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産経新聞驚愕スクープ「河野談話の従軍慰安婦報告を虚構と断定」〜産経が主張する徹底的な事実検証を断固支持する

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 社説は「河野談話が招いた誤解は韓国だけでなく、米国をはじめ国際社会全体に広がっている」とし、「安倍政権には、歴代政権が放置した日本の不名誉な歴史を正すため、国際社会に向けた事実に基づく積極的な発信を期待したい。」と結ばれています。

 河野談話が招いた誤解は韓国だけでなく、米国をはじめ国際社会全体に広がっている。

 今年も、国連の拷問禁止委員会が慰安婦を「日本軍の性奴隷」と表記し、日本政府に「関係者の処罰」を求める勧告を出した。7月末には、米グレンデール市で、ソウルの日本大使館前に設置された「慰安婦の碑」と同じ少女像が設置され、日本軍が慰安婦を連行した、と碑文に記された。

 安倍政権には、歴代政権が放置した日本の不名誉な歴史を正すため、国際社会に向けた事実に基づく積極的な発信を期待したい。

 ・・・

 さて、この河野談話の従軍慰安婦報告を虚構と断定した産経スクープ記事ですが、さっそく韓国メディアが強烈に反応、「このような報道は最近、談話の破棄、修正を求めている日本国内の保守、右翼勢力の動き」(朝鮮日報)と批判を展開しています。

河野談話「日本の右翼勢力が無力化図る」 本紙報道に韓国メディア
2013.10.17 08:17 [日韓関係]

 【ソウル=名村隆寛】韓国の複数のメディアは16日、「河野談話」をめぐる産経新聞の報道について、記事を引用するとともに、「日本の右翼勢力が談話の無力化を図っている」などと批判した。
 韓国の通信社、聯合ニュースは東京発で、「産経のこうした報道は、河野談話の破棄、修正を要求する日本国内の保守右翼勢力による執拗(しつよう)な河野談話の無力化攻勢にあたる」などと伝えた。
 また、朝鮮日報(電子版)は「日本の保守メディアが韓国人慰安婦被害者の証言に信憑(しんぴょう)性がなくなったと報道した」とする一方、「日本は河野談話が出たとき、最初に軍の慰安婦強制動員の事実を認めた」と前置きし、産経の報道内容を簡潔に報じた。
 その上で、「このような報道は最近、談話の破棄、修正を求めている日本国内の保守、右翼勢力の動き」であると指摘。「日本の右翼勢力は、慰安婦の強制動員の事実を見極める日本政府の資料はないとし、継続的に河野談話無力化への攻勢を展開している」と、聯合ニュースとほぼ同じ表現で警戒感を示した。
 一方、産経の報道に関する韓国政府のコメントなどは出ていない。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131017/kor13101708190000-n1.htm

 ・・・

 まとめです。

 当ブログはいわゆる「従軍慰安婦問題」は悲しき二重の構造を呈しているという認識を有しています。

 一つ目は、「従軍慰安婦問題」がここまで国際化したのは一連の朝日新聞捏造報道にあることは疑いようが無い事実であります。

 そして日本政府が「河野談話」を表明するまでに追い詰められたのは、朝日新聞の虚偽の報道によるところが起因していると認識しております。

2012-09-01 「河野談話」の真の生みの親は朝日新聞である
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20120901

 その意味で産経が主張している徹底的な事実検証は絶対に必要であると、これを支持いたします。

 学術者による事実解明、および河野氏や朝日新聞関係者などの国会招致も視野に入れた政府による調査を、徹底して行っていただきたいです。

 まずはここです。

 そのうえでこの「従軍慰安婦問題」の2つ目の構造を私達日本人は冷静に見つめる必要があると考えます。

 それは一連の朝日新聞の捏造報道が検証されたうえで、軍による強制を示す証拠はないと明らかになったところで、しかし当時のこれら女性達の悲劇的境遇は変わらない、日本軍の組織的関与が否定されたにしろ、国際的には本件で同情は哀れな女性達に集まるのは必然であるという事実です。

 国際的には「従軍慰安婦問題で日本が政治的に勝利することはない」(マイケル・グリーン氏)との見識が主流であることは、しっかりおさえておくべきです。

■[政治]「従軍慰安婦問題で日本が政治的に勝利することはない」~マイケル・グリーン氏の4年前の忠告
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20111219/1324269081

 マイケル・グリーン元米国国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長が4年前日本の新聞のインタビューで示した冷静な発言があります。

 氏はアメリカ共和党きっての知日家でありながくブッシュ政権のブレーンを務めてきた親日家であります。

 リンクはありませんが、2007年3月4日付けの読売新聞紙面から当該部分を抜粋して再掲しましょう。

マイケル・グリーン氏に聞く 「慰安婦」歴史家に任せよ

(中略)

