はじめに
会社のなかで、ご自身の目標をお持ちだと思います。
「営業成績で、全国ベスト10に入りたい」
「5年以内に、管理職になりたい」
・・・
もしかしたら、「現状を維持したい」という方もいるかもしれません。
目標を達成するためには、何らかの努力が必要です。仮に「現状維持」が目標であっても、今のご時世、何もせずに現状を維持させてくれる会社は、ほとんどないでしょうから・・・。
でも、努力が必要とは言いながら、どんな努力をすればよいのか分からなかったり、せっかく努力しても無駄に終わるのではないかと心配したりすることって、ありませんか?
今回はマーケティング手法のひとつである「SWOT分析」を用いて、職場において、また、目標を達成するために努力すべき方向を見つける、その方法をご紹介します。
「SWOT分析」のやり方
「SWOT分析」とは
内的環境の「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」
外的環境の「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」
の各々の頭文字を取ったもので、主に自社・自社商品(内的環境)と経済・市場動向等(外的環境)を明らかにしたうえで、目標の達成可能性を判断するためのものです。
ここでは、内的環境を自分自身、外的環境を職場環境にしたいと思います。(下図)
自分の強み・弱み
まず、ご自身の強み・弱みを、思いつく限り書き出してください。
次に、書き出した項目の仕分けです。
おそらく、さまざまな要素が混在して書かれていると思います。
それらを、「性格」的なものと、「能力」的なもの、「経験の有無」に仕分けたうえで、グループ内で優先順位を付けてみてください。
あわせて、あなたの目標実現への影響度を考えてみてください。
これで、あなた自身の「性格・能力・経験」の強み・弱みが見えてきます。
職場環境の機会と脅威
ここでいう職場は、まずはあなたが所属している「単位組織(部とか課)」のレベルで考え、さらに必要に応じて事業部門や会社全体も加えるというイメージでお願いします。
と言うのも、外的要因を広く捉えすぎると、分からないことが増えてきて、整理がつかなくなるからです。
そして、機会と脅威については、職場の強みと弱みに置き換えて考えてみてください。
さらに、あなたの目標に照らし合わせて、職場で「追い風」になることと、「向かい風」になることを考えてみてください。
これであなたの職場の「実態と目標を達成するための条件の過不足」が見えてきます。
これで上図は完成です。
職場でやるべきこと
上の「SWOT分析」の箱をズルッと動かしました。
まず、職場において、あなたがやるべきことを書き加えたのが、下の図になります。
あなたの強みが職場の強みに一致するところは、「強みを活かす」領域ですので、積極的に行動すべきです。
あなたの強みが職場の弱みであるところは、ボーナスステージです。
組織に対して、あなたの影響力を最も反映しやすい領域ですし、働き如何によっては組織の強みにできる可能性があります。
自らを差別化し、最大の努力をすべきところですね。
(通常の「SWOT分析」では、ここは「均衡・縮小」と判断されるのが一般的です)
組織として強いのに、あなたが弱いところは、その弱みを克服する領域ですが、努力はあまり報われません。ですから、割り切った対応でよろしいでしょう。
組織もあなたも弱いところ・・・。ここは大人の判断で・・・。
自分の目標のためにやるべきこと
あなたが自分の目標を達成するためにやるべきことが下の図です。
職場的に追い風の場合は、強みを活かし弱みを克服するわけですが、どちらに傾注すべきかは、ご自身の強み・弱み各項目の目標への影響度の強さによって変わります。
いずれにせよ、自分の目標達成ですので、努力は苦にならないと思いますが・・・。
次は向かい風が吹いているときですが、自分自身も弱い領域であれば、そもそもの目標設定を間違っているわけですから、即座に変更すべきです。
(常識的に、このような設定はしないものですが、稀に自己認識を誤っていて目標にしてしまうケースがあるのです・・・)
問題は自分に強みがある場合。
自分の目標が職場の課題と合致しているのであれば、「ボーナスステージ」ですから、向かい風をおさめることもできるでしょう。
自分の目標が職場の課題が一致していない場合は、自分の努力が職場によってかき消される、あるいは、足を引っ張られることになります。
つまり、最もイヤな「無駄な努力を強いられる」ケースなのです。
したがって、職場で追い風が吹いている領域で新たな目標設定をするか、向かい風がおさまるのを待つのが無難です。
でも、どうしても達成したい目標があって、今の職場では叶いそうもないのであれば、実現できる部署への異動願いを出す、場合によっては、転職、さらには起業もありえるでしょう。
まとめ
「SWOT分析」を利用して、努力すべき方向の見出し方をご紹介しました。
おそらく、自分と環境のどちらか一方だけに弱みがあると、努力が無駄になる場合があるようです。
中途半端であるがゆえに、気持ちの上で割り切れずに、ズルズルッと引っ張ってしまうから、のように思います。
それでも、自分の弱みを克服するための努力は、納得できるところもあるでしょうが、イヤなのは、外部要因によって「無駄な努力を強いられること」ですよね。
それを避けるためには、客観的分析に基づく自分自身の割り切り(と、上司の説得)が大切だと思います。
なお、「SWOT分析」、就職・転職の際の業界選択をはじめ、仕事に限らず実生活でも十分に使えるツールだと思います。
一方、本来の経営・マーケティング上の使用方法は、もっと奥深いもので