さようなら、憂鬱な木曜日

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さようなら、憂鬱な木曜日

サラリーマンの投資ログなど

「イケダハヤトの収支を分析してみたら、年間所得は推定560万ぐらいだった」なぜ彼は年商を語りたがるのか?

ブログ

先日、ホットエントリーでこんな記事が話題になっていた。

収入2,000万円ってこんな感じか…。お金に困らなくなってわかったこと。 : まだ東京で消耗してるの?

ああ、またイケハヤさんの定期報告か、と思いながら記事を読んだのだが、この人の収入に関する記事を読むたびに気になっていることがあった。

どうしてこの人は、いつも年商で数字を語ろうとするのだろう。

年商とは、総売上高のことである。売上というのはその商業規模を示す指標にはなっても、どれだけ儲かっているか、の指標ではない。本来、収支報告というのは、利益まで載せて初めてその意味を持つのである。
言ってしまえば、売上100億円でも、利益がゼロ、あるいは赤字なんて企業はザラにある。売上高の数字を高らかに主張されても、「あの、重要なのは利益なんですが…」という困惑の表情を浮かべるしかない。ブログの読者だって、知りたいのは「イケダハヤトの年収」なのだろう。
そこで、もしかして、イケハヤさんは、年商で語らなければいけない理由があるのではないか?という疑問が浮かんだ私は、彼がブログ内で公表している情報をベースにして、収支の分析をしてみた。

まずは、毎月の定期報告で公表している2015年の数字が以下のとおりである。

f:id:goodbyebluemonday23:20151225194143p:plain

※2015年12月については、まだ公表されていないため、11月の数字と同額で計算した

なるほど、イケハヤさんの言うとおり、自己申告の数字であれば、2,000万円というのは事実であるようだ。
さて、それでは、それぞれの内容を精査していこう。

収入の部

アフィリエイト収入

まずは、年間1,000万近い売上が計上されている(と言っている)アフィリエイト収入だ。
彼はブログの中でこのアフィリエイト収入についてこう書いている。

確定は3〜4割程度なので、実際には毎月60〜100万円程度の振込という感じですね。うちは発生単価の高い「求人」アフィリエイトが中心なので、だいぶ金額的に水増しされる感じになっております。

アフィリエイトというのは、発生報酬の中からクライアントが承認して初めて確定報酬となる。上記の表の数字というのは、発生報酬に対して、イケハヤさんが過去の実績等から適当にはじき出した承認率を掛けあわせて算出された数字だ。

この数字を検証するに、ひとつの参考となる画像データがある。以下は、イケハヤさんがブログ内で過去の売上推移をグラフにして振り返った記事の中で貼られていたデータである。月が終わって間もない運営報告の数字よりも、比較すると信頼性が高いと考えられる。

f:id:goodbyebluemonday23:20151226191039p:plain

(出典:脱サラしてから60ヶ月が経ちました。これまでの売上推移をグラフにしてみた。

上記グラフから、大体の数字を拾っていくと、月間の売上概算金額は以下のようになる。

f:id:goodbyebluemonday23:20151226192522p:plain
※11月時点のデータなので、10月までの数字のみ

目視で拾った数字なので、多少の誤差はあるのだろうが、だいたいこんな感じだ。
この数字を眺めて見て、あることに気づく。

運営報告での金額と売上推移データの金額が乖離している?

例えば8月なんて、運営報告では239万円の売上があると報告しているにも関わらず、画像データでは約180万円である。なぜこのような乖離が起るのか?

それは、彼が見込みで計上したアフィリエイトの確定予定報酬が、実際にはもっと低かったからであろう。現在の彼の収入源の中で、運営報告の時期までに確実な報酬金額が確定しないのはアフィリエイトだけだからだ。

ちなみに、ブログで報告しているアフィリエイト報酬を7掛けすると、だいたい売上推移データの概算売上金額と一致する。

つまり、このアフィリエイト収入を売上推移データを元に計算し直すと、以下のとおりである。

9,520,000円×70%=6,664,000円

アフィリエイト収入 6,664,000円 

 

サロン収入

2015年から始めた有料サロン。月額4,980円と安くない月謝にも関わらず、会員数は現在370人いるらしい。年間700万弱の収入。これは凄い。一体サロンで何が行われているか知らないが、月に4,980円払ってまでイケハヤさんとコミュニケーションを取りたい人たちが一定数いるらしい。
さて、このサロン収入については、彼はブログでこのように書いている。

前月に続き、有料サロンの売上の方は、全額ビッグイシュー・オンラインの運営に投入しています(なので、上の売上はすべてぼくの懐に入っているわけではありません)。

あらら、このサロン運営に関しては収入と支出が同額で、結局のところ利益は出ていないようだ。この数字については、後ほど支出の部分で計上しよう。

さてさて、このサロン収入であるが、少し不可解な部分がある。会員が370人いるのであれば、370人×4,980円/月で、約180万円の月額収入があるはずなのだが、報告されている収入は、100万円。別の記事で20%はマージンを取られているような記述もあるが、180万円×80%だとしても144万円は収入がないとおかしい…イケハヤさん、370人って累計じゃないですよね

サロン収入 6,620,000円

 

印税・寄稿/バナー・記事広告

この科目については、あまり触れるところはない。記載通りの数字を信じて、その金額が実際に収入となっていると想定した。
ひとつ言わせてもらえば、本を数冊出しているにもかかわらず、印税少なくない?全然売れてないのか…。

広告収入 2,630,000円

寄稿・印税収入 460,000円

 

支出の部

サロン運営費

ここからは、支出の部である。まずは、前述したオンラインサロンの運営費である。この科目については、イケハヤさん自身がサロン収入をすべて注ぎ込んでいると言っているため、サロン収入と同額の6,620,000円がサロン運営費となる。

