北京のランダム・ウォーカー

ネットにあふれる怨嗟の声
中国と習近平の「悪循環」が止まらない

経済失政、戸籍差別、権力闘争…2016年、何が起きてもおかしくない

2015年12月28日(月) 近藤 大介
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〔PHOTO〕gettyimages

イソップ寓話に、「ロバを売りに行く親子」という話がある。農夫とその息子が、飼っていたロバを売るため、ロバを引いて街の市場へ向かった。すると通行人が「誰も乗らないなんてもったいない」と指摘したので、父は息子を乗せた。

しばらくして別の通行人が、「何と親不孝な息子だ」と指摘したので、今度は父が乗った。するとまたしばらくして別の通行人が、「子供だけ歩かせるなんてひどい親だ」と指摘したので、今度は親子で乗った。

さらに行くと、通行人が「ロバがかわいそうだ」と指摘したので、親子でロバを担いだ。そこは橋の上で、突然担がれたロバはビックリして暴れ出し、橋の下の川へ落ちて死んでしまった――。

2015年の中国経済と習近平政権の対応を見ていると、まさに「ロバを売りに行く親子」の物語を髣髴させた。やることなすこと後手後手かつ付け焼き刃的で、あちらを立てればこちらが引っ込む。そして、状況はますます悪化していくという悪循環である。

「新常態を認識し、適応し、導いて行かねばならない」

習近平主席は、今年の締めくくりである中央経済工作会議を、12月18日から21日まで、北京西郊の人民解放軍総参謀部が経営する「要塞ホテル」京西賓館で開いた。参加者は、党中央委員会メンバーら約400人の面々だ。

習近平主席は直前に散髪したらしく、さっぱりした様子だったが、笑顔もないままに、今年もう何十回目か知れない重要演説をぶった。

中国経済は全体としては平穏に運行しており、平穏な中に進展があり、平穏な中に好転がある。中国経済は中高速成長を保持しており、経済システムは改善されている。改革開放は縦横に深く邁進しており、民生の改善は持続し、社会の大局は総じて安定的なのだ。

今年の主要目標は達成したし、(2011年~2015年の)第12次5ヵ年計画は勝利を収め、わが国をさらに高い発展段階に押し上げたのだ。

新常態を認識し、新常態に適応し、新常態を導いて行かねばならない。それこそが、今後一定期間のわが国の経済発展の大枠のロジックなのだ。

来年の戦術上のキーポイントは、生産過剰を改善し、在庫を一掃し、レバレッジをやめ、コストを落とし、律速段階を補う。これが5大任務だ。

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