「シーベルト」とは、放射線の体内影響を表す単位ですが、空間線量計で表示される測定値は、理論モデルによって計算される便宜上の数値にすぎません。図のような実験fでは、測る高さで極端に数値は変わります。しかもこのモデルでは、内部被ばくは一切考慮されていないのです。
チェルノブイリ原発事故では、被ばくの7~8割が、内部被ばくであったことが知られています。呼吸吸引や食事により、体内に入ったモノからの被ばくです。ここで大事なことは、体内に取り込まれたどの核種の放射性物質が、どの臓器に影響を与えるか、という各論です。
「シーベルト」という単位は、放射性物質の平均放射<エネルギー>を、生体組織の質量<体重>によって、割ったものです。ですから、計算の結果は「体内で平均的に放射性物質は作用した」値となります。例えてみると、お風呂に入って全身で得るエネルギーと、熱湯を一気に飲むことで得るエネルギーを区別しないのです。しかも、お風呂にさっと入るのとは違い、体内に入った放射性物質は、DNAや、最後に落ち着いた組織に対し、膨大な局部的、継続的な放射線量をもたらします。
このような計算があります。ひとつの細胞に対する、ひとつの体内アルファ粒子飛跡(プルトニウム239など)からの放射線量率は、500ミリシーベルトです。しかし、これを全身に換算すると、いきなり0.000000000005ミリシーベルトになります。「シーベルト」は、深刻な内部被ばくを表現できない意味が分かるでしょうか。
しかも、空間線量率(シーベルト)を地上1mの高さで測るのは、なぜなのか。身長が1mに満たない子らは、どうでもいいのだろうか。なぜ、アルファ線、ベータ線の土壌検査を、当初からしていないのか。時間がかかると言っても、もう2年が過ぎました。
原発などの人工の放射性物質は天然と違い、集団をなして微粒子状態となります。たとえば直径1μmは約1兆個の原子からなり、そこに多様の放射性物質が含まれるのです。放射性雲の気流やホットスポットでのホコリでは、この微粒子はひと呼吸で吸引されます。
今回KAZEは、いったん空間線量率(シーベルト)で報告をしました。これを見て「ああ、この程度なのか」と安心してはいけません。一方で、「シーベルト」で事態を軽く見せようとする、政府の政策文脈を批判します。そして、内部被ばくへの関心を呼びかけます。
< 解説 > 今回は、体調ためお休みです
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