脳の体積が鳥くらいしかないキラキラ女子が、
「今日のデートは三菱商事くん♡」
「明日のデートは電通くん♡」
などと、なぜかツイッター上でモテ自慢をしているが、脳の体積が鳥並みのお前に問いたい。
キーエンスは、知ってるか?
外コンくん→ディズニーシー
D通くん→映画
お医者さん→水族館
官僚くん→美術館
メガバンくん→プラネタリウム
外銀くん→ドライブデート
商社くん→スカイツリー
歯医者さん→ドライブデート
それぞれお誘いされてる♡どれに行こうかな♡
— ♡Rika♡ (@strawberry___27) 2015, 10月 18
キーエンスとは、日本の上場企業の中で最も高い年収を誇るモンスター企業である。
年収記事が大好きな東洋経済ネット版の図を見てみよう。
引用元:http://toyokeizai.net/articles/-/71024?page=2
平均年収1,440万。
そして何より注目すべきは、平均年齢である。
三菱商事 平均年収1,355万 平均年齢42.8歳
三井物産 平均年収1,351万 平均年齢42.4歳
伊藤忠商事 平均年収1,384万 平均年齢41.3歳
キーエンス 平均年収1,440万 平均年齢34.8歳
これぞ、
30代で家が建ち、40代で墓が立つ
と言われる所以である。
ちなみに平均勤続年数は11.1年で、離職率は2~4%程度。
外資系金融のようにUp or Outという感じでもないように見える。
また、平均勤続年数が11.1年と他の大手企業と比べて短いのも上記と同じ理由によります。
ちなみに離職率は、ここ5年間でも2~4%台で推移しています。http://www.keyence.co.jp/jobs/fresh/contents/recruitment/faq.jsp
これ、婚活相手としては最強じゃね?はぐれメタルでしょ?
どうでしょうか、まりこさん。
商社コンサルマスコミ広告証券銀行メーカー通信外銀外コン官僚IT建設デベ医者弁護士教授会計士あたりは網羅してしまったから、新たなジャンルを切り開いていきたいですね♥︎
— まりこ♡ (@marimari_0808) 2015, 1月 4
教授!?
き、教授...。
最初は助教です。
30代で准教授になり、大学教授になれる年齢は、
一般的に40代半ばから50代くらいです。
不倫、ダメ、絶対!
さて、気を取り直してキーエンスの話を続けよう。
キーエンスは時間管理が非常に厳しいことで有名である。
社員の業務時間は全て管理され、合理的に動くことを叩き込まれるらしい。
Youtubeにはこんな動画もupされている。
「地下鉄御堂筋線西中島南方駅からキーエンス本社ビルまで徒歩最速最短の行き方」
www.youtube.com
キーエンスの超効率主義が垣間見えるようだ。
個人的に、特に印象的なのは面接であった。
大きなホテルにたくさんの学生が集められる。
そこでキラキラのスーツを着たキーエンス社員様が時間ピッタリに会社の説明を終える。
最後に待ち受けているのが、
30秒自己アピール面接
である。
説明会参加者一人一人に30秒の時間を与えられ、自己PRを行う。
そこで面接官のお眼鏡にかなった人が次の面接に呼ばれるとのことだが、おそらくこれは体の良い学歴フィルターのようなものだろう。
現に俺はこの面接の対策を事前に考え抜き、考えうる最強の答えをぶつけたにも関わらず、無残に落とされた。
その秘策とは、30秒のアピールタイムで一言もしゃべらないというものである。
面接官の「はじめ!」という合図と共に、周りの学生は一斉に自己PRを始める。
面接官はじっと俺の顔を見る。
俺は一言も話さない。
ここで焦ってはいけない。目を逸らしてもいけない。
ひたすら黙って、目を見る。
27秒が経ち、残り3秒となったときに、そっとポケットからビールを取り出し、こう言うのだ。
「男は黙って、サッポロビール」
...俺が面接官なら間違いなく即採用である。
しかし、落ちた。
残念ながら面接官の心のセンサーは動作不良により反応しなかったようだ。
こんな秘策を講じた俺を落とすとは、キーエンスの採用担当に見る目が無いのも甚だしい。
30秒面接をクリアして最終面接までいくと、今度はビデオで撮影されながらの面接になるようだ。詳しい話は内定者にでも聞いてくれ。
ちなみにビールの話は就活生の間に流れる都市伝説である。
さて、このモンスター企業のキーエンス。
一体何をやっているのだろうか?
