錦光山雅子
2015年12月27日09時49分
困窮するひとり親世帯への公的手当は、数カ月分がまとめて支給されるため、家計に激しい収入の波をもたらす。その支給方法によって、貧困から抜け出せなくなる家族の姿を追った。
大阪府の30代女性は11日、中学生の長男と外へ出かけ、串揚げを食べた。
この日は待ちに待った、児童扶養手当の支給日だ。約17万円が振り込まれた。前日まで所持金数百円。1週間近く、ほぼ豆腐と米飯の食事でしのいできた。
昨年末、体の不調で失業。今は月5万円の養育費と、2、6、10月に入る児童手当(4万円)と、4、8、12月に入るひとり親世帯が対象の児童扶養手当で暮らす。手当の入る偶数月と入らない奇数月で、収入は激しく波打つ。
電気、水道、ガス、ネット、NHK、携帯、学校給食費や教材費。滞納していた公共料金を一気に支払うのも、手当の支給日だ。これで手当の半分が消える。
手当で一息つくものの、長くは続かない。どの料金を滞納するか払うかで、じきに頭がいっぱいになる奇数月が、やって来る。「手当の支給前が、一番しんどい」
残り:605文字/全文:1053文字
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!