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なぜ日本経済だけ「失われた25年」が続いているのか
小宮一慶『ビジネスを「先読み」する人の日本経済史の読み方』~バブル後の日本経済の歩みから探る(前編)
- 2015.12.28
「失われた20年」という言葉がありますが、残念なことに「25年」になりつつあります。2014年度の名目GDPは約490兆円。これは、バブル崩壊直後の1992年の488兆円とほぼ同じ水準です。つまり、日本は20年以上、名目GDPがほとんど伸びていないのです。
名目GDPは給与の源泉ですから、国民の給料が上がらないのは当然の話です。実際、1人あたりの平均給与を表す「現金給与総額」は、1997年がピークです。
なぜ、日本は長い間、低成長が続いているのでしょうか。根本的な原因はどこにあるのでしょうか。拙著『ビジネスを「先読み」する人の日本経済史の読み方』(KADOKAWA)より、前編・後編にわたって分析していきます。
世界を見渡しても日本だけ成長が止まっている
まず、主要国のGDPの推移を見てみましょう。
それぞれ1990年から2015年(推計値)までの動きをドルベースで比較すると、米国経済は、およそ3倍の規模に拡大しています。中国の伸びは凄まじく、27.2倍にも達しています。ドイツは2.2倍、英国は2.6倍。ところが、日本だけはほとんど伸びていません。
図表にはありませんが、世界上位60カ国の動きを見渡しても、この20年間ほとんど成長していない国は、日本以外にありません。
これだけ成長しないという状況は、はっきり言って異常です。政府も国民も「日本経済は異常な状態なんだ」という認識が必要です。
安倍首相は、2015年9月に「2020年までに名目GDPを600兆円にする」という目標を掲げましたが、その裏にはこのようにGDPが伸びていないという状況があるのです。