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地銀危機、あおりで自殺…預金運用、救済されず

 【ローマ福島良典】経営危機に陥ったイタリアの地方銀行の救済策のあおりで、預けていた預金約11万ユーロ(約1450万円)を失った年金生活者が銀行を非難する遺書を残して自殺していたことが明るみに出て、内外で波紋を広げている。

     自殺したのはイタリア中部の港町チビタベッキアに住んでいたエネルギー大手元作業員の男性(68)。11月28日に自宅で首をつって自殺していたのを妻が発見した。インターネット紙「エトルリア・ニュース」が今月9日に報じた。男性はエトルリア銀行の地元支店に預けてある預金を運用して、投資リスクの高い「劣後債」を購入していた。銀行が経営危機に陥った際、男性は7割の弁済を求めてきたが、政府が11月22日に決めた銀行救済策で、債務弁済順位の低い劣後債は預金保護の対象とされなかった。

     イタリア・メディアによると、男性の遺書には「銀行員は(投資勧誘時に)『安心して。自分の両親もこの種の投資をしている』と話していた」「銀行は倒産しかかっており、債権を払い戻してくれなかった。これで預金はすっからかんだ」などと記されていたという。

     男性の自殺を受け、消費者団体は銀行救済策が「憲法に照らして適切だったのか」と疑問を呈している。検察当局は、銀行側がリスクを十分説明していなかった疑いがあるとみて捜査を開始し、23日に支店を家宅捜索した。

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