---米下院では、民主党のマイケル・ホンダ議員らが慰安婦問題で日本に公式な謝罪を求める決議案を提出し、外交委員会の小委員会で公聴会が行われた。

 「米議会がこの問題に関与するのは大きな間違いだ。特に外交委員会は、北朝鮮の人権侵害、台頭する中国の挑戦など、対応すべき問題が山積している」

---日本政府は公式に謝罪しているにもかかわらず、決議が繰り返し米議会に提出されるのは、なぜか。

 「韓国系の住民の多いカリフォルニア州出身議員らが推進しているからだ。反日、反米、親北朝鮮の民間活動団体(NGO)などが絡んでいることもある」

---自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」が河野官房長官談話の見直しを議論しているのをどう受け止めるか。

 「仮に決議案が採択されたとしても、米国の日米同盟に関する政策に与える影響はゼロだ。米メディアの報道も今のところ低調だ。しかし、日本が反発すれば事態は悪化する。共和党や民主党の一部議員が、決議案の問題点に気づき、修正や廃案をめざして動き始めたが、日本の政治家が反発すると収拾が難しくなる。日米とも政治家がこの問題に関与すれば国益を損なう。歴史家に任せるべきだ」

---安倍首相は「(旧日本軍の)強制性を裏付ける証拠は無かったのは事実だ」と発言している。

 「安倍政権の外交政策、特に国連での対北朝鮮制裁決議採択や、中韓との関係改善に向けた首相の指導力は、ワシントンでも高く評価されている。ただ、慰安婦問題は、高いレベルが政治介入すればかえって複雑化する。強制性があろうとなかろうと、被害者の経験は悲劇で、現在の感性では誰もが同情を禁じ得ない。強制性の有無を解明しても、日本の国際的な評判が良くなるという話ではない」

---昨秋、下院で開かれた公聴会で靖国神社問題について証言し、日本の立場に理解を示したが、この問題では批判的なのか。

 「慰安婦問題で議会に呼ばれたら、残念ながら日本を擁護できない。靖国問題と慰安婦問題は違う。どの国にも戦争で亡くなった英霊に敬意を表す権利があり、中国に介入する権利はない。クリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』がヒットしたのは、米国人だけでなく日本人の犠牲者に対する同情を呼んだからだ。しかし、慰安婦問題で同情されるのは被害者女性だけで、日本が政治的に勝利することはない」

2007年3月4日読売新聞紙面4面より 抜粋引用

 親日家であるマイケル・グリーン氏の意見ですが、冷静なきわめて妥当な分析であると評価できます。

 当時アメリカ議会で開かれていた従軍慰安婦関係の公聴会そのものは、「米議会がこの問題に関与するのは大きな間違い」であり「反日、反米、親北朝鮮の民間活動団体(NGO)などが絡んでいる」ことを指摘しつつ、慰安婦問題自体は「歴史家に任せるべき」であり、「日米とも政治家がこの問題に関与すれば国益を損なう」と断じています。

 彼によれば、「強制性があろうとなかろうと、被害者の経験は悲劇で、現在の感性では誰もが同情を禁じ得ない。強制性の有無を解明しても、日本の国際的な評判が良くなるという話ではない」のであり、本質的には「慰安婦問題で同情されるのは被害者女性だけで、日本が政治的に勝利することはない」からであります。


 この問題は最終的には政治問題化させるのではなく歴史学者による真摯な事実検証にゆだねるべきでしょう。

 日本政府は、韓国が求めるこの問題における政府間協議に対して、第三国を含む歴史学者の徹底的な事実の検証作業を提案するべきです。

 この問題の解決は本来政治家ではなく学者にゆだねるべきです。

 本件の政治問題化を避けるのは真実の解明、それが唯一の方法だと考えます。

 マイケル・グリーン氏が4年前に冷静に忠告しているように、国際的には「強制性があろうとなかろうと」「慰安婦問題で同情されるのは被害者女性だけで、日本が政治的に勝利することはない」からです。

 2重の構造を呈するこのやっかいな「従軍慰安婦問題」では、まず真実の解明の妨げになっている一連の朝日新聞捏造報道の検証や今回の産経スクープが主張しているように、河野談話の従軍慰安婦報告の信憑性の精査、さらには朝日新聞報道などを根拠にしている韓国などの主張への堂々とした反論、これらが必須でありましょう。

 そのうえでです、しかし本質的にはこの問題で国際的に「日本が政治的に勝利することはない」ことを踏まえて、問題の解決は本来政治家ではなく学者にゆだねるべきだと考えます。

 その最初の一歩として、産経が主張している徹底的な事実検証は絶対に必要である、これを断固支持いたします。

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