サロン運営費 6,620,000円

 

人件費

月ごとの運営報告を追っていると、どうやらイケダ氏は4月に1人、9月、11月、12月に1人ずつと、アシスタントを合計4名雇っているようである。彼らがどのような契約で、どれほどの報酬を貰っているのかその詳細については明記されていない。しかし、運営報告の中には、業務委託契約であることと、大体の金額についての記載がある。

あ、そうそう、4月から人を増やしました。ビッグイシュー・オンラインの仕事と、ぼくの高知の雑務をこなしてもらうため、矢野大地さんにアシスタントをお願いしています。

いきなり20万PVかっ飛ばしたり、クラウドファンディングで100万以上集めたりと、すげー優秀な人物なんですが、優秀さのあまり就活をしないで卒業しちゃったみたいでして、生活費+日々の活動費を提供するかたちでしばらく仲良くやっていきます。

20代のメンバーばかりなので、みなさんかなり安いです。今のところ、10〜13万円くらいで収まってます。正社員契約ではなく、業務委託でお仕事をお願いしています。

1人10万円/月とすると、2015年の人件費は以下のようになる。

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人件費 1,700,000円

実際、この人件費については、下記のような記述もあるので、アルバイトの金額を含めればもっと嵩むだろう。

というわけで、ぼくは今年、アルバイト的に関わっている人を含めると「5人」の仲間を増やしました。

 

減価償却費

イケハヤさんは、今年430万円で三菱の新車アウトランダーPHEVを買い、しっかりと事業用で全額減価償却費に計上している。これは、下記の記事で丁寧に会計ソフトデータまで開示してくれている。

乗用車の減価償却の方法がわからないので、確定申告ソフト「freee」で聞いてみたら親切に教えてくれたよ : まだ東京で消耗してるの?

定額法による償却で、421,814円が今年の費用となる。

減価償却費 421,814円

 

その他経費

彼は現在ブログを1日約5本程度更新している。かなりの更新頻度である。やはり、それだけの記事を書くにはネタも枯渇するようで、執筆のネタとなる情報商材を色々と仕入れている。

なんだかんだで今年は200万円くらい「情報」を買っている気がします。「本」「映画」「音楽」「有料メルマガ」「有料サロン」などなど。

まぁ、それがぼくの仕事ですから、これは割と正当に必要経費です。いい本をたくさん読めば、自分の血肉になりますし、何よりこのブログで紹介して売れます。そんな事情もあるので、特に「本」は迷わずぽちぽちするようになりました。この状況が確保できたのは嬉しいですね。

買った本が血肉になって良い記事が書けているかどうかは疑問だが、積極的にインプットを心がけているようだ。

その他経費 2,000,000円

 

イケダハヤトさんの収支決算書

さて、それでは、これまでの分析結果を加味した、仮の収支決算書を見てみよう。

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こうして見ると、イケダハヤトさんの税引き前課税所得は大体560万円くらいであった(実際はたくさん寄付金をしていると言っているのでもう少し下がるだろう)。

正直、私は彼の資質や言動、考え方に疑問は持っているが、独立してまだ数年でこの収支は立派だ。収入面での成長は著しいので、今後さらに収入は伸びる可能性もある(下がる可能性も大いにある)。

しかし、一言言っておきたいのは、彼の所得は、私の給与収入と同程度である。ブログ界のトッププレーヤーであるイケダハヤト氏でさえ、私のような一介のサラリーマンと同程度の収入なのである。継続可能性が極めて計算しづらいこのマーケットにおいて、この金額では正直夢がないと言えるだろう。
しかも、私は社会保険料を半額会社に負担してもらっているが、彼はすべて一人で負担しなければならない。病気になったり怪我をした時のリスクも高いので、保険も会社員より高い金額を払っているはずである。

イケハヤさんの「年商」を見て、「ブロガーってすげえ。会社員やめて高知行こうかな!」とか考えている若者がいたら、この記事をもう一度読み返してみて欲しい。

 

なぜ収入を大きく見せたがるのか?

現状あるデータで分析した限りでは、イケダハヤトさんは普通の30代サラリーマン程度の年収であることがわかった。
しかし、彼はなぜ、「年商」という言葉を使って、さらにその数字を飾って大きく見せようとしているのか。
それは、まず第一に虚栄心である。東京を相手に吠えるため高知まで来てしまった手前、失敗するところなんて格好悪くて見せられないのもわかる。
それからもうひとつは、収入を大きく見せて、有料サロンの会員を集めることが目的ではないだろうか。「ブロガーって儲かるんだー。イケハヤさんに教えてもらおう!」と言って、年商と年収の違いがわからない人たちを囲い込むのだ。その手法は秒速で3億稼ぐ男を思い出す。

 

まとめ

今回、収支の分析をしてみて、イケダハヤトという男のきな臭さが一気に増した。叩けばいくらでも埃が出てきそうな逸材である。そこへ来て、こんな記事が話題になっていた。

これは、「営利を目的としない」はずの滞在型農園に、イケダハヤトさんが住んでしまっている事実を指摘したものだ。「もっと売り上げ伸ばしていきますよー」とブログに書いていたり、なんだか応募条件も満たしていなかったり、真偽は不明だがなかなか面白いことになっていきそうである。

俄然面白くなってきたイケダハヤトさん。今後はこれまで以上に注視して、随時レポートしていきたいと思う。

 

※本記事におけるデータは、ウェブ上に公開されたデータとそれに基づく常識的な仮説から計算されております。裏はまったく取っていないので、ご留意ください。

 

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