野澤 哲生
2015/12/22 15:30
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特定タグのデータを特別扱い

 東芝が開発した学習手法の当面の適用対象は、ロボットの動作制御などで、画像認識などを得意とするDNNとは競合しない。

 ただ、あえて両技術の学習プロセスを比較すると、DNNではすべての学習データを平等に扱う。学習結果を左右するのは、データ量とその発生頻度だけである。「食べると毒という情報も、繰り返し入力しなければ覚えられない」(東芝の野村氏)。

 一方、擬小脳回路では、エラーというタグが貼られたデータを特別扱いし、データ量やその発生頻度に頼らない学習が実現する。「毒は、1度の失敗で覚えないと命にかかわる」(同氏)。

 東芝の野村氏らは、SolidMindの中で、この擬小脳回路を制御するための、大脳基底核や海馬体の一部の機能を模した回路「擬大脳基底核」「擬海馬」も開発したとする注2)。そして、それらの回路でも、それぞれの解剖学的知見をヒントに、擬小脳回路と同様な、特定のタグのついたデータを特別扱いする仕組みを実装した。ここでのタグは、「猫」という言葉であったり、恐怖や快感であったりする。

大脳基底核=大脳皮質と視床、脳幹をつなぐ神経核の集まり。扁桃体と呼ばれる、感情や恐怖、記憶の調節に重要な役割を果たしているとされる部位を含む。
海馬体=記憶形成にかかわるとされる脳の部位。
注2)図1の修飾電位VDはその仕組みの1つとして利用するもようだ。

 具体的には、ループ状の回路を構成し、タグ付きデータが入力されると、ループ回路を構成するニューロンがすべてORゲートになって、回路が一時的に発振するようにした。すると、他のデータよりもずっと速く、ニューロンのVBの値が増加し、短時間に学習が進むという。

 野村氏らは現状ではFPGAなどで動作するSolidMindを、近い将来にASIC化するのが目標だという。「1個1000円程度で提供し、介護用ロボットなどを安価に開発できるようにしたい」(野村氏)と意気込む。

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