があります。)
今年一番びっくりしたアルバムはこれだなあ……。
まずとんでもないのはそのバラエティに富んだ楽曲のクオリティだけども、アイドルのアルバムなのに音楽的にムチャクチャやっている、ということ自体はもはやこのご時世驚くべきことじゃない。
すごいのは「富士山ご当地アイドルが歌う富士登山疑似体験アルバム」というトンチキなコンセプトが完全に表現され切っていること。
アルバム収録時間は全20曲3776秒!しかも曲と曲の間に挟まれるインタールードでは、ひたすら富士山うんちくが語られる背後で、1秒1mずつ標高を読み上げる声が流れ続けているw。
そのユルいようで妙な緊迫感のある幕間が途切れた瞬間に、やたらアヴァンギャルドなポップソングが飛んでくるからさっぱり油断できない。
「ご当地」と「アイドル」と「変な曲」、一歩間違えると硫化水素が発生するこの組み合わせをこの稀有なコンセプトアルバムにまとめ上げたのはもはや偉業。
4:POLTA『Sad Communication』
日本のギターロック(ポップ?)で今年一番しっくりきたのがPOLTAの1stだった。
三十路を迎えて表面的にはわりと社交的にやっているんだけども、内実未だに人との距離感のとり方が全くわからない根暗にとっては、ものすごく同族の匂いがする人たちがこんなに溌剌としたアルバムを出してくれたことがとても眩しい。
音作りは余計な小細工のないとてもシンプルなものなんだけど、そのシンプルさに耐えうる曲の強さ。
まずキャッチーなふくだ曲でガツンとやられて、聴いてくうちにじわじわと抒情的な尾苗曲が沁みてくる。
インタビューなどを読んでみると、ギターボーカルの尾苗さんとベースのふくださん、お互いソングライターとして露骨に対抗意識バリバリですごく面白いんだけど、レコ発ライブを観に行ったら何ともいえずいいチーム感があって、なんだか悟空とベジータのように見えました。
3:D'Angelo and the Vanguard『Black Messiah』
(公式の動画がないのでYouTubeはナシで。)
……リリース自体は去年末だったけど、国内盤出たの今年だし、入れちゃおう。
ブラックミュージックを聴かないわけではないのだけど、これまで好きになったものはいわゆるフリーソウル系のような、「黒さ」が薄いものばかりだった。
泥臭いファンクも聴いたは聴いたが、どうにもそのカッコよさが皮膚感覚で沁みてこないところは否めず、たぶんおれには一生ブラックミュージックがわからんのだろうなーと一種の見切りをつけつつあった。
そんな不感症の自分の耳を開発してくれたのがディアンジェロだった。
とっぷりと濃く黒いこのリズムワークが、なんだか妙に体になじむ。
何よりピノ・パラティーノのベースが気持ち良すぎ。血流のような音だ。
2:Skylar Spence『Prom King』
ダンスミュージックの中でもピンとくるものとさっぱりこないものがあって、最近何がそこを分けているのか少しわかってきた。
どうやらおれは「盛り上がること」をあまり求めていないらしい。EDMやグイグイ四つ打ちでアゲまくるハウスなど、みんなで盛り上がることに合目的化したダンスミュージックがあんまり好きになれないのはそこだ。
じゃあその代わりに何を求めているのか?
