これまで12個のFinTechの分野をご紹介しましたが、今日はこの分野は切り出しても良いのかもなぁというジャンルを紹介しようかと思います。
タイトルにある「金融×エンターテイメント」というと、カジノなどをイメージする方も多いような気がしますが、海外ではエンターテイメント要素やゲーミフィケーションの要素などを上手く取り入れているサービスがいくつかあります。
ゲーミフィケーションとは?
「遊びや競争など、人を楽しませて熱中させるゲームの要素や考え方を、ゲーム以外の分野でユーザーとのコミュニケーションに応用していこうという取り組みで、ゲーム独特の発想・仕組みによりユーザーを引きつけて、その行動を活発化させたり、適切な使い方を気づかせたりするための手法」のことです。参考記事
13.ゲーム
Trade Hero(シンガポール)
「Trade Hero」は「Retail Investment(個人投資)」に分類されていますが、ゲームというジャンルに入れてしまっても良いのかもしれません。簡単に言うと、「仮想通貨を使って実際に投資を体感することができ、ゲーム感覚で投資が学べるアプリ」です。
何が面白いかというと、NY証券取引所やNASDAQなど、実際の世界の主要な株式市場の情報をリアルタイムに取り込んでいる点や、凄腕トレーダーの売買情報をフォローすることができる点かと思います。
まずアプリを始めると10万ドルの仮想通貨がもらえますので、アプリで公開されている各銘柄の株価情報や金融ニュースなどを材料に、実際に投資をします。アプリ上では収益に応じたユーザーランキングが公開されますので、あなたが収益を稼げば稼ぐほどあなたのランキングは上位になり、あなたの売買情報やコメントに価値が付いていきます。
そして、ここがアプリの凄いポイントですが、他のTradeHeroユーザーは毎月$1.99を支払うことで、あなたのトレード情報をフォローすることができるのです。その$1.99の内、Appleが30%、残りを50:50であなたとTradeHeroが受け取る仕組みになっています。要はユーザーが稼げる仕組みがアプリ内にあるので、流行っているのです。
また、TradeHeroは、ユーザーが最初にもらった10万ドルを使い切ってしまった場合に、課金することで仮想通貨を補充したりそれまでの売買履歴を削除できるようにすることでも、マネタイズしています。参考記事
日本は?
記事にもあるように結構なユーザー数がいるアプリなのですが、日本では全然流行っていません。理由は「英語」なのと、日本人にあまり馴染まないUIだからなような気がしています。
ちなみに日本でもこのような投資シュミレーションアプリは「あすかぶ」さんなど色々あります。また、以前大手金融機関もいくつか似たようなサービスを出していましたが、全然流行らずに消えていきました。
こういう歴史を見ると、そもそも日本人と投資が馴染まない気がしてしまいますが、マーケティングの問題もあるのかもしれません。「株」や「投資」という言葉を使わずに、「TradeHero」という言葉を選んでいる点なども参考になりそうな気がします。