米国の3月利上げで「テーパータントラム」再発か-ドイツ銀行
2015/12/28 09:53 JST
(ブルームバーグ):債券トレーダーは年末年始に市場が静まっている間に、せいぜいホリデーを楽しむといいだろう。ドイツ銀行のアナリストの分析が正しければ、市場のボラティリティが大きく高まると予想されるからだ。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は2006年以来の利上げに今月踏み切り、事実上のゼロ金利を解除することに成功したが、米国債利回りはその後ほとんど動いていない。低インフレと世界経済の緩慢な成長でFOMCの来年の利上げペースも緩やかになるとトレーダーは予測している。
ドイツ銀の金利調査グローバル責任者ドミニク・コンスタム氏(ニューヨーク在勤)によれば、小康状態は長く続きそうにない。FOMCの3月の利上げで債券市場が不意を突かれ、債券購入プログラムの終了観測で米国債が急落した13年の「テーパータントラム」が小型バージョンで再発する可能性があると同氏は予想する。
コンスタム氏は「われわれはそれをベビータントラムと呼ぶ。FOMCの引き締めが幾分穏やかになりそうだと考えられているが、金利が1%に上昇することに市場はやがて気付き、それが多大なストレスになる」と指摘した。
オプション価格のインプライドボラティリティ (IV、予想変動率)の指標であるバンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのMOVE指数は先週、14年12月以来の低水準となる 66.02 に低下。ドイツ銀は米国債市場のボラティリティ見通しが後退する状況で、来年の市場の波乱を警告したことになる。米国の金利トレーディングビジネスの市場シェアで、同行はゴールドマン・サックス・グループに次いで2位を占める。
ブルームバーグが集計したデータによれば、市場はFOMCが来年2回の利上げを実施すると引き続き予測。次の利上げ後に実効フェデラルファンド(FF)金利が新たな誘導目標レンジの半ばで取引されると仮定した場合、FOMCが4月かそれより前の会合で追加利上げに踏み切る56%の可能性が市場に織り込まれている。
一方、FOMCが示した16年末の適切なFF金利(当局者17人の中央値)は1.375%となっており、来年0.25ポイントの利上げが4回実施されることが想定されている。
原題:Deutsche Bank Sees Taper Tantrum Echo Ahead for U.S. Treasuries(抜粋)
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更新日時: 2015/12/28 09:53 JST