思わず体が揺れてしまうビート、きらきらしたシンセ、グッドメロディの多幸感。
それがあれば最高だ。だけども最後の一押しに、絶対に必要なものがある。
孤独を許してくれること。
ひとりだけで、部屋でヘッドホンをひっかぶってノッていてもOK、と思わせてくれるような音。
これは完全に主観的な基準だし、同じものを聴いても他の人は全くそういう音だと思わないかもしれない。
でもこのアルバムはなぜだか、自分にとって、そういう意味でも完璧なダンスミュージックだったのだ。
1:Lantern Parade『魔法がとけたあと』
『夏の一部始終』以来、久しぶりにバンド編成でリリースされた最新作。
発売前に目黒で見たライブで、タイトル曲を清水さんが歌った瞬間に、このアルバムが年間ベストになることはほとんど決まっていたように思う。
で、聴いてみたら、やっぱりそうなった。
曲も、歌詞も、歌声も、何もかもが素晴らしいんだもの。冬のわずかな晴れ間のような一枚。
ツイッターでは脊髄反射でばばっと印象を書いて流すばかりだったけど、改めてブログにひとまとまりの文章として書いてみると、いやあもう書けねえ書けねえ。
それがどういう音楽なのか、どう描写すればいいのか、理解するための知識も説明するためのツールもずいぶんと足りていないことに気づいた。
というわけで、結局のところパーソナルに語るしかないという結論に渋々ながらも落ち着いた次第であり、時々いきなりエモくなるがその点ご了承いただけると幸いであります。
10:Yo La Tengo『Stuff Like That There』
初期メンバーのデビット・シュラムを迎えて作られた、カバー曲がメインの落ち着いた一枚。
全体的にカントリー風のアコースティックな曲が多くて、休日の朝の陽ざしの中で聴いていたら、今死ぬのも幸せかもしれないと思った。
でもライブだと、その心地よさがさらに別の次元に突き抜けていた。
こないだ渋谷O-Eastに来日公演を見に行った時の編成は、アイラ:エレアコ弾き語りのみ、ジョージア:バスドラ・タム・ハイハット抜きのドラムセットでスティックもブラシとマレット、ジェームズ:ウッドベースというシンプルさで、上物の装飾的な音は全部デビットのギターが担当しているというもの。
テーブル越しに囁くような歌声、「叩く」よりは「触る」という動きの方が似合うドラミング。このアルバムの雰囲気をしっかり再現しているんだけど、あの数百人入るキャパの会場にしては恐ろしく音量を抑えていて、それでいて単なる音ではない「穏やかな緊張感」とでも言うしかない何かが、隙間だらけの空間を漂っていた。
彼らはマイペースに歩いているようで、いつの間にか知らない場所へたどり着いている。
9:Hiatus Kaiyote『Choose Your Weapon』
ロバート・グラスパーをきっかけに最先端のジャズ、一言で丸めるとJazz The New Chapter的な音を知った門外漢の耳にすっぽりと収まる、オーストラリア発のネオソウルバンドの2nd。
つくづく今年の来日時に見に行き損ねたのが悔やまれる、変幻自在のアンサンブル。
最初はナイ・パームの身軽な歌ばかりに耳が引き寄せられていたけども、よくよく聴くとドラムのビートのずらし方が気持ちいい。
毎回、聴くごとに別の箇所に耳が引っかかるのが快感。
しかしJTNC系の音をだいぶ聴き損ねているので来年はもうちょっとそのあたり強化したい。
8:Jaga Jazzist『Starfire』
ノルウェーの異能プログレッシブ音楽集団、5年ぶりのスタジオ新作。
いやあ、相も変わらずかっこいい……。
これまでのどっしりとした大河のような長尺曲の流れを汲みつつ、電子音の比重が若干増したせいかよりキャッチーになった印象。
タイトル曲聴いたときは『The Stix』の昂揚感がよみがえった。
日本盤ボーナストラックとして収録されている「Oban」のトッド・テリエRemixも秀逸。また日本来てくれないかなあ……。
7:星野源『Yellow Dancer』
イケメンで歌がうまくてカラッとエロいという福山雅治的鬼スペックに「根暗」という金棒が加わり文系紳士淑女皆殺し状態の星野さんの4th。
その存在自体に八つ当たり的な嫉妬を覚えるのはサブカルクソ野郎のたしなみであり、視界に入っても反射的に目をそらし続けてきたわけですが、近頃はぐんぐんビッグになってしまって否が応にも視界の隅っこにチラチラその姿が映りこんでくるのですよ。
で、魔が差してですね、うっかり聴いてみたらですね。
うん、ごめんなさい、めちゃくちゃよかったです……。
聴いた印象は祝祭的になったベニー・シングスというか。ソウルフルな根っこをとても都会的にアウトプットしてるんだけども、J-POPとしてのわかりやすい破壊力も備えているのがとてもいい。
6:The Go! Team『The Scene Between』