せっかくだからちょっと有価証券報告書を覗いてみよう。
まず、損益計算書を見ると面白い。
売上高が2,650億円であるのに対し、売上原価は600億。
営業利益は1,300億となっている。
引用元:http://www.keyence.co.jp/company/pdf/yu20140613.pdf
これを見ると、売上原価率は約22%(異常に小さい!)で、営業利益率は約50%である。
面倒だから以下の記事から引用するが、電機業界の営業利益率だと、三菱電機が6.5%、日立製作所は同6.1%、東芝は同4.9%で、キーエンスとは桁ひとつ違っている。
ちなみにオムロンの売上高は7,300億円。
売上原価が4,750億で、営業利益が1,160億円。
計算すると、売上原価率は61%で、営業利益率は15%となっている。
http://www.omron.co.jp/ir/irlib/pdfs/ar15j/ar15_39.pdf
素人目に見ても、やはりキーエンスの営業利益率の高さは突出しているように見える。
貸借対照表を見ても面白い。
棚卸資産というのはいわゆる在庫のことだが、この額が139億円と、資産に占める割合は小さい。
そして、製造業に分類されるくせに、有形固定資産の額も83億であり、小さく見える(有形固形資産とは、読んで字のごとく、工場とか機械とか形ある資産のこと)
なぜ製造業なのにこんなことになるかというと、キーエンスがファブレス経営をしているからだ。
ファブレスというのはFabrication(製造)Less(ない)の略で、「工場を持たない」という意味である。
キーエンスは下町ロケットの佃製作所のように研究開発をして物を作っているわけではなく、工場に対して「問題解決のアイデア」を売っているのである(カッコイイ!)
少し長いが、「会計士は見た!」というこの記事の元ネタとなった本から引用する。
キーエンスが扱っているのは、工場の生産ラインに不可欠な自動化・省力化のセンサーや測定機器です。
キーエンスは創業以来、直販制度のもとで従業員の約半分が営業に従事しているそうです。その営業職たちが売っているのは、モノではなく、「問題解決のアイデア」です。
彼らは、一般の営業職が行っているような商品の納入や代金の回収を行いません。
その代わりに、各顧客の相談役となって、製造現場の問題解決にあたっているのです。
たとえば工場に対しては、生産性の工場や不良率の低減につながる提案をする、といった具合です。そして、必要な商品を自分で企画し、外注先に製造委託をするのです。
前川修満著「会計士は見た!」 第4章 キーエンスより
キーエンスはある意味、キラキラ女子が大好きなコンサルくん♡のような仕事をしているというわけである。
君たちが愛してやまないハイスペ★頭脳明晰★高収入★人材を体現しているのがキーエンス社員なのだ。
最後はウンチクを語ってしまったことを許してほしい。
だが有価証券報告書はきっと、飲みの席での彼の話♡よりも正確に、会社の実態を表してくれる。これはキーエンス以外の会社でも同じことだ。
ちなみにキーエンスの自己資本比率は90%超と非常に高く、業績も安定している。
よほどのことが無い限りは潰れることもないだろう。
まさに、キラキラ婚活界のはぐれメタルとも言えるプレミア企業である。
残念ながら本社は大阪だが、お台場にもキーエンスの東京研究所がある。
http://www.keyence.co.jp/company/
キラキラ婚活アカウントにはぜひ、終わりなき婚活マウンティング合戦に終止符を打つべく、お台場を目指してほしい。
◆お台場で初詣するなら◆
www.date-navi.com
◆お台場で初日の出見るなら◆
www.walkerplus.com
◆参考文献の紹介◆
- 作者: 前川修満
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: 単行本
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今回の記事の元ネタになった本です。
日経新聞の広告欄にあって思わず買ったのですが、これが想像以上の当たり本でした。
会計に関しては素人なんですが、身近な例を使って説明してくれるため、非常にわかりやすい。
東芝やスカイマークなど、杜撰な経営が危機を招いたわかりやすい例を使って、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の勉強をすることができます。
会計の勉強はしておきたいなー、でも簿記とかつまんないし、何からやればいいのかわかんないや、という人におすすめです。
読み終えるまで3時間もかからず、話が興味深いため飽きず読めて、大変勉強になります。
kindle版はこちらです。
- 作者: 前川修満
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/12/18
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