Go! Teamの持ち味を大雑把に分ければ「ごった煮感」と「メロディセンス」になると思うが、イアン・パートンがひとりで取り仕切った今作は、ニンジャたちの不在により薄れた前者に元々振り分けられてたパラメータを後者に全振りしたような、実にポップな歌ものアルバム。
両者が恐ろしく高い次元で混ざり合っていた前作『Rolling Blackouts』と比較するのは酷か? そもそもカテゴリーが違う気がする。
ガツンと衝撃を与えるタイプの作品ではないけれども、このアルバムを聴いている間じゅう、脳みそに快楽物質がだばだば分泌されていた。
インディポップだのシューゲイザーだのが骨の髄までしみこんでいるので、こういう音にはもう脊髄反射でよだれが止まらんのです。
5:3776『3776を聴かない理由があるとすれば』
http://namarecord.com/
(上記リンクに試聴があります。)
今年一番びっくりしたアルバムはこれだなあ……。
まずとんでもないのはそのバラエティに富んだ楽曲のクオリティだけども、アイドルのアルバムなのに音楽的にムチャクチャやっている、ということ自体はもはやこのご時世驚くべきことじゃない。
すごいのは「富士山ご当地アイドルが歌う富士登山疑似体験アルバム」というトンチキなコンセプトが完全に表現され切っていること。
アルバム収録時間は全20曲3776秒!しかも曲と曲の間に挟まれるインタールードでは、ひたすら富士山うんちくが語られる背後で、1秒1mずつ標高を読み上げる声が流れ続けているw。
そのユルいようで妙な緊迫感のある幕間が途切れた瞬間に、やたらアヴァンギャルドなポップソングが飛んでくるからさっぱり油断できない。
「ご当地」と「アイドル」と「変な曲」、一歩間違えると硫化水素が発生するこの組み合わせをこの稀有なコンセプトアルバムにまとめ上げたのはもはや偉業。
4:POLTA『Sad Communication』
日本のギターロック(ポップ?)で今年一番しっくりきたのがPOLTAの1stだった。
三十路を迎えて表面的にはわりと社交的にやっているんだけども、内実未だに人との距離感のとり方が全くわからない根暗にとっては、ものすごく同族の匂いがする人たちがこんなに溌剌としたアルバムを出してくれたことがとても眩しい。
音作りは余計な小細工のないとてもシンプルなものなんだけど、そのシンプルさに耐えうる曲の強さ。
まずキャッチーなふくだ曲でガツンとやられて、聴いてくうちにじわじわと抒情的な尾苗曲が沁みてくる。
インタビューなどを読んでみると、ギターボーカルの尾苗さんとベースのふくださん、お互いソングライターとして露骨に対抗意識バリバリですごく面白いんだけど、レコ発ライブを観に行ったら何ともいえずいいチーム感があって、なんだか悟空とベジータのように見えました。
3:D'Angelo and the Vanguard『Black Messiah』
(公式の動画がないのでYouTubeはナシで。)
……リリース自体は去年末だったけど、国内盤出たの今年だし、入れちゃおう。
ブラックミュージックを聴かないわけではないのだけど、これまで好きになったものはいわゆるフリーソウル系のような、「黒さ」が薄いものばかりだった。
泥臭いファンクも聴いたは聴いたが、どうにもそのカッコよさが皮膚感覚で沁みてこないところは否めず、たぶんおれには一生ブラックミュージックがわからんのだろうなーと一種の見切りをつけつつあった。
そんな不感症の自分の耳を開発してくれたのがディアンジェロだった。
とっぷりと濃く黒いこのリズムワークが、なんだか妙に体になじむ。
何よりピノ・パラティーノのベースが気持ち良すぎ。血流のような音だ。
2:Skylar Spence『Prom King』
ダンスミュージックの中でもピンとくるものとさっぱりこないものがあって、最近何がそこを分けているのか少しわかってきた。
どうやらおれは「盛り上がること」をあまり求めていないらしい。EDMやグイグイ四つ打ちでアゲまくるハウスなど、みんなで盛り上がることに合目的化したダンスミュージックがあんまり好きになれないのはそこだ。
じゃあその代わりに何を求めているのか?
思わず体が揺れてしまうビート、きらきらしたシンセ、グッドメロディの多幸感。
それがあれば最高だ。だけども最後の一押しに、絶対に必要なものがある。
孤独を許してくれること。
ひとりだけで、部屋でヘッドホンをひっかぶってノッていてもOK、と思わせてくれるような音。
これは完全に主観的な基準だし、同じものを聴いても他の人は全くそういう音だと思わないかもしれない。
でもこのアルバムはなぜだか、自分にとって、そういう意味でも完璧なダンスミュージックだったのだ。
1:Lantern Parade『魔法がとけたあと』
『夏の一部始終』以来、久しぶりにバンド編成でリリースされた最新作。
発売前に目黒で見たライブで、タイトル曲を清水さんが歌った瞬間に、このアルバムが年間ベストになることはほとんど決まっていたように思う。
で、聴いてみたら、やっぱりそうなった。
曲も、歌詞も、歌声も、何もかもが素晴らしいんだもの。冬のわずかな晴れ間のような一枚。